本研究では, 空気との接触によって徐々にpHが低下する土, いわゆる「酸性移行を呈する土」のコンシステンシー限界を検討するために, 切取り斜面より採取した土に対して液性限界・塑性限界試験を行った. 現地調査において, 斜面内部の土のpHが6.5とほぼ中性であったのとは対照的に表層部ではpH2.5の強酸性を示し, 加えて, この土のコンシステンシー限界は表層部に近づくにつれて小さくなることが示された. 次に, 斜面内部の中性土 (pH6.5) を室内に持ち帰って空気乾燥したところ, 日数の経過とともに土のpHは徐々に低下して強酸性 (3) へと達し, その推移には温度の高低が深く関与していることが示された. さらに, pHが低下すると土のコンシステンシー限界が小さくなること, 土の酸性化にともなって塑性図を用いた工学的分類体系上, C'H群からML群へと遷移することなどの新たな知見が得られた.
抄録全体を表示