土木学会論文集
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1996 巻, 554 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
  • 阿部 博
    1996 年1996 巻554 号 p. 1-17
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    緩い飽和砂地盤上にある盛土構造物の液状化時の動的挙動特性を知るために, 液状化対策工を含めた合計6ケースの模型振動台実験を実施した. 6つの実験に共通して, 水平地盤で過剰間隙水圧が有効上載圧に達し液状化が発生しても, 盛土直下の地盤では発生水圧が有効上載圧に至らないことが確認できた. 一方, 未改良地盤では盛土直下から斜面下で側方流動が発生しやすく, 側方流動を防ぐことが液状化対策として有効であると結論した. また, 非線形弾性論と液状化試験結果を組み合わせた簡便な二次元液状化解析プログラムを開発したことを述べ, 振動台実験結果と解析結果との比較を行った. 解析結から, 残留変形量評価では課題を残したが, 加振時の加速度と水圧変化には再現性があると結論した.
  • 打田 靖夫, 吉田 次男, 平川 芳明, 石田 毅
    1996 年1996 巻554 号 p. 19-30
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    発電所空洞掘削に伴う不連続性岩盤内のゆるみ領域の進展状況, 支保工の作用効果および応力再配分のメカニズムを明らかにするため, ボーリング孔内埋設ひずみ計により鉛直ひずみ測定を行い, 次の結論を得た. a) 鉛直ひずみ増分は, 水平深度方向に二つの圧縮側ピークを有する不規則な分布形状を示した. b) ゆるみ領域が新たに拡大された位置は, 圧縮側ピークひずみが伸張側に急激に変化することで検出できる. c) 応力再配分により応力増分を分担する位置は, 不連続面を含む地質構造の制約を受ける. d) 鉛直ひずみの変化から支保工の作用効果を推定できる. e) 岩盤内における応力再配分の不均一性は, 空洞頂部掘削に伴う岩石間応力伝達経路の選択的な顕在化によって発揮されると推定される.
  • 山本 茂樹, 山岸 一彦, 山田 勝彦, 西森 孝三
    1996 年1996 巻554 号 p. 31-45
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    風化岩盤上の現地で大型模型基礎を対象に静的・動的実験を実施し, 得られた変形特性の考察と, 理論解や数値解析解との比較検討を行った. 具体的には, 支持岩盤の特性や微小振幅下の実測自由振動数と力学モデルの固有値の関係, 強制振動実験での共振点の変動やばね係数と減衰定数の応答値との関係, この実験のFEMによるシュミレーション, さらに, 極度な偏心傾斜荷重下の静的繰返し載荷での応答性状とばね係数やエネルギー消費としての減衰性, そして, 静的と動的な変形特性の関係などについて述べている. 得られた結果は, この種の基礎の耐震計算法をより発展させるための基礎的な資料として, 有益なものと考えている.
  • 上 俊二, 藤原 東雄, 勝村 雅子
    1996 年1996 巻554 号 p. 47-55
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    正規圧密粘土の圧密特性に及ぼす温度の影響を評価するために, 二次圧密時の温度を定量的に変化させる圧密試験を行った. 室温より高温に変化した場合, 粘土は温度の上昇とともに体積の収縮が生ずるが温度が一定 (定常) になった場合, 圧密速度 (二次圧密係数) は温度によらず一定となることが明らかになった. また, 室温から高温にした場合の温度による体積変化量は圧密圧力によらず, 温度差に比例することが明らかになった. 一方, 温度を高温より室温に戻すことにより見かけ上過圧密土の挙動を示し, その擬似先行圧密圧力は温度差に比例することが明らかになった. 以上の実験結果より, 二次圧密時に温度効果を受けた正規圧密粘土の体積変化量および擬似先行圧密圧力を予測する方法を提案した.
