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Shehata E. ABDEL RAHEEM, 林川 俊郎
2003 年2003 巻731 号 p.
1-17
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
斜張橋鋼製タワーの動的応答性状に与える減衰特性, 入力地震動, 初期不整, エネルギー吸収機構およびタワーの骨組形状などの諸因子の影響を調べるためにパラメトリックスタディーが実施される. 大地震動による斜張橋鋼製タワーの非線形動的応答解析には有限要素法が用いられる. タワー形状により水平梁の位置や長さによっては動的応答に好ましくない影響を与えることが数値計算で示される. また, 建設時における初期不整の影響が明らかにされる. 質量比例型減衰は鋼製タワー基部に発生する軸力および加速度応答を過大評価することが判明した.
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浅井 光輝, 寺田 賢二郎, 池田 清宏, 陶山 裕之, 藤井 堅
2003 年2003 巻731 号 p.
19-30
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究では, 材料の破壊プロセスの追跡, あるいは破壊モード予測手法として定評のあるラチスモデルに着目し, RC構造までの破壊現象までを再現できるよう修正を加えた解析手法を提案し, 数値解析を通してその適用性の検証を行った. 本解析手法では, RC構造をモルタル, 粗骨材, 骨材界面, 鉄筋そして鉄筋界面の5つの領域に分類し, 各領域ごとに単純な材料モデルを与えることにした. また, コンクリート材料におけるモルタルと骨材の非均質な幾何形状を正確に表現するために, コンクリート断面の実画像から解析モデルを作成した. 数値解析では, コンクリート材料試験からRC構造までの広汎な解析対象に対しても現実的なクラック進展挙動が再現されている.
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野中 哲也, 宇佐美 勉, 吉野 広一, 坂本 佳子, 鳥越 卓志
2003 年2003 巻731 号 p.
31-49
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
レベル2地震動に対して上路式鋼アーチ橋の耐震検討を行うには, アーチリブの軸力変動や2軸曲げの影響を考慮する必要があるが, これ以外にも合成構造としての挙動を示す床版, スラブアンカーおよび補剛桁を正確に評価しなければならない. 本研究では, コンクリートと鉄筋の材料非線形性およびスラブアンカーのずれ特性を考慮した床版モデルを用いて, 3次元ファイバーモデルの動的解析を実施し, 一般的な上路式鋼アーチ橋の動的挙動を明らかにした. さらに, その解明した動的挙動を基に, 履歴型ダンパーを用いた効果的な耐震補強について提案する.
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関 雅樹, 西村 昭彦, 佐野 弘幸, 中野 聡
2003 年2003 巻731 号 p.
51-64
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
地震によりRCラーメン高架橋が損傷した場合, 損傷レベルに応じた復旧対策の決定および列車の適正な運転取扱いを定める必要がある. 本研究では, 構造物が損傷すると固有振動数が低下することに着目して, 構造物の損傷レベル評価方法を提案する. 東海道新幹線の標準的なRCラーメン高架橋の1/2模型による交番載荷試験を実施し, 損傷に伴う剛性の低下, および応答塑性率に応じた固有振動数の低下とを把握した. この結果, 衝撃振動試験により固有振動数を把握し, 損傷の有無の評価が可能であることを報告する. また, 固有値解析による部材の剛性の低下率と, プッシュオーバーアナリシスによる部材の塑性率から, 損傷レベルを評価する合理的な方法を提案する. なお, 東海道新幹線品川駅新設工事の際不要となった実高架橋を使用して, 提案した損傷レベル評価方法の合理性を確認した.
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済藤 英明, 大垣 賀津雄, 安川 義行, 稲葉 尚文
2003 年2003 巻731 号 p.
65-79
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
我が国においても頭付きスタッド以外のずれ止めを橋梁に使用する動きが見られ, 関係各所で研究が進められている. その例として, 孔あき鋼板ジベルやアングル形ジベルが挙げられる. 本研究では, これらのずれ止めが合成2主桁橋に使用された場合の床版支間中央側載荷と張出し部側載荷による両方向への曲げ引抜き力作用下における挙動に着目し, 実物大の部分模型供試体による静的載荷実験を実施し, ずれ止めの発生ひずみ, 床版と鋼桁の界面剥離量, 床版の引抜きせん断破壊状況等, 接合部の基本的性状を明らかにした.
