土木学会論文集
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2000 巻, 648 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
  • 大住 道生, 魚本 健人
    2000 年2000 巻648 号 p. 1-8
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    塩化物イオンの浸入によりコンクリート中の鉄筋の腐食が開始する場合の, 腐食速度の予測を差分法による拡散計算により行った. コンクリート中の鉄筋の腐食速度は鉄筋表面の酸素濃度に比例し, 腐食速度は鉄筋表面の腐食因子により決定されると仮定することにより, 鉄筋の腐食速度の経時変化が求められることを示した. また計算の結果から, 鉄筋の腐食速度は, かぶりコンクリートの塩化物イオン透過性とその不均一度に大きく影響されることがわかった. さらに, 腐食箇所以外の塩化物イオン濃度も高い可能性が示され、腐食位置のかぶりコンクリートのみのはつりだしによる補修方法は不十分であることを指摘した.
  • 鈴木 基行, 秋山 充良, 山崎 康紀, 松中 亮治, 土井 充
    2000 年2000 巻648 号 p. 9-21
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 信頼性理論に基づき, 地震開始時から任意時刻までにおける構造物および構成部材の破壊確率を算定する手法, およびマルコフ過程を用い構造物の破壊確率および構成部材の損傷確率を算定する手法を提案した. 提案された手法は, 破壊確率と損傷確率により構造物および構成部材の破壊と損傷の時間的推移を定量的に評価できる特徴を有する. さらに, 提案された手法に基づき, 支承 ―RC橋脚― 杭基礎から構成される橋梁システムの地震時における安全性評価を行い, 支承, 橋脚, 杭基礎の破壊および損傷が橋梁システムの安全性に及ぼす影響について検討した.
  • 柳井 修司, 坂田 昇, 信田 佳延, 岡本 享久
    2000 年2000 巻648 号 p. 23-32
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    人工軽量骨材コンクリートI種に自己充てん性を付与することを目的として, 水粉体容積比, モルタルの単位容積質量, 軽量粗骨材の種類および単位量を要因として, 流動性試験, 充てん性試験および材料分離抵抗性試験を行った. その結果, 人工軽量粗骨材を使用した高流動コンクリートは, 粗骨材の密度が小さいことから, 粗骨材の浮上りによる材料分離が生じやすいこと, 適正なモルタルの粘性 (水粉体容積比), モルタルの単位容積質量および単位粗骨材量を選定することで, 軽量粗骨材の特性に応じて, 高流動性, 自己充てん性, 材料分離抵抗性を有する軽量骨材コンクリートの配合を選定できることが分かった.
  • 斉藤 修一, 石垣 洋, 松島 学, 関 博
    2000 年2000 巻648 号 p. 33-42
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    山岳地の送電用鉄塔は, 深礎基礎を多く適用している. 従来, 送電用鉄塔の脚材定着は, 支圧板と呼ばれるリング状プレートを節状に取り付ける方法を用いていた. 脚材定着法の統一化を考え, 本研究ではアンカーを取り付けた定着法の適用性について検討した. 模型実験を行い, 破壊モードは割裂破壊であることを確認し, 既往の支圧板定着での耐力算定式の適合性を検討した. その結果, アンカーからコンクリートに伝達される力の方向が形状によって異なり, この方向が耐力に影響を及ぼしていると考えて結論づけ, 支点反力モデルを提案した. 本モデルを導入した耐力算定式により求めた計算値は, 実験値との良い整合を見せた. さらに, 数値解析を行って本モデルを検証し, 妥当性を明らかにした.
  • 石橋 忠良, 小林 薫, 海原 卓也
    2000 年2000 巻648 号 p. 43-54
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    RC橋脚や柱部材の地震時変形性能を適切に評価するためには, く体部分の曲げやせん断による変形性状を把握するとともに, フーチングからの軸方向鉄筋抜出しに起因する回転による水平変位も精度よく把握する必要がある.
    本研究は, RC橋脚や柱部材の地震時変形性能評価の基礎となる軸方向鉄筋のフーチングからの抜出し量に着目し, 部材塑性率が10程度となるような大変形領域の交番荷重時に適用可能なフーチングからの軸方向鉄筋抜出し量算定法の提案を行うものである.
