土木学会論文集
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1999 巻, 614 号
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  • 山田 正, 池永 均, 松浦 直, 萬矢 敦啓, 志村 光一
    1999 年 1999 巻 614 号 p. 1-20
    発行日: 1999/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大気中に含まれるエアロゾルは降雨現象に重要な影響を及ぼす. 本研究で著者らは, 冷たい雨の代表的なモデルの1つである Rutledge and Hobbs モデル中の水蒸気から雲水への転換項にエアロゾル数濃度を考慮したバルクパラメータを導入することにより, エアロゾルの存在を考慮した降雨モデルを構築した. また, 雲水量から雨水量への転換の閾値として, 従来提案されている雲水量, 雨水量だけではなく, 雲粒の粒径を考慮した値を導入した. 本モデルを用いて地形性降雨の数値解析を行った結果, エアロゾル数濃度の増加に対して地上最大降雨強度はある値で最大値を示す結論を得たさらに著者らが行っている長大立坑を用いた実スケールの雲物理実験の観測値と本降雨モデルによる計算結果との比較検討を行った結果, 本モデルの妥当性が示された.
  • 周波数特性と確率特性
    田中 岳, 藤田 睦博, 工藤 睦信, 内島 邦秀
    1999 年 1999 巻 614 号 p. 21-36
    発行日: 1999/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    流出モデルは, 分布型定数系モデルと集中型定数系モデルとに大別される. これまで, 分布型定数系モデルを空間軸上で積分することで, 集中型定数系モデルの貯留型流出モデルが誘導され, その集中化の手法により幾つもの貯留方程式が提案されており, それらの評価法が問題となっている. 本論文では, 基礎式として分布型定数系モデルに Kinematic Wave モデルを採用し, これを集中化して得られる三つのタイプの貯留型流出モデルを評価するため, 既存の評価法を一般化し, 流出モデルの周波数特性及び降雨量が時間的に独立な確率過程である場合の流出量の確率特性を明らかにする. 更に, 流出量の1~4次モーメントを与える理論式から, その確率分布を推定する.
  • 大川 秀典, 清水 康行, 森 明臣
    1999 年 1999 巻 614 号 p. 37-49
    発行日: 1999/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    衝撃波を含む計算法は, 常射流混在流れ, ダム決壊, 氾濫流などの河川学上非常に重要な現象に適用される. 本研究では衝撃波を正確に計算する手法としてFDS法を開水路流れに適用することを試みる. FDS法は理論的にも計算アルゴリズム上においても明快であり取り扱いも易しい. したがって, 多次元問題や, 一般座標系への拡張も容易であり, より一般的な実河川の問題へ適用が可能と考えられる. 本研究では, まず元々圧縮性流体を対象に構築されているFDS法の基礎式を開水路の2次元流れに対して適用可能なものへと再構築を行う. これを用いて計算モデルを開発し, 1次元段波の理論と比較することによりモデルの検証を行う. 次にこのモデルを常射流混在の条件で行われた固定床実験に適用しモデルの検証を行う. さらに, 河床の一部が水面上に現れるような, 非常に厳しい条件での実験の再現も試みることにする.
  • 禰津 家久, 山本 義暢
    1999 年 1999 巻 614 号 p. 51-63
    発行日: 1999/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    開水路キャビティー流れは, 剥離せん断層の発達, 組織渦の発生・発達・崩壊, あるいは逆流域, 死水域の存在といった複雑な乱流場を形成する. 本研究ではこのようなキャビティー流れに対し, フルード数・レイノルズ数およびキャビティーのアスペクト比を系統的に変化させ, レーザ流速計を用いて高精度に測定した. その実験結果により乱流構造が特徴的に変化した2ケースに対して, 非定常数値シミュレーションの有力な手法である Large Eddy Simulation (LES), また可視化手法として近年有力視されている Particle Image Velocimetry (PIV) を用いてこれらの組織構造について検討し, キャビティー流れに対する2つのパラメータの影響および組織構造との関係について考察を行った.
