土木学会論文集
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2003 巻, 737 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
  • Hideo NAKAMURA
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 1-11
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
  • 基礎的技術と実務的展望
    藤井 聡
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 13-26
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    これまでの交通計画では, 人々が自主的に社会的に望ましい交通行動を行うような“行動変容”を期待する交通施策, すなわち, 心理的方略に基づく交通計画は十分に検討されてこなかった. 本稿では, 態度と行動の変容のための基礎的な“技術”を包括的に論ずると共に, 既存の諸研究を, その議論の中に位置づける. これにより, 人々との態度と行動の変容を前提とする交通計画のために必要とされている研究課題を明らかにする. それを通じて, 本稿では最終的に, 人間の行動と心理を理解することが不可欠であること, そして, そのためには, 様々な研究者, 行政者, 実務者の間で, 知的な共同作業が望まれていることを主張する.
  • 実務的課題と展望
    谷口 綾子, 藤井 聡, 原 文宏, 高野 伸栄, 加賀屋 誠一
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 27-37
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 交通需要マネジメントの心理的方略TFPの定義を明確にし, コミュニケーション方法の差による手法の相違を整理した上で, 分類を行った. 既存のTFP事例は, 個々人の交通行動へのアドヴァイスやフィードバックの方法から, (1) 転換意向別アドヴァイス型, (2) 個別アドヴァイス型, に大別する事ができる. 本研究では, これらの方法を用いた事例をレビューし, TFPの効果を把握するとともに, TFPに社会心理学の知見を取り入れ, 今後, 実務的にもより効果的なTDM施策へと発展させるための方向性を示唆する.
  • 室町 泰徳, 竹内 大一郎, 原田 昇, 太田 勝敏
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 39-46
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    違法路上駐車問題は典型的な社会的ジレンマの問題の1つと考えられている. ドライバーは最も利便性の高い選択肢として違法路上駐車をつい選択してしまう一方, ドライバーが全員路外駐車場を選択すれば道路交通状況がかなり改善すると考えている. 本研究では, このような違法路上駐車問題をドライバーが社会的ジレンマとして認識している点を確認した後, 駐車利便性重視態度と法規遵守重視態度という駐車場所選択行動に関わる潜在変数を仮定し, 共分散構造分析を用いて同定した. また, 潜在変数を用いて調査サンプルを分割して, 駐車場所選択モデルを推定し, 推定結果より法規遵守態度の形成は, 強力な違法路上駐車の抑止力として機能することを示した.
  • 高山 純一, 中山 晶一朗, 桶川 真美, 青野 祐也
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 47-55
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 人々に直接自動車利用を抑制するように訴えることによって自動車利用が減少するのかを検討するために, 主婦・会社員の一般の被験者および学生の被験者に自動車利用抑制を要請し, パネル的なアンケート調査により, 自動車利用の変化を調査した. 統計的検定の結果から, 要請により, 一般の被験者は自動車利用を抑制する傾向があり, 特に主婦は有意に自動車利用を抑制することが分かった. しかし, 学生は要請によっては自動車利用を抑制する傾向は見られず, 個人属性により要請に効果があるのかが異なる結果となった. 元々環境意識が高かった被験者と低かった被験者に分類し, 検定を行った結果, 元々高かった被験者はそれ以上環境意識を向上させ, 自動車利用を減少させることは難しく, むしろ, 元々は低かった人の方が環境意識の向上・自動車利用の抑制が見られた.
  • 大藤 武彦, 西林 素彦, 藤井 聡
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 57-66
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, ドライバーに協力的な経路選択行動を依頼するコミュニケーションによって, 経路選択行動の変容がなされることを実証的に分析することを目的としている. 実験のフィールドは阪神間地域であり, 阪神高速3号神戸線を利用するドライバーを対象として, いくつかのタイプのコミュニケーションを試み, 5号湾岸線への転換という行動意図及び実際の行動変容を検証・評価するとともに, その持続性についても検討を加える. 実験分析の結果, 協力行動の依頼コミュニケーションによって, 環境に配慮した経路選択をするという意識が活性化され, 5号湾岸線に転換するといる行動意図も活性化された. さらに, 実際の行動変容もなされたことが確認された.
