土木学会論文集
Online ISSN : 1882-7187
Print ISSN : 0289-7806
ISSN-L : 0289-7806
2001 巻, 672 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 今田 徹
    2001 年 2001 巻 672 号 p. 1-12
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    トンネル支保構造物の設計では, 設計条件を把握することが難しく, また, 用いられる支保工の作用機構が必ずしも明確になっていないため, 経験的な手法や施工中の計測によって設計を確定していくなど特殊な方法が用いられる. 従って, 多くの場面で技術的な判断を迫られることになるが, 判断の基礎はトンネルの安定や支保工の働き方に対する考え方と経験である. しかし, これらについては時代とともに変化し, また, 現状においても統一的な考え方が存在するわけではない. 本論文では, 各支保工の特徴を検討し, 各種の制約条件の中で各支保工を組み合わせて支保構造物を設計, 選択するときの考え方と問題点を明らかにする.
  • 広瀬 宗一, 藤原 辰彦, 牛嶋 龍一郎, 高橋 宏直
    2001 年 2001 巻 672 号 p. 13-22
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    関西国際空港2期工事は, 平成11年7月に現地着工した. 2期空港島は1期空港島よりもさらに沖合での建設であり水深は深く予測沈下量も大きいため, 1期工事の約1.4も倍の埋立土量を要する. しかしながら, 全体工程の中においてこの2期工事は, 1期工事とほぼ同じ期間での施工が計画されている. この限られた期間内に工事を安全かつ円滑に実施するためには, 適切な施工展開計画の作成が非常に重要となる. したがって, 大規模な海上工事である2期工事の, 施工計画策定に際して効率的かつ多角的な検討を可能とするシミュレーションシステムを開発した. そのシステムの概要および実際の現場に適用して得られた効果等について報告する.
  • 田中 正, 後藤 雅幸, 西 淳二, 奥山 健二, 井上 雄介, 大宮 正浩
    2001 年 2001 巻 672 号 p. 23-35
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 地下街に係る諸規制が緩和されたという設定のもとで, 地下街の複層化の可能性を考察検証した. 現在, 地下街は「一層に限る」とされ, 高さ方向の空間設計という観点からは, 非常に制限を受けている. 地下街が複層化された場合を考えると, そこからは空間設計の自由度が増し, 商業空間として魅力ある空間の構築の可能性が見出される. この複層地下街が, 空間環境面, 事業収支面, 安全・避難面それぞれに及ぼす効果について検討した. その結果, 現状の建設および運用・防災技術で複層地下街空間は十分実現可能でかつ非常に魅力的な空間となる可能性が高いことが分かった.
  • 西脇 芳文, 前島 俊雄, 久保田 克寿
    2001 年 2001 巻 672 号 p. 37-56
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    国内水圧鉄管においては, 揚水式発電所の大型化・高落差化への要求に対応するため鋼材の高張力化が図られてきたが, HT-80 (JIS G 3128[1987]SHY685NS-F) の適用を果たして以来20年以上が経過し, 更なるコストダウンに寄与する新たな高張力鋼の開発・適用が望まれており, 電力会社・製鋼メーカー・重工各社で研究が進められてきた.
    本論文は, 既往の研究・開発成果を踏まえ, 最新の技術で製造した引張強さ950N/mm2級高張力鋼 (HT-100) およびその溶接継手の, 水圧鉄管への適用性評価結果について報告するものである.
  • 倉本 和正, 竹本 大昭, 鉄賀 博己, 石山 英治, 古川 浩平
    2001 年 2001 巻 672 号 p. 57-68
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    急傾斜地崩壊危険箇所に関する情報は, 紙で管理されているものが多く, 必要な情報を迅速かつ正確に抽出するといった効率的な管理が行われているとは言いがたい. 本研究では, 過去24年間に渡って蓄積された災害報告書および急傾斜地崩壊危険箇所点検調査書を対象に, GISデータベースを構築し, 効率的な情報管理体制の確立を試みた. また, 構築したGISデータベース上に, 緊要度の高い危険箇所の抽出や過去の災害履歴等の検索に利用できるようながけ崩れ保全業務支援システムを構築した. さらに, 行政機関の的確な意思決定を支援するために, 発生予測技術とGISデータベースを統合したがけ崩れ警戒避難支援システムの構築を行った.
