土木学会論文集
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2005 巻, 801 号
I-73
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
[技術展望]
  • 小森 和男, 吉川 博, 小田桐 直幸, 木下 琢雄, 溝口 孝夫, 藤野 陽三, 矢部 正明
    2005 年 2005 巻 801 号 p. 801_1-801_20
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    首都高速道路の長大吊構造系橋梁である横浜ベイブリッジ, レインボーブリッジ, 鶴見つばさ橋の3橋について, レベル2地震動に対する耐震補強検討を行った. レベル2地震動による損傷の程度やその状況は, 非線形動的解析より得られた応答値をベースに判断し, 大きな損傷が生じると予想された部位に対してはその耐力や変形性能を3次元有限要素法による弾塑性解析等によって, より詳細に損傷の度合いを推定した. これらの情報に基づき, 各構造要素に生じる損傷の連鎖現象を整理した損傷連関図を作成し, 当該橋梁に許容できる損傷と許容できない損傷を分類し, 後者に対して耐震補強検討を行った.
[投稿論文]
和文論文
  • 片岡 正次郎, 日下部 毅明
    2005 年 2005 巻 801 号 p. 801_21-801_32
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    従来主に検討されてきている地震規模に加え, 断層のすべりのタイプに注目し, 地表地震断層と震源断層それぞれの特性間の関係を新しく提案した. 具体的には, 地表地震断層の最大変位量と地震規模の関係がすべりのタイプで大きく異なることを指摘し, 表層地盤によるずれの吸収と断層面上端付近での最大すべり量の違いからその理由を説明した. 横ずれ断層の最大変位量の推定式を提案し, スケーリング則から導かれるすべり量との関係を考察した. 地表地震断層を出現させた地震と発生前に特定可能であった地震の地震規模別の割合を整理した.
  • 荻本 英典, 川島 一彦, 渡邊 学歩, 永田 聖二
    2005 年 2005 巻 801 号 p. 801_33-801_50
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本論文は, 水平2方向地震力を同時に受けるRC単柱式橋脚の耐震性をハイブリッド載荷実験に基づいて検討した結果を示すものである. 入力地震動としては, JMA神戸記録およびSylmar Parking Lot記録を用いて, 1方向および2方向加振した場合の実験を行った. その結果, 2方向加振した場合には, 1方向加振した場合に比較して損傷が著しく最大耐力が小さくなること, また, 残留変位は入力地震動によって異なることを明らかにした. さらに, ファイバー要素解析を行い, 解析結果は実験による応答変位および水平力~水平変位履歴を全体的によく再現しているが, 残留変位に関する推定精度については十分ではないことを明らかにした.
  • 松田 泰治, 大塚 久哲, 池田 征司, 宇野 州彦
    2005 年 2005 巻 801 号 p. 801_51-801_68
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    1999年に発生した台湾集集地震により, 我国では例の無い送電鉄塔の地震被害が発生した. 本研究では, まず超高圧送電鉄塔に関する最新の被害調査結果をまとめた. 次に, 架渉線-連成系の影響を簡易に考慮した鉄塔の単体モデルを提案した. 更に, 台湾で最大の345kV鉄塔で唯一完全倒壊した#203鉄塔が片継脚鉄塔であることに着目し, 地震時の振動により倒壊した可能性を解析的に検討した. その結果, 付近で観測された地震波を入力した場合, #203鉄塔は脚部に全体座屈が発生する可能性が高いとの知見が得られた. 最後に, #203鉄塔の復旧時において基礎形式がつなぎばり基礎に変更されたことを受けて, 基礎の不同沈下時の鉄塔の耐震性向上策として, つなぎばり基礎の有効性を示した.
  • 津田 尚胤, 貝戸 清之, 青木 一也, 小林 潔司
    2005 年 2005 巻 801 号 p. 801_69-801_82
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究では橋梁部材の劣化予測のためのマルコフ推移確率モデルを推定する方法論を提案する. その際, 橋梁部材の劣化状態を複数の健全度で定量化するとともに, 時間の経過により劣化が進展する過程をハザードモデルで表現する. その上で, 一定期間を隔てた時点間における健全度の推移関係を表すマルコフ推移確率を指数ハザード関数を用いて表現できることを示す. さらに, 定期的な目視検査による健全度の判定結果に基づいて, マルコフ推移確率を推定する方法を提案する. ニューヨーク市の橋梁を対象とした実証分析により提案した方法論の有効性を検証するとともに, サンプル数と指数ハザードモデルの推定精度の関係について考察する.
