農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
80 巻 , 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
 
  • 奥田 幸夫, 大西 純也
    2012 年 80 巻 2 号 p. 83-86,a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    ウズベキスタンの大規模灌漑開発地域では農地に塩害が生じている。本報では,同国シルダリア州での調査結果に基づき,農地の現状,実施中の主な塩害対策の課題および農業生産組織(フェルメル)に生じている変化について述べる。調査の結果,政府により排水管理や除塩対策(リーチング)が実施されているが,機能を発揮していない施設やリーチング効果が期待できない区域がある。水利組合による施設の点検精査,地下水位を考慮したリーチング指導が求められている。塩害対策に水利組合の果たす役割が大きいが,フェルメルの不安定な経営により十分な活動はできていない。フェルメルの経営の安定化を図る政策的な支援も必要となっている。

  • 李 鴻, 清水 克之, 北村 義信, 東條 雅行
    2012 年 80 巻 2 号 p. 87-90,a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    中国・黄河中流域に位置する黄土高原は,世界で最も水食の被害が深刻な地域の一つである。黄土高原での水食の60~90%がガリ内から発生しており,この土砂流出を防止する対策の一つにチェックダムシステムがある。建設直後のチェックダムは砂防,洪水調節や灌漑用貯水池として利用される。その後,土砂の堆積により平坦な土地が形成され,その土地は農地利用される。しかし,ダム農地において高い地下水位に起因すると考えられる塩類化の問題が顕在化している。そこで本報では,中国・陝西省子洲県曹(カオマオ)ダム農地における塩類集積の現状,地下水位変動特性の解明とその塩類集積に及ぼす影響に関する調査・分析結果を報告する。

  • 中村 貴彦, 三原 真智人, サッカムヅゥアン ジェラヌチ, 駒村 正治
    2012 年 80 巻 2 号 p. 91-94,a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    タイ国東北部には地下100~200mにマハサラカム層と呼ばれる岩塩層があり,岩塩層から土壌表層に毛管上昇してきた塩類が集積した塩類土壌が広く分布している。本報では,タイ国コンケン県で発生している塩類集積についてその実態と修復保全対策について考察した。地下水の毛管上昇を遮断する対策法では,ジオテキスタイルを用いた室内実験を行い,その有効性を検討した。調査対象地は透水係数が低いため適度な礫の混入と灌水により,EC値を低下できることを示した。またアカシア植林地での土壌中のナトリウム濃度を実測することで,隣接裸地より低濃度であることを確認し,植林による対策の有効性を示した。

  • 北村 義信, 李 鴻, 清水 克之, 東條 雅行
    2012 年 80 巻 2 号 p. 95-98,a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    筆者らは,長年陝西省大茘県の洛恵渠灌区洛東区(32,000 ha)を対象に農地の塩類化とその改善対策について研究を行ってきた。本地区では,1950年代に灌漑が開始されて以降,農地の塩類化の問題が発生した。約80の観測井での水位,水質調査とその周辺での土壌の物理・化学特性調査・分析結果から,本地区における塩類化プロセスを類型化し,さらにそのプロセスを引き起こす要因について考察を行った。塩類集積を防止するためには,これらのプロセスを阻止・回避し,その誘因を除去することが不可欠である。筆者らは,それを実現するための方策として広域水管理の立場から,適正な灌漑管理法の提案を行う。併せて,流水客土法による塩類化農地の改良効果について評価を試みる。

  • 阿布都沙塔尓 買買提明, 田中丸 治哉, 多田 明夫
    2012 年 80 巻 2 号 p. 99-102,a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    本報では,中国・新疆ウイグル自治区における水資源開発と耕地塩類化の関係について論じた。同自治区は降水量が非常に少なく,オアシスでの灌漑農業と草原での牧畜業が主な農業形態である。灌漑用水を確保するため,山岳部を水源とした季節性河川の水を導水する引水渠,オアシス内の用水路網,さらに麓の平原地に多数の貯水池が建設されたが,貯水池の底面浸透と非ライニング用水路の浸透損失が地下水位を上昇させ,大規模な耕地塩類化が発生している。自治区南部に位置するチラオアシスの事例では,水利施設の問題に加えて,営農上の問題と水管理制度の不備も塩類化の原因となっていることを指摘するとともに,耕地塩類化への対策について述べた。

  • 村島 和男, 前寺 清一, 石垣 広男, 中田 芳夫
    2012 年 80 巻 2 号 p. 103-106,a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    2000年の収穫期に石川県七尾湾沿いの水田で発生した塩害について,現地調査を実施し,塩害の原因とその対策について検討を試みた。具体的な調査観測項目は土壌・地下水・暗渠流去水の塩分濃度,暗渠排水量,地下水位,地盤の支持力などである。その結果,1)塩害の原因は隣接する海・感潮河川からの塩分を含んだ地下水の侵入と考えられる。2)ただし,その侵入経路について十分には確定されず,したがって適切な暗渠配置には至っていない。3)防止対策として緊急に施工された組合せ暗渠によって,比較的速やかに田面湛水と作土層中の過剰水の排除および地下水位の低下に機能している。4)さらに適切な塩害対策を講じるために,引き続き,塩分収支などの分析が必要である。

  • 奥田 幸夫, 大森 圭祐, 山田 雅一, 丸本 充
    2012 年 80 巻 2 号 p. 107-110,a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    黄土高原に位置する山西省雁門関地区は,過度の耕地拡大や過放牧により生態環境の荒廃を招き,国家指定の貧困地域が大部分を占めている。山西省政府は農民所得向上対策として家畜の舎飼い飼育を推進してきたが,地域自然資源などの十分な検討が行われておらず,持続的な営農に結びつかない状況が続いている。JICA技術協力プロジェクト「山西省雁門関地区生態環境回復及び貧困緩和プロジェクト」が4年間にわたり実施され,参加型手法による計画策定からパイロットプロジェクトの実施を通じ,生態環境回復と農民の生計向上を両立するモデルを構築し,山西省政府が今後成果を普及していくためにマニュアルとして取りまとめた。本報では,プロジェクトの概要などについて報告する。

  • 齋藤 晴美, 圓山 満久, 糸賀 信之, 下瀬 耕三郎
    2012 年 80 巻 2 号 p. 111-114,a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    わが国の食料生産に不可欠な基本インフラである基幹的な農業水利施設は,戦後集中的に整備されてきたことから順次老朽化が進行し,総資産額7.7兆円の国営造成施設のうち,老朽化のため早期に改修が必要となる施設は,今後10年間で約4分の1の2兆円に達すると想定されており,施設を計画的に保全管理していくことが重要な課題となっている。今後は,農業水利施設の新設や全面更新を中心とした取り組みから,適時適切な補修・補強を通じて施設の長寿命化を図るストックマネジメントの取り組みに力点を移していくことになる。このため,農林水産省は,平成23年度以降,国営造成施設の長寿命化の取り組みに係る「7つの取り組み」を行うこととしている。

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