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谷山 尚
2003 年2003 巻731 号 p.
81-92
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
表層付近のより細かな地下構造を考慮するために不連続差分格子を用い, 同時に断層の動的な破壊過程を考慮するために動力学的モデルを用いることによって1948年福井地震の地震動を解析した. 断層面上の破壊過程と地下構造による増幅過程を共に考慮することにより, 比較的単純な破壊過程の横ずれ断層を仮定しても, 観測された構造物等の倒壊方向と概してよく一致するような震動パターンを解析で再現することが可能であることを示した. 一方, 断層の北側の震動の細部に着目すると, 本解析では, 倒壊方向パターンと完全には一致しない結果となっており, 北側においては, 断層面の傾斜角や縦ずれ成分についても考慮する必要がある可能性を示唆する結果となった.
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佐々木 栄一, 荒川 泰二, 三木 千壽, 市川 篤司
2003 年2003 巻731 号 p.
93-102
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
兵庫県南部地震では, 幾つかの鋼製橋脚に脆性き裂が発生した. その後の調査から, 脆性き裂発生の支配的な要因は, 地震時の塑性ひずみ履歴による鋼材の脆化と考えられる. そのため, 鋼製橋脚における地震時脆性破壊防止のためには, 塑性ひずみ履歴を受けた後も十分な破壊靭性を有する鋼材を使用する必要がある. 本研究では, 脆性破壊のシナリオを想定することにより, 考慮すべきひずみ履歴パターンを示した上で, 試験体へのひずみ導入方法の開発により, 折返しのパターンを含めた様々な塑性ひずみ履歴による鋼材の破壊靭性劣化の程度を明らかにした. さらに, その結果とこれまでの研究成果をもとに, 鋼製橋脚における地震時脆性破壊防止のために鋼材に必要とされる破壊靭性について検討した.
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三木 千壽, 西川 和廣, 白旗 弘実, 高橋 実
2003 年2003 巻731 号 p.
103-117
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
鋼溶接部における非破壊検査手法が放射線透過試験から超音波自動探傷試験に移行しつつある. しかしながら, 鋼道路橋においては, 溶接きず合否判定の基準が未整備であり, 検査するための要領書も未整備である. きず合否判定基準と検査要領を整備するため, 国土交通省などを中心とした共同研究が行われている. 超音波自動探傷要領整備に関して, 現在用いられている超音波自動探傷システムに対して2回の回送試験が行われた. 本報告は, 回送試験の目的, 概要および結果を述べるものである.
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曽我部 正道, 松本 信之, 田辺 誠, 藤野 陽三, 涌井 一, 上野 眞
2003 年2003 巻731 号 p.
119-134
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究では, 超電導磁気浮上車両にバネ・マス・ダンパーのリンクモデルを, ガイドウェイ構造物に有限要素を用いた動的相互作用解析法を提案し, これにより, プレストレストコンクリート製中空はりからなる側壁ビーム方式ガイドウェイの性能評価を行った. 動的相互作用解析により, 側壁ビームの1次水平曲げに対する2次共振が速度400km/hで生じ, 動的応答倍率が4.0程度となること, 側壁ビームの振動は車両の乗り心地レベルに1.0dB程度しか影響を及ぼさないことなどを明らかにした. また2次共振を制御するための中間支承を提案し, 速度500km/hまでの実車走行試験により, 中間支承が動的応答を1/3に低減できること, 中間支承を設置しない場合には2次共振が生じることなどを明らかにした.
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吉田 純司, 阿部 雅人, Chamindaral Sujeewa LEWANGAMAGE, 藤野 陽三
2003 年2003 巻731 号 p.
135-146
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
ゴム材料は, 積層ゴム支承などの免震デバイスの主材料として広く応用されている. そのため, 材料の破断特性を把握することは構造物全体の限界を知る上で重要な要素となる. 本研究ではゴム材料の破断特性を把握し, 破断を予測するためのモデルを構築することを目的とする. まずゴム材料の破断試験を行い, 画像計測手法を利用して破断時の変形を詳細に把握する. 次いで材料試験結果を基に, ゴム材料の破断を予測するためのモデルを提案すろ・さらに, 本破壊基準を積層ゴム支承に適用した場合の妥当性を, 画像計測結果ならびに有限要素モデルによるシミュレーション結果により検証する. 最後に提案した破壊基準を応用し, 積層ゴム支承の破断を評価するための解析解を提案する.
