土木学会論文集
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2000 巻, 666 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
  • 土木学会地盤工学委員会 火山工学研究小委員会第2分科
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 1-20
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
  • 西村 淳, 兵動 正幸, 中田 幸男, 村田 秀一, 小浪 岳治, 松岡 俊夫
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 21-33
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    壁面勾配を有し, 植生緑化を特長としたジオシンセティックス補強土壁が土留め構造物として利用されているが, 一方でコンクリートパネルを壁面材とした垂直面を有するジオシンセティックス補強土壁工法の確立も望まれている. コンクリートパネルには, それ自体の自立性は乏しく, 複数の補強材により支持されており, 補強土壁全体の安定性とともにコンクリートパネル一段ごとの変形と安定性についての検討が必要となる. 本研究において, 小型の可動型擁壁装置を用い, 伸び剛性の異なる3種の補強材の組み合わせにより, パネルー段部に相当する壁面の変位と二層の補強材の張力分担特性について関係を明らかにした.
  • 山本 清仁, 小林 晃, 藤居 宏一
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 35-44
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    凍結融解による岩石の力学定数の変化を一軸圧縮試験の結果で比較検討した. 試料は栗橋花崗岩, 船生凝灰岩, 田下凝灰岩である. 一軸圧縮試験ではひずみゲージにより応力-ひずみ関係を, 画像処理では最大応力から破壊までのひずみ分布を計測した. その結果, 栗橋花崗岩と船生凝灰岩の凍結融解前後の力学定数の変化は逆の傾向を示した. 栗橋花崗岩と田下凝灰岩は脆性的になるのに対して, 船生凝灰岩は延性的になった. また, 画像解析による体積ひずみ分布と破壊時の亀裂を対応させると, 引張領域と亀裂部が比較的一致することが判った. さらに, 岩石の水分上昇観察から推定した凍結融解前後の岩石内部の亀裂変化から, 応力-ひずみ関係の変化の原因は亀裂発生の状況に依存すると推定された.
  • 川久保 昌平, 結城 則行
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 45-53
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    現在, ボアホールジヤッキ試験の評価に用いられる変形係数算定式は, 当初 Goodman が導出したものに Hustrulid や Amadei らが幾らか修正を加えてきたが, これらはいずれも第一種境界値問題として導かれた近似式である. 本論文では, 混合境界値問題から導かれる厳密解より等変位載荷条件としての厳密な算定式を求める. 後半の数値計算例では応力, 変位および変形係数の算定係数における従来の近似解との相違を示す.
  • 田中 幸久, 金谷 守, 幡谷 竜太, 佐藤 清隆, 河井 正, 工藤 康二
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 55-72
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    一般に砂礫地盤は, 砂地盤に比べて地震時液状化が生じにくいと考えられている. ところが, 最近では地震後の被害調査や考古学的な発掘調査の際に砂礫の液状化事例がいくつか発見されている. 本研究では過去に大きな地震動により砂礫地盤に生じた最大せん断応力比と砂礫地盤の貫入抵抗値の関係を求め, 液状化発生条件を調べた. その結果, 最大せん断応力比が大きいほど, また貫入抵抗値が小さいほど, 液状化が発生しやすいことがわかった. 更に, ゆるい砂礫地盤の液状化・非液状化の境界は, 従来から提案されている砂礫地盤の液状化強度評価式による計算結果とほぼ一致していることがわかった.
  • 戸部 暢, 谷口 晴美, 榎戸 源則
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 73-88
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 相平行する冷却面と, 加熱面とに挟まれた透水性のある地盤内を, 入口温度一定の地下水が、一様に流れる場合の該地盤内の温度分布を新しく導出した. 次に, この解式を用いて, 冷却面上に造成される凍土の表面と, 任意距離を持った加熱面の間を地下水が流動する場合に, 流水路中任意点での造成凍土厚と時間との関係を求めた.
    理論の応用例として, 凍結立坑において, 凍土造成領域及びその周辺部に, 局所的に止水のための地盤改良対策を施すことにより, 根切り面より多量の地下水の湧出がある場合においても, 凍土壁は安泰であり, 関連する工事を安全に施工できることを示した.
  • 田中 政典, 田中 洋行, 浅野 潤一, 東 健一
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 89-97
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    石炭灰を利用して低強度で改良を行った地盤に対して, 室内試験と電気式静的コーン貫入試験 (CPT) や孔内水平載荷試験などの原位置試験を行った. この結果, 一軸圧縮強さなどの室内試験結果のみでなくCPTからのデータを併用することによって, より正確に, かつ詳細に地盤状況を評価することができた. また, 改良地盤の一軸圧縮強さがCPTより推定される値よりも小さく評価されることやPS検層から求められた剛性率が室内試験結果よりも大きな値が得られたことなどから, ロータリー式三重管サンプラーから得られた試料は乱されている可能性のあることがわかった.