  • 斜面下流端からの発生理論
    泉 典洋
    1999 年 1999 巻 614 号 p. 65-75
    発行日: 1999/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 斜面下流端から発生し上流側へ発達していく水路群形成過程を対象に, 表面流を表現する浅水流方程式とそれによる侵食の式を用いて線形安定解析を行うことによって, 水路群の形成される初期間隔を予測する理論を提案した. 理論によると波長が限界水深/抵抗係数の6倍~100倍程度の範囲でのみ擾乱は発達し得ることが明らかとなった. また擾乱の発達率を最大とする卓越波長は限界水深/抵抗係数の10倍程度となることが明らかとなった. 抵抗係数が0.01のオーダーであることから, 水路群の形成間隔は限界水深の1000倍程度になることが結論される. また斜面勾配あるいは限界剪断力が相対的に大きくなると水路化は起きにくくなることが示された.
  • 池永 均, 向山 公人, 大島 伸介, 内島 邦秀, 山田 正
    1999 年 1999 巻 614 号 p. 77-96
    発行日: 1999/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    塩淡二成層を有する網走湖では青潮による魚介類の生息, 水質, 生態系への被害が深刻化しつつある. 網走湖における青潮発生の物理的な機構を明らかにするため, 湖内の流動特性や風に起因する成層界面の挙動について実測データに基づく考察を行った. その結果, 網走湖の成層界面の挙動は常に基本モードの形態で生じ, その変動量は平均風速の大きさに依存することがわかった. その際, 風上側上昇界面において塩分濃度と水温により形成される躍層が分離する場合のあることが確認された. また, 網走湖の流動は風の影響が卓越する場合には閉鎖成層水域特有の吹送循環流を形成するが, 風が弱く, 地形, 流入・流出河川の影響が卓越する場合は鉛直方向に流向・流速が多岐にわたって変化する等の複雑かつ多様な流動場を形成することがわかった.
  • 大阪府石川流域
    平田 健正, 井伊 博行, 長谷部 正彦, 江種 伸之, 坂本 康, 粂川 高徳, 西山 幸治, 酒井 信行, 岩崎 宏和
    1999 年 1999 巻 614 号 p. 97-107
    発行日: 1999/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    石川流域の森林が分布する上流部では, 降水の多くは直接流出せずに, 地下に浸透してから流出することが酸素同位体比から推定された. そのため, 降水量が変動しても水質は大きく変化しなかった. また, 和泉層群が分布する河川水の硫酸イオンは地層から供給されたことが硫黄の同位体比によって推定された. 領家複合岩類が分布する河川水には, 土壌中の炭酸ガスと長石の反応をとおして, カルシウムイオン, 重炭酸イオンが供給されたことが推定された. 水田・畑地では, 肥料によって, カルシウムイオン, 重炭酸イオン, 硫酸イオン, 硝酸イオンが, 住宅地では生活排水によって, 塩素イオン, ナトリウムイオン, カルシウムイオン, 重炭酸イオン, 硫酸イオン, 硝酸イオンが河川水に供給された.
  • 荒尾 慎司, 三原 徹治, 楠田 哲也
    1999 年 1999 巻 614 号 p. 109-120
    発行日: 1999/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    雨水管路網の設計に際しては, 多種多様な考慮条件が存在するため現在でも合理的に設計がなされにくい状況にある. 同時にマンホールにおける損失が設計基準として考慮されていないという問題点も指摘されている. 本論文では, このマンホール損失が設計に及ぼす影響の明確化と最適化手法の導入による設計の合理化を目的とし, 管径・マンホール径および管勾配の主要設計要素に注目した設計基本式の定式化とその最適化手法について検討する. その主な内容は, 管勾配を固定して管径・マンホール径を決定する全損失 (管摩擦損失+マンホール損失) 最小化問題の提示と一種の最適性規準法の開発, さらに, 費用関数最小化を導入した管勾配決定問題の提示と遺伝的アルゴリズムによる解法の開発である.
  • 水谷 法美, Ayman M. MOSTAFA, 岩田 好一朗
    1999 年 1999 巻 614 号 p. 121-133
    発行日: 1999/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    著者らが開発したBEM-FEM解析モデルと Poro-Elastic FEM 解析モデルを, 波・混成堤・海底地盤の相互干渉が解析できるように改良するとともに, 水理模型実験を行ってそれらの妥当性を検証した. Poro-Elastic FEM 解析モデルには, 新たに非線形ダルシー則に基づいて評価した透水係数を採用したので, その精度は向上した. 本解析手法は, 波動場のみならず間隙水圧も精度良く計算できることを明らかにした. さらに混成堤マウンド先端部では, 間隙水圧の勾配が大きく, 液状化などの発生の可能性が高くなることを明らかにした.
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