土木学会論文集
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1998 巻, 595 号
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  • 水野 直也, 仲村 治朗, 斎藤 一郎, 高野 忠
    1998 年 1998 巻 595 号 p. 1-15
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    愛知県知多市南浜地区に新第三紀常滑層地盤に円筒形の連壁 (山留壁) を構築の後, 内部を掘削し, 容量16万klのLNG地下タンクを建設している. 内部掘削時の連壁の変形, 地盤のリバウンド計測を実施し, また掘削地盤のサンプリングによる局所変位計 (LDT) を用いた三軸圧縮試験も実施して, 変形係数を定弍化した. これらのデータに基づき連壁や地盤の変形を解析的に再現することが出来, また連壁に作用する側圧 (土圧+水圧) や地盤変形特性が把握できたので, ここに報告するものである.
  • 谷口 徹, 請川 誠, 多田 幸司, 中川 浩二
    1998 年 1998 巻 595 号 p. 17-26
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 非円形シールド掘削機の開発が活発に行われている. この主な理由は, 道路, 鉄道, 電力洞道などのトンネルにおいては, 使用時のトンネル内空形状が矩形であることが多く, 余分な掘削空間を削減することができるためである. シールド工法においては, シールド機と共にセグメントも重要な要素であり, 機能性および経済性を備えた矩形セグメントが望まれている. 本文は, 従来のハンチを持ったセグメントに対し, 隅角部に曲がり梁の設計手法を取り入れた矩形コンクリートセグメント (CRセグメント) を設計し, 実物大の供試体を製作し, 継手試験とリング載荷試験により性能を確認したので報告する.
  • 小山田 欣裕, 谷本 俊充, 佐藤 昌志, 林 亜紀夫
    1998 年 1998 巻 595 号 p. 27-37
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    温根沼大橋は, 側径間の4径間連続鋼銀桁部に鉛プラグ入り積層ゴム支承を有する免震橋である. 1994年10月4日に北海道東方沖地震M8.1,Δ=約100Kmを受け, 橋梁各部と地盤の挙動を測定することができた. この地震は, 震度法の設計において想定している地震強度に相当する影響を与えたと考えられる.
    本論文では, この地震の本震と前震の記録をもとに, 構造物と地盤の各部分の挙動の周期特性と, 構造系内の伝達特性, および免震装置の挙動を分析した. また, 上記の分析結果と免震装置の載荷試験結果をもとに復元力特性を設定し, 非線形動的応答解析を行い, 本橋において, 設計の際に想定した免震の効果が得られたか否かを考察した.
  • 小田 恵之輔, 鍛治 茂仁, 居相 好信, 中島 浩平, 中川 浩二
    1998 年 1998 巻 595 号 p. 39-49
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地盤改良工法の一種である高圧噴射撹拌工法は, 従来鉛直方向の施工が主に行われてきた. 水平方向への施工法を確立するための一つの課題が, 周辺地盤や近接構造物への影響を未然に防ぐことであると考え, 強制排泥装置を有する新しい工法の実証的な検討を行った. 影響を与える原因は噴射撹拌に伴い地盤内の応力を変化させることにあると考えられるが, 施工時に地盤を一時的に液化させるため応力がある程度変化することは避けられない. 実際の施工では地盤内圧力を適切な値に維持することによって影響を最小にすることを目標にして, その適切な圧力を数値解析と現地実験によって検討した. これらの結果を用いて, 施工時に維持すべき適切な圧力とその圧力を維持する方法について考察した.
  • 藤木 広一, 渡辺 則雄, 森 利弘, 村田 均, 濱田 尚人, 仙頭 紀明
    1998 年 1998 巻 595 号 p. 51-65
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    消防法の改正に伴い, 数多くの既設屋外タンクが液状化対策を講じる必要に迫られる. このため, 補強リング付きソイルセメント柱列壁を用いた液状化対策工法の提案を行い, 振動台模型実験および数値解析手法を用いて対策効果, 対策工の安全性について検討した. その結果, 本対策工を施すことによりタンクの沈下を軽減できること, 本対策工の基本原理はタンク基礎地盤を対策工で取り囲んで地盤に対する側方拘束力を高め, 地盤の変形を抑制することにあることおよび対策工に対する設計法の提案を行い, その提案法が有効であることを明らかにした.
  • 皆川 勝, 佐藤 茂, 上谷 丈和
    1998 年 1998 巻 595 号 p. 67-76
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    エキスパートシステムの開発にあたっては, 知識獲得の困難さがボトルネックであり, 不確定情報を扱えること, 知識の更新機能をもつことが重要である. 本研究では, 仮説と仮説間の関係を構成要素とするネットワークで表現された, ルールベース洗練機能付汎用型推論システムを構築した. 適用例として, 道路橋RC床版の損傷要因推定のための既存エキスパートシステムのルールベースを用いて, 提案するシステムの有効性を検討した. その結果, 適切な事例を教師データとして提示することによって, ルールベースが洗練され損傷要因推定の精度が顕著に向上することが示された.
