土木学会論文集
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1995 巻, 513 号
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  • 力学教育研究に関する小委員会
    1995 年1995 巻513 号 p. 1-7
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年の土木工学に対する社会的要請の変化に伴うカリキュラムの改編や学生の数学・物理離れを背景として, 構造力学教育の見直しを迫られている. 力学教育研究に関する小委員会 (委員長 岩熊哲夫@東北大学) では大学若手教官を中心に, 力学教育の必要性を明確にできるか, 何を教えるべきか, どうやって興味を持ってもらうか, どのような方法で教えるべきか, 等について議論を重ねた. 本稿はその成果をまとめた委員会報告書の内容を要約したものである.
  • 塩野 計司, 村上 ひとみ, 岡田 成幸, 太田 裕
    1995 年1995 巻513 号 p. 9-15
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    唐山地震の再来を仮定し, 復興後の唐山における死者数を推定した. この結果と, 唐山地震での実際の死者数を比較し, 災害からの復興にともなう, 被災域の安全性の変化について分析した. 分析の結果, つぎの点が明らかになった. 1) もっとも大きな被害を受けた地域では, 安全性が著しく向上したものの, それ以外の地域では, それに比肩しうる安全性の向上はなく, 復興後にも, 大きな被害ポテンシャルを擁することになった. 2) もっとも大きな被害を受けた地域での安全性の向上は, 鉄筋コンクリート部材を用いて建設された, 復旧時の建物の耐震性に起因する. それ以外の地域での安全性の向上を阻害した原因は, 被災後にも継続的に使用された, 補強要素を持たない組積造建物の脆弱性にある.
  • 橋本 堅一, 矢富 盟祥, 石田 啓
    1995 年1995 巻513 号 p. 17-25
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    異方弾性体内のき裂の折れ曲がり瞬間時のエネルギ解放率を, 経路独立なE積分を用いて, 有限要素法により数値解析を行った. 異方弾性体では, モードIの載荷状態でもモードIIの影響が現れることに注意し, 本論文では, 基本的な問題として, 無限板中央にき裂を有し, き裂面に垂直な無限遠一様荷重を受けるモデルを解析した.
    エネルギ解放率が最大となるき裂の折れ曲がり角は, 異方性方向によらず, 等方弾性体同様, き裂が直進する場合の方向とほぼ一致したが, 値そのものは異方性の違いにより大きく変化し, 主異方性軸方向が主き裂面方向に一致する場合を最大とし, 垂直な場合を最小とする正弦関数的な関係を呈することがわかった.
  • 西村 宣男, 小野 潔, 池内 智行
    1995 年1995 巻513 号 p. 27-38
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 鋼材の塑性ひずみ-真応力で表現した塑性履歴曲線を単調載荷曲線に相当する領域と, 弾性域の大きさの減少や接線塑性係数の変化に着目して定式化した遷移領域に分けて表現する構成式を開発した. また材料定数の決定に必要な3種類の実験方法を示した. さらに, 一軸で定式化を行った構成式を多軸応力状態へと拡張し実験結果および既往の研究とシミュレーション結果との比較により構成式の妥当性を確認した.
  • 後藤 芳顯, 松岡 宏典, 王 慶雲, 鳥羽 保行
    1995 年1995 巻513 号 p. 39-51
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    圧縮力を受ける薄板構造物では, 最大荷重到達後に座屈波形の一部分に塑性変形が集中する座屈モードの局所化現象が発生するため, その耐震性が損なわれることが実験などで観察されている. ここでは薄板構造の構成要素として重要な一方向圧縮板を取り上げ, すでに著者らが提示した有限要素法に基づく局所化解析法により, 単調載荷ならびに繰り返し載荷条件下の局所化挙動を解析し, この特性を変形能の低下の観点から論ずる.
