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Pornkasem JONGPRADIST, 武内 邦文, 志村 友行, 堀井 秀之
2004 年2004 巻764 号 p.
1-10
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
軟岩中に掘削された洪水調整のための大規模地下空洞の掘削中に, ベンチ掘削ステップが進むにつれてトンネル側壁部分の岩盤変形量が予期せず増大する現象が計測された. 支保工の事前設計の階段で用いられた簡便な設計解析によれば, このような変形挙動は事前に予測できなかった. そこで, 本論文は, 軟岩トンネル掘削のための異なる数種類の解析法を採用し, 上記の挙動を再現できるかどうかについて研究した. 具体的には, まず, それらの解析方法について詳述し, 大規模地下空洞の岩盤変形挙動計測データとそれらの解析結果を比較することにより, 個々の解析手法によりどの程度まで変形予測性を改良できることが可能かについて考察し, 個々の解析モデルの軟岩への適用性を概略検証することができた.
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宋 炳雄, 安原 一哉, 村上 哲, 小峯 秀雄
2004 年2004 巻764 号 p.
11-24
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究は単純せん断試験機を用いて繰返し強度と剛性に及ぼす初期せん断応力の影響を調べることを主たる目的としている. 特に, 非塑性シルトの繰返し載荷時及び繰返し載荷後のせん断強度と剛性の劣化特性を粘土, 砂とまさ土と比較して余裕間隙比の立場から考察した. 実験結果から非塑性シルトは他の土より繰返し強度は最も小さく, 載荷回数の増加による剛性低下も最も顕著であることが余裕間隙比の概念で統一的に説明できることが分かった. また, 剛性の低下に及ぼす初期せん断応力の影響も大きいことも分かった. これらを総合して, 他の砂質土に比べ非塑性シルト地盤は液状化する可能性が高く, 初期せん断応力が大きくなるに伴って繰返し剛性の低下も顕著になることを示した.
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小林 義和, 東畑 郁生
2004 年2004 巻764 号 p.
25-36
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
著者らによって提案された粘性流体モデルに基づく側方流動解析法は, 地震後の被害調査結果による妥当性の検証は試みられているものの, 境界条件や流動の時系列が明確にわかっている模型実験による検証は行われていなかった. そこで本研究では, 盛土の沈下に関する振動台模型実験の再現を本手法によって試み, この手法の妥当性の検証を行った. この結果, 適当な粘性係数と流動時間を与えることにより, 本研究における提案法によって, 模型実験における盛土の沈下量を予測できることが示された. また, 粘性流体モデルによる側方流動解析法によって兵庫県南部地震におけるポートアイランドの重力式護岸の被害事例を想定した解析を行い, 重力式護岸から背後地盤へ破壊が進行していく様子が解析によって再現されていることを示した.
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山本 彰, 鳥井原 誠
2004 年2004 巻764 号 p.
37-51
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文は, グラウンドアンカー頭部に設置した皿ばねの凍上対策としての効果の検証を目的として実施した, 模型地盤の凍上実験結果について述べている. 実験ではアンカーを設置しないで地表面の拘束条件を変化させた場合, および模型地盤内にアンカーを設置し, その頭部に皿ばねを設置した場合と設置しない場合について実施した. その結果, 以下の結論を得た. 1) 凍上時のアンカー緊張力と定着板の凍上変位は双曲線の関係にある. 2) アンカー頭部に皿ばねを設置することによって, 凍上現象に伴う緊張力増加は抑制されるという結果が得られ, 皿ばねの凍上対策としての効果が検証できた. さらに, 本論文ではグラウンドアンカーの凍上対策としての皿ばねの仕様の決定方法を示している.
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小橋 秀俊, 三木 博史, 平山 光信, 菱谷 智幸, 山本 博之, 大北 康治
2004 年2004 巻764 号 p.
53-67
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
近年, 建設工事で地盤汚染に遭遇し, 大量の汚染土壌を処理するなどの事態が発生している. そのため, 移流分散数値解析による汚染物質の挙動予測とモニタリングによる検証を行いながら, 管理する手法の確立が必要となっている. しかしながら, 移流分散解析プログラムへの入力定数の決め方や精度については未だ不明点が多い. そのうち, 分散長に関してはスケール効果があり, 実務上は文献値の使用に頼らざるを得ないのが現状である. 本研究ではパラメータの感度解析, カラム試験, 大型土槽実験に取り組み, (1) 流速を的確に把握することの重要性, (2) 7m程度までのスケールでは, 測定値と文献値は概ね適合すること, (3) 文献値を用いた場合到達範囲を安全側に予測できること, などが確認された.
