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坂野 茂, 宇佐美 勉, 水野 英二
1995 年1995 巻525 号 p.
1-15
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
繰り返し外力が作用する薄板 (SS400等) の局部座屈解析においては, 降伏棚, バウジンガー効果等の繰り返し挙動を十分に評価できる構成則モデルが必要となる. 本研究では, SS400鋼材などの繰り返し挙動を表現できる「修正二曲面モデル」を用い, 純圧縮・引張の繰り返し荷重を受ける板要素に対して, 有限要素法による弾塑性有限変位解析を行った. また, その結果を, 完全弾塑性, 等方硬化則, 移動硬化則などの塑性力学モデルの解析結果と比較し, 検討した.
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林 正, 渡辺 力
1995 年1995 巻525 号 p.
17-26
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
節点帯板法を用いて薄肉構造物の弾性座屈解析を行う. 本解析法は, 帯板要素に有限要素と同じ節点自由度を付与した要素を用いるので有限要素との結合も容易で, 従来の帯板法の適用範囲を大幅に拡張できる. また, 局部座屈は高次の座屈モードとなるために, 従来の帯板法では多くの級数項を必要とするが, 本解析法では長手方向に分割することにより少ない級数項で効率良く解析できる. 種々の計算例により本解法の精度を検証し, 適用例としてダイヤフラムを有する補剛箱形断面柱の座屈解析を示す.
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三輪 昌弘, 長谷部 宣男, 中島 将貴, 中村 卓次
1995 年1995 巻525 号 p.
27-38
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
境界の一部が変位拘束される薄板が面外荷重を受ける場合について, 変位拘束部分と自由境界の接点での応力集中が原因で発生するクラックと, 変位拘束部分に沿って生ずる剥離の分岐問題について解析する. 有理写像関数と複素応力関数による解法で, 一様曲げ, 一様ねじり, あるいは集中ねじりモーメントが作用する場合, 固定辺と単純支持辺のそれぞれに対して, これらの一端から生じた微小クラックの応力拡大係数と, 剥離の応力の強さを求め, さらにクラックや剥離発生のエネルギー解放率を求めて, クラックと剥離の発生条件およびこれらの破壊の進み方について, Poisson 比や荷重比を変えて考察する.
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園田 恵一郎, 鬼頭 宏明, 柳原 康男
1995 年1995 巻525 号 p.
39-53
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究で対象とする鋼・コンクリートサンドイッチ部材とは, 外殻としての薄肉鋼板の間にコア材であるコンクリートを充填しシアコネクタを介して両者を一体化したもので, 沈埋トンネル函体等の大型断面を有する構造物に適用例が見られる. 本研究は, サンドイッチ部材の耐荷性能に関与する一要因である圧縮鋼板パネルの局部座屈現象に着目し, パネル縦横比と初期応力度・たわみ量を因子とした計20体のモデル供試体の静的曲げ載荷実験と非線形有限要素法等の数値解析により, その変形と圧縮力分担性状等の終局強度特性を検討したものである. また広範な因子に対するパラメトリック解析を行い, 既存の土木学会・鋼コンクリートサンドイッチ構造設計指針 (案) での圧縮鋼板の終局強度評価法の妥当性を検証した.
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宇佐美 勉, 鈴木 俊光, 伊藤 義人
1995 年1995 巻525 号 p.
55-67
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
実際の鋼製橋脚の基部をモデル化したコンクリート充填鋼柱供試体2体を製作し, ハイブリッド地震応答実験により実地震時の弾塑性挙動を調べた. その結果, 複数回の強震地震動に対しても低サイクル疲労によるクラックなどの大きなダメージを生じず, 使用に際して支障がないことが確認された. また, ダメージを受けた鋼製橋脚の補強方法としてコンクリートを柱基部に充填することを考え, その効果をハイブリッド地震応答実験により確認した.
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宇佐美 勉, 鈴木 森晶, 葛 漢彬, Iraj H. P. Mamaghani
1995 年1995 巻525 号 p.