  • 中井 博, 北田 俊行, 村山 泰男
    1995 年1995 巻513 号 p. 53-64
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 曲線箱桁橋の耐荷力を, 弾塑性有限変位解析によるものと, 弾性微小変位解析により推定されるものとを比較・検討し, 弾性微小変位解析でも十分な精度で推定できることを明らかにした. さらに, 弾性微小変位解析理論のプログラムに, 薄肉曲線箱桁断面としての局部座屈を考慮した終局強度の判定条件を付加して, 曲線箱桁橋の耐荷力の推定方法について示したものである.
  • 宮本 文穂, 平田 勝己, 鄭 勝仁
    1995 年1995 巻513 号 p. 65-76
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 近年, 世界的に関心が高まっている既存橋梁の補強問題に対する解決策の一つとしてプレストレッシングの応用が有効となると考え, 種々の検討を行ったものである. まず, プレストレスト合成桁の弾塑性解析法として変形増分法を取り上げ, その有効性を実験結果を用いて検証する. 次に, ケーブル配置, ケーブル材料などをパラメータとしたプレストレスト合成桁の性能評価を試みることによって, 耐荷力向上およびたわみ制御を対象とする設計の考え方を提案する. さらに, 補強設計の具体例として, 実際の橋梁に対する本手法の適用結果を示し, 性能評価を試みるものである.
  • 葛 漢彬, 宇佐美 勉
    1995 年1995 巻513 号 p. 77-88
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, コンクリートを部分的に充填した鋼製橋脚の耐震極限設計を行う際に必要となる, 鋼柱の荷重―変位特性を簡単に解析できる手法を確立しようとするものである. 解析手法は, 短柱のモーメントー曲率関係を部材の長さ方向に積分することにより, 部材の荷重―変形挙動を解析しようとするものである. 破壊を定義するため, 有効破壊長の概念を導入する. 開発した解析手法による数値計算結果を実験結果と比較・検討を行い, さらにパラメトリック解析を行うことにより耐震極限設計を行う際に必要となる極限強度とそれに対応する変形を与える設計チャートを示すとともに, 充填コンクリートの最適長さの提案を行う.
  • 中井 博, 北田 俊行, 中西 克佳
    1995 年1995 巻513 号 p. 89-100
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震荷重を受ける構造物の挙動は, 構造物の質量, 材料, 寸法, および入力される地震動に左右される. そのため, 構造物の耐震性状を定量的に把えることは, かなり難しい. そこで, 本研究では, 地震荷重を受ける橋脚柱の耐荷性状を調べるための簡易な実験法を提案する. さらに, 鋼製, および部分的にコンクリートを充填した合成の橋脚柱を想定した供試体を用い, 実際に実験を行って, これらの橋脚柱の耐震性に関する種々な検討を加えている.
  • 星川 辰雄, 石川 信隆, 彦坂 煕, 阿部 宗平
    1995 年1995 巻513 号 p. 101-115
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 土石流中の巨礫の衝突を受ける鋼製透過型砂防構造物の耐衝撃設計への基礎的資料を提供することを目的とし, まず鋼管固定はりを対象として静的および高速載荷実験を行い, 荷重~局部変形算定式を導いた. 次に衝突点の局部変形後の断面形状をひょうたん形ほか3種類に変化させて, その妥当性を全塑性モーメント (塑性断面係数) の観点から検討した. さらに, ひずみ速度効果を考慮した準静的解析法を開発し, 球状載荷体の衝突を受ける鋼管固定はりの最大応答変位を算定するとともに, 衝突実験結果との比較検討を試みたものである.
  • 前川 幸次, 吉田 博
    1995 年1995 巻513 号 p. 117-127
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, コンクリートを充填した円形鋼管柱を, 落石防護柵の支柱に適用することを目的に, 数種の鋼棒, すなわち, 異型鋼棒, ボンド型PC鋼棒およびアンボンド型PC鋼棒で補強したコンクリート充填鋼管はりの落錘式衝撃曲げ載荷実験を行ない, 同時に, 静的曲げ載荷実験を行なうことにより, 落石防護柵に落石が衝突したときの挙動特性と支柱のエネルギー吸収能に対する検討を行なったものである.
