本論文は, 兵庫県南部地震における水不足について着目し, アンケート調査と現地河川調査等に基づいて被災者の水利用の実態と, 水源利用として河川の持つ可能性を明らかにした上で, 今後の河川などの水空間の整備に関して考察したものである.
筆者らは, 被災者22世帯と5カ所の病院に対して聞き取りによるアンケートを実施し, 飲料水などの生活用水並びに医療活動における水使用量について調査した. その結果から, 上水道停止時の水使用量を明らかにし, 災害時における必要水量に関して考察した.
また過去の震災における水供給について調査し, 多様な水供給源が災害時に有効な水供給を果たした実態を示した. そして, 阪神地区の河川について, その水量・水質を調査し, それら現地河川が災害時の水供給源として利用可能であることを明らかにした.
最後に阪神地区における水空間の資質の良否について検討し, 今後の水空間の整備について考察した.
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