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森 吉昭, 内田 善久, 鶴田 滋, 高橋 章, 石黒 健, 太田 秀樹
2004 年2004 巻764 号 p.
69-84
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
大型の中央土質遮水壁型ロックフィルダムを対象とした湛水時安定性評価の一事例を報告する. 初期湛水時の堤体安定性評価および湛水管理を行うための一試案を提案し, 室内試験によりその妥当性を概ね確認した. その後, 湛水に伴う貯水圧の作用と上流側堤体での浮力の発生, 堤体材料の弾塑性的な応力変形挙動等を再現する目的で, 関口と太田による弾粘塑性モデルを取り込んだ有効応力解析手法を用いて, ある実ロックフィルダムの二次元解析を実施した. 解析値と実測値を比較し, 良好な一致を確認するとともに, 提案した安定性評価手法の実ダムへの適用性を概ね確認した.
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松田 博, 来山 尚義, 高宮 晃一, 村上 剛敏, 中野 恭夫
2004 年2004 巻764 号 p.
85-99
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
地盤改良工法において高炉水砕スラグを利用することを目的として, 高炉水砕スラグの潜在水硬性に起因した物理・強度・透水特性の変化について調べた. 特にサンドドレーン (SD) 工法またはサンドコンパクションパイル (SCP) 工法においてみられるように, 砂柱内が浸透状態にある場合を想定して, 粒子間の海水の移動が潜在水硬性に及ぼす影響について調べた. その結果, 砂柱を高炉水砕スラグで造成する際, SD工法のように締固めをともなわない場合においても砂柱の強度は増加し, SCP工法と同様の特性を発揮することが明らかになった. そこで, 高炉水砕スラグを低置換率SCP工法に適用するための設計試案を作成するとともに, 新たに作製したK
0模型試験装置によって設計法の妥当性の検討を行った.
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今村 眞一郎, 平野 孝行, 萩原 敏行, 高橋 章浩, 竹村 次朗
2004 年2004 巻764 号 p.
101-120
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
既設タンク基礎地盤の液状化対策では, 地盤変形に起因するタンク基礎底板の変形抑止が主たる目的となる. 狭隘でしかも配管等が錯綜するタンク周りの施工環境を考えると, 注入固化工法が現実に適した対策工の一つといえる. しかしながら, この工法では改良体特性に加え, 改良範囲・深さ等とタンクの沈下抑制効果の関係が十分には明らかにされていない. 本研究では低強度の注入固化による地盤改良について, 経済的な改良範囲を確立することを目的として一連の遠心模型実験を実施した. 実験結果より, 改良深さや直下の改良範囲, 改良強度・剛性がタンク基礎の沈下量や沈下性状に与える影響について考察するとともに, タンク基礎~改良地盤系の応答特性の観点から注入固化工法の安全で経済的な適用方法を検討した.
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土屋 敬, 厚 豊, 高橋 範明
2004 年2004 巻764 号 p.
121-131
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
北陸新幹線飯山トンネルでは, 大変形に対処するため, 吹付けコンクリートとロックボルトによる一次支保施工後さらに吹付けコンクリートによる二次支保を施工する二重支保工法を採用した. 本研究では, 一次支保施工終了後から二次支保施工までの最適施工日差を切羽進行に伴うひずみの増加を擬似クリープ法により表現した二次元FEMプログラムを用いて求める. 上記の手法は, 本来三次元問題であるトンネルの掘削解析を擬似的に二次元で処理するためのものである. クリープ倍率は2.0とし, クリープ時間係数は切羽の進行速度より算出する. 本解析結果は擬似クリープ法の機能を最も有効に活用したものとして発表する. なお, 吹付けコンクリートの等価弾性係数は従来値を目的に合わせ見直した.
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恒岡 伸幸, 森 啓年, 阪本 廣行, 糸永 眞吾, 守屋 政彦
2004 年2004 巻764 号 p.