  • 福島 伸二, 北島 明, 石黒 和男, 池田 康博, 酒巻 克之, 谷 茂
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 99-116
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ため池内に堆積した底泥土は貯水容量の減少や水質の悪化などため池機能の低下の原因になる. このため一部で機能回復のための底泥土の浚渫除去が行われている. しかしこの浚渫された底泥土は, 粘土・シルト分を多く含み含水比が極端に高い超軟弱土で, その捨て場所の確保も難しくなってきている. このような底泥土がため池堤体の改修あるいは補強のための盛土材として利用できれば, 捨土処分が不要になりかつ必要な盛土材を原石山の用地買収を伴う形で求める必要がなくなるなどの利点があり, 効率的な底泥土の処理とため池の改修・補強が可能となる. そこで, 本研究は, このようなため池に堆積した底泥土をセメント系固化材で固化処理した改良土により, ため池の堤体を改修あるいは補強するための盛土材としての適用性を検討したものである.
  • 足立 紀尚, 岡 二三生, 小高 猛司, 古林 秀之, 尾崎 仁美
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 117-126
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 多孔質凝灰岩である戸室石を用い, 広範囲にわたる拘束圧に対し定ひずみ速さ排水三軸圧縮試験を行うことにより, 軟岩の変形・破壊弾動に及ぼす拘束圧の効果を明らかにしている. また, すでに提案されている足立・岡のひずみ軟化型弾塑性構成式において, 本実験により拘束圧依存性を示すことが明らかになった材料パラメータについては, 実験結果に基づき拘束圧の関数として定式化を行った. その拘束圧依存性を導入したひずみ軟化型弾塑性構成式を用いて, 三軸圧縮試験をシミュレーションした結果, 共通のパラメータで異なる拘束圧下の実験結果が精度良く説明できることが示された.
  • 片桐 雅明, 石井 武司, 斎藤 邦夫, 増田 達, 相沢 文也, 鵜飼 恵三
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 127-143
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    泥水位が低下して砂地盤中の泥水掘削溝壁が破壊する条件と破壊メカニズムを把握するために, 種々の平面形状を有する掘削溝に対し, 遠心模型実験およびせん断強度低減法を組み込んだ有限要素解析を行った. 特に遠心模型実験では, 崩壊土塊に作用する土圧変化の測定も試みた. その結果, 溝の平面形状の違いにより安定条件, 崩壊領域が異なること, さらに崩壊土塊周辺の土圧が降伏時に低下し, その低下率が溝形状に依存することなどがわかった. 地盤内の応力変化も含めたこれらの挙動は, 有限要素解析によって精度良くシミュレートすることができた. また極限釣合法を基本にして提案した簡易解析手法に用いる側方拘束力の評価式は実測値とよく対応し, その手法による安全率もほぼ妥当なものとなった.
  • 大西 有三, 大津 宏康, 矢野 隆夫, 橋村 義人, Masahiro KATO
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 145-158
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤構造物の建設に伴う力学的挙動の評価は, 一般に断層・破砕帯等を含む複雑な地質条件からなる日本の国土において, 諸外国と比較して特に重要な課題である. 岩盤不連続面のせん断強度式は Mohr-Coulomb の破壊基準を始め, 多くの研究者によって提案されているが, 不連続面の凹凸の削れやラフネスの異方性を考慮したものは皆無である. そこで, 著者らは充填物を含まない不連続面を対象として, その面の離散化ラフネスデータを用いて, 幾何学的な削れ方を考案し, 減耗率kという新たなパラメータを導入してせん断挙動を推定する方法を開発し, その解析手法の有効性を示した. 本論文は種々の供試体にその手法を適応し, その解析手法の有効性を確たるものにした.
  • 森本 浩行, 西田 一彦, 西形 達明, 玉野 富雄
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 159-168
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    現在までのところ, 城郭石垣の安定性について, 様々な観点から検討がなされている. そして, この安定性を検討する上で, 石垣の断面形状が大きく影響していると考えられる. そこで, 本研究では石垣構築技術書として「後藤家文書」を主に取り上げ, 隅角部石垣形状の設計手法について詳細に述べるとともに, 現存する城郭石垣に適用したものを例示した. さらに, 石垣形状の変遷について客観的に把握するため, 簡便な数値評価法によって判断する方法を提案した.
