土木学会論文集
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2000 巻, 654 号
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  • 構造工学委員会橋梁振動モニタリニグ研究小委員会
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 1-12
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
  • タグエルディン ハテム, 目黒 公郎
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 13-24
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 著者らが開発を進めている新しい構造解析法 (応用要素法) を用いて, 鉄筋コンクリート (RC) を代表とする複合材料からなる構造物の非線形破壊挙動をシミュレーションする手法を提案するとともに, その解析結果を紹介する. 応用要素法開発の目的は, 構造物の大変形問題や完全に崩壊に至るまでの挙動解析を, 簡単なモデルで高精度に, しかもリーズナブルなCPUタイムで実施することにある. 本手法では, 破壊の発生位置や進展方向の仮定, 複雑な非線形材料モデルなどは必要としないが, RC構造を対象とした破壊解析結果と実験結果との比較からは, 本手法により, 荷重-変位曲線のみならず, クラックの発生から進展状況を含めた破壊挙動が高い精度で追跡できることが確認された.
  • 劉 青芸, 宇佐美 勉, 葛西 昭
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 25-38
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 上部構造重量が偏心して作用する単柱式鋼製橋脚を1自由度系にモデル化および定式化し, 弾塑性地震応答解析をすることによって, 偏心量が橋脚の激震時挙動に与える影響を調べたものである. 復元力特性は, 中心軸圧縮の鋼製橋脚に対する復元力特性 (名古屋大学で開発されたダメージインデックスモデル) から推定し, その妥当性はハイブリッド地震応答実験結果から検証した. また, 定式化の際, 運動方程式には鉛直方向の慣性力の影響を考慮し, 数値解析の結果, 偏心量が大きくなると, 鉛直方向の慣性力による影響が無視できないことが分かった. また, 震度法で1次設計された橋脚のパラメトリック地震応答解析を行い, レベル2地震動が入力した際の応答に偏心量が及ぼす影響を検討した. その結果, 偏心量と橋脚高さの比が0.1~0.2の間で, 橋脚に最も大きな応答が生ずることが分かった.
  • 一井 康二, 井合 進, 森田 年一
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 39-50
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    震災時に備える防災拠点の施設として耐震強化岸壁が日本各地に建設されている. こういった耐震強化岸壁の有効性については兵庫県南部地震時に摩耶埠頭岸壁が無被災であった事例が知られているが, 一般の耐震強化岸壁の耐震性能がどの程度のレベルにあるかは必ずしも明らかにされていない. そこで、有効応力解析により兵庫県南部地震時の摩耶埠頭岸壁の無被災メカニズムを明らかにし, 一般の耐震強化岸壁の耐震性能を検証した. 有効応力解析の結果, 摩耶埠頭岸壁の変位量におよぼした岸壁法線の方向性・ケーソン背後に埋め殺しされたセルの存在の影響が明らかになった. また, 液状化対策の実施によりシビアな荷重条件下でも耐震強化岸壁の変位量は1m以下に抑制できるとの見通しが得られた.
  • 市村 強, 堀 宗朗
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 51-61
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    都市域での強震動分布を数値計算するには, 膨大な計算量と地盤情報の不確実性という二つの難点がある. これを解決するために, 1) 階層型解析のための特異摂動と2) バウンディング・メディア理論に基づいて地盤情報の不確実性に応じた幅をもって強震動分布を計算するマクローミクロ解析を提案した. 本論文では, 定式化とプロトタイプの開発を行った. 実際の地震について簡単なシミュレーションを行い, 実測データと比較した. 時間分解能5[Hz], 空間分解能2[m]という高分解能の計算が可能となり, マクローミクロ解析の基本的な妥当性と有効性が検証されたと考えられる.