  • 荒井 健, 山崎 宣悦, 大即 信明
    2001 年 2001 巻 672 号 p. 69-83
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    管理型廃棄物処分場の斜面部遮水シートに, コンクリートや土質材料の保護層を設けると, 保護層が遮水シート上下を結ぶ電気経路となる. こうした条件では, 漏水周辺に生ずる電位異常や電流の増大が生じにくく, 漏水を検知することが非常に困難となる.
    筆者らは, こうした斜面部のシートに保護層が設けられた管理型処分場のために, 遮水シート上下の電場を制御しつつ電流を測定する漏水位置検知システムを開発した. 本論文は, 電場制御を併用した電流測定による漏水位置検知の原理を説明するとともに, その実験結果によりその効果を示すものである.
  • 新川 勝弘, 南川 昭夫, 大屋 顕, 寺澤 正人, 北 倫彦, 小泉 淳
    2001 年 2001 巻 672 号 p. 85-100
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 国内のシールドトンネルの工事において, ほぞ付きセグメントを適用する事例が増えつつあるが, これまでのところ, 実際に施工されたほぞ付きセグメントの挙動を詳細に把握した事例は少ない. 本研究は, 実施工されたほぞ付きセグメントに対して現場計測を実施して実際の挙動を把握した後, 種々の解析を行い, 現行の設計計算法の妥当性について評価し, 考察を行ったものである.その結果, (1) セグメント本体に発生する曲げモーメントは「はり-ばねモデル」により解析可能であるが, セグメント継手の回転ばね定数をゼロとすることにより安全側の結果を得ること. (2) 設計基準に示される各種補強筋に対する設計照査式はほぼ妥当なものであるが, 割裂補強筋の照査においては作用荷重の継手面における偏心を考慮する補正係数の導入が必要なことなどが確認された.
  • 中岡 時春, 白石 賢二, 望月 秋利, 阪口 理
    2001 年 2001 巻 672 号 p. 101-108
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    粗粒材を含む盛土地盤に貫入柱を打撃貫入して地盤を締固める, 新規開発工法の締固め効果とそのメカニズムを検討する目的で, 風化花崗岩の盛土地盤 (平均N値=17) で施工間隔を変えた締固め実験を行った. 改良効果は施工中には打撃貫入による貫入量とリバウンド量を, 施工前後にはN値と地中変位計による地盤内変形を計測して評価した. その結果, 貫入柱径をDとする3D間隔以下の施工では増加N値が30以上 (4本打設の中央点の計測値) あること, 改良範囲は横に「打設中心±4D」, 深さ方向に「貫入深さ+4D」であること, 貫入量とリバウンド量はこれらから推定したN値が実測値にほぼ対応し, 施工中の管理指標として有効なことを確認した. また室内試験を行って, 締固め範囲やそのメカニズムの検証を行った.
  • 奥村 誠, 藤井 堅, 塚井 誠人
    2001 年 2001 巻 672 号 p. 109-116
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 鋼構造物における鋼板の腐食が空間的なパターンをもって進むことに着目し, 地域経済学の分野で発展してきた空間的自己相関モデルの考え方を適用して, 腐食深の空間的自己相関パターンを考慮した統計モデルを提案し, そのパラメータの同定方法を示す. さらに長年供用された鋼構造物から採取した腐食鋼板の試験片を取り上げ, 提案した統計モデルを当てはめ, 空間的自己相関を考えずに計測値に直接ワイブル分布を当てはめた場合に比べて, 統計的により説明力の高い表面形状モデルが作成できることを確認する.