  • 阿南 健一, 鵜飼 恵三, 若井 明彦, 禁 飛
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 169-180
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    シールド工法または推進工法の発進防護を目的として地盤改良が行われる. この地盤改良範囲の合理的な設計方法を検討するため, 立坑の掘削過程の考慮, 開放部の形状・土被りの違い, 背面地山のすべり面の観察などに関して実験と数値解析を行い, 開放部に作用する主働土圧の発生メカニズムについて検討した. その結果, 開放部に作用する主働土圧として現状の設計に用いているランキン・レザールの主働土圧に比べ, 実験および数値計算により得られた土圧は非常に小さくなっていた. また, 開放部の土圧発生メカニズムの検討結果にもとづいて, 新たな開放部土圧算定式の提案を行った. さらに, 実際に改良体をモデル化した実験から, 本研究で提案した開放部土圧算定式により算出した土圧を用いると実験結果とよく一致することが示された.
  • 志比 利秀, 矢富 盟祥, 亀井 健史
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 181-192
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 正規圧密粘土供試体を平面ひずみ非排水圧縮せん断した場合に観察される様々な非均一な変形挙動を, 分岐という概念に基づいて解析的に明らかにすることを試みている. 粘土の構成式には, 有限変形共軸・非共軸 Cam-clay モデルを用いた. その際, 分岐時の供試体寸法比と初期の供試体寸法比の関係を導出することにより, 供試体寸法比の変化を考慮した分岐解析を行なった. また, 分岐解析結果を用いて, 分岐時の供試体内の最大せん断ひずみ分布を求めた. その結果, 分岐解析に供試体寸法比の変化を考慮した場合, 平面ひずみ対称バルジ型の変形の発生が説明できることが解析的に示された. また, 分岐解析結果から得られる最大せん断ひずみ分布からすべり面の初期発生位置, およびその形態を考察した.
  • 宮田 喜壽, 木暮 敬二, 重久 伸一
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 193-202
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高含水比粘性土を用いた盛土施工では, ジオテキスタイルを盛土内に層状に配置して, 圧密を促進しながら盛土する有効性が明らかにされている. ジオテキスタイルを排水材として効果的に配置するためには, 配置条件によって変化する粘性土盛土の安定性を精度良く推定する必要がある. 本論文では, ジオテキスタイルが配置された粘性土盛土の安定解析法として, ジオテキスタイルの圧密促進効果を考慮した水-土骨格連成極限解析法を提示している. そして, 盛土の安定性とジオテキスタイルの配置条件の関係が, 盛土の規模や形状に応じて変化することを解析的に明らかにし, 所定の安定性を確保するために必要となるジオテキスタイルの配置条件について考察している.
  • 島田 忠則, 平野 毅志
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 203-218
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    発泡スチロールを用いた剛性カルバートの鉛直土圧軽減工法の現地試験は, 昭和53年から平成10年までに11事例 (高速道路7), 発泡スチロールを用いていない突出型の剛性カルバートの現地試験は19事例 (高速道路11) が報告されている. これらの資料を収集整理して, 発泡スチロールを用いていない無処理の場合の剛性カルバートに作用する鉛直土圧の大きさを決定する要因と, 発泡スチロールを用いた場合について, 発泡スチロのルの布設条件と鉛直土圧軽減効果の関係を明確にした. また, 今までの調査報告は, 発泡スチロールの圧縮沈下と鉛直土圧軽減効果の関係を主に言及していたが, 本文においては, それに加えてカルバート裏込め部の圧縮沈下の影響についても着目して検討することにより, カルバート周辺の圧縮沈下と鉛直土圧軽減効果の関係を明確にした.
  • 福本 武明, 田崎 巧, 小国 磨
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 219-229
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    現在道路用粒状路盤材に対して不連続粒度に関する粒度規定がないことから, 本論文では, 不連続粒度をもつ路盤材の力学特性について, 数多くの室内CBR試験結果に基づき, 連続粒度のそれと比較しながら考察し, 不連続粒度が連続粒度に劣らない力学特性を有するものであることを明確にしている. そして, 現行の修正CBRの規定値に照らして, 不連続粒度の道路路盤材への適用の可否を検討し, 上層路盤材および下層路盤材として適用可能な不連続粒度の粒度範囲を特定して提示している. また, 不連続粒度を使用する際の留意事項についても記述している.
