土木学会論文集
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2005 巻, 805 号
VI-69
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
[招待論文]
  • 矢吹 信喜
    2005 年 2005 巻 805 号 p. 805_1-805_13
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    土木分野は, 建設投資額減少という厳しい環境の中, 膨大な量の既設の社会基盤施設の供用と維持管理をしていく必要がある. 本論では, 将来にわたって土木分野が成長し発展できるよう, 社会基盤施設を対象としたインターネットや各種情報技術による仮想的な情報世界であるサイバーインフラストラクチャの構築を提案した. これを構築するために必要な要素的情報技術として, データモデル, マンマシンインターフェース, マルチエージェントについて概説した. また, サイバーインフラストラクチャと現実の社会基盤施設を結びつけるための要素的技術として, ICタグ, センサーネットワーク, 現実世界への情報伝達について述べた. さらに, 提案したシステムにより将来, 社会基盤施設から価値を創造する一つの方法について論じた.
[投稿論文]
和文報告
  • 高島 賢二, 佐藤 邦明, 岩下 和義
    2005 年 2005 巻 805 号 p. 805_15-805_24
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    海水揚水発電は, 海域を下部調整池とすることによって, コストダウンや立地に関わる制約条件の緩和などが期待できる. 一方で, 水圧管路の海水腐食や海生生物の固着による水理機能低下が課題である. 海水揚水発電技術実証プラントでは, 岩盤埋設型水圧管路の材料として初めてFRP管を適用し, その強度特性や水理特性に着目した検証を1999年3月から2004年2月まで行った. その結果, FRP管の挙動はクリープによる影響が認められるが, 内圧の岩盤負担効果が期待できること, また海生生物の固着に伴う水頭損失は設計値を大きく下回り, 発電所の水路として将来にわたって良好な水理特性を維持できるものと判断された. これらは海水揚水商用プラントの実現に向け, 極めて有意義な情報を与えるものと考えられる.
  • 室 達朗, 作原 陽一, 藤原 一博, 河野 幸一
    2005 年 2005 巻 805 号 p. 805_25-805_33
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 円盤型剥離破砕刃によるコンクリートの端面掘削方式を使用して, コンクリート破砕機の切削能力の向上, 比エネルギーの減少により, その破砕効率を向上させることである. 切削ドラムに円盤型圧壊破砕刃と剥離破砕刃を配設した自重490kN級の新しいコンクリート破砕機を設計開発するため, 室内モデル実験を行った. その結果, 切削ドラムに作用する最大水平抵抗力, 最大鉛直方向力および最大トルクはコンクリート強度と切削深さの増加とともに増加すること, および単位体積当たりの切削仕事量である比エネルギーは, コンクリート強度が増加するとともに大きくなるが, 剥離破砕刃が効果的に作用する範囲においては切削深さの増加とともに減少することが判明した.
和文論文
  • 服部 進, 三浦 悟, 秋本 圭一, 大西 有三
    2005 年 2005 巻 805 号 p. 805_35-805_45
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    画像計測法を斜面の変位の検知に応用し, 要求される計測精度 (ターゲットの空間座標の標準偏差) と計測感度 (第1種, 第2種の誤り確率のバランス), 及び計測の信頼性 (大誤差を検知できる観測の冗長度) を与える撮影形態を議論した. これら計測の品質に影響する観測網の強さを評価する一連の式を導き, 幅30mの斜面において2mm程度の変位を検知できる撮影形態を, 現実的な候補をあげて評価した. 評価は模型を作って行い, 3箇所から4枚ずつ計12枚の撮影でほぼこの条件を満たす精度, 感度, 信頼性が得られることが分かった.
  • 永井 宏, 西垣 誠, 宇野 尚雄, 柳田 三徳
    2005 年 2005 巻 805 号 p. 805_47-805_60
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    切土構造を有する道路建設において, 帯水層を連続的に分断することに起因した地下水障害を防止するために, 地下水環境保全を目的とした復水工法を開発, 施工した. 従来の復水工法の多くは工事期間中の地盤沈下対策としての一時的な工法であるのに対し, 本工法はサイフォンとドレーンという既存の技術を組み合せ, 復水機能を恒久的に持続させることを目的としている. 本工法の設計, 施工は, 復水機能を持続させるために, 目づまりの要因を極力排除するという観点で行い, また施工中の地下水障害の影響を軽減するために施工にも工夫を行った. さらに, 効率的な維持管理を行うためのモニタリングシステムを導入したことにも特徴がある. なお本検討では, 施設完成後10年経過した段階で本工法の検証を行い, 復水機能の耐久性の評価を行った.