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相原 猛, 内山 武司, 上田 正生, 大家 史
2003 年2003 巻731 号 p.
147-157
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
直交異方性平板を対象とした既往の研究では, Huber の仮定に代表されるような, 振り剛性に関する何らかの仮定を導入しているものが殆どである. しかし, Huber の仮定に拘束されない任意の曲げ・振り剛性を有する一般的なスラブについての解析的な研究は殆どなされていないのが現状のようである. このような研究の現況に鑑み, 本研究は任意の曲げ・涙り剛性を有する周辺固定平板, 三辺固定一辺自由平板, 二隣辺固定二辺自由平板の3種の直交異方性平板に対する解析について論じ, Huber の仮定の妥当性と適用範囲についての考察を行ったものである.
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齋田 淳, 松岡 昌志, Khosrow T. SHABESTARI, 山崎 文雄
2003 年2003 巻731 号 p.
159-168
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
計測震度などの地震動の強度指標値は, 地震後の緊急対応のための情報として極めて重要である. しかし地震計から集められた震度情報はあくまでもその地点のものであり, 空間的な分布を得るためには, 地盤特性などを用いた推定を行う必要がある. 本研究では, 兵庫県を対象として計測震度の推定手法について検討した. まず距離減衰式と地盤特性による推定手法について検討し, 観測値を用いた空間補間を行うことで推定精度が向上することを示した. また兵庫県内116箇所の強震観測点で常時微動測定を行い, 得られた常時微動のH/Vスペクトル比を用いた計測震度の推定手法を提案した. この手法により, 多くの観測記録を用いるのと同程度の精度で計測震度を推定できることを示した.
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小玉 乃理子, 依田 照彦
2003 年2003 巻731 号 p.
169-184
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
既設の箱形断面鋼製橋脚は補剛材剛比が比較的小さいため, 強震時には局部座屈の発生による耐力低下が危惧される. そこで梁要素σ-εモデルの弾塑性有限変位解析により, 強震時の箱形断面鋼製橋脚の最大変位および残留変位を評価する手法について検討した. 局部座屈による劣化の影響を受ける範囲を塑性劣化ヒンジと定義し, シェル要素FEM解析により塑性劣化ヒンジの動的挙動を確認した. そこからフランジとウェブの座屈応力, 軟化型応力-ひずみ関係および除荷剛性の変化を定式化し, 梁要素の応力-ひずみ関係として使用した梁要素解析により, 局部座屈を伴う箱形断面鋼製橋脚の地震時動的応答がシェル要素FEM解析と同程度の精度で得られたことから, 提案する手法が既設鋼製橋脚の耐震性能の評価に利用できることを確認した.
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鍬田 泰子, 高田 至郎
2003 年2003 巻731 号 p.
185-193
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
電力や水道の供給システムだけでなく道路・鉄道などの輸送システムも含めたライフラインの地震時物的被災は, 地震発生直後から長期間に, 広範囲に, 直接・間接的に社会システムの機能損傷を引き起こす. 本稿では, 地震直後の負傷者搬送に焦点をあてて, 道路システムの機能損傷が救命活動に与える影響の評価手法を提案する. 評価の指標は, 負傷者搬送の時間遅れから生じる負傷者の生存率の低下による救命人数の損失で表現している. 負傷者搬送過程は家屋の閉じ込めから搬出, 搬送, 治療までの各フェーズについて, システムダイナミクス法を用いてシミュレートしている. 搬送先の病院は, 道路システムの機能損傷の影響と病院の受入能力を同時に考慮して, 病院とその経路を決定している.
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石原 孟, 山口 敦, 藤野 陽三
2003 年2003 巻731 号 p.
195-211
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究では複雑地形における局所風況を数値的に予測するために必要な計算領域の大きさを明らかにするとともに, 新しい境界処理手法と数値解法を提案し, 大型風洞実験によりその妥当性を検証した. まず計算領域の大きさに関して, 計算領域の高さ, 幅, 上流境界の位置が流れ場に与える影響を明らかにした. また境界処理方法として, 地形の体積が一定となるような緩衝領域を境界付近に設置するとともに, 対象領域と同じ程度の大きさの付加領域を上流に設置する手法を提案した. さらに大規模線形連立方程式の数値解法について詳細な比較検討を行い, 高速かつ安定な数値解法を提案した. 最後に実地形模型を用いた大型風洞実験を行い, 本研究で開発した数値予測手法が従来の手法より複雑地形上の局所風況を精度よく予測できることを実証した.