  • 井上 純哉, 堀井 秀之
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 63-75
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は不可逆過程の熱力学を出発点として, 変形の局所化現象, 特に構造物規模で発生する局所化現象において変形が局所化して行く過程を解析する手法を提案するものである. 解析はまず, 簡単な一次元の亀裂モデルからスタートし, 解析手法の概要の説明を行い, 更には現実的なコンクリート梁の亀裂進展問題に発展する. このコンクリート梁の解析により, 構造物の破壊現象においては本解析手法のような分岐現象を物理的に解析しうる解析手法の必要性が示された.
  • 山田 健太郎, 曹 秋良, 近藤 明雅
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 77-89
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    変動荷重を受ける道路橋部材の疲労耐久性を評価する場合, 荷重相互の干渉効果を検討しておく必要がある. き裂開閉口現象を組み込んだ疲労き裂進展挙動の解析プログラムを用いて, 過去に行われた荷重非伝達すみ肉溶接継手に周期過荷重 (POL), 変動ブロック荷重 (BL), それに変動荷重 (VA) を作用させた疲労試験データを再解析した. 疲労き裂進展解析における荷重相互の干渉効果は, すべての解析結果で見られたが, 変動荷重では, 無視できるほど小さいことがわかった.
  • 小西 拓洋, 高橋 和也, 三木 千寿
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 91-103
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高強度鋼の利用による鋼橋の合理化の可能性を限界状態設計法にもとづいた設計シミュレーションにより調べた. 設計対象は国内で標準的なスパン, 幅員を有する3種類の合成連続I桁橋をモデルとし, 終局限界状態 (架設時及び供用時), 使用限界状態, 疲労限界状態について照査を行い, 最小断面を求めた. この結果, 各鋼材強度により異なる限界状態により断面が決定され, 特に高強度化に伴い疲労限界状態が大きく影響することが確認できた.
  • 林 正, 渡辺 力, 斎藤 道生
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 105-119
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, ハイアラーキ要素を用いた薄肉構造物の局所応力解析法を提案する. 有限要素法 (h法) では, ズーミング手法を用いて部分構造の局所応力を計算することが多いが, 本手法により粗い要素分割で全体解析を行うと同時に精度の良い局所応力を計算できる. 集中荷重を受ける場合や応力集中率の大きい箇所では解の収束性の悪化を防ぐために特異要素を, さらに計算効率を向上させるために遷移要素を用いる. 平面応力解析や曲げ応力解析の数値計算例により効率的な要素分割法と薄板解析への適用性を調べ, 薄肉門形ラーメンの補剛部や鋼床版2主桁橋の横桁開口部の局所応力解析に適用して実用性を検証する.
  • 志村 勉, 辻角 学, 依田 照彦
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 121-130
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    「狭小箱桁」は従来の箱桁に比べ, ウェブ間隔を狭小化することにより縦リブ・リブを幅に削減し, 併せて床版を強化することで縦桁も省略した構造である. 本構造は上記の特徴から床版支間長がきくなるという点では, 2主桁などの少数主桁橋と同様に長支間床版の革新的な技術が要求されるが, 主桁のねじり剛性などの性能が異なるため, 設計上の多くの点で2主桁橋に比べて優れていると考えた. そこで全体挙動の把握と, 桁の省略・簡素化を一つの到達点としたさらなる構造の合理化を目指して, 立体FEM解析を用いた検討を行った. さらに, 床版の長支間化によって床版および床版と主桁の接合部に生じる作用力について, 2主桁との比較を交えながら構造上の安定性を検証した.
  • 三木 千壽, 白旗 弘実, 西田 朱里, 柳沼 安俊
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 131-142
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋼溶接部における非破壊検査手法が放射線透過試験から超音波探傷試験に移行しつつある. しかしながら, 限られた探傷結果からの評価にとどまっている. 超音波探傷試験における欠陥検出能高精度化を目的として, 新形式の10連探触子を用いた実験を行い, 探触子を前後走査することなく, タンデム探傷を行った. しばしば問題となる溶接形状エコーに対し, 探傷エコーから欠陥エコーの分離を試みた. さらに, この探傷結果を用いた欠陥表示システムの開発にっながる基礎的検討を行った.