  • 金井 昌信, 青島 縮次郎, 杉木 直, 柳澤 一貴
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 67-78
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年のモータリゼーションの進展により, 地方都市においては公共交通, 特にバスの利用率は年々低下し, 日頃全くバスを利用しない人が増加している. そしてこれらの人は情報の不足からバスを利用可能交通手段として認識していない場合があることが考えられる. そのため今後のバス路線活性化のためには, まず地域住民にバス交通に対して関心を持たせるような心理的方略を行うことが重要であると言える. そこで本研究では『バス利用モニター実験』を実施し, この実験を通してバス利用に対する態度がどのように変化し, それによってバスに対する利用意向がどの程度向上したのかを計測することにより, 意識レベルでのモニター実験の効果を検討した.
  • 京都100円循環バスの社会実験と市民応援団活動の記録から
    中川 大, 北村 隆一, 塚口 博司, 宗田 好史, 酒井 弘
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 79-87
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 試行運行開始直後には利用者数が低迷していたにもかかわらず社会実験を経た後に需要が格段に増加した京都市都心部の100円循環バスの事例に着目し, 実験の前後において基本的にはサービス水準は変化していないこと, 実験の過程において市民の応援活動が自然発生的に広がったこと, それに伴って一般市民やマスコミなどの見方も変化してきたことなどの事実をもとに, 市民の行動や意識変化が需要増加の大きな要因となっていると考えられることを示す. とりわけ, その過程においては, 公共交通に対する意識が変化して需要や採算を自分自身の問題として捉えるという見方が示されるなどの現象がみられ, 市民の自主的・内面的な行動変容を示す事例として重要なものであることを示す.
  • 松村 暢彦, 新田 保次, 谷村 和則
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 89-100
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 交通行動変容の心理的方略のTFPの課題の一つである手続き簡略化について取り上げた. TFPはこれまで1週間のダイアリーデータに基づいたアドヴァイスの提示を行ってきた. これを1日間のダイアリーデータに簡略化したときの態度, 行動変容に及ぼす影響を大阪市西淀川区の住民を被験者とした心理学的実験 (N=103) を通して検証した. その結果, 1日間に短縮した場合でも平日の自動車の利用削減効果が有意となった. このことから, パーソントリップ調査でのダイアリーデータをTFPへ活用すれば, 都市圏マスタープラン策定という目的以外に自動車利用の抑制を目的とした心理的方略としても効果が期待できることが示唆された.
  • THE EFFECTS OF EDUCATING YOUNG ADULTS ABOUT TRANSPORT PRICES
    Sally CAIRNS, Kazuko OKAMURA
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 101-113
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    This paper reports on research examining the effects of educating 17-18 year olds about the financial costs associated with different kinds of travel behaviour. Results suggest that with only a minimal educational intervention, significant changes in attitude can be achieved, relating to the desirability of car ownership and use, and the attractiveness of owning a more environmentally-friendly vehicle. This paper discusses the theoretical rationale for making this type of educational intervention with this age group, the detailed results of the experiment, and plans for future work.
  • 久井 守, 山本 耕作
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 115-124
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 交通量変動に応じて制御パタンを切り替えるパタン選択型の交通応答式系統制御を対象とし, 制御の高度化を意図して制御パタン切り替え制御を最適化し, 切り替え頻度と制御効果の関係について検討した. 制御パタン切り替え政策はDPで最適化し, 評価指標の総遅れ時間はシミュレーションで求めた. 計算例から, 交通量変動に応答して制御パタンを切り替えると制御効率は改善されることがわかった. しかし切り替え頻度が多すぎるとかえって制御効率の悪化をまねくので, 切り替えによる制御効率が期待できるような交通量変動のある時間帯を考慮し, また切り替えが過度にならないように配慮して切り替え制御を実施するのが望ましいということがわかった.
