カオス振動は, 系に内在する非線形性のために, 決定論的現象であるにもかかわらず初期値依存性の強い, 予測困難な不規則振動になるという特徴を持つ. 本研究では, 非線形の反力特性を持つ地盤に支持された波浪中の柱体を対象として, そこにカオス振動が発生する場合, どのような条件で発生するのか, そしてどのような特性を持つかを実験および数値解析の両面から考究した. その結果, (1) 2つのアトラクターを持つ非線形な剛性反力を持つ円柱に規則波が作用する場合, 作用波力の変化に対応して, カオス振動が発生する領域と消滅する領域が存在することがわかった. (2) この時の実験結果と計算結果は, スペクトル図および位相図においてよく一致し, 数値シミュレーションによるカオス発生の予測が可能なことが確認された.
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