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逗子市地域の地盤特性
安藤 幸治, 岩楯 敞広
2003 年2003 巻731 号 p.
213-229
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
耐震設計や被害予測を行う場合, 構造物の地震時挙動に影響を及ぼす表層地盤特性を把握することは重要である. 本論文では, 水平アレー地震観測記録を用いた地盤特性の同定解析手法を提案する. それは, 近接する地点の地表面地震記録から求められる共通基盤内の各入射波はほぼ等しくなると仮定して地盤特性を同定する手法である. 手法の有効性は, 実地震の記録に適用して同定された地盤特性の妥当性を他の手法による結果を参照して検討し, 確認した. 水平アレー地震観測は, 比較的容易に広範囲に亘って実施できるため, ここに提案した解析手法は耐震設計や被害予測の精度を向上させる上で有意であると考える. ただし, 基盤内の入射波を評価するため, 表層地盤の構造はある程度把握しておかなければならない.
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加藤 久人, 西村 宣男
2003 年2003 巻731 号 p.
231-245
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
従来, 深い渓谷を渡る手段として施工性, 経済性に優れたPC箱桁橋が採用されてきた. この改良型として, 工費節減, 省力化, 工期短縮への要求に答えるべく, 波形鋼板ウェブPC箱桁橋の建設が盛んになってきた. より長径間の橋梁として, この形式のエクストラドーズド橋への採用, 斜張橋への進化が始まっている. 波形ウェブは支間方向の剛性が小さく, せん断変形の影響が強く現われるため, その挙動が複雑である. 本論文ではこの様な性状を解明するため, 著者らが提案した拡張はり理論式をさらに発展し, 3連モーメント式あるいはマトリックス変位法の発展形によって連続桁, 斜張橋の解析手法を紹介し, より合理的な実設計を行いたいという実務者からの要請に応えるべく, 解析例を示し, 波形鋼板ウェブを有する橋梁の設計に際して考慮されるべき重要点を明らかにする.
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董 勤喜, 松井 邦人, 八谷 好高, 坪川 将丈
2003 年2003 巻731 号 p.
247-255
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文は, 非比例型の減衰マトリックスを有する多層弾性構造の3次元動的解析を効率的に行う方法を提案している. このような問題は, 自由度も非常に高くなり, 直接数値解法を適用すると計算時間が膨大になる. 計算効率を飛躍的に向上させるため, Ritz ベクトルを用いて運動方程式を縮小化している. さらに, 縮小運動方程式を一階連立微分方程式に書き換え, 解析的に解を誘導している. 元の式が25000以上の連立方程式を, 10程度の連立方程式に縮小しても精度に影響しないことが確認できた. 感度解析に対しても, 運動方程式で作成した Ritz ベクトルの数を若干増やすことで精度良く計算できることが明らかになった.
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西川 隼人, 北浦 勝, 宮島 昌克
2003 年2003 巻731 号 p.
257-266
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
2000年石川県西方沖地震においてK-NET, KiK-net 観測点で多数の記録が観測された. マグニチュードのわりに最大加速度は全体的に大きくなり, また, 最大値の地域的な偏りが見られた. これらの要因を調べるために北陸地方の伝播・サイト特性を評価するとともに, 石川県西方沖地震における震源特性を評価し, それらが最大加速度に及ぼす影響を考察した. 全体的に加速度最大値が大きくなったのは応力降下量が比較的大きかったことによるものである. 地域的な分布の違いが見られたのは, 地殻での地震波の減衰の程度が地域によって異なったことと, 各観測点付近でのサイト特性の違いによるものと考えられる.
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秋山 伸一
2003 年2003 巻731 号 p.
267-282
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
斜面を有する不整形地盤で発生する散乱波を半無限弾性体の Rayleigh 波特性方程式から導かれる固有モードと関連づけて考察している. この特性方程式から導かれるリーキングモードの固有値は波動の放射条件を満足しない Riemann 葉に属し, その波動伝播はP波やSV波の入射・反射の関係として解釈できる. モード展開手法を用いて, BEMによる波動伝播解析から求められる地表面変位応答を分析すると, 斜面で発生する散乱波には Rayleigh 波とリーキングモードが含まれることが明らかとなる. このうち, Rayleigh 波は散乱波の主要な成分を構成する. 一方, 分岐点・切断を越えて放射条件を満足する Riemann 葉に現れる極の影響として評価されるリーキングモードは, 地盤急変部の地震応答に影響を与える.
