土木学会論文集
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2005 巻, 794 号
I-72
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
技術展望
  • 小森 和男, 吉川 博, 小田桐 直幸, 木下 琢雄, 溝口 孝夫, 藤野 陽三, 矢部 正明
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_1-794_19
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    横浜ベイブリッジ, レインボーブリッジ, 鶴見つばさ橋のレベル2地震動に対する耐震性評価と耐震補強構造選定の基本方針とともに, 耐震性評価に用いるレベル2地震動を作成した. レベル2地震動としてプレート境界に発生するM8クラスの地震と, 内陸直下で発生するM7クラスの地震を想定した. プレート境界に発生するM8クラスの地震による強震動は, 1923年関東地震における震源モデルを基本としながら, その破壊の伝搬方向を架橋地点に向かうように設定し, 地震動の周期成分には, 検討対象とする橋梁の主要な固有振動モードの固有周期と同じ周期のものが多く含まれるようにアスペリティサイズとその配置を定めた. 首都圏における内陸直下で発生するM7クラスの地震は, 既往最大規範の考えに基づいて, 1995年兵庫県南部地震で観測された地震動を対象とした.
投稿論文
英文論文
英文報告
  • Junji KIYONO, Masakatsu MIYAJIMA, Takao HASHIMOTO, Tomohiro KIMURA
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_33-794_41
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    An MJ6.4 earthquake occurred on July 1, 2000 offshore of Kohzushima Island in the Tokyo municipal jurisdiction. Large tremors also were felt on Kohzushima on July 9 and on Niijima on July 15. This is the damage investigation report on the 2000 Kohzushima Kinkai earthquake mad e by a JSCE reconnaissance team. Earthquake swarms continued near Kohzushima, Niijima, and Shikinejima islands for about three months. A JMA seismic intensity of lower 6 was recorded twice on Kohzushima during July, 2000. An outline of the earthquake and aftershocks and the damage done to civil structures is given. Slope failures, damage to retaining walls and disaster responses, in particular, are focused on.
和文論文
  • 吉田 郁政, 佐藤 忠信
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_43-794_53
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    リスク, ライフサイクルコスト, 確率論的安全性評価の重要性が認識されるようになり, 損傷確率の効率的算定法の必要性が高まっている. 本研究では損傷に対して影響の大きい部分空間を適応的に絞り込み, そのマルコフチェインモンテカルロ法 (以下, MCMCと記す) を用いてサンプルを発生させて効率的に損傷確率を算定する方法について検討を行った. 提案方法では一様分布の解空間に対してMCMCによるサンプルを発生させた後, 対数正規分布など所定の確率分布に変換を行うことでアルゴリズムの簡略化と効率化を図った. 簡単な限界状態関数を用いて提案方法の解説, 有効性の確認を行った後, 限界指標を用いた損傷度曲線算定法に提案手法を取りこみ, 橋脚及び斜面の地震時安全性に関する損傷度曲線の試算を行った.
  • 時田 英夫, 永井 政伸, 三木 千壽
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_55-794_65
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    首都高速道路は首都圏に位置し, 複雑な道路網を形成しているとともに交通量が非常に多く, 過酷な状況下で供用されている. 近年, 首都高速道路では構造物の損傷が目立ち始め, 維持管理の重要性が高まっているが, 維持管理費縮減のため, さらなる点検・補修の効率化が求められている. 首都高速道路公団では, 以前から交通実態把握のための起終点調査, 軸重違反車両の取り締まりを目的とした車両軸重の計測を料金所で行っている. 本研究では, 起終点調査から得られた大型車通過経路および料金所で計測された車両軸重を用いた疲労環境の評価手法を提案し, 首都高速道路の疲労環境について評価を行った.
  • 櫻井 信彰, 藤川 敬人, 水上 繁樹, 松井 繁之, 長井 正嗣
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_67-794_86
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 支間30m程度以下の小規模鋼橋梁における, 床版構造まで含めた既存の構造形式の課題を挙げ, その解決方法を提案し, 実験および解析によって検証したものである.