  • 小谷 益男, 古市 朋輝, 児島 正之, 岩崎 征人
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 125-131
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    この論文は, 従来高速道路の交通容量の推定が定点における映像観測や車両感知器による収集データに依存していた手法を改良した試みについての報告である. とくに, 映像観測では, 交通容量状態が出現する日時や地点を予測して観測に臨む必要があった. このため, 多くの労力とコストをかけたにもかかわらず目的とする交通状態を観測できないといった不都合が発生することもあった. また, 車両感知器は対象道路区間の多地点で大量のデータを一時に収集できる利点を有しているものの, 反面, 設置地点が限られており, その地点が必ずしも交通容量上の隘路となっているわけではない. 本研究では, 従来の方法におけるこのような短所を補完する手法を提案し, 実在道路上で実車走行実験を行って推定した交通容量の有効性を検討した.
  • 安藤 昭, 赤谷 隆一, 佐々木 栄洋
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 133-145
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 街路景観の主観的な評価手法の提案を目的として, 盛岡の街路景観を例に, 景観について感受性の鋭い人々を選び出す手法と, 街路景観の総合的評価方法を提示した. 本稿では, 街路景観評価のための尺度として「善い-悪い」と「好きな-嫌いな」の形容詞対を用い, 街路景観の評価時における被験者の側性眼球運動 (Lateral Eye Movement) を測定した. このLEM実験に対する脳波測定実験からの検討を踏まえ, LEM実験値を指標に被験者の大脳半球機能の左右差を求め, その結果を基に景観について感受性の鋭い人々を選び出し, 街路景観の理性的評価と感性的評価を行った. これにより、街路景観の総合的な評価方策の検討の一部となり得ることを示した.
  • 喜多 秀行, 谷本 圭志, 福山 敬
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 147-157
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    個人間での意思決定に基づく個人の選択行動を分析する道具としてゲーム理論がある. ゲームを用いてある現象の再現を試みる場合には, 利得を正確に与える必要がある. しかし, ゲームの分析者は利得を観測しえないため, これをどのように推定するかが問題となる. 一方で, ゲームの結果は分析者によって観測可能である. そこで本研究では, 同一の利得関数をもつプレイヤーによって行われる2人ゲームを複数回観測した結果を用いて利得の構造を逆解析する方法を提案する. その際, 離散選択モデルをベースとし, 最尤推定法を用いることで利得を推定しうることを示す.
  • 布施 孝志, 清水 英範, 前田 亮
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 159-173
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    交通工学・計画の一層の高度化に向けて, 道路上の車両動態に関する, 広域を対象とした詳細かつ効率的な観測手法が要請されている. 車両動態の詳細を把握するための最も適した方法のひとつに, 高度から撮影された動画像による計測が考えられる. 本研究は高度撮影画像を用いた車両動態の詳細を認識する手法の構築を目的とする. 具体的には, 時空間画像において背景差分値, オプティカルフローの情報, かつ, 車両挙動の連続性, 車両形状を考慮した時空間クラスタリングに基づく車両動態認識手法を構築し, その適用可能性を検討した. 航空HDTV画像 (空間分解能10cm, 時間分解能1130秒) に対し提案手法を適用し, 提案する車両動態認識手法の有効性を確認した.
  • 赤倉 康寛, 高橋 宏直
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 175-188
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 外貿コンテナ流動について, 主要アライアンスの流動量及び基幹航路での消席率を推計することを目的としたものである. 本研究では, 既開発のコンテナ船寄港実績に基づく総流動量推計モデルを, (1) 入力データの高精度化, (2) 実入コンテナ総流動量算定への対応, (3) アライアンス総流動量算定への対応において発展させた. この発展モデルにより, 全世界のコンテナ総流動量に加え, 主要アライアンス毎の実入コンテナ総流動量を推計した. また, 推計値をアメリカー東アジア航路のPIERS実績値と比較し, 高い精度を有していることを確認した. 加えて, 主要アライアンスの基幹航路の投入船腹量を算定し, アライアンスによる消席率の相違を推計した.