  • 貝戸 清之, 保田 敬一, 小林 潔司, 大和田 慶
    2005 年 2005 巻 801 号 p. 801_83-801_96
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 橋梁部材の維持・補修のために必要となるライフサイクル費用を, 割引率を用いずに平均費用を用いて評価する問題をとりあげる. その際, 橋梁を半永久的構造物として位置づけることにより, 構造物のライフサイクルの目標年度や現時点における橋梁部材の健全度に影響を受けないような平均費用評価が可能になることを明らかにする. また, ある将来時点までに発生する期待累積ライフサイクル費用が初期の劣化状態に依存する相対費用と毎年等価に発生する年平均費用に分解できることを示す. さらに, 本研究で提案する平均費用法に基づいた最適補修戦略を求めるために, 割引率を用いないマルコフ決定モデルを適用する. 最後に, 現実の橋梁部材のアセットマネジメント問題を対象として平均費用法の有効性を実証的に検討する.
  • 三木 千壽, 木下 幸治, 加藤 雅之, 佐々木 栄一, 下里 哲弘, 町田 文孝
    2005 年 2005 巻 801 号 p. 801_97-801_111
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    近年, 都市内高速道路の鋼製橋脚隅角部に疲労き裂が確認され, その迅速な対応が求められている. 本研究では, 円形断面柱を有する鋼製橋脚隅角部の疲労強度を明らかにするとともに, このディテールの疲労に対する補強方法の提案を目的として, 大型疲労試験およびFEM解析により検討を行った. その結果, 隅角部コーナーでのせん断遅れ現象による高い応力集中と応力集中箇所に内在する溶接欠陥により, 円形断面柱を有する鋼製橋脚隅角部ディテールの疲労強度は著しく低いことが明らかになった. そこで, 隅角部の補強方法としてリブ取付けを提案し, その効果について検討した結果, 応力集中が半減し, 十分な疲労強度の向上効果があることが確認された.
  • 濱崎 義弘, 本家 浩一, 岡田 徹, 山口 宏樹, 藤野 陽三
    2005 年 2005 巻 801 号 p. 801_113-801_122
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 長さに対する径の比, つまり径長比 (径/長さ) が大きく, 小さいサグを有するケーブルを対象に, 曲げ剛性を考慮したケーブルのモード減衰評価法について検討している. まず, ケーブルの伸びおよび曲げを考慮したひずみエネルギーに基づく減衰評価式を誘導し, ケーブルの横方向剛性に関するパラメタξとサグの影響に関するパラメタλによって表現できることを示した. また, これらのパラメタが小さいほど減衰に与える曲げの影響が大きいことを明らかにした. さらに, モード減衰の簡易評価式を提案し, 実斜張橋ケーブルに適用した結果, 所定の損失係数を与えることにより実測値と良い対応を示し, 実用的な手法であることを明らかにした.
  • 大塚 久哲, 竹下 永造, 浦川 洋介
    2005 年 2005 巻 801 号 p. 801_123-801_139
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 軸力, 曲げ/せん断及びねじりの複合荷重を同時に受けるRC部材の耐震性能を把握し, その履歴復元力特性や相関特性を得ることを目的として行った. 供試体は, 一般的なRC橋脚をモデルとして, 400×400×1600 (mm) の模型供試体を制作した. パラメータは軸力, 帯鉄筋間隔, ねじりと曲げモーメントの載荷比率とした. 軸力は0, 2, 4MPa (配合強度の0, 5, 10%) とした. また, 帯鉄筋間隔は30mmと60mm (それぞれ帯鉄筋比1.16%, 0.58%) の2通りとした. さらに, ねじりと曲げモーメントの載荷比率は, ねじり卓越型 (ΔMt/ΔMb=1.7), 中間型 (ΔMt/ΔMb=1.0), 曲げ卓越型 (ΔMt/ΔMb=0.6) の3パターンの実験を行った. その結果より, 履歴復元力特性と相関特性に着目し考察を行った.
  • 長尾 毅, 山田 雅行, 野津 厚
    2005 年 2005 巻 801 号 p. 801_141-801_158
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 震源特性, 伝播経路特性, 深層地盤による地震動の増幅特性を考慮したうえで, 任意の年超過確率に対応する地震動の時刻歴波形を直接算出するための一つの手法として, フーリエ振幅と群遅延時間に着目した確率論的地震ハザード解析の枠組みを新たに提案するものである. 提案法は, 最大加速度や応答スペクトルなどの代表値を経るのではなく, フーリエ振幅スペクトルや群遅延時間を対象とすることにより, 考慮すべき諸特性間に線形演算性が成立する利点を生かすとともに, 時刻歴波形を算定するのに有利な統計的グリーン関数法を用いて直接時刻歴波形を算定するものである. 本論文では手法を提示するとともに, 関東地方において提案する地震ハザード解析を適用した結果を例示した.
  • 名木野 晴暢, 水澤 富作, 三上 隆
    2005 年 2005 巻 801 号 p. 801_159-801_172
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    3次元直交異方性弾性論に基づく高精度かつ効率的な数値解析手法の開発は, 構造物の設計段階における設計精度の向上を目的としており, また今後, 益々重要となる異方性構造物の材料特性を最大限に生かした構造物のライフサイクルを念頭に入れた設計を可能にすると考えられる.
