農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
82 巻 , 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 藤山 健人, 田嶋 哲也
    2014 年 82 巻 3 号 p. 201-204,a1
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により被災した農地の復旧については,農業・農村の復興マスタープランに沿って,おおむね3年間での復旧を目指している。このため,土地改良法特例法の制定,新たな事業制度の創設,人的支援などのさまざまな措置を講じてきた。本年3月で,発災から3年が経過することから,これまでの復旧・復興に取組みや現時点の津波被災農地の復旧状況,今後の復旧に向けての被災地が直面している課題などを報告する。また,福島第一原子力発電所の事故に伴い設定された避難指示区域内での復旧・復興の取組みについても,併せて報告する。

  • 福与 徳文, 山本 徳司, 毛利 栄征
    2014 年 82 巻 3 号 p. 205-210,a1
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    岩手県大船渡市吉浜では,海岸堤防の高さを関係者(ステークホルダー)による投票で決定した。本報では,投票前に住民側が主催した「意見交換会」の質疑内容を分析することによって,①海岸堤防の高さを決める上での論点を整理し,②投票権を持つ関係者(ステークホルダー)を決めた論理を明らかにし,地域の合意形成のあり方について考察した。吉浜の海岸堤防の高さを決定するプロセスの中に,「長老の了解=地域の合意」から「参加・学習→投票」という“参加学習型合意形成プロセス”とでも呼ぶべき新たな合意形成の形が見えてきた。

  • 坂田 寧代
    2014 年 82 巻 3 号 p. 211-214,a1
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    東日本大震災の復旧・復興過程で,集団移転が進捗するにつれてコミュニティ再編が現実的な課題となるとされている。本報では,先行する2004年新潟県中越地震のコミュニティ再編事例を現地調査に基づき紹介する。2007年帰村時の統合を見送った近隣3集落では,過疎・高齢化で単独開催が困難化していた「さいの神」と盆踊りを,2011年以降,地域復興支援員の仲介で合同開催してきた。性急な統合型より伝統行事を介した連合型の再編の可能性を見いだすことができる。河道閉塞で水没した別の集落では,区長の強い意志のもと,被災翌年から集落に戻って盆踊りを行ってきた。こうした集落行事のほか,交流行事を外部者と連携して行っており,単独型再編として位置づけられる。

  • 澤口 勝彦, 中村 愛彦, 曽利 栄幸
    2014 年 82 巻 3 号 p. 215-218,a1
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    東日本大震災津波により岩手県では,死者・行方不明者が6,200人を超え,家屋の倒壊25,000棟余り,産業被害・公共土木施設被害が1兆円以上など,正に未曾有の大災害となった。農地・農業用施設の被害額も約640億円に上り,特に沿岸地域ではリアス式海岸の津々浦々に拓かれた貴重な農地725haが甚大な被害を受けた。本報では,東日本大震災津波の発生から3年を経た現在,全国の道府県から職員を派遣いただきながら取組みを進めている岩手県における農地・農業用施設の復旧・復興状況と今後留意すべき課題について報告するものである。

  • 郷古 雅春
    2014 年 82 巻 3 号 p. 219-222,a2
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    東日本大震災で津波や地震の被害を受けた宮城県内の12の土地改良区が抱える課題は,運営経費に充てる経常賦課金収入の減少,土地改良事業の償還に充てる特別賦課金徴収の困難化,復旧・復興事業に従事する職員の不足,地盤沈下による排水機運転経費の増大,流失した事務所の再建や大規模な修繕工事への対応など多岐にわたる。これらは土地改良区の運営の危機につながるだけでなく,被災地全体の復興の妨げになることも懸念される。本報では,被災した土地改良区の抱えるこれらの課題や対応について紹介するとともに,解決の方向を示した。

  • 落合 基継, 小野寺 淳, 成澤 嘉明
    2014 年 82 巻 3 号 p. 223-227,a2
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    本報では,宮城県平野部A市の津波被災地内の近接する5つの集落において,隣同士であっても条件によって農業復興の状況が異なることを明らかにした。農業復興に影響を与える要因として,農業生産基盤や農業機械などの被災状況,農家の住宅被災状況,被災前の営農状況を提示し,これらが組み合わさることで集落ごとの復興状況が異なることを明らかにした。今後の復興では,生産組織への営農面・経営面でのサポート,生産組織メンバー以外の元農家の参画,地域全体での情報共有が必要と提案した。農業復興の過程における課題として,復興交付金事業のスケジュールの柔軟性,専門的知見を有する行政職員の増員,集落リーダーへのサポートをあげた。

  • 久保田 富次郎, 樽屋 啓之, 田中 良和, 濵田 康治
    2014 年 82 巻 3 号 p. 229-233,a2
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    本報では,東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う被災地立地する水路システムに発生する堆積物と含まれる放射性Csの状況を概観しつつ今後の課題を考察する。幹線から支線までを含む1つの水路システムを対象として,空間線量率や堆積物の発生量,堆積物に含まれる放射性物質の分布の定量化を試みた。その結果,水路勾配が比較的大きい幹線水路上流では,余水吐などの掘込み部にのみ顕著な堆砂がみられ,その放射性Cs濃度は数千Bq kg−1と比較的低かったが,勾配が緩やかな下流水路では,1万Bq kg−1を超える比較的高い放射性Csを含む泥状物の堆積が卓越した。今後,勾配が緩く泥状物の堆積が主体を成す水路などで,水路除染後の再堆積を含めて影響を見極める必要がある。

  • 成岡 道男, 大泉 暢章, 佐伯 保則, 藤本 直也
    2014 年 82 巻 3 号 p. 235-240,a2
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    本報では,タンザニア北部地域で行った調査結果をもとに,伝統的な天水低湿地稲作と近代的な灌漑稲作の現状を紹介し,これらの稲作技術の課題について考察した。その結果,伝統的な天水低湿地稲作には干ばつ被害を軽減するための早生品種の導入および苗の安定的な生育のために直播きから移植への転換が必要なことが分かった。そして,灌漑稲作には灌漑施設を持続的に利用するために劣化が生じる前に費用の積立てが必要なこと,灌漑稲作を行うためのトラクタや耕うん機が不足していること,収穫ロスを軽減するための安価な技術が必要なことなどが判明した。

  • 北村 浩二
    2014 年 82 巻 3 号 p. 241-244,a2
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    近年は,耕作放棄地が増加し社会問題ともなっており,耕作放棄地対策が重要な施策の一つとなっている。中山間地域等直接支払制度は,中山間地域等における耕作放棄を未然に防止し多面的機能を確保する観点から,2000年度より実施されている。2012年度の第3期対策の中間年評価で実施された,東海地方の集落アンケートをもとに,耕作放棄地発生の未然防止効果,および集落の高齢化が耕作放棄地発生に与える影響について報告する。

  • 中里 良一, 諸岡 弘文
    2014 年 82 巻 3 号 p. 245-248,a2
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    補修を中心とした事業タイプいわゆる更新事業の国営土地改良事業が増加しているが,更新事業は,事業規模が小さいことから事業が地域の環境に与える影響が小さい地区が多く,環境配慮計画については,このような事業の特性にあわせて策定する必要がある。このため,今後,更新事業が地域内外に広くその役割を果たし,期待に応えていくための参考になるよう静岡県において実施されている国営土地改良事業「牧之原地区」を中心に4地区の事例を報告する。

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