  • 金吉 正勝, 古田 均, 田中 洋
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 143-151
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    斜張橋は, 設計・製作・架設等に関わる様々な誤差のために, 架設時にケーブルの張力および桁・塔の形状 (キャンバー) に誤差が生じる. このため, シムプレート (その板厚は離散量で与えられる) をケーブル定着部に挿入または除去することによりこれらの誤差を除去している. 本論文では, ファジィ理論と遺伝的アルゴリズムを応用して, 従来の理論では連続量として扱われてきたシム量を, 現場技術者に有用な離散量として扱い, ケーブル調整箇所の低減も同時に行うことのできる方法を開発した. そして, パラメトリックな検討および実橋に近い数値計算例により本方法の有効性を示した.
  • 高西 照彦, 園田 敏矢
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 153-165
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震入力を受けて並進及び捩れ振動を行う2自由度系構造物に対して, 制震を行う目的で, 主としてそれぞれ並進及び捩れ振動を低減するために, 2種類の同調系ダンパーを設置する場合に, これらのダンパーに対する最適動特性値 (最適振動数比, 最適減衰定数, 2種類のダンパーの質量比) を近似的に定めることができる方法について述べた. モード解析法によって構造物振動系をモード分解し, それぞれ1次振動については2次振動の影響を剛性の形で, 2次振動については1次振動を慣性力の形で近似的に評価することによって, 同調系ダンパーの最適動特性値を求めることができる理論式を導いた. 数値計算を行うことによって, この近似理論の適用限界を明らかにした.
  • 竹田 哲夫, 山野辺 慎一, 南 浩郎
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 167-181
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    PC斜張橋の耐震設計における動的設計では減衰の評価が重要であるが, 減衰特性の理論的・解析的な評価は難しいために, 減衰定数をどう設定するかに関しては, 充分検討されていないのが現状である. 本研究では, 既往の長大PC斜張橋の解析モデルを用い, 長大PC斜張橋の減衰に与える要因を明らかにするために, 各部材のひずみエネルギーの占める割合について調査し, 各部材の等価減衰定数, 可動支承における摩擦の影響, および基礎からの逸散減衰の影響について検討し, 既往の振動実験結果との対応について検討した. また, 地震時保有水平耐力法レベルの地震に対する解析における減衰定数の設定の影響について地震応答解析により検討し, 耐震設計における減衰特性について考察した.
  • 大町 達夫, 飯山 かほり
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 183-194
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鎌倉市街地の6地点で地震観測を続けた結果, 西御門 (NMD) と御成 (ONR) の2地点は系統的に顕著な上下動を示すことが判明した. NMD地点では上下動と水平動の最大加速度比は平均的に0.75で1を越える時もあり, 卓越周期は上下, 水平ともに0.2~0.3secでほぼ一定している. 一方, ONR地点では最大加速度比の平均は0.70で, 卓越凋期は上下動は0.21~0.26secでほぼ一定しているが, 水平動は0.1~0.6秒で変動ずる傾向が強い. 2地点における上下動増幅の要因を解明するため, 2次元境界要素法による数値解析を行った. その結果, 両地点ともに急傾斜基盤の影響が強いと考えられるものの, 前者には椀形表層地盤の基本振動モードが, 後者には片側開放地盤における Rayleigh 波が関与している可能性が高いことが指摘された.
  • 末冨 岩雄, 澤田 純男, 吉田 望, 土岐 憲三
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 195-206
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震の際に鉛直アレーで観測されたように, 強震時には地盤はそのせん断強度以上のせん断力を上層に伝えることができないので, 地表での地震動には上限値が存在する. その関係を明らかにするために, H-Dモデルによる非線形解析を内部摩擦角をパラメータとして実施した. その結果, 1) 最大加速度, 計測震度, SI値には上限値が存在する, 2) その値は内部摩擦角によって支配され, 正接と上限値はほぼ比例関係にある, 3) せん断強度が小さい中間弱層により上限値は支配され中間弱層の位置が深く層厚が厚いほど影響が大きい, ということがわかった.