133-145
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
セメント改良土から六価クロムが溶出する可能性がある. このため, 過去に施工されたセメント改良土およびその周辺土壌をサンプリングし溶出試験を行った. この結果では, 改良土から六価クロムの溶出があった箇所でもその周辺土壌からは六価クロムの溶出は確認されなかった. 六価クロムは周辺土壌の吸着・還元作用によって捕捉されることにより検出されなかったと考えられる. この周辺土壌による吸着・還元作用についてカラム通水実験およびバッチ試験によってその効果を確認し, 次のことが明らかになった. 土の種類によって吸着の強さ, 吸着量が異なること. 時間の経過とともにより強い吸着に進行し, 還元作用の発現とともに捕捉される六価クロムは増加すること.
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岩下 和義, 一場 勝幸, 小田 匡寛
2004 年2004 巻764 号 p.
147-156
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
粒状体流れの微視的変形機構を解明するために新しい二次元高速せん断装置を開発した. この装置の特徴は, 準静的から高速までの広範囲なせん断ひずみ速度を再現でき, 球体粒子が同心円形の水平床面上を運動するために粒子の運動を直接に観察でき, 実験可能なフラクション (充填率) の範囲が広く, 発生するせん断応力を測定できることにある. この実験装置により, せん断ひずみ速度とフラクションが発生する応力に与える影響を調べた. また高速度ビデオカメラを用いて粒子間で生じる衝突および接触形態を観察し, この形態が発生する応力に多大な影響を与えていることを明らかにした.
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松田 浩朗, 野村 貴司, 藤谷 隆之, 清水 則一
2004 年2004 巻764 号 p.
157-167
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
岩盤は節理や層理などの不連続面が存在し, 岩盤斜面の崩壊はこの不連続面による岩盤すべりの形態を取ることが多い. このため, 岩盤斜面の安定評価において不連続面の幾何学情報は重要となる. 筆者らは, これまでにGPS変位計測システムを開発しており, このシステムによって, 比較的容易に, しかも精度良く3次元変位を連続的に計測することが可能である. 本研究では, 3次元変位計測結果から求められる変位方向と, 不連続面の幾何学情報 (傾斜および傾斜方位) とを利用した安定評価法を提案する. さらに, この方法の妥当性を実験に基づくシミュレーションにより検証した.
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松岡 元, 劉 斯宏, 長谷部 智久, 島尾 陸
2004 年2004 巻764 号 p.
169-181
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
土のうはこれまで災害復旧時などにおける仮設工として用いられることが多かった. しかし, 土のうはその非常に高い強度をはじめとして, 様々な利点を有していることが分かってきた. そこで, ここでは土のう壷本設構造物として用いることを目的として, その特性の解明に基づいた設計法の提案を行なう. 具体的には, 土のうの強度特性を理論・実験の両面から考え, それを積層体としての土のうに適用することによって, 土のう積層体の設計法を提案する. さらに, 実際の施工時および構造物としての使用時にはその変形特性も重要な問題となるので, 土のうの変形量の予測式を求め, 実際の土のうの実験結果との適合性を示す.
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新坂 孝志, 善 功企, 坂本 一信, 山崎 浩之
2004 年2004 巻764 号 p.
183-192
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
砂地盤の液状化対策として用いられる静的締固め工法は, 低流動性材料, 砂, 礫, 建設発生土などを静的な圧力により杭状に地盤中に圧入するものである. 本研究では, この工法の静的締固め機構を解明するために, 地盤中の杭状体の膨張をモデル化した模型実験を行った. その結果, 圧入に要する圧力は杭状体の膨張とともに増加するが, 一定の圧力で膨張し続ける限界圧入圧力が存在し, その値は上載圧, 密度に依存することを明らかにした. また, 空洞膨張理論を用いることで, 静的圧入締固めにおける周辺地盤の応力状態の変化を説明できることがわかった.
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香月 大輔, 中田 幸男, 兵動 正幸, 吉本 憲正, 村田 秀一
2004 年2004 巻764 号 p.
