土木学会論文集
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2002 巻, 697 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 〓 路寛, 関 博, 高木 言芳
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 1-11
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鉄筋腐食によりコンクリート部材の性能は低下すると考えられ, 性能を算定する際に鉄筋の腐食速度を把握する必要がある. 本研究では, コンクリートの中性化による鉄筋腐食を対象とし, 鉄筋腐食モデル (酸素拡散支配モデル, コンクリート比抵抗支配モデル) を構築した. 鉄筋腐食の解析に用いるパラメータを定めるために, コンクリート細孔径分布関数を用い, 含水量の算定モデルおよび酸素拡散係数の算定モデルを設定した. さらに, 中性化したコンクリートに乾湿繰返し作用を与える鉄筋腐食促進実験を行った. 以上の算定モデルおよび実験から求めた関数を鉄筋腐食モデルに取り込み, FEM解析を用いることにより, 乾湿繰返し作用での中性化したコンクリート中の鉄筋腐食量を定量的に評価することを試みた. 解析シミュレーションと促進実験結果と比較し, 提案モデルの妥当性を検証した.
  • 金津 努
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 13-24
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    定常的に高温条件に曝される鉄筋コンクリート施設として, 原子力発電所の原子炉格納容器, 原子炉・冷却水配管の支持構造, 放射性返還廃棄物, 使用済み燃料等の高レベル廃棄物貯蔵施設などがある. これらの構造物では, 鉄筋とコンクリートの物性の高温特性が外荷重に対する応答に影響すること, 鉄筋とコンクリートの熱膨張特性に起因して内部応力が発生することなど, 高温下特有の挙動を示す. 後者は, 既報においてその特性を評価した. 本論文は, 常温から最高500℃までの温度領域における鉄筋とコンクリートの物理的性質の温度依存性について, 実験結果を中心として取りまとめたものである.
  • 濱田 譲, 井上 真澄, 小林 朗, 高木 宣章, 児島 孝之
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 25-37
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 筒状連続繊維補強材を型枠および拘束体として用い, 膨張材の混入によりケミカルプレストレスを導入した高強度コンクリート部材の製作方法およびトラスなどの構造部材に適用するための基本的特性について実験的に検討を行った. また, 本部材を斜材に適用したPCトラス桁の静的載荷試験を行い, せん断耐力および変形性状などについて検討を行った.
    その結果, 筒状連続繊維補強材を用いたモルタル部材は, トラス部材として十分機能することが確認できた. 引張斜材破断後もPCトラス桁は, 耐荷機構が圧縮斜材と床版部材によるタイドアーチ機構に移行し, じん性的な破壊性状を示した.
  • 藤原 浩巳, 丸岡 正知, 下山 善秀, 小畠 明, 国府 勝郎
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 39-50
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    即脱に用いられる超超硬練りのコンクリートの, 充填性や表面仕上り性を改善することを目的に, 各種の混和材料を用いてそれらの粒子形状およびセメントを含めた結合材の構成について検討を行った. その結果, 振動条件下の流動性向上には混和材の粒子形状が真球に近いほど有効であり, また粉体粒度分布を広げることが効果的であることがわかった. また, 振動締固め時の諸条件 (周波数, 加速度および振動時間) がコンクリートのワーカビリティーに及ぼす影響について検討を行った. その結果, 即脱による変形および充填率に影響を及ぼす主要因は周波数であり, 表面仕上り性に影響を及ぼす主要因は加速度であることが分かった.
  • 横関 康祐, 渡邉 賢三, 古澤 靖彦, 大門 正機, 大即 信明, 久田 真
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 51-64
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 34~104年間地下水中あるいは水に接していて, カルシウムの溶出作用を受けたコンクリートの実態調査および数値解析により溶出メカニズムや変質程度に関する検討を行った. 解析モデルは変質に伴う空隙率や拡散係数の変化およびカルシウムの溶解平衡を考慮した質量保存則を基本にし, カルシウム濃度分布および空隙率や強度といった物理性能分布を推定できるものとした. 実構造物調査では, モデルの評価, 作用水質や材料条件などが変質速度に及ぼす影響を検討した. その結果, 想定した溶出モデルにより様々な環境における変質過程が予測可能であることが証明され, 水セメント比, 境界カルシウムイオン濃度が変質速度へ大きな影響を及ぼすことが判明した.
