土木学会論文集
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1997 巻, 580 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 島谷 幸宏, 保持 尚志, 萱場 祐一, 房前 和朋
    1997 年1997 巻580 号 p. 1-8
    発行日: 1997/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 兵庫県南部地震における水不足について着目し, アンケート調査と現地河川調査等に基づいて被災者の水利用の実態と, 水源利用として河川の持つ可能性を明らかにした上で, 今後の河川などの水空間の整備に関して考察したものである.
    筆者らは, 被災者22世帯と5カ所の病院に対して聞き取りによるアンケートを実施し, 飲料水などの生活用水並びに医療活動における水使用量について調査した. その結果から, 上水道停止時の水使用量を明らかにし, 災害時における必要水量に関して考察した.
    また過去の震災における水供給について調査し, 多様な水供給源が災害時に有効な水供給を果たした実態を示した. そして, 阪神地区の河川について, その水量・水質を調査し, それら現地河川が災害時の水供給源として利用可能であることを明らかにした.
    最後に阪神地区における水空間の資質の良否について検討し, 今後の水空間の整備について考察した.
  • 中島 典之, 山本 和夫
    1997 年1997 巻580 号 p. 9-17
    発行日: 1997/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    嫌気・光照射下で運転する紅色非硫黄細菌を用いた廃水処理・有価物生産システムは, その光合成従属栄養的増殖により, より多くの有価物 (菌体) を生産すると同時に温暖化ガスの排出を抑制するシステムになると考えられる. 本論文においては, 紅色非硫黄細菌 Rhodobacter sphaeroides の脂肪酸基質での無機化率を定量し, 酪酸より炭素鎖の長い基質では二酸化炭素の発生がなく逆に摂取することを示した. また, 菌体内PHB (poly-3-hydroxybutyrate) が他の菌体内成分に変換される際の二酸化炭素の発生, 摂取がほとんどないことを明らかにした. さらに, 菌体転換率と比増殖速度から, 菌体生産, 廃水処理に適した廃水原水の前処理について検討した.
  • 鈴木 祥広, 丸山 俊朗, 三浦 昭雄
    1997 年1997 巻580 号 p. 19-26
    発行日: 1997/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ノリの殻胞子に対する懸濁物質の物理的影響を明らかにすることを目的とし, 種類と粒径の異なる粘土粒子と有機懸濁物質を用いて, 殻胞子と懸濁物質の同時混合による着生影響試験を行った. その結果以下の知見を得た. (1) 殻胞子の着生に及ぼすカオリン粒子の影響は粒径に大きく依存し, カオリン濃度が一定の場合では大型の粒子の方が着生阻害作用が大きい. (2) 5種類の粘土粒子は, 殻胞子の着生に対して, いずれも著しい阻害作用を示した. (3) 有機懸濁物質は, 粘土粒子の場合と比較すると, 殻胞子の基質への着生阻害作用は著しく小さい.
  • 松岡 譲, 森田 恒幸, 甲斐沼 美紀子, 水野 健太
    1997 年1997 巻580 号 p. 27-36
    発行日: 1997/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    筆者らは先に, エネルギー消費技術の進展と二酸化炭素排出量との関係を定量的に評価するエネルギー技術モデルの開発を行った. 本研究ではこのモデルを改良し, 炭素税の賦課や補助金の導入など幾つかの抑制対策の効果について具体的な評価を行うことを可能とした. このモデルの適用例として, わが国全体の2010年までの二酸化炭素排出量の見通しを推計し, 幾つかの政策シナリオの排出量削減効果について検討した. 本推計結果によれば, 2000年の二酸化炭素排出量を1990年排出量まで抑制するためには, 排出量1トンあたり3万円の炭素税の賦課が必要であった. また, この炭素税収をエネルギー消費技術に対する補助金として還元すれば, 必要となる炭素税率を3千円程度に引き下げることが可能であった.
  • 〓 春鳳, 宮原 高志, 野池 達也
    1997 年1997 巻580 号 p. 37-44
    発行日: 1997/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    中温および高温におけるパルミチン酸の嫌気性処理特性について比較検討を行った. 中温と比較して高温において, パルミチン酸の分解速度は約1.4倍大きく, 限界濃度は1.8倍大きかった. 一方, 高級脂肪酸はβ-酸化によって酢酸と水素を経由してメタンまで分解される. 中温と比較して高温の場合には, パルミチン酸の分解速度が高いにもかかわらず, 中間生成物である酢酸の分解速度が高くならないため, それに伴って生成するメタンの生成量は中温と高温で同様な値を示した. 水素資化性メタン生成細菌の細菌数は中温より高温の方が2オーダーほど高い値となった.
  • 河邑 眞, ジャヤマンナ サナス, 辻子 裕二
    1997 年1997 巻580 号 p. 45-54
    発行日: 1997/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    アジア地域での経済発展に伴い発展途上国の大都市では急激な都市化が進展し, 都市周辺の自然破壊も甚大なものがある. 本研究では都市化の定量的評価を衛星データを利用して行う手法を開発することを研究の目的としている. ランドサットTMデータから求められる都市化指標UIを提案し. UIと都市における建物占有率, 人口密度, エネルギー消費量といった都市化を表す要素の間には強い相関性がありUIが都市化を定量的に評価する指標として有効であることを, スリランカ・コロンボ市を例にとり示した. また, 都市化指標UIと正規化植生指標NDVIとの関係から, 都市化と植生に代表される自然環境変化の関連について衛星データにより定量的に評価する手法を提案した.
  • 三品 文雄, 伊東 崇
    1997 年1997 巻580 号 p. 55-64
    発行日: 1997/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    下水道施設は, 他の公共施設よりかなり過酷な腐食環境に置かれている. その激しい腐食の主な原因は, 硫化水素をエネルギー源とする硫黄酸化細菌による微生物腐食である, 下水道施設の微生物腐食や劣化に関する研究は, まだ始まったばかりであり, 数年におよぶ建設材料の暴露試験は皆無に等しい. 本研究では, 下水道施設の中でも特に硫化水素による微生物腐食が激しいと考えられる, 嫌気・好気ろ床法の嫌気槽内で4年間の暴露試験を行った. この嫌気槽内の硫化水素濃度は90ppm~150ppmと常に高く, 激しい微生物腐食の環境にさらされ, 暴露した建設材料のSS, SUS, FRP, PE, PP, PVCについて, その耐食性と下水道施設への適応性を明らかにした.
  • 小澤 徹三, 生原 喜久雄, 桃井 信行, 清宮 浩, 森崎 耕一
    1997 年1997 巻580 号 p. 65-70
    発行日: 1997/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    樹木周辺の温熱環境を多測点, 多種類, 連続的, 長期間にわたり測定するため, ほぼ無制限にセンサーやチャンネル数を追加可能な携帯式マルチチャンネル・データロガーを開発し, 簡便な新温度センサーを試作した. この新温度センサーは, 従来の百葉箱により測定した気温とほぼ同等の温度を主に直射日光の影響の少な圃犬態 (曇天) で示した. また, マルルチチャンネル・データロガーを用いて, 地温, 日射量等の測定を行ったところ, 樹冠内外の方位及び深さによる地温較差が日射の直接的及び恒常的な影響のためであることが明らかとなった.
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