土木学会論文集
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1995 巻, 519 号
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  • 奥村 勇
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 1-10
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    表面の1点に集中力ベクトルを受ける半無限弾性体の特異境界値問題が解析されている. 集中力ベクトルは, 表面に対する2つの接線力及び1つの垂直力の3成分を持っている. 解は, 直交曲線座標における変位ベクトル及び応力テンソルの形式で与えられている. その解から, 直交曲線座標の一例として, 直交座標, 円柱座標及び球座標における変位成分及び応力成分が具体的に求められ, これらの座標系における解が, スカラー表示されている. これらの解は, 集中力ベクトルの3成分を特殊化した時に, Boussinesq 問題及び Cerruti 問題の解に一致する.
  • 阿井 正博, 西野 文雄
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 11-19
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    幾何学的非線形問題において, 要素の全節点自由度をその剛体位置と変形の自由度に分離して離散化を進める手順は, 既に一般形で示されており, はり要素や2次元弾性要素に対する式展開も示されている. 本文は, 弾性有限変位問題での3次元4面体要素に対する具体的な離散化を前述の一般論にそって展開するものであり, その物理的意味を明確にしながら, 要素位置から要素力までの一連の関係式および接線剛性式を陽な形で示している.
  • 熊崎 幾太郎, 渡邊 英一, 古田 均
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 21-36
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, ファジィ推論ルールの前件部および後件部パラメータを最急勾配法により学習同定する手法を用いて, ファジィ推論に基づく構成則を得る. 学習同定には, 橋脚の柱セグメントを構成する単一板に関する繰返し圧縮. 引張実験データを用いる. この構成則を橋脚の柱セグメントである薄板集成部材が一定圧縮荷重および繰返し曲げを受ける場合の部材断面レベルでの弾塑性挙動予測に応用する.
  • 程 小華, 山田 健太郎
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 37-49
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    中央切欠き試験体 (構造鋼材JIS SM520B) を用いて, き裂開閉口現象を観察した. 疲労き裂先端近傍に生じる残留塑性変形が荷重の相互干渉効果の要因であるとするき裂閉口概念 (crack closure concept) に基づいた解析モデルを用いて, 疲労き裂開口応力を算出し, 有効応力拡大係数範囲ΔKeffを求め, 疲労き裂進展速度との関係を算定した. 解析結果を過荷重条件下での試験結果と比較した. さらに, 荷重の相互干渉効果を検討するために, 様々な荷重条件下での疲労き裂進展寿命を計算した.
  • 矢吹 哲哉, 有住 康則, 下里 哲弘, 長嶺 由智
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 51-56
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本文は, 薄肉I形断面を有する鋼曲線プレートガーダーの両端に等曲げモーメントが作用した場合についてパラメトリック解析を行い, その不安定挙動を検討したものである. 解析はアイソパラメトリックシェル要素モデル及び梁モデルによる弾塑性有限変位を考慮した有限要素法である. 特に, 鋼曲線プレートガーダーの構造諸元が桁の非弾性座屈モードに及ぼす影響に焦点をあてた検討がなされている.
  • 大久保 禎二, 和多田 康男, 西村 一隆
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 57-66
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 変動荷重を受けるトラス構造物の弾塑性履歴挙動を, エネルギー原理に基づき構造物の全コンプリメンタリーエネルギーを最小化することにより能率的に解析できる新しい方法を提案している. 各変動荷重に対する全コンプリメンタリーエネルギーを, 先行荷重により生じている応力度およびひずみの点を原点として計算し, これを変動荷重のみを考慮した力の釣合条件式のもとで最小化することにより, 増分荷重および減少荷重に対して正確に解析し得ることを変位法による解と比較することにより明らかにするとともに, 複雑な荷重履歴を受けるトラス構造物の解析例により, 本論文で提案した解析法により, 変位法と比較して極めて単純かつ能率的にいかなる非線形応力度-ひずみ関係を有する材料よりなるトラス構造物の弾塑性履歴挙動の解析をも正確に行えることを明らかにしている.
  • 中沢 正利, 池田 清宏, 和知 聡, 倉西 茂
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 67-78
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 等曲げを受ける弾性矩形板に生じる多段階の分岐や飛び移り等の複雑な不安定現象に着目した後座屈解析を行ない, 二次座屈現象を体系的に記述する. 剛性方程式の接線係数行列の行列式に基づいた分岐点や分岐径路の分類, あるいは群論的表現に基づいてブロック対角化された接線剛性行列の小行列を用いた分類を示す. さらに漸近則やモンテカルロシミュレーションにより, 初期不整が板のたわみに及ぼす影響を定量的に評価する. この結果, 非常に複雑な後座屈挙動の仕組みを解明すると共に, これらが必然の積み重ねから成り立っていることを明らかにし, 数値的にも示すことができた.