    本論文では, B-splineソリッド要素法を定式化し, 直交異方性弾性体でモデル化された厚板の3次元自由振動解析における本手法の解の収束性や解析精度などの数値安定性について検討している. また, 厳密な解を求めることが困難な周面固定板や片持ち板の振動特性に与える板厚比, 辺長比や境界条件の影響について明らかにしている.
  • 種 健, 平島 健一, 浜野 浩幹, 木村 清和
    2005 年 2005 巻 801 号 p. 801_173-801_183
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本論文では, 遠方場一様荷重を受ける異方性弾性体に計測装置を埋設し, 小口径のオーバーコアリングにより応力解放したときの解析解を示す. 本理論はオーバーコアリング半径が計測装置の断面寸法より十分大きいとした従来の理論を発展させ, この仮定を満たさない場合にも厳密に適用可能である. ここでは, 岩盤を一般的な異方性弾性体, 計測装置とこれらを接着する中間層を等方性弾性体でモデル化しており, 作用荷重として任意の三次元荷重を取り扱うことができる. 数値計算では計測装置の硬さやオーバーコアリング半径をパラメータとして検討を行なうが, 今後は本論文の成果を応用して, 計測装置のひずみから作用荷重を求める, いわゆる, 逆問題の解析理論の構築を目指す.
  • 伊藤 義人, 佐藤 和也, 顧 浩声, 山本 吉久
    2005 年 2005 巻 801 号 p. 801_185-801_196
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    橋梁用ゴム支承は, 熱酸化劣化により, 剛性が増加し変形性能が低下することが知られている. しかし, ゴム支承の長期劣化特性に関する基礎的データは少なく, ゴム材料の物性変化の定量評価やゴム支承の長期的な性能変化を考慮した設計法は確立されていない. 本研究は, 橋梁用ゴム支承に用いられる天然ゴムを対象に, 劣化因子として最も重要な熱酸化劣化特性を加熱促進劣化実験により明らかにした. また, 実験結果から, 任意の環境下での橋梁支承用天然ゴム材料の物性変化を予測する手法を構築した.
和文報告
  • 永田 聖二, 渡邊 学歩, 川島 一彦
    2005 年 2005 巻 801 号 p. 801_197-801_212
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    アクチュエータを用いた構造物模型の載荷実験においては, 一般に, アクチュエータの一端を供試体に, 他端を載荷フレームにそれぞれピン結合させる場合が多い. この条件下で模型を載荷すると, アクチュエータは直交条件を維持できないため, アクチュエータによるP-Δ効果が生じる. ハイブリッド載荷実験では, この影響を適切に補正しなければ正しい結果を得ることができない. 本研究では, 単柱式橋脚模型を対象とした水平2軸+鉛直1軸の3次元ハイブリッド載荷実験におけるアクチュエータによるP-Δ効果の補正法を示すと同時に, その補正法の適用性を検討するため, 数値シミューションおよび単柱式模型を用いた検証実験を行ったので, その結果を報告する.
  • 小野 秀一, 下里 哲弘, 増井 隆, 町田 文孝, 三木 千壽
    2005 年 2005 巻 801 号 p. 801_213-801_226
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    近年, 既設の鋼床版に疲労損傷が見つかった. 特にデッキプレート直下に生じた疲労損傷については, 直接作用する輪荷重の影響によるデッキプレートの局部的な変形と, それによる応力集中が原因と考えられ, 損傷が直接通行車両へ影響を及ぼすこと, また同一の橋梁内には同じディテールが多数存在することから, 疲労損傷は広範囲にわたる可能性が高く, 適切な補修・補強工法の確立が求められている.
    本研究は, デッキプレートの補強に着目した鋼床版の補強工法として選定した3種類の工法について, 実橋の一部を取り出した実物大試験体を用いた載荷試験により, 補強効果について検討を行ったものである. ここでは, 載荷試験によって得られた鋼床版の応力挙動とともに, 各補強工法の有効性を述べる.
  • 白石 博文, 香月 智, 嶋 丈示
    2005 年 2005 巻 801 号 p. 801_227-801_237
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    鋼製透過型砂防えん堤に使用される鋼管部材をコンクリート充填することに伴って生ずるぜい性的な破壊を防止するために, 内部に補強鉄筋を挿入する方法と, 外部から鋼材を半巻に添接補強する方法について実験的に検討した. すなわち, 補強したコンクリート充填鋼管に対し重錘落下衝突実験により損傷を与え, その損傷鋼管に対し静的曲げ載荷実験を行って残存性能を調べた. そのうえで, 無補強のコンクリート充填鋼管に対するじん性や残存吸収エネルギーの補強効果を比較検討した.
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