農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
85 巻, 7 号
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  • 吉田 寿, 加古 師幸
    2017 年 85 巻 7 号 p. 635-638,a1
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
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    神奈川県の農業農村整備について,農業概況,県民ニーズ調査の結果を示すとともに,かながわ中高年ホームファーマー事業など本県独自のソフト施策を紹介した。また,農業農村整備事業について,都市的地域での土地利用調整など特徴的な課題を有する2地区の事例紹介を行った。一つは,小田原市および大井町において,流域の開発が進展したことで農業用用排水路への都市的排水の流入による湛水被害を防止するために湛水防除事業を実施した事例である。もう一つは,営農意欲の高い農家が多い三浦市において,都市計画法で逆線引きを行ったうえで,圃場整備事業を実施し,優良農地を確保した事例である。

  • 江成 卓史
    2017 年 85 巻 7 号 p. 639-643,a1
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    横浜市は東京23区に次ぐ大都市であるとともに,農地面積が約3,000ha,市域の約7%に達する,神奈川県内最大の農業都市でもある。横浜市は平成21年から「横浜みどり税」を財源とする横浜みどりアップ計画により,農地を含む緑の保全に積極的に取り組み,地産地消の推進をはじめ,市民が農にふれあう場づくりや農景観の保全に努めている。しかしながら,農業の担い手の減少や土地需要の低迷により,郊外部を中心に耕作・管理されず都市的利用もされない不安定な「空洞化した農地」が大量に存在する。既存の農地保全・利用施策の拡充とともに,市民農園や公益法人の参入など,大都市ならではの新たな農地の活用策を促進することが必要と考える。

  • 糸長 浩司, 藤沢 直樹, 伊藤 秀之, 高橋 明日香
    2017 年 85 巻 7 号 p. 645-648,a1
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    神奈川県の北西部に位置し水源地域でもある丹沢大山地域は,国定公園,県立自然公園を抱え,自然体験,里山体験ができる貴重な首都圏の農山村地域である。自然破壊,鳥獣被害,地域課題などを総合調査し,①ブナ林の衰退,②人工林の劣化,③ニホンジカの影響,④希少種の減少,⑤移入種の増加,⑥渓流生態系の悪化,⑦自然公園過剰利用,⑧地域の自立的再生の8課題を提示し,再生の基本構想を設定し,その解決活動母体として「丹沢大山自然再生委員会」を設置し10年以上の活動が進められている。これは日本でも先進的モデル的総合的な自然再生プロジェクトとして高く評価されている。総合調査当初から深く関わる研究室からの具体的な活動報告である。

  • 鈴木 純, 大澤 和敏, 松岡 延浩
    2017 年 85 巻 7 号 p. 649-654,a1
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    関東甲信地方の風食の特徴と各地で採られている対策について概説した。風食発生地として,群馬県太田市藪塚地区,千葉県八街市八街地区ならびに,長野県松本市今井地区について検討した。気象は概して冬季~春季の乾燥と強風で特徴づけられた。特に,日平均風速が10m/sを超える日数は,3地区とも12~4月が多いことが分かった。土壌の団粒構造は,それぞれに粗細の違いがあり,粗い藪塚では,主に土粒の転動と跳躍を抑制,微細な団粒が多い八街と今井では,転動,跳躍に加え,浮遊を抑制する試みがなされている。一方で,人口密度が高い関東地方では,農地に近接した住宅が増えると,風食は農業上の表土保全のみならず,地域の生活環境保全の視点からの取組みも必要になる。

  • 今井 忠延
    2017 年 85 巻 7 号 p. 655-658,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    本報では,千葉県の農業農村整備の歴史を踏まえつつ,農業水利施設の老朽化対策と,農地整備について,データや事例を交えて紹介した。千葉県の基幹的農業水利施設は900施設を超え,耐用年数を超過した施設の割合は全国トップであるが,土地改良区などの施設管理者による簡易診断(一次診断)の評価結果の分析などから,対策が必要な施設の絞込みを試みた。また,県内の農地整備の状況や大規模稲作農家が課題としている点を踏まえ,稲作コストの低減や高収益作物の導入に向けた取組みを紹介した。

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