  • 上田 稔, 豊田 幸宏, 塩尻 弘雄, 佐藤 正俊
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 207-221
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリートダムの固有振動数は, ダムの地震応答に及ぼす最も重要な値の一つである. 2つのアーチダムを対象に, ダムの上部と最低部での地震観測記録や常時微動計測記録, 起振実験の共振曲線から固有振動数を算出し, ダムの貯水位や振動レベルと固有振動数の関係について示す. ある貯水位以下になると貯水位が高い場合の固有振動数より低振動数側の固有振動数になることや, 比較的強振動時には弱振動時にくらべ固有振動数が低振動数側になり, これらはブロックジョイントの影響によるものであることを述べる.
  • 森山 卓郎, 依田 照彦
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 223-232
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 兵庫県南部地震で実際に被災した橋梁をモデルに縮小した2径間の橋梁模型を製作し, 2次元振動台を用いて振動させたときの橋桁や橋脚の動的応答から桁間衝突による落橋のメカニズムを調べたものである. まず, 落橋防止連結板を取り付けていない場合について, 桁の衝突による落橋の有無を観察し, 桁間衝突が落橋におよぼす影響について検討した. その結果, 橋桁の落下には橋脚を中心とした設計振動単位の共振現象が強く影響することが確認できた. さらに, 落橋防止連結板に緩衝材を挿入し, それによって衝撃的な外力を吸収できるかどうか検討し, 緩衝材として望ましい材料特性について検討した.
  • 伊津野 和行, 袴田 文雄, 中村 一平
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 233-244
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    平常時の荷重に対する支承の働きと, 地震荷重に対するダンパーの働きとを分離した, 機能分離型支承装置が開発された. 本研究では, この機能分離型支承装置の, 基本的な特性と合理的な設計手法について検討を加えた. 静的載荷実験より, バッファのせん断変形特性には軸力の影響が小さいこと, ゴム層厚の230%を超えるせん断変形に対してハードニングが発生し, 330%でせん断破壊することを確認した. また, 動的加振実験により, 最大速度が0.1kine以下の加振に対しては動摩擦係数が約10%, 1~40kineに対しては15~25%と, 動摩擦係数の載荷速度依存性および面圧依存性が確認された. さらに, 死荷重とは無関係にバッファ剛性を適宜与えることができるため, 目的にあった設計が可能であることを示した.
  • 金田一 智章, 宇佐美 勉, 中島 大輔
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 245-257
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 激震時におけるハイダクティリティー鋼製橋脚の残留変位低減の方策として, 免震支承の導入による鋼製橋脚の免震化と, 免震化された鋼製橋脚に対する橋脚基部へのコンクリート充填の2方策を考え, その低減効果をハイブリッド地震応答実験によって検証したものである. 検証するにあたって, 2自由度系にモデル化された単柱式免震鋼製橋脚を1自由度系モデルに縮約することにより, 従来の1自由度系モデルに対する実験装置を用いた実験手法を確立している. また, 土木学会・鋼構造新技術報告書による残留変位損傷度 (残留変位と橋脚高さ/100の比) を基に, 免震鋼製橋脚の耐震性能評価を行い, 兵庫県南部地震観測地震動 (JR鷹取駅) とレベル2地震動 (II種地盤) に対して, 免震支承を用いた長周期化に対する固有周期の範囲を提案している.
