土木学会論文集
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1996 巻, 531 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 中村 豊
    1996 年 1996 巻 531 号 p. 1-33
    発行日: 1996/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    構造物および地盤の耐力を把握し, 発生した外力をモニターするために, 警報システム「ユレダス」と復旧支援システム「ヘラス」を開発した. 「ユレダス」はP波初動を検知して, マグニチュード, 震央位置および深さを推定し, 必要地域に4秒以内に警報を出す地震警報システムである. 「ヘラス」はユレダス情報をもとにP波検知後数分で被害を予測し, 迅速・的確な地震後対応を支援する. ヘラスに関連して, 「被災しやすさ指数」K値群を提案した. K値群は, 地盤や構造物の健全度計測のために開発された「ピック」を用いて常時微動を測定することにより, 簡便に精度良く算定できる. 地震前の微動測定データに基づくK値群と実際の地震被害とを比較して, K値群が被災しやすさを的確に表現していることを確認した.
  • 神山 眞
    1996 年 1996 巻 531 号 p. 35-49
    発行日: 1996/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    最大加速度, 最大速度, 最大変位などの最大値パラメータと強震動の卓越周期に関する関係が不規則振動論に基づき理論的に導かれている. この関係は相当する二つの最大値パラメータに対する卓越振動数の相乗平均を有効振動数として調和振動の加速度, 速度, 変位の振幅の関係と相似の関係を有する. ここではこれらの関係が簡単な定理としてまとめられている. この定理を利用して加速度, 速度, 変位の不規則地震動の卓越周期の範囲を最大値パラメータのみから求める方法が導かれる. さらに, このような最大値パラメータと卓越周期の関係を発展させて, 最大値パラメタータのみから地震動のスペクトルを求める方法が誘導される. これらの方法は日本および外国で得られている強震記録に適用され, その妥当性が理論と実測結果との比較に基づき確かめられる.
  • 杉戸 真太, 関口 宏二, 八嶋 厚, 岡 二三生, 田口 洋輔, 加藤 要一
    1996 年 1996 巻 531 号 p. 51-63
    発行日: 1996/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震の地震動記録が得られた4つの鉛直アレー観測点を対象として, 地震計の設置方位誤差について検討した. 時間帯および周波数帯を限定した各深度の地震動記録の水平面における変位オービットを比較することにより, センサーの水平面内における回転誤差を割り出した. 液状化現象が現れたポートアイランドのアレー記録を用いて液状化解析を行い, 設置誤差を考慮した入力地震動波形を用いることの重要性を具体的に示した.
  • 香月 智, 伊藤 一雄, 石川 信隆, 阿部 宗平
    1996 年 1996 巻 531 号 p. 65-76
    発行日: 1996/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, ホロノミック弾塑性解析法を利用したトラス構造の弾塑性信頼性解析法を開発するとともに, 不確定な土石流, 堆砂圧, 中詰材圧荷重を受ける鋼製枠砂防ダムの弾塑性変位を限界状態とする安全性照査法を提案するものである. すなわち, まずホロノミック弾塑性解析法の基本式を信頼性解析法に適用可能なように誘導するとともに, 各種弾塑性モードの創出法を開発した. 次に, トラス構造の弾塑性変位限界および構造崩壊による変位限界の二つの限界状態に関する信頼性解析法を提案した. さらに, これを用いて不確定荷重を受ける3部材トラスの弾塑性信頼性解析を行って本法の妥当性を検証するとともに, 鋼製枠砂防ダムの安全性照査法について検討したものである.
  • 石川 智巳, 依田 照彦
    1996 年 1996 巻 531 号 p. 77-86
    発行日: 1996/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震のような繰り返し荷重を受ける骨組構造物では, 鋼構造物中の応力レベルが塑性域に達することがある. このような繰り返し荷重下での鋼構造物の弾塑性挙動を, 有限要素法などの解析手法を用いて十分な精度で評価するためには, 繰り返し荷重下での応力ひずみ関係を忠実に表現しうる弾塑性力学モデルの開発と, この非線形現象を精度よく解析するためのアルゴリズムの開発が必要である. 本論文では, 構成式に2曲面モデルを導入し, 解析手法には, 反復過程に不平衡変位最小法を提案することにより, 簡便で精度の高い弾塑性有限変位解析手法を提案した. 数値解析例により, 提案手法の有用性を明らかにした.
  • 泉谷 恭男
    1996 年 1996 巻 531 号 p. 87-92
    発行日: 1996/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    密に配置された加速度型地震計アレーで観測された17個の地震のS波記録を解析し, 地震動卓越方向特性に対する震源, 伝播経路, 地盤の影響について検討した. アレー全体の平均的な地震動卓越方向は同一地震についても周波数毎に異なり, 震源での放射特性をそのまま反映しているわけではない. また, 地震動の偏向の程度は地震規模が大きいほど, 震源距離が長いほど, 周波数が高いほど弱くなる. 各観測点での局所的な地盤の影響は, 震動方向や周波数によってかなり異なる. この原因として, 表層地盤が異方的な性質を有している可能性が考えられる.
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