  • 葛 漢彬, 宇佐美 勉, 織田 博孝
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 79-87
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 局部座屈を考慮した鋼骨組構造の終局強度解析に必要なモーメント-軸力-曲率関係の定式化について述べたものである. まず, 有限要素解析の汎用プログラムMARCに適用する解析モデルを提示し, モーメント-曲率関係に及ぼす断面形状および鋼材のひずみ硬化の影響を調べる. 次に, 幅厚比と軸力を変化させてモーメント-軸力-曲率関係を求め, 局部座屈の影響を考慮した終局強度の相関式を示すとともに, 極限強度に対応する曲率の近似式を与える. 最後に, モーメント-軸力-曲率関係を精度良く予測できる近似式を提案している.
  • 中井 博, 北田 俊行, 國廣 昌史, 前川 義男, 河内 伸
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 89-99
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 圧縮, 曲げ, および, ねじりの代表的な組合せ断面力を受ける薄肉補剛箱形断面の終局状態に至るまでの挙動, ならびに座屈・終局強度特性について, 実験的な立場から検討を加えたものである. また, 別途, 理論的研究によって導かれた圧縮, 曲げ, および, ねじりが単独に作用した場合のそれぞれの耐荷力曲線, ならびに, これらの組合せ断面力が作用したときの終局強度相関曲線の妥当性を実験データをもとにして検討している. さらに, 道路橋示方書に基づく許容強度曲線, および許容強度相関曲線, ならびに上述の耐荷力曲線, また終局強度相関曲線を安全率1.7で縮尺した許容強度曲線, および許容強度相関曲線と実験結果とを比較し, これらの曲線の妥当性についても若干の考察を行っている.
  • 宇佐美 勉, 才塚 邦宏, 木曽 英滋, 伊藤 義人
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 101-113
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋼製橋脚をモデル化した箱形断面片持柱の供試体を6体 (3体: 補剛断面, 3体: 無補剛断面) 製作してハイブリッド地震応答実験を行い, 実地震動が入力した場合の実鋼製橋脚の地震応答をモデル実験より求めた. この結果, 入力地震波として用いた土木研究所提案の3種の地震波 (I, II, III種地盤) の内, I種地盤の地震波が実橋脚にとって最も危険な応答を生じさせること, 連続的に地震波を入力してもII, III種地盤では大きな損傷を与えないことを確認した.
  • 鈴木 森晶, 宇佐美 勉
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 115-125
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    名古屋大学では, 鋼製橋脚の耐震性能を左右するパラメータの耐震性能への影響を調べるために薄肉の補剛または無補剛箱形断面を有する柱の単調載荷実験および, 繰り返し載荷実験を59体行ってきた. 本研究では名古屋大学および他機関の実験を総括し, 水平荷重, 変位に着目し幅厚比や, 細長比といった各主要パラメータの強度と変形能に及ぼす影響を調べ, 最高荷重値, 最高荷重点での変位および最高荷重以後の変形能を主要パラメーターにより表現しようとするものである. 名古屋大学では, 最高荷重後の変形能を有効に利用しようとする耐震設計法の確立を目指しており, このような強度と変形能を主要パラメータにより表現することにより, 耐震設計に対して有用な基礎資料を提供するものである.
  • 三木 千壽, 舘石 和雄, 奥川 淳志, 藤井 裕司
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 127-137
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋼床版縦リブ・横リブ交差部の局部応力発生性状と疲労強度について実寸大試験体により実験的に検討した. 疲労試験に際しては, 橋上荷重の移動を再現できる載荷システムを構築し, 実橋で生じている横リブウェブの面外変形挙動を実験的に再現した. 応力実測および疲労試験の結果, 横リブとデッキプレートとの溶接部に設けられる横リブウェブのスカラップを省略することにより, 局部的な面外曲げ応力が低減し, 疲労強度が高くなることが明らかとなった.
  • 立石 章
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 139-148
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地中構造物の地震時振動特性に基づき, 動的サブストラクチャー法の運動方程式より周辺地盤をFEMで表した静的耐震計算法 (地盤応答法) を導いた. 地盤応答法と既往の静的耐震計算法を比較したところ, 応答震度法は主に自然地盤の加速度による慣性力を作用させるという点で地盤応答法と似通った計算法であるが, 地盤FEM型の応答変位法は自然地盤の地震時変位を近傍地盤外周に作用させるという点で地盤応答法とは異なる計算法であることが判明した.
  • 秋山 伸一
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 149-159
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    半無限成層地盤におけるインパルス応答を, 特性方程式から導かれる Love 波モードとリーキングモードを用いて定式化している. インパルス応答はこれらのモードを振動数で積分することにより与えられる. 波線理論によると, リーキングモードは表層内を多重反射する平面波の増幅的干渉と解釈できる. インパルス応答を構成するモードは, 加振点の近傍ではリーキングモードの影響が強く, 遠方では Love 波モードの影響が支配的になる.
