土木学会論文集
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1996 巻, 538 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 森脇 貴志, 辻 幸和, 橋本 親典, 木暮 健
    1996 年1996 巻538 号 p. 1-13
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    新旧コンクリートの打継目は, 構造物の強度, 耐久性および美観等に大きな影響を及ぼすため, 入念に施工する必要がある. 打継目の施工に際しては, 打継ぎ面を処理した後, セメントペースト, モルタルあるいは湿潤面用エポキシ樹脂の打継ぎ材を塗布して直ちに新コンクリートを打ち込む方法が一般的である. 本研究では, ポリマーセメントモルタルを打継ぎ材に適用することを目的に, 打継ぎ面に塗布してから新コンクリートを打ち込むまでの時間としてのオープンタイム, 塗布厚さ等を変化させた鉛直打継目あるいは水平打継目を有する鉄筋コンクリートはりの曲げ性状およびせん断性状から, 打継ぎ材としてのポリマーセメントモルタルの性能について実験的に検討したものである.
  • 森脇 貴志, 辻 幸和, 橋本 親典, 中島 貴弘
    1996 年1996 巻538 号 p. 15-26
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    従来, 新旧コンクリートの打継ぎ材としては, モルタルや湿潤面用エポキシ樹脂などが用いられてきた. 本研究では, 打継ぎ材としてポリマーセメントモルタルに着目し, 実施工を想定した種々の条件下で作製した鉛直打継目あるいは水平打継目を有するコンクリートの角柱供試体について曲げ強度試験を行い, 打継ぎ材としてのポリマーセメントモルタルの性能について検討するものである. ポリマーセメントモルタルの塗布から新コンクリートを打ち込むまでの時間であるオープンタイム, 塗布厚さ, 旧コンクリートの材齢, 新コンクリートの材齢, 打継ぎ面の処理方法および養生方法等を要因にとり, これらの要因が打継ぎ強度と破断状況に及ぼす影響を実験的に検討している.
  • 岩本 勲, 嵯峨山 剛, 眞嶋 光保
    1996 年1996 巻538 号 p. 27-35
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    繊維補強コンクリートの凍結融解作用による劣化のメカニズムを解明するために, (1) 相対動弾性係数の測定, (2) 剛性載荷曲げ強度試験, (3) 細孔径分布の測定, (4) 電子顕微鏡による観察を行った. その結果, 以下のことが明らかとなった.
    ガラス, アラミドおよびビニロン繊維補強コンクリートでは, 凍結融解作用によりマトリックスコンクリート中にひびわれが発生し, 剛性低下を生じる. しかし, 繊維がそのひびわれの橋渡しとなることにより, 曲げ強度はあまり低下しない. 一方, 鋼繊維補強コンクリートは, 凍結融解作用によるマトリックスのひびわれ発生は少なく, 曲げ強度や剛性の低下も殆どない.
  • 枝松 良展, 山口 昇三, 岡村 甫
    1996 年1996 巻538 号 p. 37-46
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    モルタルの変形性を代表するフロー値に及ぼす細骨材特性の影響を定量的に評価するために, ペーストにおける相対フロー面積比と自由水粉体容積比の線形な関係を基に, モルタルフロー値の定式化を行った. その結果, モルタルフロー値に及ぼす細骨材特性の影響を, 拘束水比 (細骨材に拘束されると考えられる水) と変形係数 (相対フロー面積比を単位量大きくするために必要な水細骨材容積比) とによって定量的に評価できることが明らかとなった.