  • 加藤 正司, 軽部 大蔵, 本田 道識, 藤原 照幸
    1996 年1996 巻554 号 p. 57-69
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    水分特性曲線におけるヒステリシスに示されるように, 不飽和土の含水状態はそのサクションと対応していない. 本論文ではこのような間隙水分布の違いが不飽和土の圧縮特性に及ぼす影響について述べている. まず, 簡単な粒子モデルに基づき間隙水分布と粒子間力の関係について検討し, 続いて, その粒子間力に基づき定義されるサクション応力について考察を加えた. また, 間隙水分布がサクション応力に与える影響の違いを考慮した塑性体積ひずみ式を提案した. そして, 間隙水分布の異なる不飽和供試体を用いてサクション一定の等方圧縮試験を実施し, 体積変化挙動や含水比挙動の違いを実証した.
  • 渡辺 豊彦, 岸野 佑次
    1996 年1996 巻554 号 p. 71-80
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    トンネル掘削にともなう軟岩の安定性評価は, 軟岩の非弾性域における力学特性の多様性のために, 応力またはひずみに関する単独のパラメーターによる評価は困難である. そこで, 著者らはトンネル周辺岩盤になされる外部仕事や岩盤内部において散逸されるエネルギーに基づく評価方法を提案し, 支保の効果を無視した場合についてその有用性を示した. 本文は, この評価方法をトンネル周辺岩盤に対する内圧付加やロックボルトの効果を考慮した場合について拡張したものである. また, 各種岩のせん断試験結果より軟岩の力学特性をパラメーター的にモデル化し, 内圧付加の下におけるトンネル周辺軟岩の安定性の評価や, 支保セットのタイミングが岩盤の安定性に及ぼす影響等について検討を行った.
  • 鬼頭 誠, 峯本 守, 梶原 雄三, 松岡 茂
    1996 年1996 巻554 号 p. 81-88
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋼繊維補強コンクリートでは, ひび割れ面で鋼繊維により引張力が伝達されるために, 無筋コンクリートに較べて優れた破壊靭性を有している. この特性を設計に取り入れたトンネル覆工の設計手法の安全性を検証することを目的に, 円環供試体による載荷試験と有限要素法によるシミュレーションを行った. その結果, トンネル覆工のような円環構造物では, 局部的に断面力が部材の断面耐力を越えても構造物は直ちに破壊に至らないことが確認され, 設計指針に定めているように設計上の限界状態を断面力が部材の断面耐力に達した時点とすれば安全であることが判明した.
  • 大西 有三, 西山 弘之
    1996 年1996 巻554 号 p. 89-98
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    従来, キーブロック安定解析は確定論的に扱われてきた. しかし, この方法では地盤の物性値のばらつきを考慮することが出来ず, 得られた解析結果にどれほどの信頼性があるか分からない. そこで, 本研究では岩盤調査時に得られる地盤・岩盤の物性値のばらつきを考慮するため, 設計で用いる物性値をパラメータごとに確率分布関数で表示し, 評価法において確率変数として扱い, 確率論的な検討を試みる. その際, 簡便法として物性値の平均値と分散を用いる信頼性理論に基づく一次近似二次モーメント法を利用して, 確率論的解析の有用性について考察を行う.
  • 佐野 幸洋, 中川 修, 鈴木 健一, 上村 佳司
    1996 年1996 巻554 号 p. 99-110
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本報は, 東京湾横断道路川崎人工島建設工事において, 地中連続壁の根入れ部付近に存在する層厚の薄い難透水層の透水性の評価手法について述べたものである. 難透水層の透水性の評価は, 地中連続壁構築前と構築後について行った. まず, 地中連続壁構築前の難透水層の透水性の評価は, 揚水試験のシミュレーションおよび Hantush のt-s曲線による解析法により行った. 次に, 地中連続壁構築後の難透水層の透水性の評価は, 地中連続壁近傍の漏水を透水性評価エレメントと称する1次元の棒要素を用いてモデル化することにより, 計測結果をシミュレーションできることがわかった.