    本研究より, コンクリート充填鋼管はりの引張側に適量のアンボンド型のPC鋼棒を配置し, その両端を定着したものが耐荷力およびエネルギー吸収能とも優れていることが明らかとなった.
  • 涌井 一, 松本 信之, 松浦 章夫, 田辺 誠
    1995 年1995 巻513 号 p. 129-138
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    三次元ばね・マス・ダンパ系の車両モデルと三次元有限要素法による線路構造物モデルを用いた鉄道車両と線路構造物の動的相互作用解析法の構築を行った. 本法では, 車輪・レール間の非線形力を考慮し, 車両の蛇行動運動も解析することができる. このような多自由度の解析を効率的に行うために, モード解析法を非線形問題に適用した解析法を用いた. 本報では, これらの定式過程および数値解法を示す.
  • 串田 守可, 宮本 文穂
    1995 年1995 巻513 号 p. 139-150
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 橋梁診断システムの構築において非常に重要であると考えられる経験的知識の獲得手法を提案するものである. まず, 有効な知識抽出手法の一つと考えられるアンケート調査を実施する場合の留意点を検討した. 次に, アンケート調査結果に Dempster & Shafer 理論を適用することで経験的知識を表現する手法を提案した. さらに, Yager の測度と Dempster & Shafer 理論を併用することで, 任意の評価範囲における主観的あいまいさの分布を定量的に表現する手法を提案した. 最後に, 既存橋梁の耐用性診断システムの構築を目的として新たに実施したアンケート調査結果に本手法を適用し, 同時に実施した実橋試験による客観的な耐用性評価結果と比較することで, 提案する経験的知識の獲得手法の妥当性を確認すると共に経験的知識自体の有効性を検証した.
  • 近田 康夫, 橘 謙二, 城戸 隆良, 小堀 為雄
    1995 年1995 巻513 号 p. 151-159
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    数多くの既存橋梁の補修計画において, 限られた予算の範囲内でどの橋のどの部分を補修するかを的確に意思決定することは容易ではない. 本研究では, 補修対象となる既存橋梁群に対する補修橋梁と補修部位の組合わせ最適化問題にナップサック問題を適用し, 遺伝的アルゴリズムを援用することで最適解を得ようとする試みである. なお, 投資効果を最大にするために, 橋梁の健全度あるいは損傷度を橋梁点検台帳のデータに基づく数量化理論第II類の分析結果による判別関数により判定し, 補修効果を定量的に取り扱っている.
  • 北村 泰寿, 浅井 聡
    1995 年1995 巻513 号 p. 161-167
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, Biot の複合体理論に基づき, 多孔質飽和弾性体に対する薄層要素を用いた加振解を誘導した. 得られた薄層法加振解を境界要素法解との比較によって検証するとともに, 薄層分割数による解の精度についても検討した. 応用例として, 透水性の異なる数例の層状地盤の動的挙動を調べ, 透水層内の間隙水圧上昇に関する知見を得た.
  • 有尾 一郎, 池田 清宏, 鳥居 邦夫
    1995 年1995 巻513 号 p. 169-178
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年構造物の対称性の利用法としてブロック対角化法が提案されている. 本研究はこの手法を減衰を持つ対称構造物の動的問題に適用するものである. 系の幾何学的特性に基づく座標変換を用いて, 剛性行列, 減衰行列, 質量行列, 制御系の行列等を同時にブロック対角化することにより, 運動方程式を複数の独立な式に分解する. 従来の方法と異なり, 対称構造物であれば任意の減衰行列に対して適用できる点がこの手法の大きな長所である. 数値解析例として各種の軸対称構造物を取り上げ本手法の数値解析効率と収束安定性の高さを示す.