  • 幸左 賢二, 小林 和夫, 村山 八洲雄, 吉澤 義男
    1996 年1996 巻538 号 p. 47-56
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    都市内の高架橋脚は, 高強度, 多鉄筋構造となっており, 変位じん性率の低下や柱筋抜け出し量の増加などが懸念される. そこで, 実橋脚の配筋詳細に模擬した大型柱基部破壊型試験体と小型試験体に対する正負交番載荷実験を実施した. その結果, 大型試験体の変位じん性率は5.5と, 小型試験体とほほ伺じであったが, 柱筋の抜け出し量は多段配筋の影響により小型試験体の約3倍の値となり, 実橋レベルでも柱筋抜け出しの影響が比較的大きいことが明らかとなった. ついで, 解析により得られたモーメントー回転角の関係を用いて, 柱筋抜け出しの影響を非線形の回転バネとして考慮したRC非線形解析を実施した. その結果, 回転バネとして柱筋抜け出しを考慮することにより, 実験の荷重-変位挙動をよりよくシミュレートできうることが明らかになった.
  • 坂田 昇, 丸山 久一, 南 昌義
    1996 年1996 巻538 号 p. 57-68
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高流動コンクリートの流動性を安定させる方法として, 天然多糖類で水溶性ポリサッカライドの一種である増粘剤ウェランガムの適量添加が有効であることが報告されている. 本論文では, このウェランガムの基礎物性について実験的に検討するとともに, ウェランガムをコンクリートに添加することによるフレッシュコンクリートの性状への影響について検討を行った. その結果, ウェランガム水溶液の粘度はカルシウム濃度やpHに関係なくほぼ一定となることが分かった. また, ウェランガムをコンクリートに適量添加することによって, 高流動コンクリートの流動性や間隙通過のしやすさを安定させるだけでなく, 経時変化を小さくし, 自己充填性を向上させ, 幅広いスランプフロー値において優れた自己充填性を付与する効果があることが分かった.
  • 浅上 修, 中村 秀明, 浜田 純夫
    1996 年1996 巻538 号 p. 69-79
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    マスコンクリートでは, セメントの水和熱に伴う温度上昇は断面内の位置で著しく異なっており, コンクリートの力学的性質の発現状況も断面内の位置により差異があるものと思われる. マスコンクリートの中心部は断熱状態に近く, 精度の高い温度ひび割れ解析を行うには断熱状態で養生されたコンクリートに対する力学的物性値が必要となる. そこで本研究では, 断熱状態におけるマスコンクリートの硬化過程の力学的物性値を明らかにすることを目的として, 力学的物性値 (圧縮強度, 割裂引張強度, 弾性係数) の測定を行った. 普通ポルトランドセメントおよび低発熱形セメントについて打込み温度を変えた実験を行い, あわせて断熱温度上昇過程における力学的性質の発現性の推定方法について検討した.
  • 鎌田 敏郎, 岩波 光保, 長滝 重義, 大即 信明
    1996 年1996 巻538 号 p. 81-93
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, コンクリートのひび割れのうち床版の底面から発生する場合のような構造物表面に開口部を持たないひび割れの高さを, 2探触子法により得られた超音波の受振波の振幅によって推定する手法の検討を行った. 実験においては, まずひび割れとしてスリットを用いた人工ひび割れ供試体において受振振幅を測定し, 人工ひび割れ高さの推定式を検討した. 次に底面における超音波の反射性状の影響についての検討, さらに曲げ載荷によって発生させたひび割れに対する検討を加えて, 実構造物への適用性を考慮したコンクリートのひび割れ高さ推定法の提案を行った.
  • 朴 錫均, 魚本 健人
    1996 年1996 巻538 号 p. 95-104
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    多層からなるコンクリート床板についてレーダ検査を行い, 多層境界条件を考慮したシミュレーション結果との比較により, モデルの妥当性およびシミュレーション技法の有用性を検討した. 解析では, 電気的性質の異なる各媒質での電磁波の伝播を各境界面と媒質内の物体 (鉄筋) について入射形態別に反射および透過特性を考慮し, 減衰および鉄筋の水平分解能等を新しい方式で解析することにより, 実測結果と非常に類似な特性が得られ, レーダ検査解析の場合, 有益な解析手法としての利用可能性が立証された.