  • 生出 佳, 中島 章典, 斉木 功
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 259-270
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1995年の兵庫県南部地震時の経験から, 水平二方向の地震動を同時に受ける橋脚などの弾塑性耐震挙動を明らかにすることが必要とされてきている. このような構造物の弾塑性動的応答解析を行う場合, 二軸曲げによる橋脚断面の弾塑性挙動とねじりの影響を考慮することが重要であると考えられる.
    本研究では, そのような観点から, 剛体ばねモデルを用いたはり柱部材の三次元弾塑性動的応答解析法を構築した. そして, 兵庫県南部地震時に記録された地震波を用いて, 水平二方向の地震動を同時に受ける単柱式橋脚および逆L字型橋脚の弾塑性動的応答解析を行い, その結果を一方向にのみ地震動を受ける場合の結果と比較することにより, 二方向地震動を受ける橋脚の基本的な性状を考察した.
  • 葛 漢彬, 高 聖彬, 宇佐美 勉
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 271-284
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 繰り返し弾塑性解析により上部構造重量が偏心して作用する単柱式鋼製橋脚 (逆L形橋脚) の強度と変形能を評価しようとしたものである. 対象断面は, 補剛箱形断面とパイプ断面の2種類であり, 一定の偏心鉛直荷重と面内または面外繰り返し水平荷重が作用する荷重条件で解析を行っている. 構成則は, 構造用鋼材の繰り返し挙動を高い精度で予測できる「修正二曲面モデル」を用いている. 本解析の結果と過去に行われた上部構造重量が中心軸に作用する単柱式鋼製橋脚 (T形橋脚) の結果との比較・検討により, T形橋脚の履歴特性と逆L形橋脚のそれとの間に一定の相関関係があることが明らかにされている. 最後に, 面内および面外荷重を受ける逆L形橋脚の座屈モードの特徴について考察している.
  • 岡澤 重信, 宇佐美 勉, 野口 裕久, 藤井 文夫
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 285-296
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    引張力が作用する鋼材において, 塑性不安定現象により発生する破断直前の局部くびれ挙動を弾塑性分岐解析を用いてシミュレートする. 従来の平面ひずみ状態の解析では, 構成方程式として金属材料で一般によく採用される硬化型のJ2流れ則のみを用いた場合, 塑性不安定現象の初期段階である拡散くびれしかシミュレートできないことが広く知られている. 本研究では, 硬化型のJ2流れ則を用いた場合でも3次元解析により, 鋼材の拡散くびれ以降の破断直前のさまざまな局所化変形までを忠実に再現できることを示すと共に, 鋼材の引張試験との比較を行い, 本解析結果の正当性を確認する.
  • 堺 淳一, 川島 一彦, 庄司 学
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 297-316
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    RC橋脚の非線形地震応答解析を行う場合には, 帯鉄筋による横拘束効果を考慮した除荷・再載荷履歴を含むコンクリートの応力度~ひずみ関係の定式化が必要である. 本研究では, 横拘束されたコンクリートの除荷・再載荷過程における応力度~ひずみ関係を定式化することを目的として, 横拘束されたコンクリートに対し, 除荷・再載荷を含む4つの載荷履歴を用いて一軸圧縮載荷実験を行った. その結果, 除荷・再載荷の履歴は, 除荷する点のひずみ, 除荷・再載荷の繰り返し回数, 帯鉄筋比, コンクリート強度によらずモデル化できることが明らかになり, 除荷・再載荷履歴のモデル化に必要なパラメータの推定式を提案し, 除荷・再載荷履歴の定式化を行った.
  • 赤倉 康寛, 鈴木 基行
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 317-334
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 地震災害に対する許容リスクの設定について, 死亡者数によりリスク評価を行う方法について述べ, これに関わる考察を行ったものである. まず, 許容リスクの設定は, 国土レベルでのリスク評価・分析とリスク管理限界の決定との過程であり, 個別の社会施設の設計規定とは分離する考え方を示した. リスク評価・分析では,死亡者数を指標とし, 地震・洪水・津波災害の発生規模構造の把握を行った. リスク管理限界では, 洪水防御計画, 交通事故死亡者数等からの決定方法について述べた. 加えて, 仮に許容リスクについての国民のコンセンサスが得られた場合に, 地震災害に対するリスク管理限界から社会施設の設計規定に係るレベル2想定地震の設計規模要件の算定を行った.