69-82
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究は, コンクリートを部分的に充填した鋼製橋脚の地震時保有水平耐力照査法の1つの提案を行ったものである. 基本的な考えは現行道路橋示方書に準じているが, 水平荷重-水平変位関係は弾塑性有限変位解析によって求める. 部材の破壊は, コンクリート充填部については, 有効破壊長の領域でのコンクリートの平均ひずみが0.6%に達した状態, また中空断面部については有効破壊長の領域でのフランジの平均ひずみが別途定めた補剛板の限界ひずみに達した状態と仮定した. 提案した手法によって求めた極限強度と変形能は実験結果と比較検討され, 妥当性が検証されている.
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川島 一彦, 星隈 順一, 運上 茂樹
1995 年1995 巻525 号 p.
83-95
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
既設鉄筋コンクリート橋脚の主鉄筋段落し部における耐震性を適切に評価するために, 主鉄筋の段落し位置を変化させた模型供試体の正負交番載荷実験を行い, 段落しを有する鉄筋コンクリート橋脚の破壊特性等について検討した. 実験結果を基に, 段落し部での損傷の可能性と, 設計地震力を超える地震力が作用した場合に段落し部に生じる損傷度を, 新たに定義した損傷形態判別係数と降伏曲げに対する安全率で評価する簡便な耐震判定法を提案した. さらに, 本判定法を適用すれば, 段落し部で耐震性に劣る鉄筋コンクリート橋脚を精度よく抽出できることを, 最近の地震による被害橋脚の解析結果から明らかにした.
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大倉 一郎, 塩崎 哲也, 福本 誘士, 南荘 淳
1995 年1995 巻525 号 p.
97-108
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
道路プレートガーダー橋の横桁を主桁に連結するコネクションプレートと中間垂直補剛材の上端に発生する疲労亀裂を低減させるスタッド配置を明らかにする。最初に, コンクリート床版と主桁の上フランジとの間の荷重伝達モデルを開発する。次に, この荷重伝達モデルが導入された有限要素解析によって, スタッドの配置間隔とコネクションプレートあるいは垂直補剛材の上端の局部応力の関係を調べる。最後に, 著者らが過去に得た研究成果とこのスタッドの配置間隔と局部応力の関係を統合することにより, コネクションプレートと垂直補剛材の上端に発生する疲労亀裂を低減させるスタッド配置 (合成プレートガーダー橋の場合) とスラブ止め配置 (非合成プレートガーダー橋の場合) を明らかにする。
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劉 銘崇, 三木 千壽
1995 年1995 巻525 号 p.
109-116
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
鋭い欠陥端部から発生する端部エコーの発生メカニズム, 及び端部エコーの特性と欠陥形状, 寸法との関係を数値シミュレーションと実験により検討した. 端部エコーは欠陥の先端近傍がせん断変形することにより生じる散乱波であり, 端部エコーの強さは欠陥先端の寸法に依存すること, 端部エコーの位相は欠陥の先端から1/4周期遅れること, 欠陥の上下端の端部エコーの波形が逆転することなどの特性を明らかにした.
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岡林 隆敏, 河角 省治, 吉田 啓三
1995 年1995 巻525 号 p.
117-126
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文は, 静的な不規則分布荷重が作用する, 連続ばりの変形と断面力の分散・共分散を得るための, 確率微分方程式による, 不規則応答解析法を示したものである. 連続ばりを解くためには, 中間支点やヒンジ点での未知量の取扱いが問題となる. そこで, 本研究では, これらを状態変数として組み込むことにより, 伝達マトリックス法を共分散行列に拡張した手法で, 不規則応答解析を実現している. 本解法の有効性を確認するために, 2径間と3径間の連続ばりの解析を行い, 求められた変形と断面力の分散・共分散の応答性状について考察を加えた. 解法の基本的演算を明確にするために, 不規則分布荷重は, 白色雑音場に限定した.
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榎本 覚雄, 新延 泰生
1995 年1995 巻525 号 p.
