土木学会論文集
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2002 巻, 709 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 完全情報下における参加型計画の合意形成に向けて
    木下 栄蔵, 高野 伸栄
    2002 年2002 巻709 号 p. 1-2
    発行日: 2002/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
  • 谷口 守
    2002 年2002 巻709 号 p. 3-11
    発行日: 2002/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 社会資本整備に関わる重要な意思決定場面において, 中立的な視点にたつ第3者機関の導入を進めようとする動きが急である. また, 合意形成のためにコミュニケイティブなプロセスが重視され, PIや社会実験が各所で導入されているが, 計画決定の段階で行き詰まるケースも散見される. 本研究では, 悔いの少ない決定をスムーズに導くため, わが国における第3者機関導入に際しての留意点を英国の実例も踏まえて検討する. 特に, 集団意思決定の場面において, 経済学でのフリーライダーに相当する「社会的フリーライダー」と呼ぶべき行為が存在・生起し得ることを新たに定義し, あわせて「コミュニケイティブプロセス」の限界にも配慮する必要があることについて示し, その導入の方向性を議論した.
  • 社会的ジレンマにおける利己的動機の抑制にむけて
    藤井 聡, 竹村 和久, 吉川 肇子
    2002 年2002 巻709 号 p. 13-26
    発行日: 2002/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    社会資本整備が人々にもたらす満足感はその整備水準だけでなく, その計画の「決め方」, すなわち, 計画策定プロセスにも依存する. そしてその傾向は, 社会の中の一部の人々の“犠牲”が社会全体の公共利益 (あるいは, 社会的厚生) の増進に必要な状況 (すなわち, NIMBY問題, あるいは, ステップレベルジレンマを内包する社会状況) でより顕著となる. 本研究では,「決め方」と人々の満足感との間の因果関係に関するいくつかの仮説を提案し, それを検証するために仮想的なシナリオ実験 (n=178) を行った. 実験の結果, 提案した諸仮説に一致して, 公共的な利益を明示的に議論することを通じて得られる社会的決定は, 多数決やくじ引きによる決定よりも高い手続き的に公正感と満足感を与えると共に, 人々の利己的動機の強度を低下させることが確認された.
  • 中西 昌武
    2002 年2002 巻709 号 p. 27-37
    発行日: 2002/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 集団意思決定を効果的に行うための手法として, 集団意思決定ストレス法を区間値評価に拡張した集団意思決定ストレス区間値法を提案し, Allalytic Hierarchy Process (AHP) への適用を検討する.
    この手法は, 評価者が申告した許容区間の中で原始データ (見解) を操作しつつ, 各評価者の不満の総和 (集団意思決定ストレス) が最小となる評価者格付値と集団的見解を求める. この手法の中で評価者は, (1) 自身の見解の保持, (2) 自身の格付け, (3) 自身の見解変更がもたらす集団見解や他者の格付けへの影響, のそれぞれについて多角的な考察を行い, 自身にとってもっとも望ましいと思う評価値の申告方法を選ぶことができる. またそのフィードバック情報を有効に活用すれば集団見解をより効果的に収斂させることが期待できる.
  • 谷下 雅義, 鹿島 茂
    2002 年2002 巻709 号 p. 39-49
    発行日: 2002/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 自動車関連税制が乗用車の保有・利用, そしてその結果として燃料消費量に及ぼす影響を総合的に把握するための方法論を提案する. 交通以外の財や公共交通を考慮した世帯の乗用車の保有および使用行動, 自動車メーカーの新車供給行動, そして走行環境 (移動速度), およびそれらの間の相互作用を表現する必要があることを指摘し, そのモデル化を行う. そのモデルを用いて税率や税収の使途を変更するシミュレーションを行い, 燃料への課税が燃料消費量の削減に有効であること, さらに税収の使途を公共交通や自動車メーカーへの補助に充当することにより一層削減可能であることを示す.