  • 石橋 忠良, 津吉 毅, 小林 薫, 小林 将志
    2000 年2000 巻648 号 p. 55-69
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリート構造物の耐震設計を合理的に行うためには, 地震時の部材の塑性変形レベルに応じた損傷状況を適切に把握する必要がある. 本文では, 実際の鉄道ラーメン高架橋柱を想定したじん性率10程度以上の高い変形性能を有するRC柱の静的正負交番載荷試験結果から, 部材の塑性変形レベルと部材の損傷状態の相関, 損傷範囲等をとりまとめ, 損傷状態に対しては, 主として補修の難易度の観点から評価を行った. また, 塑性率10程度以上の塑性変形レベルで損傷を受けた試験体を補修し, 補修した試験体による正負交番載荷試験により, 補修後も十分なエネルギ-吸収能力を有することを確認した.
  • 佐藤 靖彦, 浅野 靖幸, 上田 多門
    2000 年2000 巻648 号 p. 71-87
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, コンクリートにエポキシ樹脂を用いて接着した炭素繊維シートの付着性状を実験的に明らかにし, その挙動および強度を予測できる手法を提示するものである. すなわち, 炭素繊維シートの付着長, 積層枚数, 付着幅, を実験変数とした付着試験を行い, その付着機構を実験的に明らかにした. さらに, 実験結果に基づき, 炭素繊維シートの付着応力-すべり-ひずみ関係の構築を行った. また, 付着応力-すべり-ひずみ関係を用いた数値解析に基づき, 炭素繊維シートの付着強度式を提案した.
  • 田中 浩一, 大内 一, 長沼 一洋, 緒方 辰男
    2000 年2000 巻648 号 p. 89-108
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大規模地震に対する, 鋼管・コンクリート複合構造橋脚の実用設計を意識した評価法の提案を行う. 第1に鋼管・コンクリート間の付着モデルを得る目的で, 付着試験を実施する. 第2にこの付着モデルを用い, 既に実施した模型試験結果の2次元FEM非線形解析を行って, 説明を加えるとともにメカニズムを明らかにする. 第3にこの解析モデルを使用して数値実験を行い, 試験結果と併せて検討し, 曲げ耐力および終局変位を含む荷重―変位関係モデル, および動的解析に用いる復元力モデルを提案する. また, PC鋼より線, および鋼管のせん断負担を含め, 実用的なせん断耐力評価式を提案する.
  • 小門 武, 細田 尚, 宮川 豊章
    2000 年2000 巻648 号 p. 109-125
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    スランプフロー試験における高流動コンクリートの流動挙動を数値流体解析によってシミュレートすることの妥当性とその限界を, 高流動モルタルを用いた実験値との比較を通して考察し, (1) 変形速度の大きい高流動コンクリートを対象とする場合には, スランプコーンが引き上げられる途上でのスランプコーン側壁の影響をモデル化する必要があること, (2) 塑性粘度と降伏値との比が1.0sec. 以上の場合には, 解析値はフロー半径と到達時間との関係を実験値と比較して高い精度 (±20%) でシミュレートしていることを明らかにしている. そして, 数値流体解析を通して, 降伏値と塑性粘度がフロー半径到達時間に与える影響, さらに, スランプフロー試験から高流動コンクリートのレオロジー定数を評価する方法が示されている.
  • 冨田 芳男, 岩波 光保, 大即 信明
    2000 年2000 巻648 号 p. 127-135
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 衝撃弾性波の応答特性を利用してPCフレッシュグラウトの充填評価を行う手法について検討を行ったものである. PC鋼棒をばねおよびダンパを用いてモデル化し振動解析を行うことにより, グラウトの充填程度が振動の減衰特性に影響を及ぼすことが示された. このことを踏まえて, 真鍮球の振り子打撃により生じたPC鋼棒の振動測定を行った結果, 特に1次の固有振動モードの減衰傾向に着目することにより, フレッシュグラウトの充填状況を評価できることが明らかとなった. さらに, 実大のPC床版に対する本手法の適用性についても実証した.