127-137
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究は静的な荷重を受ける任意の骨組構造物における新しい感度解析法を提案している. この新しい感度解析法は適合法的な考え方に基づいており, 静定基本系に対する一度の感度解析を基に, 任意の部材断面に対して不静定次数に等しい次元を有する連立方程式を解くだけで不静定構造物の感度解析および構造解析が行えるという特徴を有している. 本手法の計算効率については, 差分法や直接微分法といった従来法との比較に対しても十分な有用性を持つことを確認している.
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星川 辰雄, 石川 信隆, 彦坂 煕, 阿部 宗平
1995 年1995 巻525 号 p.
139-152
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究は, 土石流中の巨礫の衝突を受ける鋼製透過型砂防ダムの耐衝撃設計に対する基礎的資料を提供するため, 高速載荷荷重を受ける鋼管はり部材の動的終局限界について検討を行ったものである. まず, 鋼製透過型砂防ダムの終局限界を規定する物理量として塑性回転角に着目し, 鋼管片持はりの静的および高速載荷実験を行い, 静的および動的塑性回転容量を実験的に求めた. 次に, 鋼管はり部材の塑性回転容量を解析的に求めるため, 固定端付近に発生する局部座屈が鋼管短柱に発生する局部座屈に等しいと考え, 鋼管の静的および高速短柱圧縮試験を行った. さらに得られた実験結果を基に, 鋼管はり部材の動的塑性回転容量を算定する手法および実験式を提案したものである.
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清野 純史, 鈴木 誠
1995 年1995 巻525 号 p.
153-161
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
近年, 観測点では標本値として観測された波形を厳密に満たし, その他の点では確率場の特性を満足するような地震動の条件付シミュレーション法が種々提案されている. 本研究では, 従来水文学や鉱山工学における物理量の空間分布の推定に広く用いられてきたクリッギングの推定誤差共分散が, カルマンフィルタの観測更新による推定誤差共分散と等価であることに着目し, 場の確率特性として指数型の共分散関数が与えられた場合に, 時間方向, 空間方向の相関をそれぞれ満足するような波形を, カルマンフィルタとクリッギングのハイブリッド法により逐次推定する手法を開発した.
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栗田 哲史, 松井 邦人
1995 年1995 巻525 号 p.
163-170
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究は, 周波数領域の同定問題におけるモデルパラメータの誤差, 及び観測ノイズの同定結果に及ぼす影響を, 同定パラメータの誤差に対する感度という形で評価する手法を示すものである. また, 周波数領域の同定問題で用いられる評価関数の定式化において, 伝達関数の振幅をそのまま使用する場合と, 振幅の自然対数を使用する場合の2種類に対して誤差の感度を求め, その比較を行っている. 簡単なモデルを用いた数値実験により理論の検証を行った結果, 感度から推定した誤差の同定結果への影響は実際に誤差を与えて同定を行った結果と良く一致し, 本報で示した理論の妥当性が示された.
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比江島 慎二, 木村 吉郎, 藤野 陽三, 野村 卓史
1995 年1995 巻525 号 p.
171-179
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
単一周波数の音響撹乱により円柱まわりの流れを変化させ渦励振を制御する手法について, 円柱直径を代表長とするレイノルズ数
Re=2.2×10
4~6.3×10
4の範囲で風洞実験を行うことにより検討した. 音響は模型下流の側壁に設置したスピーカによって円柱軸方向に加え, 音響の強さと周波数を変化させた. 実験の結果, 円柱まわりの剥離せん断層中の遷移波とほぼ同じ周波数の音響により刺激することが, 渦励振に対して効果的であることが明らかとなった. また音響の強さが一定の場合, 無音響時の渦励振振幅が大きいほど制振効果は低下する. しかし無音響時の渦励振振幅が大きい場合でも音響の強さを大きくすることで制振効果を高くできる.
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高橋 和雄, 松野 進, 鎌田 智之, 町田 健一郎
1995 年1995 巻525 号 p.
