農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
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  • 田中 孝幸, 埀井 保典, 伊佐坂 将崇
    2022 年 90 巻 12 号 p. 955-958,a1
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

    令和3年11月,農林水産省は,土地改良長期計画(令和3年3月閣議決定)で定めた目標達成のために必要な技術開発の推進に関して,「農業農村整備に関する技術開発計画」を定めた。本報では,本計画の概要を説明し,農業農村整備における技術開発を推進していくためには,研究者,技術者はもとより異分野を含めた産学官の多様な人材の参画が必要とされていることを紹介する。また,産学官連携による技術開発を推進するための補助制度が設けられていることを紹介する。

  • 鈴木 哲也, 長崎 文博, 小林 秀一
    2022 年 90 巻 12 号 p. 959-962,a1
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

    本報は,鋼矢板水路の補修工法であるストパネ工法を事例に農業農村工学における産学官連携の有用性と課題を考察した。農業農村工学では,他の工学分野と同様,産学官連携により既存施設の実態把握と新たな技術開発が並行して進められることが多い。ストパネ工法は,開発から現地適用,長期耐久性検証と異時点間の目的の異なる技術課題において,農林水産省補助事業である官民連携新技術研究開発事業の援助を受けて産学官の積極的な連携により効果的な技術開発が行われた。その結果,開発工法の迅速な普及が確認されるとともに,施工後約10年を経過した施設での長期耐久性能評価が試みられ,不具合の発生率が0.05%と非常に低率であることが明らかになった。

  • 鈴木 哲也, 水島 孝典, 小林 和夫, 岡本 英樹, 星野 健介
    2022 年 90 巻 12 号 p. 963-966,a1
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

    本報では,農業用ポンプ設備に関する振動診断技術の検証と新技術分野を対象としたリカレント教育に関する筆者らの取組みから,産学官連携の重要性と課題を考察した。筆者らは,新潟県,新潟県土地改良事業団体連合会および新潟大学による産学官連携を行っている。本取組みでは,リカレント教育として振動工学に関する基礎知識を学び,新たな技術分野である振動計測の検査精度の確保を産学官連携により進めた。その結果,農業水利システムの適切な維持管理には,システムの特徴を踏まえた農業土木施設と機械設備に精通した専門技術者の育成を産学官連携により進めることが不可欠であることが示唆された。

  • 宗岡 寿美, 木村 賢人, 中島 直久, 永井 晶, 福田 尚人, 佐藤 龍則, 山田 歩実
    2022 年 90 巻 12 号 p. 967-971,a1
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

    帯広畜産大学では,農業農村工学分野の「産」「官」で活躍する本学卒業生ら(技術者)との共同研究・受託研究を通じて,寒冷少雪の北海道十勝地域において農業農村整備事業で施工された水路法面保全の問題解決に向けて取り組んできた。あわせて,「学」に所属する本学学生への教育・研究指導と人材育成に関する支援を受けてきた。その結果,法面保全と緑化工技術の問題に興味をもって植生調査・土質試験等に協力するなど,コロナ禍における学生のモチベーション向上につながった。さらに,農業農村工学会学生会員となり卒業研究成果を学会発表し,卒業後は正会員となり農業農村工学・緑化関連の技術者になるなど,農業農村工学分野における人材育成がはかられた。

  • ―技術研修を通じた人材育成への貢献―
    松岡 直之
    2022 年 90 巻 12 号 p. 973-976,a1
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

    農研機構農村工学研究部門では技術研修を開催しており,毎年おおむね300人の技術者が受講している。研修コースは近年では2009年から2013年にかけて見直しが行われ,農業農村整備事業に環境配慮が明記されたこと,ストックマネジメントの事業化等に対応し,専門技術研修のコース追加等が行われた。今後,農業農村のデジタル化の進展,カーボンニュートラルの取組み等,社会情勢の変化に対応して,研修を含む技術者教育の内容についても修正していく必要がある。

  • 森本 英嗣, 岡島 賢治, 谷口 光廣, 野村 廉士, 堀口 昌孝, 亀井 智広, 内山 雅仁, 小倉 佑太
    2022 年 90 巻 12 号 p. 977-980,a1
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

    人口減少社会や自然災害などの面から農業農村を取り巻く環境はますます厳しくなっている。われわれ高等教育機関は,農業農村の持続的発展を下支えする人材の育成に勤しんでいる。本報は,筆者らによる独自の調査を踏まえ,産学官の連携を組み入れた大学教育の継続的な改善に取り組んできた点を紹介する。また,教育カリキュラムの改善を図りながら実施してきた産学官連携がJABEE認定プログラムとうまく連動している点にも言及している。さらに,導入がますます進むDXやGXなどの革新的技術が農業農村社会で円滑に実装させられるよう,産学官だけでなく地域住民を加えた産学官民連携の構築の必要性を示唆している。

  • 鬼丸 竜治
    2022 年 90 巻 12 号 p. 983-986,a2
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

    わが国の大規模水田稲作地域では,配水管理は,江戸期の村(ムラ)を基礎単位とした重層的な水利組織が担う体制により行われてきた。ところが,ムラの範囲を超えて耕作する大規模経営体が増え,「ムラをベースとした水利組織とは別の組織の再構築が検討課題となる」と指摘されるようになった。そこで,本報では配水管理体制の見直しに向けた議論を進めるため,ムラを基礎単位とした体制が構築された経緯を整理・分析した上で,見直す際の主な留意点として,すべての水利用者が水利秩序の内容を共有し遵守する仕組みを整えること,用水の利用に際して水利用者(大規模経営体)が一つにまとまる必要がある仕組みを整えること,などを示した。

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