  • 中村 晋
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 335-354
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論では, まず1995年兵庫県南部地震により地下鉄の中柱が被災した路線区域の特徴を示した. 次に, その被害路線区域の中で被害の程度が異なり, 被害要因の検討に必要な情報が比較的揃っている神戸高速鉄道の大開駅と高速長田駅に着目し, 両駅の被害機構の差異を2次元地震応答解析と静的非線形構造解析を組み合わせた手法により分析した. ここで, 入力地震動と中柱の変形特性については大開駅近傍の換気塔の被害, 室内実験に基づき, 先に著者らが実施した大開駅の被災機構解析に用いた条件の見直しを行った. その結果, 1) 入力地震動としてポートアイランドの地中観測波 (GL-83m) が適当であり, 2) 両駅の被害程度の差異は, 駅部側面の地盤条件の差異に起因する上下床版間の地震時の変形の差異によることなどが明らかとなった.
  • 星谷 勝, 山本 欣弥
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 355-366
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ライフラインネットワークやトラス構造物といった現実の工学システムは, 多くの要素から構成されており,構成要素の部分的な被害がシステム全体の破壊に直結するとは限らない. 本研究では, このようなシステムの有する保有耐力, いわゆる冗長性を, Shannon の情報エントロピーを用いて物理的に定義し, 冗長性指数 (redundancy index) を提案している. 次に, 古くから扱われている並列システムを例題として, 信頼性 (reliability) と冗長性 (redundancy) の持つ意味について詳しく検討している. さらに, 簡単なネットワークモデルを用いてシステムの形状, リンクの破壊確率とシステムの信頼性および冗長性について検討を行った. 本研究で示した冗長性指数は, De, Kammchandani and Comell によって定義された冗長性指数と比べて, 優れた特長を有していることがわかった.
  • 紺野 克昭
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 367-375
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    微動のアレイ観測記録から表面波の位相速度を求める方法のひとつとして空間自己相関法がある. 一般に, この方法を適用するためには, センサーを円の中心とこの円周上に等間隔に設置したアレイ観測を行う必要がある. 本論文では, この円形アレイ観測における空間自己相関法の原理をセンサー間のコヒーレンスを用いて説明し, センサーの個数と位相速度の推定誤差の関係を明らかにしている. また, 実測がより簡単な2点および3点アレイ観測の記録を空間自己相関法へ適用した場合の位相速度の推定誤差を検討している. その結果, 3点アレイ観測でも比較的精度よく位相速度を求めることができることを理論的に示している. また, 2点アレイ観測に関して, 新たに位相速度を推定する手順を提案している.
  • 黒田 眞一
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 377-387
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    2次元RANS (Reynolds-Averaged Navier-Stokes) 計算の長大橋非定常空気力の予測に対する適用性を検討した. 乱流モデルには Menter のk-ω SST (Shear Stress Transport) モデルを用いた. 振動する物体周りの流れの計算の検証は, 大振幅でピッチング運動する翼型まわりの流れ計算の結果を対応する風洞実験結果と比較することにより行った. 長大橋への適用は, 最も基本的な断面である偏平六角形断面を対象として行った. たわみ・ねじれ2方向1自由度加振のシミュレーション結果から求めた非定常空気力は風洞実験結果とよく一致していた. これにより, k-ω SSTモデルを用いた2次元RANS計算が長大橋非定常空気力の予測手法として有望であることが確認できた.
  • 勝地 弘, 中崎 俊三, 山口 宏樹
    2000 年 2000 巻 654 号 p. 389-395
    発行日: 2000/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
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