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矢島 秀治, 市川 篤司, 村田 清満, 北園 茂喜
2003 年2003 巻731 号 p.
283-298
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
道路や河川を跨ぐ鉄道橋は, レールレベル~桁最下端の寸法が制限されることが多い. このような制限を受ける橋梁に適用するために, 筆者らは, 下路形式の鋼トラス橋の床組にSRC構造を利用することを提案した. 本形式の床組構造は, 床版が橋軸方向に引張力を受け, 主構の床版に対する拘束の影響が大きい等, 力学的挙動に不明確な点がある. 特に, コンクリートのひび割れに留意する必要がある. このようなことから, 本研究は主構作用を受けるSRC床版床組構造の挙動を明確にすることを目的に, 大型模型供試体を用いた載荷実験および乾燥収縮実験を行った. その結果, ひび割れ発生位置と進展順序, 下弦材, 鉄筋, コンクリートの軸力分担力等が明らかになった.
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岸 徳光, 大野 友則, 三上 浩, 安藤 智啓
2003 年2003 巻731 号 p.
299-316
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究では, 衝撃に関する実験的研究で一般的に行われている重錘落下衝撃実験において, 1) リバウンド防止用治具設置の有無, 2) 衝撃力の測定方法, 3) ゴム緩衝材設置の有無, および 4) 重錘の先端部形状, がRC梁の衝撃挙動に与える影響を明らかにするために, 種々の境界条件下でのRC梁を用いた重錘落下衝撃実験を実施し, 上述の影響に関する検討を行った. その結果, 支点反力波形および変位波形は, ゴム緩衝材に残留変位成分が生じない載荷条件の範囲では, 載荷点部におけるゴム緩衝材設置の有無にかかわらずほぼ同様の性状を示すことや, 重錘載荷点部のコンクリートが著しく剥落しない衝突速度レベルでは, 重錘の先端部形状の相違によらずほぼ同様の応答性状を示すこと, 等が明らかになった.
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齊藤 正人, 西村 昭彦, 渡邉 啓行
2003 年2003 巻731 号 p.
317-330
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
橋梁・高架橋に用いるケーソン基礎等の大型基礎を対象に, 入力損失効果について研究を行うものである. 近年の施工技術の進歩と相俟って, 基礎寸法や剛性等の諸元も多種多様であり, それらの中には, 基礎側壁の曲げ柔性の影響が無視できない基礎が多数存在すると予想される. そのため, 剛体仮定, あるいは剛体諸元に近い基礎を対象として検討した既往の研究成果を, 設計実務に直接適用すれば, 耐震設計上危険側の評価をする可能性は否定できない. そこで本論文では, 曲げ運動とロッキング運動を同時に考慮した, 弾性波動論に基づく入力損失効果の理論解を誘導した. そして, この理論解に基づき, 基礎側壁の曲げ柔性が入力損失効果に与える影響に関する物理的解釈を行い, その特性を明らかにした.
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比江島 慎二, 野村 卓史
2003 年2003 巻731 号 p.
331-340
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
円柱周辺剥離流れへの微小流速撹乱付加により円柱の渦励振を効率的に制振する手法の制御メカニズムについて, 円柱周辺流れや空力特性の変化, 剥離せん断層内での撹乱の挙動などの詳細な数値流体解析, さらに円柱周辺流れの不安定性に関する線形安定性解析の結果などをもとに総括的に論じた. 撹乱により剥離せん断層に励起された孤立渦どうしが円柱背部で頻繁に合体を生じ, 合体した渦の影響でカルマン渦の巻き込みが促進される. その結果, 非定常揚力が断続的に位相変化を生じ, 負減衰成分が低下することによって, 円柱が空力的に安定化するという制御メカニズムが明らかとなった.
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武野 志之歩, 大野 敬美, 伊津野 和行
2003 年2003 巻731 号 p.
