土木学会論文集
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1995 巻, 527 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 山田 正, 日比野 忠史, 荒木 隆, 中津川 誠
    1995 年1995 巻527 号 p. 1-13
    発行日: 1995/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は気候, 地形, 標高の異なる3つの山地流域に著者らが設置した数多くの雨量計から得られた降雨量データに基づき, これを統計的に解析し, かつレーダー雨量計出力との比較を通して地形性降雨の水文学的特性を抽出することを行ったものである. この結果, 1) 山地斜面の降雨量は標高に対してほぼ線型に増大しており, その実験式を提案した. 2) この線型回帰式の勾配も降雨強度, 降雨量とともに大きくなっている.3) 非地形性降雨の雷雨の場合には1) の結果はあてはまらない. 4) 山麓あるいは平地で観測した降雨量から山地流域の平均降雨量を推定する式を提案しており, その結果山地部は平地の約3割増しの降雨があることがわかった. 5) 観測時間スケール (5分から60分) ごとの最大降雨強度を推定する式を提案した.
  • 羽田野 袈裟義, 平野 宗夫, 李 寅鉄, 楊 永荻
    1995 年1995 巻527 号 p. 15-26
    発行日: 1995/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    漸拡水路を流下する傾斜密度流フロント部の流動に関する著者らのモデルをプリュームとサーマルの実験に適用し, 先端部の発達, 混合そして速度特性を規定するパラメータを実験的に検討した. その結果, 連行と断面平均流速の流下方向の変化による先端部の発達を示すふくらみ係数mはサーマルとプリュームにおいて底面勾配や水路拡幅率により変化すること, 底面勾配と水路拡幅率がほぼ同じ場合mは両方の流れで同程度であるがEはサーマルの方がプリュームに比べて大きいこと, E/mの値はプリュームでは1より多少小さくサーマルでは1より大きいことがわかった. この事実はプリュームとサーマルの本質的な差異を示し, 両方の流れの密度と速度の変化特性の差異が説明される.
  • 杉山 均, 秋山 光庸, 亀澤 正之
    1995 年1995 巻527 号 p. 27-36
    発行日: 1995/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    開水路流れは自由水面を有するため閉管路とはその乱流構造を大きく異にする. 特に, このことは開水路を特徴づける縦渦において顕著である. さらにこの縦渦は開水路断面によっても支配される. すなわち, 流路アスペクト比 (河川幅/水深) が小さい長方形断面開水路では, 最大主流方向速度位置の自由水面下への降下現象が認められ, 自由水面に沿って側壁から河川中心に向かう縦渦が認められる. しかし, 台形断面開水路ではこの降下現象は認められず, 縦渦も長方形断面の場合と全く逆向きの流れが認められる. そこでこの台形断面開水路をレイノルズ応力モデル, 境界適合座標を用いて三次元乱流場として数値解析を行い, 実験値と比較検討すると共に縦渦の発達挙動について新たな知見を示した.
  • 村上 啓介, 吉田 明徳
    1995 年1995 巻527 号 p. 37-47
    発行日: 1995/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    グリーン公式とポテンシャル接続法 (選点解法) を併用した2次のオーダーのストークス波と3次元構造物の非線形干渉解析法を示し, 数値解析上の留意点と実験による解析法の検証結果について述べる. 2次のオーダーの定常境界値問題では, 水表面での非同次境界条件と水底面での不透過境界条件を同時に満足する解をあらかじめ求めておく必要があるが, 任意平面形状の3次元構造物を対象とする場合にあらかじめ解を求めておくことは一般に難しい. 本解析法では, 水表面での非同次境界条件を満足する特解が, 近似的にストークス波と同様の固有関数で表されるものと仮定した.
  • 今井 剛, 楠田 哲也
    1995 年1995 巻527 号 p. 49-59
    発行日: 1995/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 生物膜の特性および生物膜内における各菌体群の分布特性を表現することを目的として, まず, 多層型生物膜モデルを構築した. 次に, 生物膜内の各菌体の分布特性を把握するために, メタン生成流動床内の担体付着生物膜をその表層から段階的に剥離させ, その基質消費活性を測定した. この実験結果から活性菌, 死滅菌に加えて新たに膜内における“休眠状態菌”の存在が実験的に確認された. さらにこの休眠状態菌を上記の生物膜モデルに導入することにより, より正確な各菌体分布の予測が可能なモデルへと改良し, 実験結果と比較することによりその妥当性の検討を行った結果, 本モデルにより活性菌, 休眠状態菌, 細胞外ポリマーの膜厚方向濃度分布をほぼ表現でき, 構築したモデルの妥当性が示された.
  • 杉尾 哲, 出口 近士, 山崎 孝一郎
    1995 年1995 巻527 号 p. 61-66
    発行日: 1995/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    統計的テクスチャ指標を用いて, 自然河岸および在来工法と近自然工法による河川護岸の景観的特徴を抽出した. 統計的テクスチャを変量とした主成分分析により, コンクリートブロック護岸, 石張・石積護岸および自然石河岸を概ね分類できる護岸表面景観の自然的様相を意味する主成分が抽出された. また, 景観保全を意図して施工されている自然石を利用した石張・石積護岸は, 自然石河岸がもつ景観的特徴を概ね良好に表現すると推定される.
  • 劉 軍, 浮田 正夫, 呉 唯民, 今井 剛, 中西 弘, 深川 勝之
    1995 年1995 巻527 号 p. 67-76
    発行日: 1995/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, グルコースおよび揮発性脂肪酸 (VFA) を基質とした実験室スケールUASBにおける嫌気性菌について, 吸水性ポリマー (WAP) を添加することによってグラニュール形成に関する影響を評価した. その結果, WAPを添加することによってグラニュール化が促進されることが実験的に確認された. また, WAPを添加した系の方が無添加系に比較してメタン生成活性が高く, グラニュールの沈降性も良好であった. 実験結果からWAPの最適添加量は750~1500mg/l程度であった. 電子顕微鏡による観察から, グルコースを基質としたグラニュールでは Methanothrix とみられる桿状菌が優占種となっており, 一方VFAを基質とした場合には Methanothrix とみられる繊維状菌が優占種となっているのが確認された.
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