  • 三戸 憲二, 今田 徹, 山崎 良一, 野本 寿, 山崎 宏
    1998 年 1998 巻 595 号 p. 77-89
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    筆者らは, シールドトンネルのセグメントにおいて, 合理的に曲げモーメントを伝達できる継手構造を考案した. このセグメントは, セグメント継手を円周方向に段違いに配置するとともに, 継手面にホゾを設けることで, せん断抵抗力と継手間距離によって曲げモーメントを容易に伝達できる構造となっており, その形状から「ウイングセグメント」と呼称している. 本論文では, セグメント継手の曲げモーメント伝達機構を「添え梁モデル」理論式で説明するとともに, 継手要素試験で得られた継手のバネ定数を基準に添え梁モデルによる感度解析を行い, ウイングセグメントの特徴を検証した. その結果, ウイングセグメントは, せん断剛性の向上でボルトへの負担の低減, 継手全体の曲げ剛性の向上が可能なことが示された.
  • 山田 直明
    1998 年 1998 巻 595 号 p. 91-101
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は周囲の地山の異方性が内張水圧鉄管の応力に及ぼす影響について論じ, また, 周囲の地山にグラウト注入を行った時の地山の改良度や, ジャッキ試験による弾性係数と水室式水圧試験による弾性係数の相違は, 地山の粘着力と内部摩擦角及び地山の被りによって決まることを理論的に明らかにし, 実際の計測直によって検証し, 今まで未解明であった内張水圧鉄管の設計の諸問題を明らかにした.
  • 谷本 俊夫, 吉武 勇, 中村 秀明, 谷 直彦, 浜田 純夫
    1998 年 1998 巻 595 号 p. 103-116
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    積雪時において特に橋梁あるいは高架橋上でのスリップ事故が多発しており, その防止策として埋設パイプ型ロードヒーティングシステムが考えられている. しかしながら, その設計に関しては十分な基礎資料が得られておらず, 経験に基づいてなされているのが実情である.
    そこで本研究では, 橋梁床版の融雪・凍結防止に関する基礎資料を得る目的で, 特にパイプ間隔および温水温度が融雪効果に与える影響について室内実験を行うとともに, 屋外現場実験とFEM解析との比較を行った. また温水パイプ利用の場合には省エネ・環境保全の観点から地下水の利用が考えられる. そこで, 恒温域の地熱分布を計測し, そこでの地下水が利用可能かどうか検討した.
  • 宮本 重信
    1998 年 1998 巻 595 号 p. 117-125
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    熱容量の小さい鋼床版橋の路面は凍結しやすく, しばしば交通事故をもたらしている. 2~5℃で凝固・融解する蓄熱材を鋼床版に封入することで, 凍結を抑制する工法を福井市内で既に実用化した. その効果を設計時に知ることができれば, 他の地域での実用化に有用である. そこで, 気象台の日原簿データを読み込み, 放射・対流・蒸発・融雪の熱収支計算を行い, 蓄熱材なしの鋼床版橋, 蓄熱材封入鋼床版橋の路面の温度を逐次求めていく数値シミュレーションを行った. 降雪と放射冷却が繰り返された10日間, 計算値は実測値と一致した.
  • 羽矢 洋, 西村 昭彦
    1998 年 1998 巻 595 号 p. 127-140
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鉄道の基礎構造物設計基準では, 平成9年度に限界状態設計法が導入された. この中では, 地震力としてマグニチュード8, 震央距離40km程度の海洋型地震を想定しており, これにより設計震度は従来と比べ大きくなった. しかし, 平成7年1月に発生した兵庫県南部地震 (マグニチュード7.2の都市直下型巨大地震) の持つ地震力は, その値を大きく上回るものであり, 従って, このような大地震力を考慮した基礎の設計法の確立が急がれている. 本論文では, このような大地震力を念頭に, 基礎構造物のうち, 浅い剛体基礎として分類される「直接基礎」の設計法の確立を目的に行ってきた実験的研究および解析的研究の成果をまとめ,「大地震力を考慮した直接基礎の設計法」について提案を行った.
  • 中村 兵次, 平島 健一
    1998 年 1998 巻 595 号 p. 141-158
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    著者らは既報の論文において, 粘性土地盤を対象として, 掘削土留め工の設計に広く使用されている弾塑性法に用いる背面側土圧, 掘削面側平衡土圧, 掘削面側受働土圧, および掘削面側の水平地盤反力係数の新しい設定方法を提案した. 本論文では, それらの論文で提案した水平地盤反力係数の設定方法を, 下方に存在する硬い地盤の影響を考慮し得るように拡張するとともに, それらの論文と本論文で提案した土圧および水平地盤反力係数の適用性に関する検討結果を示す. これらの一連の研究成果を踏まえて, 粘性土地盤における一般的な掘削土留め工の設計に使用する弾塑性法の入力項目としての土圧および水平地盤反力係数について, 合理的でかつ実用的な設定方法を提案する.
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