  • 二羽 淳一郎, 崔 益暢, 三島 徹也, 鈴木 顕彰
    1996 年1996 巻538 号 p. 105-114
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 格子モデルを用いた解析結果より, FRPロッドで補強されたコンクリートはりの斜めひび割れ発生後のせん断抵抗機構の変化を明らかにし, さらにせん断耐荷力を評価する方法を検討してせん断耐荷力の評価式を構築したものである. すなわち, 斜めひび割れ発生時のコンクリート貢献分と破壊時のコンクリート貢献分の比率, トラス機構により予測されるせん断補強材の貢献分と破壊時の実際の貢献分の比率を定量的に評価してせん断耐荷力の評価式を提案した. また, この評価式の妥当性の検討を行った.
  • 長谷川 俊昭
    1996 年1996 巻538 号 p. 115-128
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, マイクロプレーンモデルのうち Hasegawa モデルと Prat モデルに関する基本的な定式化の相違, すなわちマイクロプレーンの垂直-せん断成分による定式化 (N-S定式化) と巨視体積-偏差-せん断成分による定式化 (V-D-S定式化) の相違が予測精度に及ぼす影響を広範な応力状態に関して統一的に検討した. その結果, N-S定式化モデルは, 2軸応力状態や低拘束圧状態に関して実用上十分な予測精度を有するものであるが, 高拘束圧下における耐力増加やぜい性-塑性遷移挙動を良好に表現することができない, また, V-D-S定式化モデルは, 2軸応力状態, 拘束応力状態のみならず1軸引張軟化応答においても問題がある, などが明らかになった.
  • 長谷川 俊昭
    1996 年1996 巻538 号 p. 129-147
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    マイクロプレーンコンクリートモデル (Hasegawa モデル) の予測精度を向上させて, より汎用性の高い構成則を開発するため, マイクロプレーン間の複雑な相互作用を考慮した一般化マイクロプレーンコンクリートモデルを再構築した. 本モデルでは, マイクロプレーンの垂直圧縮応答に関する側方ひずみ依存性と側方応力依存性, またマイクロプレーンのせん断応答の拘束圧増大にともなう強度とじん性の変化という形でマイクロプレーン間の相互作用が考慮された. マイクロプレーンの背応力と目的応力によるヒステリシス則の定式化についても, 処女載荷の場合と同様な影響を考慮し, マイクロ構成関係の適切なヒステリシス特性を定式化した.
  • 長谷川 俊昭, 前川 宏一
    1996 年1996 巻538 号 p. 149-168
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    再構築された一般化マイクロプレーンコンクリートモデルを用いて, 広範な応力状態に関する解析を統一的に実施し既往の実験との比較を行ない, 本モデルが汎用性の高い高精度な構成則であることを検証した. 本モデルによるくりかえし載荷解析の結果から応力不変量, ひずみ不変量を抽出し, それらの関係を対応する実験結果と比較して, 本モデルが応力不変量やひずみ不変量の関係を解析的にも表現していることを示した. 除荷再載荷の経路で微小載荷パルスを与え実験的に得られる非線形弾性可逆剛性が, 解析的に再現できることを確認し, さらに鋼管コンクリート解析を通して本モデルが表現する受動的拘束効果を検証した. 巨視的な耐荷機構をマイクロプレーンの耐荷応答機構の観点から説明することもできた.
  • 浜田 秀則, 福手 勤, R. N. Swamy, 谷川 伸, J. C. Laiw
    1996 年1996 巻538 号 p. 169-181
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 鉱物質混和材の混入あるいはコンクリートの表面被覆によるコンクリート中への塩化物イオンの浸透・拡散の抑制効果を, RC構造物の塩害防止効果の観点から定量的に評価することを試みたものである. 水セメント比を3水準変化させたコンクリート, 鉱物質混和材を混入したコンクリートおよびアクリルゴム系塗料により表面被覆を施したコンクリートに対して乾湿繰返し塩化物イオン浸透促進試験を実施した. また, これまでに多数の研究者により発表されてきた塩化物イオン浸透促進試験のデータを収集整理し, 本実験結果と比較検討した. これらの実験および文献調査の結果をもとに上記2手法の塩害防止効果の定量的評価を試みた.