  • 及川 洋
    1996 年1996 巻554 号 p. 111-118
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本文は, 高有機質土の基本的な圧密特性の一端を, これまで殆ど注目されることの無かった圧密中の沈下速度の時間的変化に着目して明らかにしたものである. 検討の結果, 圧密中の沈下速度と時間の関係は両対数紙上で折れ曲がった一本の直線で近似できること, その直線勾配を理論値と比較したところ, 実験に用いた高有機質土の場合, 沈下のどの部分も Terzaghi 理論では説明できないこと, さらに, 圧密後半の沈下が log tに比例するか双曲線的に推移するかは, ある沈下式中の単なる係数の違いであること, また, その係数が-1より小さい場合, 二次圧密係数は時間とともに徐々に減少し, 沈下は最終的に有限の値に収束すること, などが示されている.
  • 鵜飼 恵三, 井田 寿朗, 若井 明彦
    1996 年1996 巻554 号 p. 119-128
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震時の斜面の安定性に及ぼす3次元効果 (特に側方拘束効果) を明確にすることを目的として, 動的弾塑性FEMによる解析を行つた. 均質な単純斜面に対して正弦波と2種類の実地震波を入力させ検討を行った. 本研究により, 地震時の斜面は滑動することにより加速度増幅率を低下させること, 斜面に及ぼす側方拘束の影響は静的な問題より動的な問題における方が大きいこと, などが示された.
  • 森 仁司, 栗原 和夫, 柴田 英明, 森 麟
    1996 年1996 巻554 号 p. 129-138
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    砂質地盤における泥水式シールドの必要泥水性状は, シールド掘進に伴う切羽地盤の過剰間隙水圧の発生量を小さくすることである. これにより, 切羽安定に必要な有効泥水圧を確保し, 逸泥量を少なくして地下水汚染を防止することができる. そこで, 本論文では, 現行の泥水管理項目およびその管理基準値の過剰間隙水圧抑制に対する有効性の有無を検討した. つぎに, 地盤の間隙径と泥水の粒子径との関係を表すグラウタビリティー比 (GR値) を用いて, 対象地盤に対して過剰間隙水圧の発生量が小さくできる泥水性状のあり方について調査したものである. その結果, 対象地盤に対して最も適正な泥水性状は, GR値14~16, 泥水比重1.20, ファンネル粘性25~30秒と定めることができた.
  • 矢田部 龍一, 八木 則男, 向谷 光彦, 榎 明潔
    1996 年1996 巻554 号 p. 139-146
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 土の残留強度測定に与える各種試験法の影響を調べ, また一面タイプおよび単純せん断タイプのリングせん断試験機によりすべり面に対する拘束条件の影響を調べた. その結果, 最も小さなせん断強度を与えるという意味ではリングせん断タイプの試験機が残留強度測定に適していること, また, すべり面の拘束条件の影響は非常に大きいことなどが明らかになった.
  • 松岡 茂, 益田 彰久, 松尾 庄二, 柳 博文
    1996 年1996 巻554 号 p. 147-155
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    現在トンネル覆工の設計に広く用いられている骨組解析によりひび割れの発生・進展を考慮した覆工の解析を行うことを目的として, ひび割れが生じた無筋コンクリート部材のモデル化および解析フローを提案した. その結果, ひび割れが発生したと判断される節点をピン結合または回転ばねとすることにより, ひび刮れを考慮した骨組解析を行うことができた. また, トンネル模型載荷実験結果およびコンクリートの破壊力学の考え方に基づいた有限要素法解析との比較を行うことにより, 提案した解析万法の妥当性を確認した.
  • 阿部 博, 草野 郁
    1996 年1996 巻554 号 p. 157-171
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    東京低地を対象として, 遺跡調査結果と元禄地震, 江戸地震, 東京湾北部地震, 関東地震での液状化に関する記述・記録を使い液状化発生地点を探し出したところ, 数箇所で再液状化現象を確認することができた. 液状化発生・非発生地点の地盤の特徴を微地形と地質・土質特性から検討した結果, 自然堆積地盤では細粒分含有量の大小が液状化強度に強く影響することがわかった. このことから, 細粒分含有量ならびに拘束圧の大小に着目した動的試験結果の整理を行い, 液状化強度推定の提案式と過剰間隙水圧上昇特性を示した. これらの液状化特性を動的有効応力解析に導入し, 再液状化発生地点と液状化非発生地点で液状化解析を行い, 得られた液状化特性が発生・非発生地点の区分に有効なことを示した.