    まず, 床版構造については合成床版を採用し, ハンチ構造の廃止およびプレハブ化に伴う桁接合方式の簡略化を提案するとともに, それらの妥当性を解析および静的実験, 輪荷重走行試験により検証した. 次に, 形鋼主桁と高耐荷力の合成床版の組合せを活かして, 中間横桁の完全省略を行い, その設計法を提案し解析的に検証した. 最後に, 連続桁構造の長支間化における障害となる負曲げモーメントに対処するため, 現場連結方式の中間支点構造を提案し, その設計法の妥当性をFEM解析, 静的試験により確認した.
  • 大塚 久哲, 矢葺 亘, HA Ngoc Tuan, 朝掘 泰明, 角本 周, 後藤 将明
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_87-794_100
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 人工軽量骨材を利用した鉄筋コンクリートの部材耐震性能を評価するために, シリンダー試験と中心軸圧縮実験により, コンクリートの基本物性を把握し, 帯鉄筋による拘束効果を考慮した軽量コンクリート応力―ひずみモデルを提案した. それとともに正負交番載荷実験を行った実験結果, 鉄筋コンクリート部材履歴特性や減衰特性などを定量的に把握した. さらに, 提案された応力―ひずみ関係を使って, 部材変形特性をシミュレーションし, 実験結果を精度良く推定できることを確認した.
  • 安原 真人, 市川 篤司, 三木 千壽
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_101-794_114
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    鋼製ヒンジラーメン橋脚 (以下, ヒンジラーメン橋脚) を用いた橋梁は, 重要な交通機関の交差部に採用され, 地震被害によっては社会的な影響も大きく合理的な耐震評価手法の確立が望まれている. 耐震評価に際しては, 桁や支承を含む橋梁全体系に対して3次元挙動を評価する必要があるため, ヒンジラーメン橋脚については精度を確保しつつ, 極力簡便にモデル化する必要がある. 著者らは, ヒンジラーメン橋脚のほか, その隅角部や脚柱部ヒンジ支承を部分的に切出した試験体の正負水平交番載荷実験を実施し, これらの弾塑性挙動を実験的に把握した. 本研究では簡便かつ実用的な耐震評価手法として, 材端バネを有する線材要素でヒンジラーメン橋脚をモデル化する方法について検討した. 特に, 隅角部や脚柱部ヒンジ支承のモデル化の方法を検討し, その妥当性を実験結果から検証した.
  • 谷井 恵, 神山 眞
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_115-794_129
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    仙台市圏に展開されるアレー観測システムSmall-Titanの強震記録を用いた計測震度の統計処理による「揺れ易さ」のゾーニングと, PS-P時間のゾーニング構築について述べられる. 仙台市圏の「揺れ易さ」分布は, 地盤との相関がみられる一方で, 表層地盤だけでは説明できない領域も存在する. そこで, 深い地盤構造の影響を把握するために, レシーバー関数とコンプレックスエンベロープに着目しPS-P時間を算定する手法が提示される. 両手法の妥当性については, (独) 防災科学技術研究所KiK-net仙台観測点の地盤資料をもとにした理論走時と同観測点の観測記録から算定したPS-P時間とを比較することで判断される. 最終的に2つのゾーニングの相関性から, 仙台市圏のサイスミックソーニングについて考察がなされる.
  • 車谷 麻緒, 寺田 賢二郎
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_131-794_142
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    有限被覆法 (FCM) は, 一般化有限要素法のひとつであり, 解析対象領域とは無関係にメッシュ分割が可能なことから, メッシュフリー法としても知られている. 上記の性質により, FCMでは要素内に部分的に物理領域を有する特殊な要素の存在を許容している. 本研究および本論文では, このような一般化有限要素法に特有の要素を「一般化要素」と名付け, その近似性能について, 要素のゆがみやせん断・体積ロッキングを題材に, 特に高次の有限被覆近似を用いた際の基礎的な性能評価を行った. その結果, 高次の有限被覆近似に基づく一般化要素は, 有限要素と比較して同程度, あるいはそれ以上の近似性能を有することが示された. 本研究ではFCMを対象とするが, 検討結果はその他の一般化有限要素法であるX-FEMやGFEMにも同様に適用される.
