地理学評論
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39 巻, 10 号
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  • 福井 英一郎
    1966 年 39 巻 10 号 p. 643-655
    発行日: 1966/10/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    日本で顕著な気候区界の一つであるいわゆる表日本と裏日本気候区を分つ界線は,これまで大体において北方の奥羽山脈から南西につづく背梁山地の分水界がこれに近いものと考えられていた.しかし実際にはかなり複雑で,主として地形の影響によって場所によってはこれを越えてかなり東の方にまで侵入している例も珍しくない.ここではこの両気候を区別する示標として降水の年変化型をとり, 1769地点の観測資料をもとにして考察を行った.その結果この裏日本気候は西の方は山口県の西部にまで達するか,この間において背梁山地の分水界を突破して東の太平洋斜面にまではみ出している場所が,ここで明らかにされたものだけでも33ケ所にも達し,その最も著しい例としては姫川や神通川にそって南の方にまでのびるもので,分水界から50km内外の距離にもおよんでいる.裏日本型は九州の北部で一旦消失するが,軽微ではあるが西海岸の地方で再び現われ,その南は薩摩・大隅両半島の南端地方にまでおよんでいる.ここではこれらの諸事実を明らかにした後に若干の原因的考察を行った.全体をまえ書き,研究の方法,両気候の境界線,九州の場合,要約の諸項に分け,この順序にしたがって記述する.
  • 鈴木 道郎
    1966 年 39 巻 10 号 p. 656-664
    発行日: 1966/10/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    明治時代に入り,江戸時代に続いた将軍家の保護を失い,神仏分離,排仏毀釈など宗教上の変革に会った相模大山の御師は,檀家を失って,生活の経済的基盤をも失った.
    大山の有力な御師村山家の古い記録を調査してみると,明治時代前半には,御師本来の宗教活動の記録が殆ど無く,各種の非宗教的営利事業に従した資料ぼかりである.しかし後半に入ると,ほとんどが宗教活動の記録となる.資料を中心とし,これに聴取りをあわせて分ることは,当時は宗教活動では暮しが成立たなかったため,酒・荒物・履物・茶・水油などの小売・質屋・無尽・売薬行商・種豚飼育・養蚕・煙草小売など多岐にわたる非宗教的経済活動が行なわれていたことである.また町役場,学校に勤め俸給生活者に変る者も居た.宗教活動を続ける御師は,檀家を尋ねるにも土産に事欠き,現在なら100円位の物を土産とするのに,わずかな付木を持参して細々と生活を続けなければならなかった.
  • 竹内 淳彦
    1966 年 39 巻 10 号 p. 665-679
    発行日: 1966/10/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    戦後,北九州工業地域の国内的地位の低下の実態と要因を明らかにした.
    1. 全地域生産額の75%を占める八幡製鉄など臨海部重化学工業の停滞は筑豊炭の重要性の減少,大陸貿易の中止などによって有利性を失っている上に,巨大な固定設備を要するこれらの工業の新規投資が市場条件などにより他地域に行なわれているためである.
    2. 三大工業地帯では生産の中心となっている機械工業部門が,当地域では筑豊炭田・八幡製鉄・小倉兵廠などの発展条件を有しながら4部門合せて11%と全く低調である.これは親企業の自己完結的生産体系によって素材加工部門や部品生産のための下請,再下請群などの生産体系が養成されていなかったためである.今日,耐久消費財部門の成長が全くみられないのもここに原因がある.
    3. 日用消費財部門が全く欠如している.これは, (1)八幡製鉄の消費財充足形態が成立の事情などから地元に消費財部門を養成しなかったこと, (2)八幡製鉄が諸雑作業のために,日用消費財生産を支えるべき多くの低位労働力を吸収してしまっていること,および, (3)臨海工場によって埠頭が占拠される結果,雑貨取扱を不振とし,ライナーポート化を困難にするため,港依存の雑貨工業の発達が抑圧されたこと,などによるものである.
    4. 北九州の停滞はわが国臨海型重化学工業地域の発展の限界を示す最初の事例と考える.
  • 松本 豊寿
    1966 年 39 巻 10 号 p. 680-685
    発行日: 1966/10/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 39 巻 10 号 p. 686-692_2
    発行日: 1966/10/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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