  • 土屋 智史, 三島 徹也, 前川 宏一
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 65-84
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    自己充填性を有する高強度コンクリート, 及び高強度鉄筋を用いたRC梁・柱部材のせん断耐力について検討した. 斜めひび割れ発生荷重に対するコンクリート圧縮強度の影響は, 50MPa以上では低減し, 普通強度に比較して寸法効果が大きくなることが示された. 高強度せん断補強筋の全降伏を確保するためには, コンクリート強度に配慮する必要性が示唆された. 実験結果と部材耐力算定式との比較検討を行うとともに, 高強度コンクリート破壊面形状を考慮したせん断伝達構成則による有限要素解析を実施した. 本手法によって, 高強度材料からなるRC梁の変形挙動を追跡できることを確認した.
  • 皆川 浩, 大即 信明, 宮里 心一, 西田 孝弘
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 85-96
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 100年以上に及ぶコンクリートからのCa溶出を数値解析的に予測する手法を構築・提案することである. 本予測手法では, コンクリート中に存在する複数のイオンを考慮するために, イオン移動式として Nernst-Plank 式, Debye-Hückel 理論および電気的中性条件を用いた. またセメントペーストから細孔溶液へのCa溶出をモデル化するために, Buil のCa固液平衡モデルを用いた. 本手法の妥当性を検証するために, 約100年間水と接する環境に供用された実コンクリート部材および実モルタル部材のCa溶出実測結果と予測結果を比較した. その結果, 予測結果と実測結果は定量的に一致し, 本手法の妥当性を確認することができた. さらに本予測手法を用いて1000年に及ぶコンクリートからのCa溶出を予測した.
  • 出雲 健司, 佐伯 昇, 深尾 昌弘
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 97-107
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    著者らは, 既報の研究で1層貼りでの連続繊維シートとコンクリートの付着特性の検討と付着強さ式の構築を行ってきた. 本研究では積層貼りでの連続繊維シートとコンクリートの付着特性を有限要素法を使用して検討し, 実験により照査したものである. 解析方法は既往の研究で提案した1層貼り時のコンクリートの応力-ひずみ関係を使用することにより, 積層での場合でも実験値の付着挙動を有限要素解析によってほぼ評価できた. また, 連続繊維シートを積層にすることで, 有効付着長が増加すること, および, 連続繊維シートとコンクリートの付着強さは増加するがシートの枚数には比例しないことが示された. さらに, 積層連続繊維シートとコンクリートの付着強さ式を構築し, ほぼ実験値を評価できた.
  • 松井 邦人, 董 勤喜, 小澤 良明, 飯塚 浩二
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 109-116
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 舗装を半無限体とその上に厚さが有限で水平方向に無限に広がる平行な層からなる線形弾性構造としてモデル化している. 荷重は舗装表面に作用し, 水平方向に円形等分布しているものとする.
    解析方法として, 円筒座標系で表した Navier の式の変位を, 調和関数と重調和関数を用いて表し, Hankel 変換と Hankel 逆変換を用いて解を誘導している. さらに重ね合わせの原理を利用して, 複数のせん断力が作用する場合の応答解析ができるプログラムAMES (Analysis of Multi-layered Elastic Systems) を開発している. このプログラムの解析精度は, 例題を用いてBISARと応答結果と比較して確認している. この比較から, BISARで算出した舗装表面の応力に誤りがあることが明らかになった.