  • 清野 純史, 土岐 憲三, 佐藤 忠信
    1995 年1995 巻513 号 p. 179-190
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    不整形地盤の震動解析法の一つであるAL法に確率論を導入した確率AL法を開発した. 不整形地盤上で観測される地震動は, 境面界での波動の散乱等により場所ごとに異なった震動特性を示す. AL法はこのような地盤震動解析に適した解析法であり, 地盤物性値や境界形状を確定的に与えることにより解析を行う. 本研究では, 特に不整形境界の変動を対象に, 今まで確定的な見地から行われてきたAL法を, 1次近似法と摂動法を取り入れて境界の不確定性を考慮に入れられるように拡張した. そして, この手法を1993年釧路沖地震における釧路市内の地盤震動解析に適用し, 境界の変動が応答波形に与える影響の定量的な検討を行った.
  • 岡本 晋, 深沢 泰晴, 藤井 俊二, 尾崎 大輔
    1995 年1995 巻513 号 p. 191-200
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    テフロン板とステンレス板とのすべり現象を利用したすべり方式免震システムを有する橋梁の地震時の応答特性を解析的に検討した. 単純桁橋を想定し, 様々な摩擦係数やすべり後の固有周期を持った橋梁を対象とした. 入力波としては道路橋示方書の参考資料に示された時刻歴応答解析に用いる標準地震入力波などを使用した. 動的解析の結果, すべり支承の摩擦係数と水平ばねの剛性を適切に設定することにより, 支承変位を抑えながら大きな免震効果が得られることが明らかとなった. また, 1例ではあるが本システムを適用した連続桁橋の地震応答解析を実施した. 解析の結果, 連続桁橋においても本システムが有効であることが明らかとなった.
  • 宮坂 享明, 三浦 房紀, 平田 大三
    1995 年1995 巻513 号 p. 201-211
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, まず新しく開発した高靱性を持つ継手 (高靱性能耐震ジョイントと呼ぶ) を用いた杭の曲げ特性を実験的に明らかにし, 幾何および材料の両非線形性を考慮に入れた解析手法を用いて, その実験結果を精度良くシミュレーションできることを示した. 次にこの手法を用いて, 液状化による地盤の側方移動を受ける杭に対する高靭性能耐震ジョイントの有効性を検討したものである. その結果, 本ジョイントを杭の液状化層と非液状化層の境界の位置に用いることによって, これを用いない場合に比べて約2倍の地盤変位に対して杭が破壊しないことが判明した.
  • 佐藤 次郎, 篠崎 之雄, 佐伯 光昭, 磯山 龍二
    1995 年1995 巻513 号 p. 213-223
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大都市の地域防災計画を策定する上で道路網の震後機能を維持することは, 最も重要な課題である. 中でも, 道路橋は一旦被害を受けた場合の影響が大きく, その耐震性の確保は極めて重要である. 一方, 地震防災対策計画を合理的に策定するためには, 対策の優先順位を定める必要がある. 本研究は, 既設橋の地震防災対策事業実施の優先順位を合理的に設定するため, 橋の地震防災上の重要度の評価手法を実務的な観点から提案するものである. 道路の路線・区間としての重要度と橋の被災時の影響度の2種類の因子の組み合わせにより, 橋の防災上の重要度を新たに定義・分類した. この提案した手法を東京都の道路網に適用し, 実用性のあることを示した.
  • 横山 秀史, 目黒 公郎, 片山 恒雄
    1995 年1995 巻513 号 p. 225-232
    発行日: 1995/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地下街や地下駅など, 大規模かつ複雑な形状の空間からの, 不特定多数の避難者の行動をモデル化し, 避難安全性解析を行うための手法として, ポテンシャルモデルにもとつく避難行動モデル化手法を提案した. さらに, 提案手法の適用性や妥当性などを調べるため, 簡易な通路モデルを対象としてコンピュータシミュレーションを行い, 結果を既往の人間行動研究結果と比較検討したところ, 提案手法によるシミュレーションが, 実際の群集行動特性をよく再現できることがわかった.
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