波浪変形解析に際しては, 微小振幅の規則波の理論が基本となるが, さらに必要に応じて不規則性 (分散性) および有限振幅性 (非線形性) を考慮する必要がある. 本論文においては, まず, 分散性および非線形性を任意の精度で考慮することのできる, 非線形緩勾配波動方程式を導く. そこから従来の波動方程式が派生的に得られることを示しながら, それらの方程式の理論的特徴を明らかにする. また, 種々の波動方程式を用いた数値計算例を示すことにより分散性および非線形性の影響を論じ, さらに数値計算結果と現地観測結果との比較例を示す. 最後に, 波浪変形解析の将来展望について述べる.
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