  • 田崎 賢治, 幸左 賢二, 山口 栄輝, 庄司 学
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_143-794_156
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    1999年の台湾集集地震で被災した橋梁の中から, 地表面に不均一な地盤の割れや移動が確認されていないにもかかわらず, 2つの桁が落橋した長庚大橋を対象に, 被害分析を実施した. 地震後に実施した被害調査や現地測量, 現地の橋梁管理者から入手した詳細図面をもとに非線形動的解析を行った結果, 本橋は地震時に桁同士が玉付き衝突を起こし, 桁が橋台パラペットにめり込み, 落橋に至った可能性が高いことを明らかにした.
  • 森 猛, 山崎 信宏, 山口 実浩
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_157-794_169
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    ボルトの呼び径+6.5mmまでの拡大孔を有する高力ボルト摩擦接合継手のすべり耐力と降伏耐力について, すべり/降伏耐力比をパラメータとして製作した1行3列の継手試験体の引張試験を行うことにより検討している. そして, すべり耐力は拡大孔を用いても標準孔の場合と比べて低下することはない, 降伏耐力は拡大孔による純断面積減少に比例して低下する, 降伏耐力は連結板の荷重分担作用により母板の純断面積と降伏応力から推定される耐力の1.2倍程度となる, などの結果を示している.
  • 堀 宗朗, 井上 純哉, 市村 強, 中村 光, 若井 明彦, 海老澤 健正, 山口 直也
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_171-794_188
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    地方自治体の防災担当者が地震被害を予測するための技術力を向上させることは地震防災促進に直接の効果がある. 技術力向上の方策として本研究は種々の耐震設計の共通化と構造物地震応答の可視化を検討した. 情報科学の手法を使ってフローチャートを再構成し, 共通の枠組みの中で土木・建築構造物の代表的な耐震設計を理解できるようにした. 応答の可視化を行うため, さまざまな解析手法を統合して実行するコンピュータシステムを検討した. 解析手法とシステムの通訳プログラムを作成することで統合を実現し, さらに, 通訳プログラムを自動作成する人工知能の検討も行った.
  • 小池 武
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_189-794_202
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本論文は, 日常の定期点検・補修を受けて一定の安全性を確保している長距離パイプラインの維持管理戦略を事業者の立場から経営的視点に立って合理的に決定するためのリスクマネジメント手法の展開と数値計算例を提示したものである. とくに, 経年劣化する管路のリスクを低減するための点検・補修とリスク転嫁のための損害保険の効果を反映した最適維持管理戦略について検討した.
  • 河田 直樹, 川谷 充郎, 金 哲佑, 十名 正和
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_203-794_212
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    近年の道路橋における環境問題の一つとして, 日常生活に多くの悪影響をもたらす低周波音が社会的に注目を浴びている. しかし, その現象は発生要因など不明確な部分が多く, 効果的な対策が見いだせないのが現状である. 本研究では実橋梁を対象に, 交通振動により橋梁から放射される100Hz程度までの低周波音の理論解析を試みる. 橋梁と車両の連成振動解析により得られる床版応答結果から, 波動理論により任意の地点における音圧レベルを導き出す. 橋梁振動解析および低周波音解析の結果, 橋梁加速度応答および周辺における低周波音の実測値をほぼ再現することができ, また, 騒音低減対策として有効と考えられる桁端部RC巻き立て補強および床版増厚補強についてその効果を確認することができた.
