本論文では, 建設市場の縮小等の建設業を取り巻く昨今の厳しい社会環境の下で, 建設分野が新たな方向に進む上での, リスク工学という新しい考え方の適用性とその展望について述べるものである. ここで取り上げるリスク工学とは, 昨今注目されつつある金融工学の根幹をなす理論であり, リスクを定量的な指標として取り上げ, その評価・対応について議論するものである. 具体的には, 本論文では建設市場の縮小に対する方策として, 海外建設プロジェクトの受注拡大, PFIに代表される民間資本導入による公共事業の推進, 構造物の維持・補修に関する市場の拡大という3つの方策を対象とし, これらの方策を推進することに関連するリスク要因を明示するとともに, その対応策についても言及する.
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