  • 松本 徳久, 安田 成夫, 芳岡 良一
    1996 年1996 巻554 号 p. 173-184
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, フィルダム堤体材料の室内試験によるせん断強度の求め方について整理し, ロック材料を用いた単調載荷試験と繰返し載荷試験結果を示し, ロック材料の動的強度特性に対する諸要因 (繰返し回数, ひずみ量, 相対密度, 初期拘束圧, 初期せん断応力) の影響を調べ, 静的強度と動的強度の関連性を検討した. 非排水繰返し載荷試験では, 繰返し回数の増加に伴いひずみが増大し, 間隙水圧は90%~100%近くまで急激に上昇するが, 液状化のような flow failure は起こらない. なおロック材料の単純せん断試験は国内外を通じて他に例がない. 以上のことから, ロックフィルダムの耐震設計に用いるべきロック材料の強度特性を明らかにした. 一方, ねじり単純せん断試験による繰返しせん断応力比は平均主応力・初期せん断応力の大きさによらず三軸試験のそれよりも小さい.
  • 単点打撃における密度と強度の増加域
    大島 昭彦, 高田 直俊, 田中 善広
    1996 年1996 巻554 号 p. 185-196
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    重錘落下締固め工法の設計・施工に当たって最も重要な改良範囲を調べるために, 重錘質量, 落下高, 打撃回数を変えた単点打撃における遠心模型実験を行い, 打撃孔を中心とした地盤変形とコーン貫入抵抗から地盤の密度増加域と強度増加域を調べて締固め効果の及ぶ範囲を判定した. さらに締固め範囲と打撃エネルギー, 運動量の関係, および地盤の初期密度と土の種類の影響を調べた. その結果, 地盤変形および強度増加から求めた密度増加域はよく一致し, かつその大きさは総打撃エネルギーよりも総運動量に依存した. 一定の相対密度増加量を生じる深度と半径を締固め範囲で定義すると, 両者とも総運動量の対数に比例した. 締固め範囲に与える初期地盤密度や土の種類の影響は今回扱った範囲内では小さかった.
  • 兵動 正幸, 荒牧 憲隆, 岡林 巧, 中田 幸男, 村田 秀一
    1996 年1996 巻554 号 p. 197-209
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    破砕性土であるまさ土としらすを対象にこれらの圧縮特性に着目して, 非排水単調および繰返し三軸圧縮試験を行った. 単調せん断試験結果から, steady state 線を求め, 密度, 初期拘束圧の違いにより生じた収縮性あるいは膨張性の挙動の違いについて考察した. さらに, 非排水繰返し三軸試験結果を初期密度, 拘束圧の違いによりまとめた. その結果, しらすにおいて, 繰返しせん断強度が初期拘束圧に依存するという静的結果とも対応する結果が得られた. 最後に単調せん断による変相点応力と繰返しせん断強度を対応させ, 両者に試料, 初期密度, 初期拘束圧によらない関係が得られ, 静的せん断と繰返しせん断挙動の対応が可能となった.
  • 西岳 茂
    1996 年1996 巻554 号 p. 211-220
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤は, ディスクカッタにより効率良く掘削する事が可能である. しかしながら, ディスクカッタは, 取り付け半径により, 寿命が大幅に異なることが知られている. 特に, TBM中心部に装備されるディスクカッタは, 転動半径が若干大きな部位に取り付けられているディスクカッタとは異なった荷重が作用し, 寿命低下の要因となっている. 本論では, ディスクカッタの取り付け位置の変化による作用荷重の解明と, ディスクカッタの構造の最適化を目的とした. 実験においては, 擬似岩盤により実験条件の統一性を計り, ディスクカッタへの作用力を解明した. 更に, 独立回転ディスクカッタが, 3枚刃一体回転構造に対して, 掘削効率面での優位性があることを解明した.
