土木学会論文集
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1997 巻, 565 号
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  • 立川 康人, 原口 明, 椎葉 充晴, 高棹 琢馬
    1997 年1997 巻565 号 p. 1-10
    発行日: 1997/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    流域地形の三角形要素網表現をもとに流域地形に即した分布型降雨流出モデルを構築する. まず, 三角形要素網による流域地形表現手法をもとに自動分割した斜面要素ごとに斜面勾配・斜面幅を算定し, それらを利用して三次スプライン補間関数を構成して, 斜面勾配・斜面幅が連続的に変化する斜面要素モデルを構成する. 流域地形は, 縦断形状・平面形状ともに三次スプライン補間関数によって表現された斜面要素群とそれらを繋ぐ河道網によって表現することになる. 次に, そこでの雨水の流れを, 中間流と地表面流とを統合的に表す流量流積関係式を用いた kinematic wave モデルで追跡する. 本手法を東京大学愛知演習林白坂流域に適用し, 個々の斜面形状の表現形態が流出シミュレーション結果に大きな影響を及ぼすことを示した.
  • 山崎 誠, 小山 俊, 長谷川 和義, 平山 健一
    1997 年1997 巻565 号 p. 11-20
    発行日: 1997/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は北海道北部の山地河川において, 冬期渇水後期にみられる日周期で振動する河川流量変動について, 著者らが実施した冬期間の観測データに基づき, 氷の堰 (Anchor Ice Dam) によるステップ・プールをモデル化した予測計算手法を提案し, 考察を行ったものである. この結果, 1) 放射収支がマイナスとなる夜間の平均気温が-4~-6℃を下回ると流量変動の振幅が大きくなる. 2) 全面結氷から一部開水路となった河道内に Anchor Ice によって形成されたステップ・プールが観察された. 3) Anchor Ice Dam はアクティブ状態で発達し, パッシブ状態で退行すると仮定した計算モデルにより, 日周期で発生する流量変動を説明することができる.
  • 福嶋 祐介, 早川 典生, 新谷 武史
    1997 年1997 巻565 号 p. 21-30
    発行日: 1997/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    先に発表した, 流雪溝中で完全浮遊する雪塊の流動に関する理論と比較するため, 実験を行った. 雪塊が浮遊する条件での流速分布を測定するため, プラスチックボールを雪塊 (これを模擬雪塊と呼ぶ) に見立てた模擬実験を行った. この結果, 水層での流速分布が対数則に従うこと, 模擬雪の流下速度は水層の最大流速より僅かに小さいことなどの流動特性が明らかになった. この他, 流雪量, 雪投入に伴う水深増加について, 模擬雪と実際の雪を用いて実験を行い, 理論式との比較を行った. 流雪量・流水量比, 雪投入に伴う水深増加などの実験値が理論式で説明できることを明らかにした.
  • 泉 典洋, 池田 駿介, Gary Parker
    1997 年1997 巻565 号 p. 31-41
    発行日: 1997/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    直線砂床河川の平衡横断形状の理論を側岸付近に透過水制が存在する場合に拡張することによって, その平衡横断面形状を理論的に求めた. その際, 水制が底面剪断力を減ずる働きを考慮して水制域での解を求め, 非水制域での解と接続することによって平衡状態での横断面形状及び中央水深を導いた. その結果, 平衡状態においては水制域はほぼ完全に砂に埋没してしまうこと, 流量及び河床勾配が変化しないとすると平衡水深は通常の水制密度の範囲内 (χ=1~100) で数%から3, 40%大きくなることが理論的に示された. さらに, 水制設置前後で流量と流砂量が保存されるという平衡縦断形状の考え方を, 本理論とともに (X=10と仮定して) 実際のケースに適用すると, 水制設置後, 平衡水深が70%程度大きくなるという実測結果を説明することが可能となった.
  • 泉 典洋, Gary Parker
    1997 年1997 巻565 号 p. 43-55
    発行日: 1997/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    自然河川によく見られる, 河床が礫, 河岸が細砂で構成される河道地形の形成メカニズムを説明するための数学モデルを提案した. 砂床河川の平衡横断面形状の理論を, アクティブレイヤーにおける細砂の体積存在率pを導入することによって, 一部礫相が露出している場合に拡張した. 礫床における解と細砂に覆われた河岸部における解を接続することによって細砂の堆積位置とその形状を理論的に求めた. 理論によれば, 中央水深及び河床勾配が十分大きく, 細砂の粒径が十分小さいときは, 浮遊砂は側岸部に堆積することが理論的に示された. また, 中央水深及び勾配が小さく粒径が大きいとき, 浮遊砂は河道中央部に堆積することが明らかとなった.
  • 高橋 保, 辻本 浩史
    1997 年1997 巻565 号 p. 57-71
    発行日: 1997/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    火砕流や雪崩の到達範囲を精度良く設定するためには, 斜面上の粒状体流れの流動機構と抵抗則に関する理解が重要となる. 本論文では, 流路実験と理論考察を行った. 実験では, 勾配, 底面条件に応じて層状型, 層状/分散型および分散型の流れが形成され, 流速, 濃度および粒子の乱れ速度に大きな違いが生じることがわかった. 粒子の非弾性衝突と運動量輸送に起因する動的な応力とマクロな骨格応力からなる構成則を2次元等流状態に適用し, 斜面上の粒状体流れの抵抗則を導いた. 計算結果は実験結果の傾向を良好に再現した.
