地すべりに代表される突発的地盤災害では,面的かつ線的に広大な範囲にシステムを構築している農業水利施設が多大な影響を受ける。新潟県では,1949年から2012年までの64年間で約5,700件もの地すべりが発生しており,このうち融雪や豪雨による地下水位の上昇を誘因として発生するものは全体の約9割を占めている。本報では,2012年3月7日の融雪期に新潟県上越市板倉区国川で発生した国川地すべりを事例に,農業水利施設の被災と復旧対策に関する特徴を抽出し,地すべり地帯における農業水利施設の被災特性と再構築に関する技術的課題を考察する。
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