地理学評論
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34 巻, 9 号
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  • 森川 洋
    1961 年 34 巻 9 号 p. 471-486
    発行日: 1961/09/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    メトロポリスからの影響が少なくかつ工業的活動の比較的乏しい熊本県をとりあげ,藩政後期以後における中心地構造の動態的考察を試みた結果,次のことを知りえた.
    交通条件が停滞的なのに比して,相対的に中心的サービスに対する地域需要が高まりつつあつた明治前期までは,中心地はその数を増加する傾向にあり,それにつれて中心地構造の階層化や勢力圏の細分化が生じてきたと思われる.しかるにわが国経済の急速な発展につれて,新しい中心的サービスが続々と登場し,交通も近代化すると,中心地間の競合は強くなり,活力にとむ中心地が成長する一方では弱小中心地が衰退することになる..県中北部では今日熊本を中心とした中心地の圏状の分布がみられるが,熊本に遺い低次中心地は運距離にある高次中心地よりも熊本の影響を強くうけ,その成長につれて中心地的意義を減じてきたものである.かかる中心地の衰退には農村におけるサービス設備の充実も一因をなすようである.
  • 白井 哲之
    1961 年 34 巻 9 号 p. 487-497
    発行日: 1961/09/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    米代川下流能代付近に発達する段丘地形と堆積層の調査から,段丘面形成時の堆積環境をあきらかにし地盤運動の傾向を考察した.
    本地域には5段の段丘がある.第1段丘(高度80-120m), 第2段丘 (40-70m), 第3段丘 (35-50m), 第4段丘 (20-30m), 第5段丘 (10-15m) である.このうち第3段丘がもつとも広く,第4段丘は各川の北側に分布している.米代川の南では各段丘面は現海岸線に平行に分布するが,北ではこの傾.向はない.
    段丘堆積層のfaciesに注目して,これを4つの型に分類し,標式地の名をとつてそれぞれ森丘型,国見型,内坂型,向能代型とした.それらの堆積環境を考察し,それぞれを浅海,氾濫原,扇状地,河口の環境をあらわすものと解釈した.各faciesの分布を各段丘面ごとに追跡し,それにもとづいて段丘面の性質を4種類に分類した(第6図).米代川の南の各段丘面は一部をのぞいて海成段丘であるが,北側の各段丘は扇状地,氾濫原・河口の性質をもつた河成段丘である.第1段丘堆積層は第2,第3,第4段丘の堆積層よりも厚く堆積作用がより盛んであつた.
    本地域には5回の相対的隆起運動があつたが,第3段丘面形成期には安定した時期が長くつづいたと思われる.各段丘面形成時とも本地域の南部は海で,北部の河に対してまり低い状態におかれた.また,各段丘とも北側の隆起量は南側に比してより大きいものであつた.こうした傾向は八郎潟造盆地運動の一環をなすと考える.
  • 小池 一之
    1961 年 34 巻 9 号 p. 498-513
    発行日: 1961/09/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    那珂川は茨城県那珂湊市付近で太平洋にそそいでいる.この河川の流域とその周辺には洪積台地の発達がよい.筆者は,とくにこれらの台地をおおつている関東ローム層の層序に注目し,那珂川流域の洪積世:地形面の対比を行ない,地形発達史を明らかにしようと試みて,次のような結果を得た.
    (1) 那珂川流域の地形面は古V・ものより丘陵 (DlII), 上位段丘 (DuIA), の,中位段丘 (DuIb), 下位段丘 (DuII), 後ローム段丘および現河床氾濫原(有)に分けられる.
    (2) 丘陵は,鬼怒川地溝内に発達する喜連川丘陵と,茨城県側,鷲子・鶏足山地周縁に発達する友部・所貫丘稜に分けられ,それぞれの丘陵を構成する堆積物は,その堆積環境・堆積区を異にする.
    (3) 那珂川の流路が,鷲子・鶏足山地間に発達する第三系山地を切つて,東へ流れるようになつた時期は,丘陵形成後,上位段丘形成前である.
    (4) 那須野が原扇状地を構成する地形面は, 3群に分けられ,それぞれ,上位段丘,中位段丘,下位農丘に対比される.これらの3群の地形面は,扇頂部では,新しい面がより古い面をおおつて発達する関係にあり,扇端部では,反対に,新しい面はより古い面を切つて発達している.
    (5) 水戸付近においては,上位段丘は,那珂・東茨城台地(海岸平野)に相当し,中・下位段丘は,上市段丘と御前山段丘に相当する.上位段丘形成時め旧汀線の高度は約55mである.東茨城台地においては,局部的ではあるが,台:地面は海抜45m付近で2分されている.中位段丘は,水戸付近では,上位段丘を切つて発達している.一方,下位段丘は,現河口上流約20km付近で,沖積面下に没してしまう.
  • 1961 年 34 巻 9 号 p. 514-522_2
    発行日: 1961/09/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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