341-352
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
地震時の落橋を回避することを目的とし, 道路橋には落橋防止システムの設置が義務付けられている. しかし, 現行設計法では死荷重反力に基づいて要求耐力が規定されており, 動的応答に対する考慮はされていない. 桁間や桁と橋脚間に設置された連結装置について, 所要耐力を合理的に把握する手段を検討する必要がある. 本研究では桁間連結ケーブル装置を対象とし, システムの作動速度に着目したケーブルと緩衝材の設計法について検討を行った. まず, 連結ケーブルのひずみエネルギーに着目した所要断面算定式と, 応力波の伝播を考慮した衝撃応力照査式を誘導した. 次に, 緩衝材について, ケーブル剛性に対する剛性比と限界変形量を考慮した設計手法を提示した. 最後に, 本論で提案する設計式を用いて, 落橋防止システムの試設計例を示した.
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伊藤 義人, 鈴木 達
2003 年2003 巻731 号 p.
353-366
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
近年, 従来型の仕様規定に基づく設計と比較して, 新しい技術を取り入れる自由度の高い性能照査型設計が注目されている. 防護柵の性能照査型設計法は, 平成11年4月の防護柵設置基準改訂において始めて導入された. また, 地球環境問題が重要なものとなってきており, 土木分野においてもライフサイクルを通じて安全性, コスト, 景観と同様に環境負荷についても十分な注意を払う必要がある. 本研究においてはまず現状の防護柵設計の問題点を明らかにした. その結果を基に橋梁用防護柵の環境負荷を考慮した性能照査型統合設計システムを提案, 開発し, 環境要求性能, 安全性能など様々な性能に優れた防護柵を設計できることを示した.
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鈴村 恵太, 中村 俊一, 樽井 敏三
2003 年2003 巻731 号 p.
367-377
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
吊橋や斜張橋ケーブルを構成する亜鉛めっき鋼線を対象とし, 湿潤ガーゼ巻き腐食促進法により異なる腐食レベルの試験片を作成し, 腐食度と強度の関係を研究した. 腐食の進行により, 公称引張破断応力は低下したが, 実引張応力は変化しなかった. 一方, 亜鉛めっきが消費され地鉄の腐食が進行しはじめた時点から, 伸び, ねじり強度および疲労強度は著しく低下した. また, 腐食させた亜鉛めっき鋼線の鋼中水素量測定および疲労試験後の破面観察により, 水素脆化の可能性は低いことを見出した. さらに, 腐食により表面に凹凸が生じることを確認した後, 表面凹凸を機械切削した鋼線の伸びが回復することを見出し, 強度低下の主原因は腐食による表面凹凸であることを明らかにした.
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謝 爽, 伊東 良浩, 足立 一郎
2003 年2003 巻731 号 p.
379-389
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
鉄筋コンクリート部材のコンクリート動弾性係数を求めるために, 鉄筋コンクリート試験体による要素試験を行い, 試験体の縦波1次共振周波数, たわみ1次共振周波数とねじり1次共振周波数を打音法で測定した. 得られた共振周波数に対して, 三次元自由振動固有値解析で検討した. 試験体断面には鉄筋の配筋率が少ない場合には, 解析結果が実測値と良く一致する事は分かった. 配筋率が大きい場合には, 鉄筋周辺コンクリートの応力-ひずみ関係が複雑となり, 平面保持が成立しなくなるため, 解析値が実測値より大きめに解析された. これに対して, 本研究では, 一次元棒の縦波弾性振動論, 曲げ振動論とねじれ振動論を用い, 共振周波数とコンクリートの動的物性値の関係を解明した.
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丸山 收, 星谷 勝
2003 年2003 巻731 号 p.
391-396
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
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本研究は, Bootstrap Filter/Monte Carlo Filter が対数正規確率場の補間手法として有効であることを示している. BF/MCFは, 一部の観測サンプル実現値を条件として更新後の確率場のサンプル値を抽出し, これらを用いて場の条件付確率密度関数を推定する手法である. ここでは, 数値解析例により既知の厳密解と比較することにより補間が効率的に実行出来ることを示している. なお, 対数正規確率場は, 解の妥当性を検証するために用いており, 本補間手法は, 任意非ガウス性確率場に対しても適用可能である.
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中井 博, 後藤 芳顯, 川西 直樹
2003 年2003 巻731 号 p.
397-398
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
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中山 隆弘, 長尾 毅
2003 年2003 巻731 号 p.
399-402
発行日: 2003/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
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