  • 木戸 研太郎, 吉中 龍之進, 萩原 捷男, 佐々木 猛, 佐々木 勝司
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 231-243
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 標高差約300mに及ぶ長大岩盤掘削斜面の長期計測記録と数値解析, 長大斜面モデルの解析および既存の関連資料との比較検討を行い, 長大斜面の変状メカニズムと安定性を考察した. 実斜面の数値解析では節理群の影響を考慮した等価連続体モデルを適用した. 以上の結果から長大岩盤斜面の安定性評価に関して次の結論を示した; (1) 変形モードと安定性に, 掘削面と節理群や弱層との角度・位置関係の影響が大きいこと. (2) 掘削高さの増大と共に前記影響の強さと影響範囲が拡大すること. (3) 変位に関する計測を行い斜面の不安定化の兆候を早期に発見する事が極めて重要であること. (4) 不安定変形挙動に特徴があること. (5) 長大掘削斜面の調査・解析・計測および対策の指針の提案.
  • 足立 紀尚, 中島 伸一郎, 岸田 潔, 伊豆 好弘
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 245-259
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    重力ダム基礎岩盤内の弱層が荷重伝達機構および基礎岩盤の破壊性状におよぼす影響の把握を目的として, 重力ダム模型実験装置の開発を行なった. まず, 弱層の無い岩盤供試体 (均一岩盤モデル) を用いて実験を行い, 応力分布, 破壊特性に関する基礎データを取得した. つづいて, 岩盤供試体内に垂直方向の単一弱層が存在するモデルについて, 弱層位置を変化させた実験を行なった. 実験結果より, 堤体下流端に弱層が存在する場合には, 下流端に大きな圧縮応力が作用し, 均一岩盤モデルに比べて破壊荷重は大きく低下した. 一方, 弱層が堤体中央部, 上流端に存在する場合には, 応力の集中は見られず, また, 破壊荷重についても均一岩盤と同程度の耐荷力を示した.
  • 川端 伸一郎, 神谷 光彦
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 261-268
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土に石灰やセメントなどを混合すると, 凍上が抑制されることが知られているが, このような凍上抑制の機構については, 未だ不明確な点が多い. 本論文は, 石灰安定処理土の透水性やpF特性の変化を調べ, 凍上性に与える影響について述べている. 一般に安定処理土の凍上抑制メカニズムは, 透水性の減少や土粒子同士の結合力が増加することが理由として考えられている. しかし, 透水係数は, 短期間で一定値に収束することが確認され, 凍上量との関連性は薄いと判断された. さらに, 粒子間の結合力を意識的に減少させた供試体についても, 凍止抑制効果が得られたことから, 従来考えられていた透水性や粒子間結合力が直接的な影響因子ではないことが示された. また, pF試験から得られた毛管水量や吸着水量は, 凍上量と良い相関関係にあった.
  • 板橋 一雄, 和田 英孝, 佐藤 健, 岩田 賢
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 269-278
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    軟岩は自然の乾湿繰返しによって細粒化することがよく知られている. しかしながら, 長期間の自然条件下での暴露試験による細粒化特性や沈下挙動はほとんど明らかにされていない. また, 長期間の暴露試験結果と室内スレーキング試験結果との対応関係もさほど明らかにはされていない. そこで, 瑞浪泥岩を用いた7年間の暴露試験と乾湿繰り返し回数最大100サイクルまでの室内スレーキング試験を実施し, 両試験における細粒化特性と沈下挙動との対応関係を調査した. その結果, 細粒化と沈下の長期間の進行が明らかになった. また, 圧縮ひずみと粒子破砕指標の関係から, 暴露年数と室内スレーキング回数との対応関係のあることが認められた.
  • 豊田 浩史, 伊藤 寿晃
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 279-289
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    テールアルメ盛土と3ヒンジアーチの土構造物は, 静的な問題に対しては海外においても多くの検討が重ねられているが, 地震を想定した動的な問題に関しての検討はまだ不十分であり, データの蓄積も乏しいのが現状である. そこで本研究では, 模型振動実験によりこの土構造物の振動特性について調べる. 動的挙動として, アーチ部材にかかる曲げモーメントやテールアルメ補強壁の変位に着目する. 動的挙動に影響を及ぼしそうな要因である加振条件や土構造物の物性値を変化させ, 挙動にどのような影響を与えるか調べる. このようにして得られた実験結果を基に, この構造物の地震時安定性を評価するためのモデル化時に重要となりうる影響因子について検討を行う.