193-206
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
粒子同士が固結した粒状地盤材料の一次元圧縮特性に与える固結構造および粒子の物理特性の影響に関する検討を目的として, 一連の試験を行った. 試料に粒度分布などの物理特性の異なる幾種類かの砂を選び, これらにセメントを加えて固結供試体を作製した. 主にセメントの添加量によって固結構造の強さを変化させ, さらにこの強さを力学的に把握するため圧裂引張試験を実施した. 一次元圧縮試験の結果から, 固結構造の発達による圧縮特性への影響は主に, 圧縮曲線が未固結材料の正規圧縮曲線から突出するなどの圧縮降伏応力の増加として現れた. このような圧縮特性の変化のメカニズムは, 粒子の接点などに付着するセメントの固化による粒子間の接点荷重分布の均質化にあると結論づけられた.
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高橋 直樹, 兵動 正幸, 吉本 憲正, 山本 陽一
2004 年2004 巻764 号 p.
207-219
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文では, 粘土・砂互層地盤の地震動特性に関してオンライン地震応答実験を行い, 粘土の圧密状態および層厚等が互層地盤の地震動特性に与える影響について考察した. まず最初に粘土の圧密状態を未圧密から過圧密に変化させた実験結果から, その非線形な履歴変形特性とそれが砂層の応答や液状化の程度に与える影響について調べた. 次に, 粘土層の層厚や配置を種々に変化させた実験結果から, 粘土・砂互層地盤の地震動特性における粘土層の影響を明らかにした. 最後に, 地盤に蓄積する塑性ひずみエネルギー量を評価する指標として累積損失エネルギーに着目し, これと地盤応答性状との関連について考察した.
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西垣 誠, 小松 満, 見掛 信一郎, 田岡 洋, 中島 朋宏
2004 年2004 巻764 号 p.
221-233
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究では, 恒久的なグラウト材料の提案を目的とし, ベントナイトの膨潤を抑制する溶液を用いて作成したベントナイトスラリーの浸透特性及び亀裂への注入特性を把握するために行った研究結果について論述する. 各種溶液を用いたベントナイトスラリーの浸透特性を明らかにし, エタノール/ベントナイトスラリーからのエタノール拡散係数を求め, ベントナイトの粒径と注入可能亀裂開口幅及び動的注入工法の充填密度増加を確認した. これらの結果から, ベントナイトをエタノールによってスラリー化することで高濃度のベントナイトを注入でき, 動的注入によって施工することでより高い止水効果が発揮されるという結論を得た.
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松岡 元, 村松 大輔, 劉 斯宏, 井上 泰介
2004 年2004 巻764 号 p.
235-245
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
これまで, 土のうが高い強度を持つことを実験的・理論的に証明し, 土のうを本設構造物として用いることを提案・実施してきた. そうしたところ, 建物基礎の補強として土のうを用いたいくつかの現場から, それまで感じていた交通振動をほとんど感じなくなったという報告が寄せられた. そこで, この技術の環境振動対策への応用を図るための実験を行った. 振動対策工は, 一般に振動源の側での対策, 伝播経路での対策, 振動を受ける側での対策の3点で検討される. 土のうは, 自由に施工形状を変えられるため, この3点すべてについて実験を行い, いずれ場合においても振動対策工として有効であることを示す.
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亀井 健史, 松尾 和俊
2004 年2004 巻764 号 p.
247-254
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
気泡混合軽量土は, その軽量性から軟弱地盤の変形の抑制, 擁壁に対する土圧や土かぶり圧の低減を図ること等が可能な材料である. 本研究では, 異なる3種類の母材 (石炭灰, シルト, 粘土) を用いた気泡混合軽量土に対して一軸圧縮試験を実施し, 気泡混合軽量土の母材の違いが一軸圧縮特性に及ぼす影響について, 定量的な観点から検討している. その結果, 気泡混合軽量土の一軸圧縮強さと養生日数の関係は, 母材の違いによらず, 双曲線近似によって表現できることが明らかとなった. さらに, 石炭灰を母材として用いた気泡混合軽量土は, 粘土やシルトを用いた場合よりも長期的な強度発現に優れており, 地盤工学的に優れた地盤材料であることを示唆した.
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吉本 正浩, 阿南 健一, 大塚 正博, 小泉 淳
2004 年2004 巻764 号 p.
255-274
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文は, 地中送電用のシールドトンネルの設計に対して, 性能規定を適用する際の考え方および具体的な照査方法を提案したものである. 本論文では, まず, シールドトンネルの荷重条件を5種類に区分し, その区分毎にトンネルに求める性能を定めた. そして, その性能より照査用の限界値を導いて設計法の体系を作成した. 次に, 設計法の実用化のために, 限界値の算定方法および安全係数, 応答値を算定する構造解析手法を定めた. 最後に, この設計法と実際の工事における検査方法との整合を図った.