  • 倉本 和正, 鉄賀 博己, 東 寛和, 荒川 雅生, 中山 弘隆, 古川 浩平
    2001 年 2001 巻 672 号 p. 117-132
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    がけ崩れの発生予測において, 発生降雨, 非発生降雨の境界線である発生限界雨量線は, 警戒避難の基準として広く用いられている. しかしながら, それらのほとんどは線形で設定されており, 複雑な現象であるがけ崩れの発生予測においては比較的誤判別の頻度が高くなっている. 本論文では, これらの問題点を軽減するため, RBFネットワークを用いて非線形の発生限界雨量線の設定を試みた. また, 非線形発生限界雨量線の有効性を検証するために従来の線形発生限界雨量線との精度比較を行った. さらに, 非線形発生限界雨量線を用いた効率的な避難勧告の発令時期についても検討を行った. 最後に設定した非線形発生限界雨量線の汎化能力を検証するために, 未学習データを用いて発生予測を行った.
  • 野口 利雄, 垂水 尚志
    2001 年 2001 巻 672 号 p. 133-144
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本報告は, 非関連流れ則に基づくモール・クーロンードラッカー・プラガー混合法による弾塑性有限要素法を使用し, 豊浦砂を用いた落とし戸実験での地盤内の変位及びせん断ひずみの分布, 落とし戸に作用する土圧について, 弾性解析や関連流れ則に基づくモール・クーロン法による弾塑性解析に比べ, 当手法が実験値を比較的精度よく表すことを示す.
    次に実際のシールドトンネル施工時における地中変位の計測結果と対比させるため, 掘削解放率を100%とし, 泥水圧または裏込め注入圧を考慮した2次元解析を同手法を用いて実施した. その結果落とし戸実験と同様に, 同手法は実用的に十分な精度で地盤変位を予測できることを示す.
  • 北川 信, 古家 和彦, 中村 俊一, 鈴村 恵太
    2001 年 2001 巻 672 号 p. 145-154
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    明石海峡大橋ケーブルの防食方法として, ケーブル内部に乾燥空気を送り込み, 内部水を強制的に排除させる送気乾燥システムを世界で初めて適用した. 本システムの導入に際し, 乾燥空気を送気した小型ケーブル試験体の腐食試験結果を, 送気しなかった試験体と比較することにより, 送気乾燥システムの防食効果を確認した. さらに, ケーブル試験体から除湿された水分を計測することにより, 内部水が除湿されるプロセスを定量的に把握し, 除湿メカニズムを明確にした. また, 湿度および付着塩分が亜鉛メッキ鋼線の腐食におよぼす影響を室内実験により調査し, 送気システムによる亜鉛メッキ鋼線の耐久寿命を推定した. その結果, ケーブル内を相対湿度60%以内に保てば, きわめて長期の耐久性が得られることを見い出した.
  • 益村 公人, 三嶋 信雄, 三浦 清一
    2001 年 2001 巻 672 号 p. 155-167
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高速道路建設では, 転圧を伴なう土質材料の締固めにおいて締固め層内の均質性を確保するため薄層による締固めを基本としている. しかしながら, 第二東名・名神等に代表される山岳部の道路建設では, 土工量が必然的に増大するため合理的な盛土施工が望まれている. そのため, 筆者らは盛土施工の効率化を目的として, 大型締固め機械による締固め層厚の厚層化に関する現場転圧試験を実施するとともに, 現地試験盛土および室内圧縮沈下試験を実施した. 一連の試験結果から, 締固め層厚60cmまでの厚層化は可能であり, かつ盛土の圧縮沈下においてその影響が懸念される密度分布の勾配についても, 締固め層内の平均密度を増加させることにより充分抑制できるなどの事実が判明した.
  • 高橋 弘, 森川 康弘
    2001 年 2001 巻 672 号 p. 169-177
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    論文においては, ローダとダンプトラックの知的協調作業による土砂積み込み作業の自動化を目指し, ダンプトラックがローダに接近する場合の制御アルゴリズムについて検討した. この作業の自動化を実現するためには, ダンプトラックはローダとの相対位置を認識しなければならないことから, ダンプトラック上にカメラを設置し, カメラからの画像を処理することにより位置関係を認識し, 移動するアルゴリズムを提案した. またローダとダンプの模型を作製し, 本研究で提案するアルゴリズムを用いて土砂の自動積み込みに関する実験を行い, ダンプのベッセルの位置と積み込み地点との差を調べた結果, 誤差はベッセル長さの約1/25程度に収まり, 本アルゴリズムの有効性が確認された.
feedback
Top