土木学会論文集
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1998 巻, 610 号
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  • 松本 樹典, 林 正宏, 道 勇治, 武居 幸次郎, 二塚 保之
    1998 年 1998 巻 610 号 p. 1-18
    発行日: 1998/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    石川県能登半島内の能越自動車道3号橋の建設に伴い, 1995年3月および1996年4月に珪藻泥岩地盤において, 鋼管杭の打込み工事が実施された. これらの杭打ち工事では, 施工した全ての杭の支持力確認を目的として, 一次元波動理論に基づき杭打設時の挙動を解析し, 杭の荷重~変位関係を推定した. 本論文では, 最初に, 波形マッチング解析手法, 波形マッチング解析で用いる地盤モデルのパラメータ設定法とこれらの検証試験結果を述べる. 次に, 珪藻泥岩地盤に打設された計102本の鋼管杭について, 提案した波形マッチング解析手法を用いた動的載荷試験を実施し, 支持力特性を推定した結果について述べる.
  • 立石 義孝, 鬼塚 克忠, 廣澤 茂, 根上 武仁
    1998 年 1998 巻 610 号 p. 19-29
    発行日: 1998/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    植物起源の有機質珪質土である珪藻土は, 普通の粘土鉱物とは成因が異なり, 土粒子の超微細多孔質な構造とセメンテーション作用が強度特性を支配している. 乱さない状態では軟岩的な力学挙動を示し, 岩と土の中間的な力学的性状を呈する. 本論文ではセメンテーション作用により固結した珪藻土の微視的構造特性と力学的挙動の関係を調べるために, 走査型電子顕微鏡と水銀圧入型ポロシメーター細孔分布測定装置を併用した. 電子顕微鏡写真と間隙分布より珪藻土の微視的な構造特性について解明し, 珪藻土の脆性的な破壊現象は珪藻遺骸の粒子破砕と骨格構造の破壊によって生じることなどを明らかにした.
  • 中田 雅夫, 山地 宏志, 中山 昭彦, 櫻井 春輔, 志田原 巧
    1998 年 1998 巻 610 号 p. 31-42
    発行日: 1998/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は圧縮空気エネルギー貯蔵におけるエネルギー収支の実際を圧縮空気貯蔵試験の試験結果を基に評価し, その結果から貯蔵効率評価のためのモデルを提案したものである. 貯蔵試験結果から比較的簡便な計測によって, 貯蔵, 漏気, 及び熱伝播のエネルギー収支が把握できること, また場合によると周辺岩盤への熱損失がエネルギー貯蔵効率に影響を及ぼしうることが明らかとなった. また, この過程がエネルギー保存則に基づく比較的簡便なモデルで工学的に十分な精度で評価しうることが示された. これらの知見は地下空洞の恒温性を利用した各種地下空洞へも適用し得るものと考えられる.
  • 本多 眞, 鈴木 誠, 上田 稔
    1998 年 1998 巻 610 号 p. 43-55
    発行日: 1998/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    杭基礎の設計に重要な基礎地盤面の推定精度は, 調査の主体であるボーリングの数量や配置に依るところが大きい. 数量は直接調査コストに関わるが, 配置は既存構造物などの障害物等がある場合を除けば, 制限となるような条件は少ない. このため推定精度を基にした最適配置を検討することは大きな意味を持つ. 本論文では推定値の信頼性に基づく定量的・客観的な調査ボーリング配置計画について論じている. 最適配置のための評価指標として, これまで提案されているものに加えて, 新たに2つの評価指標を提案して, 数値実験により調査ボーリング配置の比較を行い, その有効性を確認した.
  • 稲田 善紀, 木下 尚樹, 松嶋 信行
    1998 年 1998 巻 610 号 p. 57-67
    発行日: 1998/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ゴミ焼却等で発生する廃熱を利用して水を熱水に変え, 多目的に利用する場合, 季節や一日の時間帯による熱水の使用量の変動に関係なく, 安定供給するための一時的な貯蔵施設が必要となる. 土地の立体的有効利用や環境保全等の観点から, 地山岩盤内に空洞を設けて貯蔵することを想定した場合, 空洞周辺岩盤に発生する熱応力や, 空洞からの熱水の漏出が問題となる. 本研究では, 熱応力軽減対策として空洞表面に種々の断熱材を施すことを想定し, 空洞周辺の温度分布および応力分布を求め, 熱応力軽減に有効な手段となることを示した. また, 熱水の漏出防止対策として, 種々の高分子系材料を空洞表面にライニングした場合について検討し, 漏出防止対策に有効な手段となることを示した.
  • 坂田 隆搏, 前田 良刀, 落合 英俊, 安福 規之, 横田 康行
    1998 年 1998 巻 610 号 p. 69-82
    発行日: 1998/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    橋梁構造物のように, 慣性力や土圧を受ける基礎には, 鉛直荷重と水平荷重が同時に作用するため, 荷重傾斜の影響を考慮した支持力評価が必要になる. 現在, 柱状体基礎の安定問題は鉛直抵抗と水平抵抗が独立に扱われている.
    本研究では, 筆者らが行った傾斜荷重下における模型杭の支持力特性に関する一連の実験や, アルミ棒積層体地盤を用いた杭の模型実験およびFEM解析から想定される杭の支持力特性と地盤の破壊メカニズムを用いて, 柱状体基礎水平支持力算定の基本となる水平方向塑性地盤反力の評価式を速度場法により導いた. また, その提案式の有用性をいくつかの実験結果と試算事例について示した.