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崔 紅斌, 孫 徳安, 松岡 元, 徐 永福
2004 年2004 巻764 号 p.
275-285
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
単位乾燥体積当たりのモンモリロナイトの最大吸水量が一定であることに着目し, モンモリロナイト間隙比という概念を用いて, 締固めたベントナイトと砂との混合材の浸水による膨潤変形とコラプス変形を統一的に予測できることを示す. また, 低配合率の混合材においては, 砂の骨格間隙比がその砂の最大間隙比を超えると砂粒子の間で接触が生じるため, 浸水終了後のモンモリロナイト間隙比と垂直圧の両対数紙上での唯一的な直線関係 (状態線) を利用して浸水による変形量を予測するには適用できる垂直圧の範囲があることがわかった. そこで, 砂の骨格間隙比を用いてこの適用応力範囲の予測法を提案・検証した.
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沼田 淳紀, 嶋本 栄治
2004 年2004 巻764 号 p.
287-305
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
海岸埋立地のような若齢な地盤では, 沖積地盤のようにやや堆積年代の古い地盤で液状化した土の粒度組成に比べて細粒な土が液状化している. このような細粒な土は, 非塑性, 均等粒径, 低粘土分含有率であるという性質がある. 既往の設計方法では, 細粒分含有率が増加すると液状化抵抗を大きく見込むことができる. しかしながら, 細粒な噴砂が発生した地点が特に地震動が大きかったわけではない. そこで, このような細粒な土の液状化抵抗を明らかにする目的で, 粒度調整などを行った人工の試料ではなく, 実際に存在する細粒分含有率が異なる土を用いて, 室内で標準貫入試験と液状化試験を実施した. この結果, 本論文で新たに定義した相対密度が同じという条件や同じN値という条件下では, 液状化抵抗は粒径に依存しないことが明らかになった.
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仙頭 紀明, 風間 基樹, 渦岡 良介
2004 年2004 巻764 号 p.
307-317
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
きれいな砂の液状化後に発生する再圧密体積ひずみと非排水繰返しせん断履歴の関係を, 体積ひずみ速度を制御した再圧密試験により評価した. 繰返しせん断履歴は中空ねじりせん断試験機を用いたハイブリッドオンライン実験手法に基づく不規則波とした. その結果, 繰返しせん断中の履歴指標は従来, 高い相関があるといわれている最大せん断ひずみよりもむしろ累加せん断ひずみが再圧密時体積ひずみと相関が高いことがわかった. さらに, 再圧密体積ひずみは, 相対密度が小さいほど, 累加せん断ひずみが大きくなるほど大きくなることがわかった. これらの実験結果を基に, 履歴指標, 相対密度の影響を考慮することが可能な再圧密時の体積収縮特性を表現するモデルを提案した.
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児玉 潤, 足立 格一郎, 田邉 亮, 鈴木 絵理子, 山元 茂弘
2004 年2004 巻764 号 p.
319-328
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
ベントナイト・珪砂混合試料の高温環境下での膨潤特性を把握するために, 温度が膨潤性に与える影響を実験により調査した結果, 温度の上昇に伴い膨潤性は向上することが示された. 実験結果をもとに膨潤評価式についても検討したところ, 全体的には実験結果の傾向を良好に表現していた. しかし, 高温になる程設定した間隙水イオン濃度が実体と異なってくるため, 理論曲線と実測結果との乖離が大きくなる. そこで, 乖離のない一本の曲線で実験結果を表す方法を検討し, 各膨潤率での間隙水イオン濃度を温度別に推定する式を求めた. この推定式から算出した各膨潤率での間隙水イオン濃度に対応する膨潤圧と膨潤率の関係を膨潤評価式に取り入れることにより, 高温環境下での膨潤特性を推定できる可能性を示した.
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増田 良一, 朝野 英一, 雨宮 清, 千々松 正和, 足立 格一郎, 小峯 秀雄
2004 年2004 巻764 号 p.