  • 織田 澤利守, 小林 潔司
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 189-202
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究ではプロジェクトの事前評価問題と再評価問題の相互作用を考慮したプロジェクト評価の方法論を開発する. その際, プロジェクトの再評価によりプロジェクトの実施による不可逆性を部分的に回避できることに着目する. プロジェクトの事前評価問題と再評価問題を同時に考慮した総合的な評価体系とするためには, 事前評価の時点においてプロジェクト再評価により生じる損失回避便益 (中止オプション価値) とプロジェクト廃棄に伴って既投資費用が無駄になることを回避する便益 (タイミングオプション価値) を同時に考慮する必要がある. 本研究では, リアルオプション理論を用いて以上の要件を満足しうる事前・再評価システムを提案する.
  • 外井 哲志
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 203-210
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究の輸送モデルは, 複数の港湾間でコンテナ貨物を輸送する場合に, 荷役費用を含んだ輸送費用が最小になる最適輸送パターンを線形計画法に基づいて求めるものであり, 施設整備の前後の条件を入力データとしてそれぞれの最適輸送パターンを計算し, 輸送費用の変化を施設整備の効果としてとらえることが可能であるが, 適用ケースの規模が大きくなった場合, 貨物船の経路および貨物船間のトランシップの組み合わせが増大し, 総組み合わせケースが膨大となるため, 実質的に計算が不可能となる. そこで, 本研究では, 貨物船間のトランシップの組み合わせを内生化する変数と制約条件を導入して, それらの変数が最適化計算の過程で決定される数学モデルの定式化を試み, これに伴う計算量の削減効果について検討したものである.
  • 福田 大輔, 吉野 広郷, 屋井 鉄雄, プラセティヨ イルワン
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 211-221
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    “休日には労働の制約が無く, 個人は, 平日には行うことのできないアクティビティを時間や予算の制約下で行うことができる”という考えに基づき, アクティビティ間のトレード・オフ関係に着目して, 休日の活動時間価値を推定する方法を体系的に提示した. まず, 時間制約, 予算制約下の最適化行動モデルにおいて, 各アクティビティの限界効用が異なる場合が生じることに注目し, 時間配分モデル, 活動選択モデルという2種類の行動モデルを導出した. 次に, 仮想データを用いた数値実験を通じて, モデルのパラメータ推定上の諸特性を明らかした. 最後に, 活動時間価値の推定方法と信頼性評価の方法について述べ, その数値実験例を示した.
  • 青木 俊明, 西野 仁, 松井 健一, 鈴木 温
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 223-235
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 公共事業を題材に, イメージが態度形成に与える影響と情報提示が態度形成に与える影響の2つを明らかにすることを目的とする. そこで, Webサイトを活用した心理実験を行い, イメージ調査とそれが公共事業への態度に与える影響を分析した. また, 情報提示が態度形成に与える影響も分析した. 分析の結果, 1) 少なくとも女性都市居住者は公共事業に対して否定的なイメージを持っていること, 2) イメージが個別事業の態度形成に与える影響は小さいこと, 3) 情報提示は信頼醸成効果を持つこと, 4) 信頼は態度形成の重要要因だが, 決定的要因ではないこと, 5) 整備効果が高い事業の場合, 情報非提示の状況で否定的態度を示したグループでは情報提示によって肯定的態度への態度変容が生じること, などが示唆された.
  • 藤井 聡, 上田 孝行, 福本 潤也
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 237-246
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
  • 関根 憲一, 花房 比佐友, 吉井 稔雄, 堀口 良太, 赤羽 弘和, 片倉 正彦, 桑原 雅夫, 尾崎 晴男, 大口 敬, 西川 功
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 247-250
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
  • 藤井 聡, 森川 高行, 倉内 慎也
    2003 年 2003 巻 737 号 p. 251-258
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
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