181-190
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究では偏平ケーブルの1/2分数調波共振近傍および超分数調波共振近傍で発生するカオスの特性を時系列応答波形, Poincaré 写像, Lyapunov 指数, パワースペクトルおよび分岐図を用いて解析した. さらに, 1/2分数調波共振近傍および超分数調波共振近傍で発生するカオスの発生領域をケーブル形状 (サグ比), 材料 (縦波・横波伝播速度比) および荷重強度のパラメーターのもとに明らかにした.
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宮田 利雄, 山田 均, 風間 浩二
1995 年1995 巻525 号 p.
191-200
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文では, 中央支間長が2,000mを超える長大吊橋を対象として, その合理的耐風安定性の改善方法の提案を行っている. 長大吊橋においては, その柔構造化に伴ってフラッター発生時の振動モード形に振動成分間の位相差の橋軸方向の変化が顕在化してくる. ここでは, 風作用下の振動モード形に着目した構造設計を行うことにより, 非定常空気力が構造物に為す仕事を低減させる方法の有効性について, 試設計吊橋モデルを用いたフラッター解析によって明らかにしている. また, 作用する非定常空気力の特性による効果の相違を平板空気力とトラス桁の観測空気力との比較で検討し, 上記の最適設計には構造物の空気力学的形状を十分再現した非定常空気力の導入の必要性を示している.
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佐藤 忠信, 土岐 憲三, 望月 俊宏, 吉川 正昭
1995 年1995 巻525 号 p.
201-211
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
閉開ループ制御則を付加質量型制震装置を用いた構造物の震動制御に適用する. この場合, 観測地震波をそのまま用いて開ループ制御量を決定すると制御効率が十分に改善されないため, フィルターを用いて修正した地震波を基に制御量を決定する. この閉開ループ制御則を用いて制御を行った場合の制御効率と, 従来の状態量のみから制御量を決定した場合 (閉ループ制御) の制御効率を比較, 検証した.
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平尾 潔, 笹田 修司, 成行 義文, 沢田 勉, 川端 茂樹
1995 年1995 巻525 号 p.
213-225
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
構造物の合理的な耐震設計法, すなわち中小地震に対する使用性並びに強震下における終局安全性を考慮した2段階設計法を確立するためには, その終局限界状態に対する実用的な安全性照査方法を導くことが必要である. 本研究は, その基礎的研究として, 構造物の終局限界状態に対応する Park らの損傷指標Dの所定の値D
Rを満たす構造物の降伏強度比を所要降伏強度比と定義し, その応答スペクトルを用いた簡便な終局安全性の照査方法を提案するものである.
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竹宮 宏和, 王 海波
1995 年1995 巻525 号 p.
227-235
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文では, 動的サブストラクチャー法による地盤-埋設構造物系の動的相互作用解析を振動数領域において論じた. まず, 表面分布加振による Lamb の解を利用して半無限層状の放射波動に対する遠地盤インピーダンスを効率的に安定して評価できる, また併せて有効入力動も計算できる手法を開発し, これを不規則領域の有限要素法へ導入するハイブリッド解析を提案している. 例題解析は, 一様/層状地盤内の双設シールド・トンネルを対象とし, その横断面方向の挙動の把握を地盤の層状性, 入射波の種別, 入射角, 構造物の建設位置をパラメータとして行なった.
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竹宮 宏和, 祐保 芳樹
1995 年1995 巻525 号 p.
237-245
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文は, 地盤-構造物系の載荷/地震波入射問題における地盤と構造物の動的相互作用場を波動の散乱現象に着目して捉えたものである. 解析手法には, 著者らの展開した帯状衝撃載荷に基づく遷移グリーン関数を導入した時間領域境界要素法 (間接法) を用いた. 解析例の隣接基礎間の相互作用解析では表層の周期と載荷周期の比をパラメータに, 入射問題では基礎幅に対する入射波長の比の変化に伴う波動の散乱現象の変化に注目している.
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紺野 克昭, 大町 達夫
1995 年1995 巻525 号 p.
