著者らは, これまでに風荷重の低減を考慮した遮音壁を無響室や風洞を用いた模型実験によって検討してきた. その結果, 少なくとも模型実験では風荷重を低減できる遮音壁を製作可能なことが, 回折減音量が20dB以下の所に対してではあるが, 確認された. しかし, 模型実験はあくまでも現実の条件を理想化したものであり, この遮音壁を実用化するためには, 実車走行実験による検証が必要である. そこで本研究では, 模型実験の結果を基にして, 高さは90cmではあるが, 実物大の遮音壁を製作した. そしてそれを道路側方に設置し, 自動車を走行させた時の減音効果を調べた. その結果, 行路差の大きい観測点では, 無限大の透過損失をもつ壁が存在すると仮定して求められる理論値より2dB程度減音効果が落ちるものの, 行路差の小さい観測点では理論値に近い値を示すことが確認された.
抄録全体を表示