  • プラダン テージ, 岡本 正広, 外裏 雅一
    1996 年1996 巻554 号 p. 221-230
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    軟弱粘性土地盤の圧密促進に利用するためのプラスチックボードドレーン (PD) は, 従来断面積が小さいことから長尺物ドレーンについては適用限界が存在すると指摘され, その改良深度としては最大20m程度に抑えられてきたが, 近年改良深度は増加する傾向にある. そこで今回, 中~大深度の地盤改良を目的とし, ドレーン自体の剛性を上げた十字型ドレーンを考案した. このドレーンは通常の板状PDを4枚用いて十字型を形成しており, 十字型を形成することによって間隙水圧の消散過程は, 円柱ドレーンと同じように放射状になる. 本研究では, 三軸K0圧密試験機を用いて十字型ドレーンの等価径を評価し, 板状ドレーンのそれと比較検討した. また, 流線長の考え方に基づき等価径の簡易的算定法を提案した.
  • 建山 和由, 藤山 哲雄, 西谷 誠之
    1996 年1996 巻554 号 p. 231-237
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土の締固め施工に用いられる振動ローラの振動挙動が土の締固めに伴い変化することを利用して土の締固め度をリアルタイムで評価する施工管理手法の開発研究の一環として, 振動ローラの振動挙動に関する詳細な考察を行った. ここでは振動ローラ~地盤系を2自由度振動モデルで置き換え, 数値計算により地盤剛性の変化に伴う振動ローラの振動挙動変化の特徴について検討を行った. この結果を詳細に考察することにより, 地盤の締固めに伴い振動ローラの振動挙動が変化する原因を非線形振動の考え方を用いて解釈し, またその特徴についても地盤特性や振動条件と関係させて議論を行った.
  • 今泉 繁良, 高橋 悟, 坪井 正行, 横山 幸満
    1996 年1996 巻554 号 p. 239-249
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    廃棄物最終処分場でのライナーは, ジオメンブレンとジオテキスタイルの多層構造となる傾向にある. 多層ライナーの最上部に覆土等からの起動せん断力が作用したとき, 各層に生じる引張り力を評価する実用的計算法の開発を目指して, 4層から成る室内多層せん断試験を実施した. 用いた材料は鬼怒川砂, 2種類のジオテキスタイル, HDPEジオメンブレンである. 実験結果として, 変形を考慮しない極限釣合法では第2層に引張り力が発現されない条件下でも引張り力が生じること, 引張り力発現の程度はジオシンセティックスの剛性と拘束圧に依存することを示した. この結果に基づき, 第2層の伸び量を弾性論で計算し, 摩擦力との力の釣合から第2層の引張り力を評価する方法を提案した.
  • 矢島 寿一, 丸尾 茂樹, 小川 正二
    1996 年1996 巻554 号 p. 251-257
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は軽量土の力学的特性を解明することを目的とし, ここでは軽量土の破壊基準を明確にするとともに, 軽量土の初期間隙比と一軸圧縮強さが破壊基準に及ばす影響を調べている. その結果, 軽量土の破壊基準はq~p'およびe~logp'関係で規定でき, 軽量土の初期間隙比と一軸圧縮強さがq~p'関係での破壊線の傾きを表す係数Mとe~logp'関係での破壊線の傾きを表す係数Ccに及ぼす影響が明確となった.
  • 稲田 善紀, 関 正造
    1996 年1996 巻554 号 p. 259-268
    発行日: 1996/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 地山岩盤内空洞に低温物質を貯蔵した場合に熱収縮により生じる放射状の亀裂からの液漏れおよび冷気漏れ対策として引張応力に対して比較的強度の大きい高分子系材料のライニングを空洞表面に設けることについて検討した. まず, 低温下における高分子系材料の強度・変形特性および熱物性値を実験により求め, とくに低温物質貯蔵に有利と考えられる高分子系材料を選定した. 次にそれらの値を用いて要素分割法および亀裂解析怯にて解析を行い, 空洞周辺岩盤の挙動およびライニングの熱的安定性について考察した. その結果, ライニングを岩盤と切り離して設け, それぞれの挙動を自由にすることにより, 液漏れおよび冷気漏れ対策になり得ることがわかった.
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