247-259
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
基本モードレイリー波の水平動と上下動の振幅スペクトルに対し, 対数型の平滑化ウィンドウを用いることにより, その水平/上下スペクトル比のピーク値とSH波の増幅倍率の相関が大幅に改善されることを示す. 次に, このウィンドウで平滑化した常時微動の水平/上下スペクトル比から増幅倍率を推定する手順を示し, PS検層結果のある実在地盤で推定精度を検討する. 最後に, 東京23区内の全中学校を測定点とする常時微動実測結果を用いて東京23区の増幅倍率マップを作成し, 既存のマップとの比較を行い, 本提案手法の妥当性と実用性を実証する.
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宮脇 幸治郎, 土岐 憲三
1995 年1995 巻525 号 p.
261-274
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文は, 非定常な不規則振動として地震波記録のデータを採り, これをウエブレット解析の観点から考察を行った. 本解析では, 地震波のディレクティビティ効果を時間軸や振動数軸上から調べた. さらに, 断層近傍の地震波に対してウエブレットフーリエ位相スペクトル特性を調べ, 伝播経路の効果と断層破壊伝播の効果を分解係数から考察した. また, ウエブレットスペクトルを定義し, 地震応答スペクトルなどのスペクトルとの関係について考察を行った.
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鈴木 猛康, 田村 重四郎
1995 年1995 巻525 号 p.
275-285
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
1985年ミチョアカン地震の際, メキシコ市でシールドトンネル軸方向の引張およびねじり変形に起因する被害が発生した. このような軸方向変形に対しては, シールドトンネルの覆工体とその外周の地盤の間に免震層を形成し免震構造とした場合, 地震時に覆工体に生じるひずみを大きく軽減させることができる. 本論文では, シールドトンネルの免震構造の免震効果を評価する方法として, 軸対称有限要素を用いた簡易モデルによる数値解析法を提案するとともに, パラメトリック・スタディーによりひずみの低下率によって免震効果を定量的に示している. また静的安定解析により, 0.5に近いボアソン比を有する免震層とすることが, 地表面沈下を抑制する意味から重要であることを示している.
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宮坂 享明, 三浦 房紀, 平田 大三
1995 年1995 巻525 号 p.
287-298
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
筆者らは前論文「高靭性能耐震ジョイント杭の開発とその側方移動する液状化地盤に対する応答」において, 新しく開発した高靭性能耐震ジョイントを用いた杭の曲げ特性を明らかにし, 液状化によって側方に移動する地盤に対するその応答を限られた条件下で解析することによって, その有効性を報告している. 本研究は, さらにたわみ性を持たせるように高靭性能耐震ジョイントを改良し, これを用いた杭の曲げ特性をまず明らかにした. そして数値解析法の精度を確認した後, 高靭性能耐震ジョイントのタイプ, 液状化層厚, 杭頭固定度, 杭の支持層への根入れ深さなどについてパラメトリックスタディを行った. その結果, 全ての場合に対して改良型高靭性能耐震ジョイントが有効であることが明らかになった.
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栗田 哲史, 中瀬 仁, 安中 正, 嶋田 昌義, 藤谷 昌弘
1995 年1995 巻525 号 p.
299-308
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
個別要素法は大変形・破壊問題の解析に有効であり, 護岸構造物の地震時大変形問題を取り扱うにあたり, 適した手法である. 本研究では, 個別要素法を用いてケーソン式護岸の模型振動実験に対するシミュレーションを行い, その妥当性を検証した. 特に, 要素の回転を拘束する手法を提案し, この手法を用いることにより, 通常の円形要素を用いた場合では表現できなかった背後地盤の強度が再現でき, そのことによりケーソンの挙動と背後地盤の破壊形態が精度良くシミュレートできるようになった.
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呉 沖, 渡邊 英一, 宇都宮 智昭
1995 年1995 巻525 号 p.
309-317
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文は, はりモデルを対象として, 構造物の弾性変形を含む流体-構造物の相互作用を考慮した可撓性浮体の変位及び断面力の波浪応答調和振動解析について検討したものである. 本研究では, 波強制力と流体力係数の計算においてはグリーン関数法を利用し, 構造物の変位応答解析においては差分法または Levinton の方法を利用する. また, 本方法によるプログラムを利用して, 構造物の波浪応答調和振動に対する波長や構造物の長さと曲げ剛性の影響などについて検討した.