329-340
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
放射性廃棄物の地層処分の数万年以上に亘る長期的な安全性を確保する上で, 人工バリアの性能・品質に係わる緩衝材の施工技術の開発は重要である. 緩衝材の原位置締固め工法は, 処分原位置でベントナイト・ケイ砂混合材料の締固めを行う施工技術であるが, 本工法では材料の締固め特性を把握し, 適切な締固め方法および締固めエネルギーの設定を行う必要がある. 本報告は, ベントナイト・ケイ砂混合材料に与える締固めエネルギーと得られる乾燥密度の関係および施工スケールによる差異に着目し, 室内, 実規模の2つのスケールでの締固め試験並びにその結果に基づくベントナイト・ケイ砂混合材料の動的締固め特性の検討を行った成果について報告するものである.
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福島 伸二, 谷 茂, 北島 明, 石黒 和男
2004 年2004 巻764 号 p.
341-357
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
著者らは, 築造年代が古い老朽化したため池の効率的な改修方法として, 池内に堆積した底泥土を固化処理して築堤土として有効活用でき, 底泥土の除去と堤体改修を同時に達成できる砕・転圧盛土工法を開発してきた. ここでは, この工法をある老朽ため池の堤体の漏水対策工としての傾斜遮水ゾーンの築造に初めて適用した事例を紹介し, そこで実施した室内配合試験, 固化材添加量決定のための設計法や実際の施工手順の説明, そして築造した傾斜遮水ゾーンの強度・変形特性と遮水性を確認した結果を報告する.
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亀井 健史, 松尾 和俊
2004 年2004 巻764 号 p.
359-366
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
現在, 産業廃棄物の処理は, 深刻な社会問題となっており, リサイクル技術の拡大が急務である. 例えば, 主に飲料水の容器に用いられるPETボトルの生産量およびその廃棄量は, 年々増加する傾向にある. この廃棄されているPETボトルを地盤材料として有効利用できれば, PETボトルの処分および建設用天然資材の不足問題の解決策として期待できる. 本研究では, エアミルクにフレーク状にしたPETボトル (PETフレーク) を添加し, PETフレークの添加が一軸圧縮特性に及ぼす影響を検討している. その結果, PETフレークを最適な割合で添加することにより, 気泡混合軽量土の一軸圧縮特性に優れた効果を発揮することが明らかとなった. このことから, PETボトルを利用した気泡混合軽量土は, 環境問題および地盤工学的にも有意義な工法となる可能性を示唆している.
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並河 努, 平井 卓, 棚井 憲治, 油井 三和, 重野 喜政, 高治 一彦, 大沼 敏
2004 年2004 巻764 号 p.
367-372
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
高レベル放射性廃棄物の地層処分システムにおいて用いられる高密度に圧縮成型されたベントナイトの力学挙動を室内試験結果より考察した. 圧縮成型ベントナイトの一次元圧密試験の結果において有効応力の原理が適用できることを確認し, 圧密非排水三軸圧縮試験よりそのせん断挙動に有効拘束圧依存性及び負のダイレイタンシが存在することを確認した. そして, 圧縮成型ベントナイトに対する関日-太田モデル及び足立-岡モデルの適用性について検討を行うため, 室内試験結果に対し両モデルを用いたシミュレーション解析を実施した. 今回対象とした室内試験のシミュレーションにおいて, 両モデルの差は小さいことが明らかとなった. また, 両モデルとも定性的に室内試験の結果を再現できることが確認できた.
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中村 公一, 豊田 浩史, 酒井 直樹, 島内 哲哉
2004 年2004 巻764 号 p.
373-378
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
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本論文では, 室内において調整された試料を用いて, 孔内ねじりせん断試験と称される原位置せん断試験の高精度化のための改良とその評価方法について基礎的検討を行った. この試験装置は, 土をねじるせん断部分と鉛直力を載荷する圧力部とデータ記録部からなる. はじめに, この試験によるせん断破壊メカニズムを知るために, せん断面の発生位置について観測を行った. 次に, 拘束リングの長さの影響について, 室内リングせん断試験結果と比較することにより検討した. このようにして得られた試験結果は, 定圧, 定体積とも室内リングせん断試験の結果と同等のものが得られることを示した.
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大津 政康, 畑 浩二, 松井 裕哉, 木山 英郎, 木梨 秀雄
2004 年2004 巻764 号 p.
379-382
発行日: 2004/06/21
公開日: 2010/08/24
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