  • 中山 晶一朗, 藤井 聡, 北村 隆一, 山田 憲嗣
    2002 年2002 巻709 号 p. 51-60
    発行日: 2002/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 繰り返し経路が選択される中で各経路の旅行時間が系統的な誤差なく認知されるようになるのか, また, 経路選択の際に全ての経路が考慮されているのか, について室内実験に基づき解析を加えた. 主な実験結果として, 現状とは著しく異なる認知状態である「思い込み認知」が生じること, 繰り返し同じ経路を選択することにより考慮する選択肢の数が減少する「選択肢の絞込み」が生じること, 経路変更には余分な認知コストがかかること, 頻繁に選択する経路に対する正当化が行なわれることなどが示された. 従来から交通行動分析ではロジットモデル等の離散選択モデルが多用されてきたが, 本実験結果はその適用の際に選択肢集合や経路属性の入力等を慎重取り扱う必要があることなどを示唆している.
  • 堀口 良太, 小根山 裕之
    2002 年2002 巻709 号 p. 61-69
    発行日: 2002/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 土木学会での「道路利用の情報化・効率化小委員会, 評価ツールワーキング」および「交通シミュレーション実用化促進ワークショップ」において収集した, 道路ネットワークシミュレーションモデルの適用事例を通して, シミュレーション利用実態の現状を分析したものである. 分析に際しては, シミュレーションの目的, 対象ネットワークの規模や性質, また入力や評価に用いたデータの質など, 様々な角度から事例を集計し, 考察を加えている. さらに本論文の最後では, 実務レベルでシミュレーション利用を促進するための課題と, 将来の交通シミュレーションへのニーズを述べている.
  • 小池 則満, 秀島 栄三, 山本 幸司, 深井 俊英
    2002 年2002 巻709 号 p. 71-79
    発行日: 2002/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大規模災害時の負傷者搬送活動計画の策定にあたっては, 現場に長時間にわたり負傷者を留め置いてしまう危険, 長時間搬送によって生じる負傷者への負担, 集中搬送による医療機関の混乱などを評価し, 負傷者が同時に多数発生することによるリスクに対応することが必要と考えられる. そこで, 我が国における災害発生後の搬送活動において生じたと考えられるリスクを類型化するとともに,「留置リスク」,「長時間搬送リスク」,「医療混乱リスク」の定式化を行った. 次に, 航空機事故および列車事故を適用事例として取り上げ, 負傷者搬送活動において指摘されている諸問題を, 提案した各リスクによって説明できることを示すとともに, リスクの低減方法についても言及した.
  • 屋井 鉄雄, 光畑 太, 平田 輝満, 白濱 好文
    2002 年2002 巻709 号 p. 81-94
    発行日: 2002/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    メトロマニラ・マカティ地区を対象とし, 住民・沿道歩行者・公共交通利用者に, 大気汚染物質の中でも特に人体への健康影響が危惧される SPM の削減に向けた交通施策に関するアンケート調査を行った. そこから, 市民の環境に対する意識構造, 及び大気汚染による健康被害状況の把握をすることができた. また, 交通ミクロシミュレーション PARAMICS に対象地域の交通特性や沿道土地利用情報を組み込み, 現地交通流及び現地 SPM 排出の現況再現性を高めた. 最後に, 構築したシミュレーションシステムを活用し, 交通施策を導入することによる交通流及び大気環境に対する定量的変化を分析し, 評価を行った.
  • 状態スイッチングモデルの適用
    山田 晴利
    2002 年2002 巻709 号 p. 95-104
    発行日: 2002/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 状態スイッチングモデルを冬期の道路交通データに適用し, 路面状態と走行速度との関係を分析する. 状態スイッチングモデルは, Hamilton によって提案されたものであり, 時系列データの構造が観測不可能なマルコフチェーンにしたがって変化すると仮定し, それぞれの状態における構造を規定するパラメータの値, 状態の間の遷移確率を最尤法によって推定する. 状態数を2として, このモデルを冬期の一般道路において観測された走行速度データに適用し, パラメータを推定したところ, マルコフチェーンのそれぞれの状態と路面の良い状態/悪い状態とがよく一致することが示された.