  • 石井 建樹, 寺田 賢二郎, 京谷 孝史, 岸野 佑次
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_213-794_225
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    異種材料界面の剥離および構成材料内部での不連続面の形成を一貫して追跡する破壊進展解析手法を提案する. 提案手法では, 異種材料界面の剥離・進展の過程をLagrange未定乗数法とCohesive crackモデルを組み合わせた界面要素を導入することで追跡し, 構成材料内部での不連続面の発生・進展は引張強度に注目した不連続面の形成とCohesive crackモデルの組み合わせによって合理的に表現する. そして, 有限被覆法 (FCM) をベースとすることで不連続面を要素形状に依存せずに表現でき, これらの複数の手法は無理なくスムーズに連結される. 破壊進展を扱う例題に適用し, 破壊進展解析手法としての性能を例証する.
  • 前田 良文, 飯島 基裕, 浅井 洋, 春日 昭夫
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_227-794_238
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本稿は, 新しい構造形式である波形鋼板ウェブエクストラドーズド橋における斜材定着構造の安全性の確認と本構造の終局時までの非線形挙動を把握することを目的として行った実験について報告するものである. 実験の結果, 設計荷重時および終局時において, 考案した斜材定着構造の安全性を確認した. また, 終局時において鉄筋が降伏すると波形鋼板ウェブが引張力を負担し, 圧縮破壊と同時に波形鋼板ウェブには亀裂が生じて脆性的な破壊が生じる可能性があることが明らかとなった. また, 本構造の非線形挙動は, 波形鋼板の剛性を考慮したファイバーモデルによる非線形解析にて十分評価可能であり, この手法を用いることで合理的な設計が可能となることが確認できた.
  • 松岡 昌志, 若松 加寿江, 藤本 一雄, 翠川 三郎
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_239-794_251
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    日本全国の任意の地点での地盤特性を評価するために, 全国的にS波速度に関する調査資料が得られている約2000地点について, 深さ30mまでの地盤の平均S波速度 (AVS30) と微地形区分との関係を検討した. 微地形の判読は, 全国の微地形を統一基準で分類した「日本全国地形・地盤分類メッシュマップ」の分類に従い, 大縮尺の地形分類図を用いて目視判読により正確に行った. その結果, 微地形ごとのAVS30には地盤の形成過程や堆積環境に起因する違いが認められ, 標高, 傾斜, 古い時代に形成された山地・丘陵からの距離を説明変量とした回帰式によって, AVS30が比較的精度よく推定できることを示した. さらに, 日本全国地形・地盤分類メッシュマップを利用して, 広域でのAVS30分布図を作成した.
  • 伊藤 義人, 矢澤 晃夫, 佐藤 和也, 顧 浩声, 忽那 幸浩, 山本 吉久
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_253-794_266
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震で鋼製支承の橋梁に大きな損傷を生じたことから免震支承の有効性があらためて認識され, 免震ゴム支承は全国的に普及しつつある. 免震ゴム支承の長期間に及ぶ使用実績が少ないため, 信頼性の高い劣化特性の把握が望まれている. そこで, 橋梁の性能照査型設計で地域特性や設置環境を考慮できる免震支承用ゴムの劣化特性予測を可能とするための基礎的研究を行った. 劣化による材料特性値変化の基礎データ取得を目的とし, 免震支承用ゴムの種々の環境条件下での長期的な環境促進実験を行った. 実験条件には免震支承用ゴムの主要な劣化要因として認識されている熱酸化劣化, オゾン劣化, 光劣化, 海岸地域での飛来塩分や酸性雨の劣化環境を設定し, 有効な基礎データを得た.
