土木学会論文集
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2001 巻, 671 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 李 承恩, 盛岡 通, 藤田 壮
    2001 年 2001 巻 671 号 p. 1-11
    発行日: 2001/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は都市域におけるビオトープの空間的特性が生物の生息に及ぼす影響を評価することを目指し, 水域や緑地の組み合わせを生息空間とするトンボ類を指標生物としてビオトープネットワークの評価基準を設定する. 大阪府枚方市を対象に約1kmメッシュスケールにおけるトンボの生息種数とビオトープのタイプ別面積について重回帰分析をおこなう. また, 7つのエリアごとに空間的孤立度や相互作用を示す指数を用いてビオトープの連結性を定量化し, トンボの生息種数に与える影響について考察する. 分析結果, 次の知見を得た. 1) トンボ種の豊かさにとって池の面積がもっとも有意な要因であり, 次に樹林や畑・牧草地の面積が重要である. 2) 池の空間的連結性もトンボ類の生息に有意な影響を与える.
  • 楊 継東, 関根 雅彦, 浮田 正夫, 今井 剛
    2001 年 2001 巻 671 号 p. 13-23
    発行日: 2001/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    摂餌, 休息, 逃避, 産卵の4つの行動モード別環境選好強度式と行動圏を組み込んだ魚の生息環境評価手法を提案した. 本評価手法を用いて, 多自然型河川改修が実施されている山口市の2級河川古甲川におけるオイカワ分布の再現を試みた結果, 行動モードを考慮しない旧来の生息環境評価手法では正しく表現できなかった魚の分布が再現できた. 本手法により, これまで正当に評価することのできなかった瀬と淵の組み合わせの価値の評価が可能となった.
  • 西川 肇, 藤井 壽生, 工藤 勝輝, 近田 文弘
    2001 年 2001 巻 671 号 p. 25-34
    発行日: 2001/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    森林は, 水資源涵養機能の立場から大きく評価されるようになってきた. 森林の水資源涵養機能の評価に関しては, 森林を構成する樹木の生育と森林の土台となる地質との地植物学的関係を把握することが大切である. 本研究は, 千葉県に広く分布するスギ人工林を対象に, ランドサットTMデータから算定する {50.0×(Band-4/Band-3)+(Band-5)} の値で示されるスペクトル指標の地域分布とその基盤となる地層の分布とを比較したところ, その分布パターンがほぼ一致することを見出した. 本研究では, このスペクトル指標を地植物指標と名付け, 房総半島のスギ林地土壌の理学的性質を推定する可能な手法として, 衛星データ解析によって求まる地植物指標の利用を提案した.
  • 住宅地整備のケーススタディ
    谷川 寛樹, 井村 秀文
    2001 年 2001 巻 671 号 p. 35-48
    発行日: 2001/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    マテリアルフロー分析 (MEA) の概念を住宅地に適用し, 住宅地建設における総物質必要量 (TMR) の推計手法の提案と, 実際の住宅団地への適用を行った. 本推計では, 住宅地造成や住宅建築段階で直接投入された建設資材量 (直接物質投入: DMI) に加えて, 造成や資材生産活動に伴い発生した土壌移動や森林伐採量 (隠れたフロー: HMF) を考慮した. ここで, 代表的な建設資材 (鉄, コンクリート, 木材) について, 製品1トンあたりのマテリアルフローを定量化することで, DMI, HMF原単位を作成した. 本研究で構築したTMR推計手法を日本の都市開発の標準ケースを満たす住宅団地へ適用し, 住宅地建設に伴うマテリアルフロー分析を行った. その結果, 低い丘陵地での住宅地建設では, DMI: 54トン/人, HMF: 1, 591トン/人, TMR: 1,645トン/人になることが分かった.
  • 関戸 知雄, 田中 信壽, 松藤 敏彦, 松尾 孝之
    2001 年 2001 巻 671 号 p. 49-58
    発行日: 2001/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    粗大ごみとして廃棄された製品 (粗大廃棄製品) について鉛の溶出試験を行ない, 家電製品の電子基板が高い溶出濃度を示すことを明らかにした. 次に, 粗大ごみ中の5つの廃棄家電製品の鉛含有量と溶出試験, および7つの廃棄製品の鉛含有量を測定し, これらと文献値を用いて, 粗大ごみ中鉛含有総量を求め, その含有総量に対する各廃棄製品の寄与率 (≡その製品に含まれる鉛含有量/粗大ごみ中の鉛含有総量) を推定した. その結果, 粗大ごみ中総鉛含有量は2,0489/tであり, その内, 約90%がテレビに由来していた. さらに, 破砕選別施設および焼却施設における鉛の物質フローを推定し, 埋立地に排出される鉛量の約7割が, テレビをごみ中から除くことで削減できることを示した.
  • 日下 潤, 榊原 豊
    2001 年 2001 巻 671 号 p. 59-70
    発行日: 2001/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    電極を用いた新しい原位置脱窒法の地下水浄化性能について, 実験室規模の砂質帯水層を用い, 実験的ならびに理論的検討を行った. その結果, 本法の脱窒性能は電極の配置と材質に大きく影響されるが, 地下水流れ方向に対して電極を直交して配置する直交配置が電極を並行して配置する並行配置より電場の影響を受け難く優れていることがわかった. また, 電極を直交配置する場合の浄化性能を表す二次元数理モデルを構築し, 種々の通電条件下の実測値と比較することによってモデルの妥当性を検証した.
  • 藤島 繁樹, 宮原 高志, 宍戸 喜彦, 野池 達也
    2001 年 2001 巻 671 号 p. 71-78
    発行日: 2001/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    炭水化物とタンパク質を共に含む基質を用いた嫌気性消化における酸生成細菌の増殖特性に及ぼすアンモニア性窒素の影響を検討するため, デンプンとペプトンを用い, 反応槽内のアンモニア性窒素濃度を変化させた連続実験を行った. アンモニア負荷の増大に伴い, 炭水化物除去率が急激に減少し, 4.21g-TAN/g-VSSで20%以下になった. この炭水化物分解がアンモニアによる阻害を強く受けた条件では, 全菌体量は半減し, 炭水化物とタンパク質を共に分解可能な細菌群は主にタンパク質を分解することで増殖していたことが示された. また, 連続培養では, 炭水化物分解の大幅な減少の前段階として, エタノールが蓄積することが明らかとなった.
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