土木学会論文集
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2001 巻, 683 号
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  • 山本 貴士, 服部 篤史, 宮川 豊章
    2001 年 2001 巻 683 号 p. 1-12
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    耐震補強工法の一つであるRC巻立て工法において, 補強部軸方向にプレストレスを導入することにより, ひび割れの制御, せん断耐力の向上あるいは復元力の向上が期待できる. この場合, 橋脚へのプレストレスの適用が, 補強部材の曲げ変形性状に与える影響を把握しておくことが重要である. 本研究では, 軸方向プレストレス, 緊張材の機械的性質および補強部横拘束筋量が, 補強部材の曲げ変形挙動に与える影響を正負交番繰返し載荷曲げ試験をもとに検討した. その結果, 軸方向プレストレスの導入によるひび割れの制御, 弾性域の大きな緊張材を用いることによる補強部材の復元特性の向上が可能であり, また補強部材の靱性が, 塑性変形領域における復元特性に関係していることが判明した.
  • 細田 暁, 岸 利治
    2001 年 2001 巻 683 号 p. 13-29
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 引張応力下における膨張コンクリートの非線形挙動の機構解明を目指したものである. 曲げ部材, 一軸引張部材に対して除荷過程を含む繰り返し載荷を行い, 膨張モルタルでは最大経験応力の増加とともに除荷時剛性が顕著に低下し, 除荷後に大きな残留ひずみが発生すること明らかとなった. これらの実験結果をもとに, 引張応力下の膨張モルタルに特有な非線形挙動を合理的に説明するコンセプトを提案した. ケミカルプレストレスト部材のひび割れ抵抗性は, プレストレスによる引張強度の増加のみならず, ひび割れ発生前の変形能力が大きいことにより著しく高くなることを示した.
  • 渡邉 忠朋, 谷村 幸裕, 瀧口 将志, 佐藤 勉
    2001 年 2001 巻 683 号 p. 31-45
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震による鉄筋コンクリート構造物の被災を契機として, 種々の機関で耐震設計法の見直しがなされ, 現在も変形性能の算定手法等の精度向上に対する研究がなされている. 一方, 構造物の設計手法として要求される性能を明確に定義し, その性能の満足度を照査するいわゆる性能照査型設計体系への移行も加検討されつつある.
    本研究は, そのような現状を踏まえ性能照査型設計体系への移行へ向けて構造物の復旧性を照査する場合に必要となる部材の損傷状況と修復の為に必要となる補修工法を関連付けた損傷レベルの限界点を設定し, その限界点を算定する手法を提案するものである.
  • 岸 徳光, 三上 浩, 栗橋 祐介
    2001 年 2001 巻 683 号 p. 47-64
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, FRPシートを用いた既設RC構造物の合理的な曲げ補強設計法確立のための基礎資料を提供することを目的として, AFRPシート曲げ補強RC梁の静載荷実験結果を用い, シートの剥離性状を含むRC梁の曲げ耐荷性状を検討したものである. 検討の結果, 1) 実験では主鉄筋降伏後断面分割法に基づいた計算終局時の変位よりも小さな変位でシートが剥離し終局に至る場合と, 計算終局時の変位を上回った後にシートが剥離し終局に至る場合がある; 2) これらの破壊形式は主に等せん断力区間における主鉄筋の降伏領域とせん断スパン長の比に依存する, 等を明らかにしている. また, 本検討結果を基にAFRPシート曲げ補強RC梁の破壊形式の推定法を提案している.
  • 柳 博文, 福原 輝幸, 松岡 茂
    2001 年 2001 巻 683 号 p. 65-73
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリートの耐久性を議論する上で, 外的環境条件に呼応した熱・水分移動の予測は重要である. コンクリート母材中の水分移動は, 一般的に不飽和状態で起こり, 水分移動量はダルシー則に従うとされている. ダルシー則そのものは単純な拡散方程式ではあるが, 式中に含まれるパラメータは含水量に依存し非線形性が強いために, 水分移動に関する予測は未だ不十分と考えられる. そこで本研究では, 等温吸湿実験および毛管浸透実験を行い, 水セメント比の違いによる吸水過程硬化コンクリートの水分特性曲線および水分分布を把握し, 非定常法により不飽和透水係数および水分拡散係数と飽和度の関係を求めた. さらに, FEMによる不飽和浸透解析を行い, 既往の研究結果と比較することでその妥当性を検証した.
  • 小林 薫, 石橋 忠良
    2001 年 2001 巻 683 号 p. 75-89
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    都市部の鉄道用RCラーメン高架橋などでは, 高架下が店舗や倉庫などで利用されている場所が多い. 著者らは, このような場所のRCラーメン高架橋の耐震補強工事を高架下利用設備に触れずに行う新しい耐震補強工法の開発に取り組んできた. 本工法は, 柱の一面から後挿入する鉄筋と柱表面の4面の内, 一面だけに取付ける鋼板から既設RC柱の補強を行い変形性能を向上させようとするものである.
    本研究は, RC柱表面の4面の内, 一面だけに鋼板を取付けて補強したRC柱の交番載荷実験結果をまとめ, 実験結果に対する考察を行ったものである.