和文報告
  • 熊野 拓志, 青木 徹彦, 塚本 芳正, K.A.S. SUSANTHA
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_267-794_280
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究ではコンクリートを充填せずに鋼製橋脚の耐震性能を向上させる方法として, 柱基部の補剛板にテーパー鋼板を用いた鋼製橋脚について正負交番繰り返し載荷実験を行い強度と変形性能の把握を試みた. 耐震性能に与える影響が大きいと思われるパラメータとしては, 既往の研究結果などから, テーパー率 (板厚変化率) や縦方向補剛材剛比など4項目を選定した. 実験の結果, 基部にテーパー鋼板を用いた鋼製橋脚について, 上記パラメータが強度や変形性能に及ぼす影響について明らかにしたとともに, 本構造形式により優れた変形性能を発揮できることを確認した.
  • 川崎 俊次, 中村 俊一, 勝浦 啓, 横山 薫
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_281-794_290
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    歩行者の水平方向起振力特性を把握するため, 被験者を水平振動する加振台上で足踏みさせ, その水平起振力を測定した. 加振振動数は0.75Hzから1.25Hz, 加振振幅は10mmから70mmの範囲とした. 得られた起振力波形は規則的ではあるが, そのパワースペクトルには1.0Hzと3.0Hzの2つの卓越振動数があった. 最大起振力は30N-130Nの範囲にあり, 起振力は加振振幅に比例して大きくなった. 本実験条件下では, 少なくとも体重の8%の水平力が作用すると推定された. 加振台の動きに対して被験者が同調する場合と同調しない場合があり, 被験者の個人差が大きく影響した. 5人の被験者の起振力の位相差にはばらつきがあり, 複数人歩行時の起振力は, 単独歩行時の起振力の単純和の30%から70%と推定された.
  • 酒井 久和, 吉田 望, 澤田 純男
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_291-794_300
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    非線形地震応答解析において一般に広く採用されているNewmarkのβ法とWilsonのθ法に対する地盤震動解析を対象とし, 不釣合い力の取り扱い方法の違いにより生じる誤差の特性を明らかにした. 検討は数種の時間積分法を用いた解析例で行った. 地盤震動解析の目的が, 一般に構造物の耐震性評価にあることから, 地表における応答加速度スペクトル, 表層と基盤との応答倍率など, 構造物側から見た指標をもとに時間積分法の誤差と周波数特性との関係を調べた. 解析の結果, 非線形不釣合い力に対する取扱方法のわずかな違いが, 加速度応答スペクトル等で有意な差として現れる場合があり, 解析を行う際には, 所定の計算時間間隔で指標とする解に対して十分な精度を有するか事前に確認する必要があるという結論が得られた.
和文ノート
  • 松島 良成, 矢吹 哲哉, 有住 康則
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_301-794_306
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    南西諸島に位置する沖縄県は, 亜熱帯島嶼地域に属しており, その特有な地形・地質特性と地震動特性の関係を把握し, それを適正に評価することは, 地震災害を最小限に抑える上で非常に重要である. 南西諸島地域における地質層序構成は, 新第三紀鮮新世に形成された島尻層群の有無により分類することができ, 道路橋示方書によると, 島尻層群を含む地質層序では島尻層群, 島尻層群を含まない地質層序では古第三紀以前に形成された層を工学的基盤とし, 耐震設計に係る設計スペクトルが設定される.
    そこで, 本研究では南西諸島地域で観測された地震動を利用し, 島尻層群の有無による地震動特性の差違と道路橋示方書に基づいた工学的基盤を適用する際の課題について検討する.
  • 丸山 喜久, 山崎 文雄
    2005 年 2005 巻 794 号 p. 794_307-794_312
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    日本道路公団の行った2003年5月26日宮城県沖の地震時に高速道路を走行していた運転者へのアンケート調査をもとに, Simple Kriging法により推定した高速道路沿線の地震動強さと自動車運転者の反応の関係について検討を行った. その結果, 計測震度4.0未満の地域を走行中の運転者のうち, 地震に気付いた運転者は4割に達していないが, 計測震度が4.0以上になると8割程度以上の運転者が地震を認識するようになることが分かった. 地震を認識した理由には, 車両の異常な振動が最も多くあげられており, 震動が車両の走行安定性に何らかの影響を与えることが推測できる.
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