  • 溝上 章志, 本田 秀太
    2002 年2002 巻709 号 p. 105-115
    発行日: 2002/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 1) ドライバーを交通情報利用と非利用のセグメントに分割し, これらの経路選択規範め相違を考慮に入れた多種流ネットワーク均衡解を求めると同時に, VICS情報の均衡利用率を推定する数理モデルを構築する. 2) このモデルは情報利用率変動型の多種流確率均衡配分モデルであり, この需要予測モデルに論理整合した便益計測法によってVICSの効果を評価する. また, 3) システム評価指標として総所要時間を用いた場合には, 所要時間情報提供がシステム全体の効率性を減少させることがあること, 4) 情報提供コストの負荷は必ずしもシステム全体の効率性を減少させないことなどを数値シミュレーションによって示し, これらの結果が生起する原因について考察を行う.
  • 塚口 博司, 松田 浩一郎
    2002 年2002 巻709 号 p. 117-126
    発行日: 2002/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    街づくりを行う上で歩行者空間を安全で快適にすることは重要な検討事項の一つである. 歩行者に満足され, 楽しく歩行できる歩行者空間を整備するには, 歩行者の経路選択行動を的確に把握し, これを計画・設計に反映させることが必要である. これまで歩行者の経路選択に関する研究は, 街路環境, 歩行者の空間的定位, 歩行者属性などに着目して分析が行われてきた. しかし, これらの要因をすべて経路選択行動分析に取り入れた研究は少なく, しかもそのほとんどが定性的な分析に留まっている. 本研究は実態調査に基づき, 歩行者の経路選択行動に関する基本的な原則を明らかにすることを目的とするものである.
  • 桑原 雅夫
    2002 年2002 巻709 号 p. 127-138
    発行日: 2002/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 静的な枠組みで提案されてきた限界費用の考え方を, 動的に拡張させたものである. 渋滞ボトルネック現象は, 時間的に動的な現象であるので, 供給関数を動学化して動的な限界費用について考察した. その結果, ある時刻の動的限界費用はそれ以降の渋滞継続時間に依存することを示した. これは, ある時刻の需要変化がそれ以降の時間帯の交通状況全体に影響を与えるという動的現象を物語るものである. 次に, 既存の研究成果をベースにして, 利用者の出発時刻選択を分析に追加した. この場合の動的限界費用を利用者の希望到着時刻と関連付けて示すとともに, 限界費用課金について考察した.
  • 高橋 宏直, 松尾 智征, 山本 幸司
    2002 年2002 巻709 号 p. 139-148
    発行日: 2002/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, モーダルシフトの主要な担い手であるとともに多様な輸送形態を有する海運に着目して, 輸送距離帯別での機関分担率を推計することを目的としたものである. 具体的には, 海運の輸送形態を在来船, RoRo船, コンテナ船, フェリーに区分し, 一般貨物のみを対象として輸送距離帯別の輸送トン数, 輸送トンキロを推計した. 次に, 自動車, 鉄道に関しても同様の推計を行い, 全体の中での海運分担率を推計した. この結果, 近年のモーダルシフトにおける海運の特性が明らかになった.
  • 高橋 宏直, 松尾 智征, 山本 幸司
    2002 年2002 巻709 号 p. 149-161
    発行日: 2002/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 海上コンテナ輸送の流動量およびその増加率が近年著しく増大している東アジアの動向を把握するために, 東アジア主要港湾におけるコンテナ輸送の特性を明らかにすることを目的としたものである. 本研究では, まず, 1998年までの20年間のコンテナ港湾取扱量の推移から, 主要な港湾の時系列的傾向を明らかにした. 次に, 港湾を通過するコンテナの流動パターンを設定することで港湾でのコンテナ流動構造を分析し, 国内と国外の港湾では特性に相違があることを定量的に明らかにした. さらに, コンテナ船の寄港実態について, 北米基幹航路と東アジア域内航路について, 航路パターンや日本への寄港パターンの観点から主要港湾の特性を分析した.
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