  • 谷口 秀明, 山本 泰彦, 牛島 栄
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 117-130
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高強度モルタルを用いた薄肉吹付け層の品質に及ぼす吹付け条件の影響を実験的に調べた. 実験では、吹付けに適するように選定した配合のモルタルを使用し, 吹付け条件を広範に変化させた. 吹付けは鉛直に配置した型枠面に対して行い, 吹付け層の品質は吹付け成形版から切り出した供試体の曲げ強度, 圧縮強度および密度によって評価した. また, 溶接金網を配置した成形版の場合は, 金網背後における空げき発生率も調べた. これらの実験結果に理論的考察も加え, モルタルおよび圧縮空気の流量と密度, ノズルの口径, ノズルからのモルタルの噴出角度および吹付け距離から算出される吹付け面における計算平均圧力が吹付け層の強度および充てん性に支配的な影響を及ぼしていることを示した.
  • 佐伯 竜彦, 植木 聡, 嶋 毅
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 131-142
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 塩害と中性化の複合による鋼材の防食性能の低下を予測する手法の構築を目的として, セメント水和物による塩化物イオンの固定化と炭酸化による塩化物の解離について実験的に検討した. それらの結果から現象のモデル化を行い, 中性化モデルおよび塩分浸透モデルと組み合わせることにより, 塩害と中性化が同時に作用する場合の複合劣化進行予測モデルを構築した. さらに構築したモデルの妥当性を実験結果から検証した.
  • 山谷 敦, 檜貝 勇, 中村 光
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 143-160
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    軸方向圧縮力およびせん断スパン比をパラメータとしたRC梁のせん断破壊実験を行い, 現状では十分と言えないこの種の実験データの充実を図ると共に, 実験結果に基づいて軸方向圧縮力がせん断耐力に及ぼす影響を検討した. その結果, 軸方向圧縮力の影響はせん断スパン比によって変化しないとする現行のコンクリート標準示方書のデコンプレッションモーメント法では, 実験結果における軸方向圧縮力の影響を正確に再現することができないことを明らかにし, 斜めひび割れ耐力に及ぼす軸方向圧縮力の影響はせん断スパン比が小さくなるに従って直線的に増加すること, 同様に, せん断圧縮破壊の場合には, せん断スパン比が小さくなるに従って軸方向圧縮力によるせん断耐力の増加率が直線的に減少することを示した.
  • 辻 幸和, 十河 茂幸, 河井 徹, 鈴木 一雄
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 161-167
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 高流動コンクリート用漏斗としてのV漏斗とO漏斗のキャリブレーションの基礎資料として, 5種類のロットの豊浦産の旧標準砂を用いて流下時間と質量を測定し, 各漏斗におけるばらつきおよび豊浦産旧標準砂間のばらつきに関する測定結果を報告した. 豊浦産旧標準砂のロット間のばらつきは小さいが, V漏斗とO漏斗の製作ロット間の相違は流下時間について大きい. また, これらの漏斗にS漏斗を加えて, 3種類の高流動コンクリートの流下時間をそれぞれ測定した結果についても報告した. そして, 豊浦産旧標準砂を用いたV漏斗とO漏斗のキャリブレーション方法を提案した.
  • 国枝 稔, 若槻 晃右, 鎌田 敏郎, 六郷 恵哲
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 169-177
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 破壊制御設計のひび割れ注入補修への適用性について検討した. 寸法の異なるRC部材の曲げ載荷試験を行ない, ひび割れ注入補修されたRC部材の補修前後での力学特性の違いを明らかにし, 特に注入材の種類の違いが部材の巨視的な挙動 (モーメントー曲率関係) やひび割れ性状の違いに影響を及ぼすことを確認した. さらに, 注入不可能な微細なひび割れの存在に着目し, 注入部の挙動と比較検討した結果, 未注入部の開口量は注入部のそれに比べて大きくなることが明らかとなった. ひび割れ注入補修を行なう際には, 未注入部の存在を考慮するとともに, 注入部に再びひび割れを生じさせるという破壊制御設計が有効であり, これらを踏まえた注入材の材料選択の可能性が示された.
