農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
78 巻, 12 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
 
  • 戸髙 久吉, 山内 敏雄, 河野 広
    2010 年 78 巻 12 号 p. 997-1000,a1
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
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    宮崎県水土里のふるさとづくり懇話会は,農業・農村をベースとするふるさとづくりに関して検討を続けており,懇話会の今後の議論に役立てるため,平成19年度に始まった「農地・水・環境保全向上対策」の活動組織の構成員を対象に,農村の活性化などに対する意識をアンケートによって調査を行った。アンケートの結果,本対策には自治会をはじめ営農組合,土地改良区,女性会など,多様な集団が対策に参加しており,農村社会のきずなを強めコミュニティーの再生を図る上で,大きな役割が期待されており,農村の活性化やふるさとづくりの推進につながるものと考えられる。本稿では,アンケートの結果から対策に対する期待や活動を継続していく上での課題等を示すことにより,今後の活動の活性化と活動組織の将来的な自立に向けた推進方策を明らかにするものである。

  • 針生 岬, 原科 幸爾
    2010 年 78 巻 12 号 p. 1001-1005,a1
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    3次メッシュ(1kmメッシュ)を単位とした既存の地理情報を用いて,東北地方における里地里山的環境を抽出し,その類型化を行った。多変量解析を用いて,気象と地形に基づいた自然立地による分類と土地利用による分類をそれぞれ行い,これらを統合することによって里地里山メッシュの類型化を行った。その結果,「山地・畑地型」,「少雪・二次林型」,「平地・水田型」,「多雪・二次林型」,「山地・二次草原型」,および「平地・樹園地+畑地型」の6類型に区分された。また,人口などのデータをもとに社会的条件による分類も行い,それと,里地里山メッシュの類型区分とを重ね合わせて解析し,今後の里地里山の管理・保全指針について検討した。

  • 倉島 栄一, 江上 博司, 亀山 博之, 遠藤 泰, 北川 和彦
    2010 年 78 巻 12 号 p. 1007-1010,a1
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    馬淵川沿岸農業水利事業所管内の岩手県一戸町奥中山高原では冷涼な気候に適したレタスなどの野菜が生産されているが,近年,高温障害が報告されている。同事業所は大志田ダムの建設と末端灌漑施設等の整備を行った。この水利施設を高温障害の抑制に利用することを目指した散水試験が2008年7月から開始された。本試験はマルチを施した畑地において,降雨以外の水を介在させ,微細気象をコントロールするもので,本報は試験下の熱収支を検討したものである。その結果,地表面が吸収した熱の放散には潜熱の寄与が大きいことが示された。また,散水時には表面温度が低下するが,それに伴う潜熱,顕熱の減少が緩和される傾向が示唆された。

  • 齋藤 晴美, 印藤 久喜, 石島 光男
    2010 年 78 巻 12 号 p. 1011-1014,a1
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    国内農業の食料供給能力を表す「食料自給力」の強化を図るためには,水田に麦や大豆等の作付けを可能とする水田の汎用化が不可欠である。水田の整備状況と麦・大豆の作付け分布を比較すると,整備が進んでいる地域ほど作付面積が多くなっている。そのような地域は,これまで国営事業等により大規模な基盤整備を実施してきたところが中心となっている。さらに,生産コストの縮減に効果的な圃場整備を実施した地域では,ブロックローテーションが導入されている割合が高くなっている。また,大区画化が進んでいる地域では,担い手の経営規模が大きくなっている。このような農地整備の各種効果を,食料自給力強化の観点からデータを用いて説明している。

  • 宗岡 一正, 池野 悦雄, 川原 清文, 鍵本 千代樹
    2010 年 78 巻 12 号 p. 1015-1018,a1
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    野洲川ダムは滋賀県南東部を流れる野洲川の最上流部にある総貯水量850万m3の農業用重力式コンクリートダムである。昭和22~30年度にかけて実施された国営野洲川土地改良事業によって造成されたが,完成後約50年の間に山林の荒廃が進むとともに降雨強度の増大によって野洲川流域のピーク流出量が増加したため,ダムの洪水流下能力が不足していた。本報文では,灌漑期には例年どおりダムを運用しながら洪水吐を改修して洪水流下能力を高めた事例を紹介する。

  • 髙木 強治, 後藤 眞宏, 浪平 篤, 関谷 明, 峯岸 雄一
    2010 年 78 巻 12 号 p. 1019-1022,a1
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    都市化,混住化の伸展に伴い,今日では農業水路の周辺に住宅が建設されることも珍しくない。農業水路に設置されたゲートや落差工では,通水時に落下流による騒音が発生するが,このうちの低周波音は,周辺住民に頭痛や不眠などの生理的問題を引き起こす可能性がある。本報文では,現地調査の結果から水膜振動に起因する低周波騒音の実例を示し,さらに低周波騒音低減に係る従来技術の問題点,ならびに水膜振動を防止する対策工とその効果について述べる。対策工は,①越流水を複数の水流の束として水膜を発生させず,②越流部の機能や越流係数に影響を与えず,③設置基数を任意に設定できるうえ,④既存の施設にも後付けで設置が可能である。

  • 北林 英一郎, 油川 潤一, 吉岡 裕芳, 福崎 晴康
    2010 年 78 巻 12 号 p. 1023-1026,a2
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
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    青森県は,世界遺産「白神山地」,「岩木山」,「八甲田連峰」を源流とするきれいな水資源や15万7千haに及ぶ農地,県土の3分の2を占める緑豊かな森林,三方を海に囲まれた豊かな漁場などに恵まれ,食料自給率が121%,全国4位と高く,農林水産業が県経済や地域社会を支える基幹産業となっている。水資源に恵まれ,わが国有数の食料生産県である本県が,「水循環システム」と「食料生産システム」を整えていくことによって,食料の安定供給と環境保全に貢献していくとの考えに基づいて立ち上げたのが「環境公共」である。本報では,環境公共の基本的な考え方を紹介するとともに,取組み3年目における地区事例等の現状を報告する。

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