  • 細谷 学, 川島 一彦, 宇治 公隆
    2000 年2000 巻648 号 p. 137-154
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    炭素繊維シート (以下, CFSと呼ぶ) を鉄筋コンクリート橋脚 (以下, RC橋脚と呼ぶ) の周方向に巻いて横拘束を与えた場合のじん性を定量的に評価する方法はまだ確立されていない. そこで, CFSで横拘束した円形断面RC橋脚の正負交番水平載荷実験を行い, 平成8年道路橋示方書V耐震設計編におけるファイバーモデルの考え方を用いて, 著者らの実験以外のデータを加えた合計25体の実験結果を解析し, CFSで横拘束したRC橋脚の終局水平変位の算定方法を検討した. この際, 著者らが別途開発したCFSと帯鉄筋の両者による横拘束を考慮できるコンクリートの応力度-ひずみ関係式を適用するとともに, 矩形断面橋脚には形状による補正係数を導入して, 実験結果に適合するように終局水平変位の算定方法を提案する.
  • 小俣 富士夫, 川上 洵, 徳重 英信
    2000 年2000 巻648 号 p. 155-166
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ポリマーモルタルは, その高い接着性能からコンクリート構造物の補修用材料として広く用いられているが, セメントコンクリートと比較して一般に硬化収縮が大きく, その硬化収縮が被補修体であるコンクリート部材に及ぼす影響を的確に評価することは重要である.
    本研究は, ポリマーモルタルの硬化収縮特性を新たに開発した測定方法により定量的に評価し, さらに被補修体であるコンクリート部材に導入される初期応力を明確に検討するために, ポリマーモルタルをALCまたはセメントモルタルに打ち継ぐ実験および解析を通して, 2層構造の観点から硬化収縮特性の評価を行った.
  • 中島 聡, 村上 祐治, 堤 知明, 松島 学
    2000 年2000 巻648 号 p. 167-178
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    超硬練りコンクリートの締固め特性を明らかにするため, 繰返し載荷三軸試験を行った. その結果, 非排水状態において, 繰返し載荷荷重を大きくした場合には, 間隙圧が上昇し破壊に至る液状化現象が観察された. また, 試験から得られた繰返し回数と密度増加の関係は, 転圧前の密度比と転圧力により決定される双曲線により近似できた.
    この双曲線関係を実際の振動ローラーによる締固め現象に適用するために, 超硬練りコンクリート内の転圧力の分布を仮定して, 振動ローラーによる締固めのシミュレーションを行った. その結果, 実際の振動ローラーによる締固めをある程度再現できることがわかった.
  • 幸左 賢二, 曽根 英樹, 中田 恒和, 田坂 幹雄
    2000 年2000 巻648 号 p. 179-190
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    震災により大きな被害を生じた阪神高速3号神戸線RC橋脚を対象に詳細調査により損傷度を定量的に評価した. その結果, 地中部に新たに多くのBランク損傷が発見された. また, As, Aランク橋脚のうち, 段落としを有する橋脚は72基あり, すべて段落とし部で損傷するとともに, せん断耐力相当加速度も306galとB1ランク以下の353galよりもかなり小さかった. そして, As, Aランクで段落とし無しにも関わらず中間部で損傷した11基はせん断耐力曲げ耐力比が1以下で, せん断耐力相当加速度も327galとB1ランク以下の397galに比べて小さいことが明らかとなった.
  • 郡司 保雄, 井上 武美, 赤木 寛一
    2000 年2000 巻648 号 p. 191-202
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    中央高速道路府中舗装工事 (調布IC~日野橋間, 延長11.4km) は本格的な高速道路建設時代に突入した昭和42年11月 (1967年) に供用開始し, 20年以上にわたり修繕を行うことなく良好な路面を保持してきた. 舗装の耐久性は最も重要な技術課題であり, 耐久性のある舗装が得られた要因を検討した結果, 表層混合物の配合にあると判断した. 多量のアスファルト量にもかかわらず, 良好な耐久性が達成できたのは「容積配合設計」の考え方を導入したことによるものである. 本研究は, アスファルト混合物の「骨材間隙率」を求めることができる「間隙率計算式」を提案し, 骨材粒度に基づく加熱アスファルト混合物の骨材間隙率を推定する計算式を実験的に調査したものである.
