一過性両側総頸動脈閉塞による前脳虚血負荷砂ネズミにnimodipineを虚血前, 虚血中, あるいは虚血後に投与し, 虚血中及び再灌流後に脳血流, 脳内エネルギー代謝に及ぼす効果を, レーザードプラ血流計,
31P-NMRスペクトロスコピー (MRS) を用いて各々評価した.虚血前nimodipine投与群ではvehicle群, 生食群に比しPCr/Pi比, β-ATP/Pi比は再灌流後の全測定時で有意の高値を示し (p<0.01~0.05), pHi値は高値傾向を示した.虚血中nimodipine投与群ではPCr/Pi比, β-ATP/Pi比, pHi値は再灌流後のいずれの測定時にも, vehicle群との間で有意差を認めなかった.虚血後nimodipine投与群ではvehicle群に比しPCr/Pi比は再灌流開始後90-, 120-, 180-分で, β-ATP/Pi比は90-, 120-分で有意に高値を示した (p<0.01~0.05).各投与群間で比較すると, 虚血前nimodipine投与群では虚血中投与群に比し再灌流後の全測定時にPCr/Pi比, β-ATP/Pi比の有意の高値を認め (p<0.01~0.05), 虚血後投与群に比しPCr/Pi比, β-ATP/Pi比は再灌流開始後180-, 240-分で有意の高値を示した (p<0.01~0.05).虚血中投与群と虚血後投与群との比較では, PCr/Pi比は再灌流開始後90-, 120-, 180-分で, β-ATP/Pi比は90-, 120-分で虚血後投与群で有意の高値を示した (p<0.01~0.05).nimodipineの虚血前あるいは虚血後投与により, 再灌流後の脳内エネルギー代謝は虚血中投与に比し有意の改善を示し, nimodipineの虚血脳に対する保護効果が示唆された.
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