  • 辻 幸和, 杉山 隆文, 山口 光俊
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 179-192
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    せん断スパン比 (a/d) が2.35, 引張鉄筋比 (pw) が3.37%の小型RCはりおよびa/dが3.80, pwが1.71%の大型RCはりを作製し, せん断スパン内にそれぞれ鉛直打継目を設けた. この打継目を鋼板被覆で補強して曲げ強度試験を行い, ひび割れ性状, 曲げひび割れ発生荷重, 斜めひび割れ発生荷重, 最大荷重, 破壊形式, スターラップおよび鋼板のひずみをそれぞれ測定した. 鋼板補強には, 斜めひび割れ発生荷重の増加や鉛直打継目によって局所的にスターラップの分担せん断力が増加するのを, 鋼板が分担して防止する効果があることを明らかにした. また, スターラップの配筋量やコンクリート強度が小さいほど, 鋼板が負担するせん断力が大きくなることも明らかにした.
  • 近松 竜一, 十河 茂幸
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 193-200
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    品質のばらつきが少ないコンクリートを製造するには, 各材料を所定量だけ正確に計量する必要がある. しかし, 現行の製造システムでは, 細骨材の表面水を正確かつ迅速に把握することが困難な場合も多く, 製造技術者を悩ませているのが現状である. そこで, 表面水の変動に左右されず, 正確な水量と細骨材量を算出する方法として, 細骨材を水中に浸して飽和含水状態で計量する水浸計量方法を考案した. 本報は, この水浸細骨材計量方式を用いたコンクリート製造システムの実用化に向けた各種の検証結果をまとめたものである. 水浸計量の制御や装置の仕様に関して概説するとともに, 水浸細骨材の作製方法や水浸方式で製造した場合の品質確認結果について報告する.
  • Tarek Uddin MOHAMMED, 山路 徹, 青山 敏幸, 濱田 秀則
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 201-214
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    普通セメント (OPC), 高炉スラグセメントA種 (SCA), B種 (SCB), C種 (SCC) およびフライアッシュセメントB種 (FACB) を用い, ひびわれの有無の異なるコンクリート試験体の海洋環境下における暴露15年試験を実施し, 圧縮強度, 可溶性・全塩化物含有量, ひびわれ治癒 (閉塞), および埋設鉄筋の電気化学的性状および物理的性状に関する試験を行った. 塩化物の浸入量および鉄筋の腐食量をセメント種で比較すると, 概ねOPC>FACB>SCA>SCB>SCC, の順になった. また, セメント種によらず, ひび割れ幅が概ね0.5mm以下の場合, ひびわれ治癒 (閉塞) が認められたが, 0.5mmよりも大きな場合, ひびわれ治癒は観察されなかった. コンクリートと鋼材の界面に空隙が存在する箇所において孔食が生じていた.
  • Torsak LERTSRISAKULRAT, 二羽 淳一郎, 柳川 明哲, 松尾 真紀
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 215-225
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    有効高さ (d) を200, 400, 600 (mm), せん断補強筋比を0, 0.4, 0.8 (%) としたRCディープビームのせん断破壊実験を行った. ディープビーム内部にひずみゲージを埋め込み, 供試体内部のコンクリートと補強筋の局所ひずみ分布を測定した. せん断圧縮モードで破壊するRCディープビームにおけるコンクリートの局所的な圧縮破壊領域を定量的に把握し, 最終的にコンクリートの破壊領域体積 (Vp) と圧縮破壊エネルギー (GFc) を決定した. そして, 無補強コンクリートの一軸圧縮試験から得られたGFcの概念が, 局所的な圧縮破壊を生じるディープビーム中のコンクリートにも同様に適用可能であることを示した.
  • 大津 政康, 原田 耕司, 石川 信隆, 香月 智, 太田 俊昭, 日野 伸一
    2002 年 2002 巻 697 号 p. 227-230
    発行日: 2002/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
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