  • 佐藤 正行, 安田 進, 吉田 望, 増田 民夫
    1998 年 1998 巻 610 号 p. 83-96
    発行日: 1998/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地表面の最大加速度及び Spectrum Intensity (SI) を用いて液状化判定に用いる地震時の地盤のせん断応力を精度良く求めるための推定式を提案している. ここで提案した方法は, 従来の簡易判定法における推定式と同じ情報にSIを加味するだけで地震時の地盤のせん断応力比を推定でき, 地盤剛性や基盤深さ等の地盤の詳細データは不要であるという特徴がある. SIは最大加速度と同じく地表面加速度波形から得られる情報であるので, この方法は簡便的な方法といえる. この方法を用いて, 兵庫県南部地震におけるポートアイランド及び第二鹿児島県北西部地震における阿久根市と川内市の地震時最大せん断応力分布の推定を行い, 従来法による結果と比較して, 提案した手法の有効性について検討している.
  • 佐野 博昭, 山田 幹雄, 太田 実, 能澤 真周, 渡邊 康二
    1998 年 1998 巻 610 号 p. 97-104
    発行日: 1998/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 空気との接触によって徐々にpHが低下する土, いわゆる「酸性移行を呈する土」のコンシステンシー限界を検討するために, 切取り斜面より採取した土に対して液性限界・塑性限界試験を行った. 現地調査において, 斜面内部の土のpHが6.5とほぼ中性であったのとは対照的に表層部ではpH2.5の強酸性を示し, 加えて, この土のコンシステンシー限界は表層部に近づくにつれて小さくなることが示された. 次に, 斜面内部の中性土 (pH6.5) を室内に持ち帰って空気乾燥したところ, 日数の経過とともに土のpHは徐々に低下して強酸性 (3) へと達し, その推移には温度の高低が深く関与していることが示された. さらに, pHが低下すると土のコンシステンシー限界が小さくなること, 土の酸性化にともなって塑性図を用いた工学的分類体系上, C'H群からML群へと遷移することなどの新たな知見が得られた.
  • 貝沼 憲男, 安田 登, 松島 学, 神藤 健一, 吉野 尚人
    1998 年 1998 巻 610 号 p. 105-114
    発行日: 1998/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤の止水性評価はルジオン値の超過確率分布で行われてきた. ダム建設時に十分な止水性を確保するためにカーテンウォールを構築し, その止水性もルジオン値で評価している. 本研究では, ルジオン値の新しい分布形状のモデル化提案し, この分布形状からルジオン値の超過確率を求め, カーテンウォールの効果を評価している. 本手法を対象となった2地点に適用し, 有効な評価結果を得ている.
  • 服部 隆行, 北川 隆司, 徐 連民, 小川 保, 日下部 治, M. M. Galer
    1998 年 1998 巻 610 号 p. 115-123
    発行日: 1998/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    広島地方と阿武隈地方の風化花崗岩における地盤特性の地域比較を行い, 風化度毎の静的な変形挙動の評価を目的として砂質土の弾塑性モデルを用いたシミュレーションを行った. 検討結果から, 両地方の風化花崗岩の地盤特性は, 瀬戸内海の花崗岩を対象とした本四公団の岩盤分類の適用性が高く, 圧縮・せん断特性は, 粒子破酔の卓越する降伏応力前後の初期骨格構造の影響が大きいことを示した. さらに, 弾塑性モデルによるシミュレーション結果の有効性から, 母岩の形成過程と風化性状を特定することにより, 両地方の花崗岩の地盤特性には同等牲が存在する可能性を示唆した.
  • 平野 文昭, 神野 健二, 船岡 基, 百田 博宣
    1998 年 1998 巻 610 号 p. 125-134
    発行日: 1998/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 目詰まりの進行過程の予測方法を確立するために, まず実験に用いた地下水中の目詰まり原因物質が鉄の水和酸化物であることを特定するとともに, 目詰まり現象を表す数学モデルについて検討している. 次に, 鉄の水和酸化物を含む懸濁溶液を用いた室内カラム浸透実験に対して数学モデルを適用し, 流量および抑留量に関する評価指標により数学モデル中の抑留パラメーターの推定が可能であることを示している. 最後に, 目詰まり原因物質の濃度を減らすための限外ろ過膜などを用いた人工涵養の計画フローについて提案している.
  • 福島 伸二, 北島 明, 富岡 進, 道前 京太郎
    1998 年 1998 巻 610 号 p. 135-144
    発行日: 1998/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 他の工事現場で発生した関東ロームを受け入れ, これにセメント系固化材を添加・混合した改良土により急傾斜地に雛段状の宅地を造成する工事において, 改良目標設定のために実施したセメント系固化材により改良した関東ロームの強度特性 (一軸・三軸圧縮試験) や圧密沈下特性 (固化材による圧密沈下抑制効果) の調査結果を報告する. また実施工における改良地盤の効果の確認のために採用した改良型コーン貫入試験を用いた施工管理法の適用性の検討と, 強度増加や圧密沈下の抑制効果を施工中に採取したコア試料の室内試験により直接調査した結果をそれぞれ報告する.
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