  • 万木 正弘, 坂田 昇, 坂井 吾郎
    1996 年1996 巻538 号 p. 183-194
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリート構造物の耐久性向上及び施工の省力化を目指した高流動コンクリートに関する研究開発が活発に行われ, 実際の構造物へも適用されつつある. 本報では, 特殊増粘剤としてウェランガムを取り上げ, これを少量用いることでフレッシュコンクリートのばらつきを抑制できることを明らかにするとともに, これを用いた併用系高流動コンクリートに関し, 配合要因がフレッシュモルタルの特性に及ぼす影響及びそれらのモルタルに粗骨材を混入したときのコンクリートの性状について実験的検討を行い, 併用系高流動コンクリートの配合設計手法を確立するための基本的性質を明らかにした.
  • Ashraf Shawky, 前川 宏一
    1996 年1996 巻538 号 p. 195-206
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 静的および動的荷重作用下での地中RC構造と地盤との相互作用, 並びに地盤からRC構造に導入されるせん断力とせん断変位について論ずるものである. 地盤からの作用により, 高せん断変形を受ける地中RC構造に対して静的/動的感度解析を行った. RC構造の非線形性, 構造の剛度および鉄筋比が, 破壊モード, 残留変形および導入せん断力に及ぼす効果について, 多角的な検討を行った. これにより, 地中RC構造の地震時安全性評価のためのガイドラインを得たものである.
  • 姫野 賢治, 上島 壮, 八谷 好高
    1996 年1996 巻538 号 p. 207-213
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 空港の滑走路, 誘導路およびエプロンについて, 路面の主要な破損形態の発生程度, およびその舗装の維持修繕の必要性についてのデータに対して, ファジィ集合理論を応用した新しい評価モデルを作成し, 路面性状を合理的に説明する手法を開発した.
    その結果, 伝統的なわだち掘れ深さ, ひびわれ率, 平坦性といった路面性状の物理量だけではなく, ファジィネスを積極的に取り入こんだ評価モデルを開発することにより, 今まで健全であると評価されていた舗装が僅かな破損の進展により突然に維持修繕を必要とすると判断されるようになるというような不連続的な解釈を回避することが可能となった.
  • Ahmed Saad Eldin Morgan, 二羽 淳一郎, 田邊 忠顕
    1996 年1996 巻538 号 p. 215-225
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリートおよび鉄筋コンクリート構造物の挙動は, その寸法に強く影響される. コンクリートはりの曲げおよびせん断強度の寸法効果は既に実験的に確認されており, 示方書にも寸法効果を考慮した設計式が規定されている. 本研究は, 集中荷重ならびに分布荷重を受けるコンクリートおよび鉄筋コンクリートはりの曲げおよびせん断強度の寸法効果を仮想ひび割れモデルと直交ロッド要素を用いた解析により, 統一的に, 破壊力学的に評価したものである. なお, ポストピーク後のスナップバック現象に対処するために, 弧長法による定式化を導入している.
  • 前川 宏一, Juneid Qureshi
    1996 年1996 巻538 号 p. 227-239
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 鉄筋軸に直交する変位と引抜けを同時に受ける一般的な載荷条件下において, 鉄筋の挙動を代表する計算モデルを提案するものである. 鉄筋軸に直交する変位と鉄筋軸に沿って分布する曲率との間に成立する適合条件を用いて, せん断ひび割れや接合部を交差する鉄筋に現れる塑性変形の局所化を定量化した. これによって, 鉄筋がダウエル作用を受けた時に, 鉄筋軸方向の引抜け剛性と定着耐力が低下する機構を説明することに成功した.
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