  • 小林 薫, 石橋 忠良
    2001 年 2001 巻 683 号 p. 91-102
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    都市部の鉄道用RCラーメン高架橋などでは, 高架下が店舗や倉庫などで利用されている場所が多い. このような箇所におけるRC構造物の耐震補強工事は, 店舗や倉庫など高架下利用設備があるため, 鋼板巻き補強工法等を適用するとなると既存設備の一部撤去, および復旧工事が必要になる. 工事期間中は, 店舗等の営業ができなくなるのでテナントの了解を得るための多大な労力と時間も必要となる. 著者らは, このような高架下利用箇所の耐震補強を高架橋柱部材の露出する一面から, 後挿入する鉄筋と露出した一面だけに取付ける鋼板で補強を行う新しい耐震補強工法の開発を行ってきた.
    本研究は, 後挿入した鉄筋で補強したRC柱の交番載荷実験をまとめたものである.
  • 牧 剛史, 睦好 宏史
    2001 年 2001 巻 683 号 p. 103-118
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震を受けるRC構造物全体系の耐震性能評価手法の確立を将来に見据え, 杭-地盤間の非線形相互作用を明らかにするために, 乾燥砂中におけるRC杭の杭頭水平正負交番載荷実験および動的正弦波載荷実験を行った. その結果, 杭体の最大損傷位置は杭体と周辺地盤との相対剛性によって決まること, RC杭の杭頭復元力特性に及ぼす載荷速度の影響は小さく, 繰返し載荷の影響が卓越することが明らかとなった. また3次元有限要素解析を行い, 復元力特性と変形性状の観点から比較した結果, 本解析手法がある程度の推定精度を有していることが明らかとなった.
  • 亀山 修一, 川村 彰, 早坂 保則, 高橋 守人, 笠原 篤
    2001 年 2001 巻 683 号 p. 119-129
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    世界各国において用いられている様々なラフネス測定装置から得られる舗装路面の縦断プロファイルと真のプロファイルの関係を得ることを目的とし, 1998年7月, PIARC (世界道路協会) による路面性状国際共通試験がおこなわれた. 本研究では, 国際共通試験から得られた縦断プロファイルにウェーブレットによる多重解像度解析を適用し, その波状特性を分析するとともに, 同一路線において測定された舗装構造およびFWDデータから舗装の支持力を推定し, 両者の関係について解析した. その結果, 縦断プロファイルに含まれる0.8~1.6mの波長成分と路盤上面に生じる圧縮応力の間に相関が見られた.
  • 土屋 智史, 津野 和宏, 前川 宏一
    2001 年 2001 巻 683 号 p. 131-143
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    非直交性を許容する三次元多方向ひび割れ構成則の検証を目的とし, 常時偏心軸力と交番繰り返しねじり・曲げ/せん断力の複合を受ける中実RC柱部材の挙動を, 非線形三次元有限要素立体解析を通じて検討した. 多方向ひび割れが三次元空間に導入される状況が, 解析により概ね追跡することが可能であることを検証するとともに, ねじり・曲げ・せん断力下で発生するかぶりコンクリートの剥離と主鉄筋のはらみ出しに関するモデル化が, 大変形領域では重要となることを確認した. 主鉄筋の大変形挙動を簡便に考慮した解析も併せて実施し, これらが構造挙動に及ぼす影響について検討した. 卓越するひび割れ方向が順次変化していく様子を三次元空間で視覚的に認知することが, 解析を通じて可能となった.
  • 西澤 辰男
    2001 年 2001 巻 683 号 p. 145-156
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリート舗装におけるダウエルバーを使用した横目地の荷重伝達機能をモデル化するために, 3次元有限要素法に基づいたダウエルバーモデルを開発した. ダウエルバーを目地の間とコンクリートに埋め込まれた部分に分け, それぞれを梁要素とコンクリートとダウエルバーの相互作用を表現した局部変形要素でモデル化する. モデルの妥当性を, 室内実験および実舗装における実験の結果と解析結果の比較によって検証した. さらに, 横目地の設計という観点から, ダウエルバーの形状, 配置間隔の影響について, 本モデルに基づいた数値シミュレーションによって検討を加えた.
  • ピマンマス アモン, 前川 宏一
    2001 年 2001 巻 683 号 p. 157-171
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, せん断破壊を制御する一つの方策として, 埋め込み型の人工亀裂を取り上げる. 人工亀裂を予め埋め込んだはりの挙動は, 破壊に至る経路やひび割れ発生順序の観点から複雑であり, 主として人工亀裂によるせん断伝達機構の異方性に起因する. この問題に対して, 応力とひずみの主方向に拘束条件を設けることなく, 開口方向の引張破壊とずれを伴うせん断伝達の相互作用を考慮することが必要となる. そこで, 多方向固定ひび割れモデルに基づく有限要素解析を適用した. これにより, 予めせん断異方性を有するはりの破壊経路が解析可能であることを示した.
  • ピマンマス アモン, 前川 宏一
    2001 年 2001 巻 683 号 p. 173-186
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鉄筋によるせん断補強に過大に依存すると過密配筋となり, コンクリート施工上の問題を引き起こす. そのため, 鉄筋コンクリート部材の総合的な品質の低下も危惧される. 必要にして十分なせん断補強鉄筋を配置することが肝要である. 先行ひび割れを有するRC梁の最近の実験から, ひび割れ相互干渉による分散や進展停止が部材のせん断耐力を大きく上昇させる場合があることが確認された. この現象を逆手にとり, 予め部材に埋め込まれた人工亀裂誘発材 (ACD) によってひび割れ進展を制御する方法を, 本研究で提案するものである. 限定された条件ながら, 実験検討を用いた人工亀裂によるひび割れ制御の可能性が示された.
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