  • 杉山 均, 秋山 光庸, 亀澤 正之, 野口 大介
    1997 年1997 巻565 号 p. 73-83
    発行日: 1997/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高水敷と低水路より構成される複断面開水路内の乱流構造を代数レイノルズ応力モデル, 境界適合座標系を用い解析を行った. 低水路側壁は傾斜側壁を有しこの領域で水深が変化することよりその乱流構造に少なからぬ影響を及ぼす. 解析結果を実験と比較し本解析手法の有用性を検討するとともに, 助走水路を含めた三次元開水路として計算を行い縦渦の発達挙動に関しても検討を加えた. その結果, 本解析手法は平均速度場, レイノルズ応力場とも比較的良好に予測するとともに, こうした傾斜側壁を有する複断面開水路では縦渦同士が互いに干渉し合いながら変化し安定した縦渦に推移していく流動挙動を定量的に明らかにした.
  • 橋本 晴行, 村上 浩史, 平野 宗夫, 烏野 清
    1997 年1997 巻565 号 p. 85-98
    発行日: 1997/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土石流および乾燥粒子流を定常的に物体に衝突させる実験を行った. ひずみゲージを用いて抗力を測定し, 粒子の衝突や速度・表面変動に起因して抗力が激しく変動することが明らかになった. 抗力を平均と変動成分とに分け, 前者については抗力係数を導入した. 抗力係数は物体スケール・粒径比と粒子濃度に依存するが, それらを統合した一個の無次元パラメータによっても普遍表示されることが明らかになった. 一方, 後者の変動成分についてはそのスペクトル特性を調べ, 清水流によるスペクトルと比較した. 材料が粗粒になるほど高周波領域までパワーが大きいことが分かった. これは粒子の衝突・接触作用の結果と考えられる. 最後に, 振動形解析法を用いて応答関数を求め変動抗力を推定した.
  • 木村 晃, 田中 耕作
    1997 年1997 巻565 号 p. 99-109
    発行日: 1997/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    浅海域における2次非線形長周期波は湾水振動, 浮体の長周期動揺あるいは多段沿岸砂州の原因として最近注目を集めている. すでに木村 (1984) によりこの波の平均スペクトルを与える式が与えられているがこの式はかなり煩雑な計算を要する. そこで本研究では, 不規則波の方向スペクトルとして通常良く用いられる Bretschneider-光易型, 方向分布関数としては合田ら (1975) のモデルを用いて幅広い計算を行い, それに対して簡単な表示による近似を行って, 浅海域での2次の方向スペクトルが容易に計算出来るようにしたものである.
  • 田中 仁, 山路 弘人, サナ アーマド, 首藤 伸夫
    1997 年1997 巻565 号 p. 111-118
    発行日: 1997/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    非線形波動による底面境界層を模擬する非対称振動流を発生させるための新しい手法を提案した. 従来良く用いられているサーボモータによりピストンの運動を制御する手法に比べて, ここで提案した振動流発生装置はきわめて簡便でかつ安価なものである. 理論解析の結果, この手法による流速波形は広い範囲でクノイド波理論による厳密解に一致することが分かった. また, 実際の装置の設計が簡単に行えるように, 波浪特性が与えられた時に装置の諸元を決定するための式を導出した. さらに, ここに示した手法が, 浅水域での前傾化した波動下の底面境界層実験にも用いることが出来ることを示し, 装置の諸元を決定するための図を得た. 実験により, 今回提案した手法の有効性を確認した.
  • 高梨 清一, 石田 啓, 矢富 盟祥, 浜田 昌昭, 桐畑 修一
    1997 年1997 巻565 号 p. 119-128
    発行日: 1997/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    カオス振動は, 系に内在する非線形性のために, 決定論的現象であるにもかかわらず初期値依存性の強い, 予測困難な不規則振動になるという特徴を持つ. 本研究では, 非線形の反力特性を持つ地盤に支持された波浪中の柱体を対象として, そこにカオス振動が発生する場合, どのような条件で発生するのか, そしてどのような特性を持つかを実験および数値解析の両面から考究した. その結果, (1) 2つのアトラクターを持つ非線形な剛性反力を持つ円柱に規則波が作用する場合, 作用波力の変化に対応して, カオス振動が発生する領域と消滅する領域が存在することがわかった. (2) この時の実験結果と計算結果は, スペクトル図および位相図においてよく一致し, 数値シミュレーションによるカオス発生の予測が可能なことが確認された.
  • 吉永 真祐
    1997 年1997 巻565 号 p. 129-138
    発行日: 1997/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    橘湾の開発に当たり, 1946年に来襲し被災している南海道津波に対する安全性を調査した. 被災時の橘湾の地形から, これまでの埋立によって現況地形が変化し, さらに将来の埋立によって地形が変化することにより, 来襲する津波の挙動が変化することを数値シミュレーションにより明らかにする. また, 津波が周辺地域を被災させないための対策工についても報告する.
  • 1997 年1997 巻565 号 p. e1
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
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