  • 中村 晋
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 161-173
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ここでは, 水平面における地震動の周波数特性を周波数毎の粒子軌跡よりベクトル量つまりベクトルスペクトルとして評価する手法, さらにそのスペクトルを用いた地震動の増幅特性の評価手法の提案を行った. それらの特徴と有用性を明かにするため, それら手法を実観測記録に適用し, 水平2成分のフーリエ・応答速度スペクトルの2乗平方和, また地中の異なる2点の同一方向成分に関するフーリエスペクトル比等の既往の研究に基づいて算出した結果との比較を行った. その結果, ベクトルスペクトルは水平面における地震動の周波数特性を量的に把握するという観点で有用であること, 提案した周波数応答関数は従来手法より地震毎の等価性や安定性という面で優れており地震動の増幅特性を表す指標として有用であることを明かにした.
  • 高橋 和雄, 古谷 寿章, 其田 智洋, 夏秋 義広
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 175-184
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では、弾性支承の一種である Pasternak 基礎上に置かれた温度勾配をもつ変断面長方板の振動, 座屈および動的安定性解析を行う. 長方形板の境界条件としては, 単純支持, 固定および自由の組合せを採用し, Pasternak 基礎剛性, 変断面パラメータ, 温度パラメータのもとに, Pasternak 基礎上の温度勾配をもつ変断面長方形板の固有振動特性, 座屈特性および動的不安定領域を明らかにする.
  • 中村 博一, 山崎 文雄
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 185-197
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では千葉アレーで観測された12の地震記録を用い, 比較的狭い数百メートル四方の地表面 (地下-1m) を対象にして地震動の空間的な相関を表すコヒーレンス関数を解析し, そのモデル化を試みた. 自由地盤表面におけるコヒーレンス関数のモデル化に当り, まず固定した振動数に対するモデルのパラメータの傾向を調べた. その結果および既往の研究を参考にして, 新たなコヒーレンス関数のモデルを提案した. さらに回帰分析により得られたモデルパラメータの値に関しては, 各地震記録および各振動方向成分に対するそれらの地震ごとの変動について検討するとともに, 本提案モデルから得られる振動数依存の相関面積についても同様に考察した. 最後に, 台湾・羅東の地震記録を解析し, 千葉アレーの記録によるものと比較した.
  • 大町 達夫, 片岡 正次郎
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 199-209
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    時間領域FE-BE結合解法を用いてダム-基礎-貯水系の衝撃応答解析を行い, その結果を従来の有限要素法による解析結果と比較することにより, 動的相互作用を評価した. 具体的には, 相互作用効果をダム堤体のせん断波速度減少率, 内部減衰定数および付加質量分布をインピーダンス比の関数として表現した. また, 基礎で得られた地震動記録に動的相互作用の影響が含まれていることを指摘し, 動的解析に用いるべき入力地震動についても考察した. これらの結果を従来のFEMによる動的解析に導入し, FE-BE法とともに実ダムの地震応答解析に適用した. 両者による解析結果はほぼ一致し, 地震観測記録とも良い対応を示した.
  • 山崎 文雄, 大保 直人, 黒田 修一, 片山 恒雄
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 211-222
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    EPSを裏込めに用いたコンクリート擁壁と近接する重力式コンクリート擁壁において, 地震観測が行われている. 本文では, この地震観測システムを紹介するとともに, 得られた記録について整理し解析を行った. 記録から, EPS部は低振動数で盛土部とほぼ同様の震動性状を示し, アンカーには張力がほとんど作用していないことが明らかになった. また, 擁壁-EPS-盛土から成る系をFEMでモデル化し, 地震応答解析を行った. これらの観測および解析結果に基づいて, EPS擁壁の滑動および転倒に対する安定性を検討した. その結果, 現行の擁壁の安定計算法をEPS擁壁に適用すると, 安全率が極端に小さくなるという矛盾が指摘された.
  • 須藤 敦史, 星谷 勝, 宮沢 和樹
    1995 年 1995 巻 519 号 p. 223-232
    発行日: 1995/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    離散型変数を有するシステムの代表的な最適化手法として, ランダムサンプリング (モンテカルロ法) や遺伝的アルゴリズム (GA) が挙げられる. ランダムサンプリングは状態変数をランダムに発生させ解を見つけ出す, 組み合わせ最適化手法であるために, 広い範囲を探索する場合には計算時間を要する. 一方, GAは同様に多数のランダムな解候補集団を初期状態として最適解の探索を行い, その適応度を評価して最適解を得ようとする手法である. 一方インポータンス・サンプリングは, 信頼性設計などにおいて構造物の破壊確率の計算時間や精度の効率化を目的とした, 適合型モンテカルロ法の一手法である. 本研究は, インポータンス・サンプリング法の考え方にGAの遺伝子要素を取り入れた離散型の最適化手法を提案し, その適用性を数値解析を通して検討している.
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