本研究では, 生物膜の特性および生物膜内における各菌体群の分布特性を表現することを目的として, まず, 多層型生物膜モデルを構築した. 次に, 生物膜内の各菌体の分布特性を把握するために, メタン生成流動床内の担体付着生物膜をその表層から段階的に剥離させ, その基質消費活性を測定した. この実験結果から活性菌, 死滅菌に加えて新たに膜内における“休眠状態菌”の存在が実験的に確認された. さらにこの休眠状態菌を上記の生物膜モデルに導入することにより, より正確な各菌体分布の予測が可能なモデルへと改良し, 実験結果と比較することによりその妥当性の検討を行った結果, 本モデルにより活性菌, 休眠状態菌, 細胞外ポリマーの膜厚方向濃度分布をほぼ表現でき, 構築したモデルの妥当性が示された.
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