  • 河井 克之, 軽部 大蔵, 芦田 渉, 嘉戸 善胤
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 291-302
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 水分特性曲線に与える要因の検討を行うために, 3種類の試験方法でサクションによる脱水曲線と吸水曲線を得た. 一つ目は, 初期状態 (含水比, 間隙比, 飽和度) の異なる水分特性曲線, 二つ目に, サクション履歴の異なる水分特性曲線, そして, 拘束圧条件の異なる水分特性曲線である. 得られた水分特性曲線は, その形状を定量的に評価するために, Brooks and Corey 式で近似し, 算出されたフィッティングパラメーターの値を比較した. その結果, 水分特性曲線は間隙比に大きく依存することが分かった. その効果は空気侵入値, 水侵入値に現れ, それぞれ間隙比の関数で表される. この関係を Toll の提案するサクション~間隙比/等価間隙比面に適用した新しいモデルを提案する. このモデルによって, 任意の初期状態から描く脱水曲線, 吸水曲線を予測することができる.
  • 平野 訓相, 橋詰 哲治, 山田 得義, 水谷 敏彦, 福島 伸二, 北島 明
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 303-320
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は花崗岩地帯の山地における超高盛土を含む大規模な用地造成工事を対象としているが, 民間工事では施工性と経済性を両立させるための効率的な大量・急速土工の実現が要求され, そのためには盛上材の品質確保や造成中の高盛土の安定性確認が重要である. そこでここでは盛土材として使用した粗粒の岩砕から細粒の土砂までの広範囲の粒径をもつまさ土の締固め・圧縮沈下特性や強度・変形特性を調べるために実施した圧縮沈下試験 (浸水の影響), 超大型三軸圧縮試験などの結果を報告する. また施工中の超高盛土部の安定性管理のためにの実施した変形挙動計測や,この計測結果と室内試験による盛土材の応力~ひずみ曲線を関連させて高盛土の安定性評価を試みた結果についても報告する.
  • 奥山 一典, 河原 敏之, 藤原 身江子, 平川 武, 北川 隆司, 八木 則男
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 321-331
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    マサ土は, 風化の影響で著しく不均一であるため, 地盤工学的な取り扱いが困難である. 本報告では, 二重管式標準貫入試験器による密度測定方法をマサ土に適用し, 土質定数のバラツキを経済的かつ高精度に把握することを試みた. まず. 砂置換法で測定された乾燥密度ρdfと二重管式標準貫入試験器による乾燥密度ρ2dsを比較したところ, 両者には非常に強い相関が認められた. つぎに, 不攪乱試料のせん断抵抗角φdと乾燥密度ρdの関係とρdf~ρ2ds関係を組み合わせ, マサ土のφdの推定システムを提案した. そして提案システムの検証を行い, 提案システムが十分実用に供することを示した.
  • 楠見 晴重, 芦田 譲, 西田 一彦, 河口 琢哉, 林 徹明
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 333-338
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤を対象として, 地上あるいは地中に構造物を施工する場合, セメントミルクと粘性土を機械的に攪拌させて地盤改良を行う工法がよく用いられている. しかし, この工法の改良効果の判定は, ボーリングによるサンプリングによってのみ行われている. 本研究は, 機械攪拌工法を用いた地盤改良現場において施工された改良層の改良効果を定量的に評価する手法として, S波反射法を適用して得られたデータを用いて, 速度構造解析を行うことにより, 改良した地盤のS波速度分布を求めることを試みた. さらに, 改良層のボーリングによって採取した試料の一軸圧縮強度と速度構造解析によって得られたS波速度との関係を把握することによって, 改良地盤の連続的な一軸圧縮強度分布を求めようとした.
  • 上野 勝利, 高島 伸哉, 望月 秋利, 馬 険峰
    2000 年 2000 巻 666 号 p. 339-344
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    画像解析による, 簡便で汎用的な模型砂地盤の変位場計測手法を開発した. 提案する手法は模型砂地盤表面を撮影した画像間で, 相互相関係数を用いたパターン認識により変位を求める手法であり, i) 変位場計測のための標点設置が不要である, ii) 解析領域を包含する4つの既知点の座標のみを用い, 写真撮影や画像取り込み時に生じる画像ひずみの補正が可能である, といった特徴を持つ. そのため, 模型実験での変形解析時の省力化が図れ, また過去に実施した実験の変形解析にも適用可能である. 本論文では解析原理および計測精度の検証, 解析の例示を行い, 写真撮影方法を適切に選択すれば, 2画素以内の精度で変位計測が可能であることを示す.
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