  • 石田 哲也, 前川 宏一
    2000 年2000 巻648 号 p. 203-215
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 種々の環境作用を受ける構造物中のセメント硬化体のpH変動, 組織の変性を, 時間軸と共に追跡する一般化手法の確立を目指したものである. ここでは特に, 二酸化炭素の侵入に伴うpH低下の評価を主たる対象とし, 二酸化炭素の移動・平衡, 反応に関与する物質の解離・イオン平衡, 炭酸化反応に対してモデル化を行った. また, 各現象の数量化に用いる空隙構造, 内部水分状態, 水和生成物量・種類等は, 熱力学モデルと連成解析システムによって得た. 提案手法により, 異なる養生条件, 環境条件及び配合に対して, 炭酸化進行現象が統一した枠組みで追跡可能になった.
  • 上原子 晶久, 下村 匠, 丸山 久一
    2000 年2000 巻648 号 p. 217-226
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 連続繊維シートで補強されたコンクリート部材のせん断耐力を評価するための手法を提案するものである. 提案した手法は, 一軸引張付着試験より導出したシートとコンクリート間の付着構成モデルを用いて, せん断ひび割れを跨ぐシートの剥離過程を評価することにより終局時にシートが負担するせん断力を算定する方法である. 本法は, 従来の方法で用いられていたシートの種類による修正係数を用いる必要がないこと,「せん断圧縮破壊モード」と「シート破断モード」を合理的に区別してせん断耐力の評価を行えることが特長である. 既往の実験データを用いて提案手法の検証を行い, その適用性について論じた.
  • 佐藤 弘史, 秋葉 正一, 栗谷川 裕造, 秋山 成興
    2000 年2000 巻648 号 p. 227-238
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 表層, 基層の両層や鋼床版上の舗装用混合物の材料評価, あるいは補強層を有する舗装用混合物の材料評価などを想定し, いくつかの舗装材料で層状に構成された曲げ試験用混合物供試体の弾性的な応力および変形について, 2次元弾性解析を行った. 次にこの結果を用い, 供試体を構成する各層の層厚や材質, あるいは各層境界面の接着状態の差が変形特性に与える影響について数値計算により調べた. その結果, 多層構造を有する舗装用混合物の材料評価や材料定数を推定する上で必要となる変形特性に関する基礎情報が得られた.
  • 辻 幸和, 栖原 健太郎, 森田 俊哉
    2000 年2000 巻648 号 p. 239-242
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋳鉄製カップラー接合具は, 鋳鉄製カップラーとアンカー筋とを組み合わせて2体のプレキャスト鉄筋コンクリートRC部材の一体化を可能とする接合具であり, 接合を迅速かっ機械的に行うことができる. 本文では, この接合具で接合したRCはりの接合部の水密性状を評価するため, 接合部に60kPaの水圧を作用させる透水試験を行った結果を報告する. 接合部の水密性は, 使用状態の範囲内においては十分に確保でき, 鋳鉄製カップラー接合具は, 地下への埋設を想定したプレキャストRC部材に対しても適用が可能であることを明らかにした.
  • マイナ ジェイムス, 横田 漠, 松井 邦人, 黒林 功
    2000 年2000 巻648 号 p. 243-252
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, FWDたわみ相互の相関が逆解析結果にどのように影響するかを検討することである. まず, 建設省土木研究所で行われたFWD試験の中でたわみ相関の比較的強いデータを用いて, 相関のない表面たわみ及び実測値とほぼ同じ相関を持つ表面たわみの二種類をモンテカルロシミュレーションして, たわみの相関が逆解析に与える影響を検討した. さらに, 相関の程度が異なる表面たわみを理論的に算出のうえ逆解析を行い, 相関の程度が逆解析に与える影響を調べた. その結果, たわみの標準偏差が同じ場合相関が強いほど, 逆解析結果のばらつきが小さくなることが明らかになった.
  • Mohammad Reza SALAMY, 余 国雄, 田辺 忠顕
    2000 年2000 巻648 号 p. 253-264
    発行日: 2000/05/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究においては, 鉄筋コンクリートの1次元部材 (軸引張, 或いは軸圧縮部材), 或いは2次元部材 (はり, 或いは壁部材) の局所化破壊, 特に2次元部材のせん断破壊について, 材料レベル構成則の Acoustic Tensor の固有値解析から導かれる分岐枝と破壊との関連を詳細に検討した. その結果, RCはりのせん断破壊現象ならびにひずみの発生状況などの現象の説明がより合理的に行えることが判明した.
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