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遠藤 武夫, 松本 毅, 塚原 弘光, 三木 千壽
1995 年1995 巻525 号 p.
319-330
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
斜張橋のケーブル定着構造には, 設計方法, 製作方法, 疲労に対する安全性などを考慮する必要がある. 本検討では, 鋼斜張橋ケーブル定着部として, 箱形状の定着部を主桁ウェブに取り付けた, 2つの構造形式を取り上げ設計方法を検討し, 実寸大の試験体を用いて製作方法を確認し, 大型疲労試験を行った. また, 試験体の応力状態を実橋と比較するため, 両者のFEM解析も行った. 両形式とも所定の品質, 精度が確保でき製作可能な構造であることを確認した. 疲労試験では主に, ケーブルソケットが直接あたる支圧板の溶接部に亀裂が生じた. これらの亀裂は支圧板の板曲げを原因とするもので, 支圧板周辺部の詳細構造を若干変更することで解決でき, 両形式とも十分な疲労強度を有していることが解った.
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山崎 文雄, 片山 恒雄, 野田 茂, 吉川 洋一, 大谷 泰昭
1995 年1995 巻525 号 p.
331-340
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
大規模都市ガス供給網の地震時の二次災害防止のためには, 甚大な被害が予想される場合, 中圧導管網のブロック化と供給停止が必要となる. この緊急措置を迅速に行うため, 東京首都圏において, 地震動モニタリングシステムの展開と, それからの地震動情報に基づく警報システムの開発を行った. 331地点でのSI値と最大加速度, 5地点での加速度波形, さらに液状化の予想される20地点での水位上昇量を観測し, 無線でデータ収集するシステムは, 世界でも例のない大規模で高密度なものである. これらの情報をリアルタイムに処理するため, 地理情報システム上に, 地盤条件, 埋設管, 需要家建物等のデータベースを構築し, 被害推定, 震源推定, スペクトル評価, 意志決定の4つの機能を持つシステムを開発した.
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竹宮 宏和, 須田 清隆, 小野 正樹
1995 年1995 巻525 号 p.
341-344
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文では, 半無限基盤上の不整形沖積地盤解析における著者らの前論文の有限要素法 (FEM) と境界要素法 (BEM) の振動数領域解ハイブリッド法解析を発展させて, 不整形沖積地盤内の埋設シールド・トンネル構造物を対象にその縦断面内の地震時応答性状を入射波種別, 波長と沖積層幅, 入射角をパラメータにして把握したものである.
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竹宮 宏和, 堀内 深
1995 年1995 巻525 号 p.
345-349
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文は, 衝撃帯載荷下の半無限弾性体の厳密遷移解に対して, 波速積分を含まない表現の精度の良い近似解析式を与えたものである. ここでは, 線載荷解かレーリ波の到達以外で解析表現ができること, また帯載荷解がそのとき有限な値の解析表現をとることができる利点を合わせたものである. 同グリーン関数の応用例として, 近傍において衝撃を受けたときの地盤-構造物系の動的相互作用応答を構造物の質量をパラメータにとって波動伝播の観点から考察している.
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頭井 洋, 新家 徹, 濱崎 義弘
1995 年1995 巻525 号 p.
351-354
発行日: 1995/10/21
公開日: 2010/08/24
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斜張橋やニールセン橋などケーブル構造物の架設の際に一般的に利用されている振動法によるケーブル張力計測に関して, 著者等は以前曲げ剛性を考慮した実用算定式を提案した. 今回, その精度を改善するため一部修正を加えるとともに, 適用範囲外になっていたケーブル長が短くかつケーブル張力が小さい場合についてあらたに張力算定式を作成した. これにより, ケーブルの1次ないし2次の起振が可能なすべてのケーブルに対し, 計測した固有振動数よりただちにケーブル張力を求めることができる.また, ケーブルが非常に長く1次および2次振動の起振が容易でない場合について, 高次振動モードに対する算定式を作成し, 常時微動のフーリエ解析よりケーブル張力を求められるようにした.
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