  • 三田村 浩, 坂田 昇, 閑田 徹志, 平石 剛紀, 六郷 恵哲
    2005 年 2005 巻 805 号 p. 805_61-805_76
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    著者らは, 鋼床版の増厚材料として大きな引張ひずみが作用した場合でも引張力を保持できる高靭性繊維補強セメント複合材料 (ECC) を用いて, 疲労耐久性を確保させる工法を新たに考案した. ここでは, 実施工に供するECCの製造および施工方法について検討した. 実験の結果, 製造, 施工法をECCに適した方法に改良することによって, レディーミクストコンクリート工場において所定の品質を満足する均等質なECCを製造できること, 鋼床版の上面増厚材料として均一なECCが施工できることが分かった. また, 実施工において全面積約19,000m2に厚さ4cmで施工したECCの表面にまったくひび割れが生じなかったことを確認した.
  • 星野 吉昇, 内田 善久, 渡辺 邦夫, 藤井 健知
    2005 年 2005 巻 805 号 p. 805_77-805_90
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    堤高の高いロックフィルダムでは, 堤体の内部・外部に多数の計測機器を埋設し, この情報と別途行う挙動予測解析の結果を照査することによりその安全性を評価している. 挙動予測手法の最近の動向を見ると, 数値解析に土と水の連成を構成則に取り入れるなど, 手法は高度化している. しかし物性値のゾーニングの限界, 複雑な材料特性などから, 実測の挙動を高精度で再現するには至っていない. このような状況に鑑み, 筆者らは実測に即した予測を行うANN等を用いた挙動予測手法の高度化について研究している. 本論文は, 簡易な数値解析, 遺伝的アルゴリズム及び人工ニューラルネットワークを組合せた新たな予測手法を開発したものである. またこの手法を実ダムへ適用して, その有効性を確認したものである.
  • 田中 寛泰, 中村 俊一, 井上 浩男, 羽田 大作
    2005 年 2005 巻 805 号 p. 805_91-805_103
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    2本の鋼管主桁を幅員両端に配置し, その間に鋼床版を用いた2面吊り形式橋および3本の鋼管主桁を用いた1面吊り形式橋を提案した. これら2形式に対して, 中央スパン750mの吊橋と500mの斜張橋を試設計し, 静的構造解析を実施し, 応力的に実現可能であることを確認した. さらに, 基本的耐風特性を把握するため風洞試験を実施した. 2鋼管桁橋に関しては, 低風速域で小さな渦励振の発現があった後, 無次元風速が約4.5でねじれフラッターが発生した. 吊橋モデルの実橋換算風速は50m/s以下と不十分であったためセンターバリアーおよび開口部を設けて断面改良し, 空力特性を向上させた. 3鋼管桁橋に関しては, 無次元ねじれフラッター発現風速は約7.0であり, 渦励振の発生も殆ど見られず, 良好な空力断面であった.
  • 青木 一也, 山本 浩司, 小林 潔司
    2005 年 2005 巻 805 号 p. 805_105-805_116
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 高速道路のトンネル照明ランプの劣化過程をワイブル劣化ハザードモデルで記述するとともに, 一連の照明ランプ群で構成されるトンネル照明システムの点検・更新過程を, 集計的マルコフ過程モデルとして定式化する. さらに, トンネル照明システムの管理変数として, 点検・更新間隔と最大使用時間長をとりあげ, これらの管理変数がトンネル照明システムのライフサイクル費用と不点リスク水準に及ぼす影響を分析する. その上で, トンネル照明の不点リスク水準を与件として, トンネル照明システムのライフサイクル費用の最小化を達成しうる最適管理変数を求める方法論を提案する. さらに, 現実の高速道路のトンネル照明システムの管理問題を対象として, 本研究で提案した方法論の有効性を実証的に検証する.
  • 芥川 真一, 太田 道宏, 安原 幸二, 大井 健史, 志村 常彰, 松岡 敬
    2005 年 2005 巻 805 号 p. 805_117-805_130
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    山岳工法トンネルにおける限界状態設計, 性能設計, 維持管理などの考え方は今後さらに推進されると考えられる. そのためには, 山岳工法トンネル施工の各段階において, より正確で合理的な現状把握と安全性確保が求められる. 本論文では支保構造を形成する重要な構成要素である鋼製支保工に注目し, 施工の各段階においてその力学的挙動をより合理的に把握することを目的とした検討を実施した. 具体的には, 橋梁などの鋼構造物の分野で実績のある非破壊応力測定法である磁歪法を用いた応力計測を実施し, まずトンネルに建込まれる前の段階における鋼製支保工の応力状態の把握が可能であることを確かめた. この成果により, トンネル現場におけるより合理的な支保構造の応力状態の把握が可能となる.
和文ノート
和文討議
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