これまでの交通計画では, 人々が自主的に社会的に望ましい交通行動を行うような“行動変容”を期待する交通施策, すなわち, 心理的方略に基づく交通計画は十分に検討されてこなかった. 本稿では, 態度と行動の変容のための基礎的な“技術”を包括的に論ずると共に, 既存の諸研究を, その議論の中に位置づける. これにより, 人々との態度と行動の変容を前提とする交通計画のために必要とされている研究課題を明らかにする. それを通じて, 本稿では最終的に, 人間の行動と心理を理解することが不可欠であること, そして, そのためには, 様々な研究者, 行政者, 実務者の間で, 知的な共同作業が望まれていることを主張する.
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