土木学会論文集
Online ISSN : 1882-7187
Print ISSN : 0289-7806
ISSN-L : 0289-7806
2004 巻, 766 号
選択された号の論文の28件中1~28を表示しています
  • Kazuhiro TSUNO, Robert PARK
    2004 年2004 巻766 号 p. 1-15
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    This research aims to determine the effect of loading pattern on the damage of a reinforced concrete bridge column. Five specimens were tested with uni-directional or bi-directional cyclic loading patterns combined with a constant axial load. In this report, a simple procedure to predict the damage and failure of a reinforced concrete column, that is subjected to an arbitrary seismic loading pattern, is proposed using the fatigue based damage model combined with the energy dissipation.
  • 松村 政秀, 北田 俊行, 徳林 宗孝, 池田 啓士, 岡田 崇
    2004 年2004 巻766 号 p. 17-31
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋼製橋脚の新しい耐震補強工法として, 炭素繊維シートを利用した工法が注目されている. 引張性能にすぐれた炭素繊維シートによる耐震補強では, 重機や騒音を伴わず, 柱部材外側のみからの施工が可能であり, コンクリート充填工法および補剛鋼材で補強する工法などの従来の耐震補強工法と比較して有利な点が多い. 本研究では, 円形断面鋼製橋脚を対象とした合理的・経済的な耐震補強工法として, 断面周方向に炭素繊維シートを貼付する工法に着目し, その補強効果を実験的に検証している. その結果, 円形断面周方向に炭素繊維シートを巻き立てると, 柱部材の曲げ剛性および耐荷力を大きく上昇させずに所要の変形性能の確保が可能であり, 本耐震補強工法の有効性が確認できた.
  • 崔 宰栄
    2004 年2004 巻766 号 p. 33-46
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 地震発生時の個人交通需要変動のレスポンス特性とその要因を明らかにすることを目的とし,「平成13年 (2001年) 芸予地震」を対象に, 広島市でパーソントリップ調査を行なった (有効分析サンプル1,038人). その結果, 地震発生当日の交通需要は本来の交通需要より4.4%増加し, 地震発生1時間後 (16時台) にピーク時間帯 (28.0%) を形成しており, 特に帰宅から乗り換え目的へ, 鉄道から乗用車へのレスポンスが, 転換交通需要の最も多くを占める (各々34.8%, 38.1%) ことがわかった. また, 震災直後の交通需要変動へのレスポンス要因は, 若い年代層, 社会的アクティビティーで, かつ社会的な拘束度の低い層, 同伴者の少ない高いモビリティーのトリップ, 長 (時間) 距離の低いアクセシビリティーのトリップ, 通行時の情報入手のトリップであった.
  • 水澤 富作, 近藤 八重, 滝沢 宣人, 河原 田豊
    2004 年2004 巻766 号 p. 47-57
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    車両の走行を受ける橋梁スラブの段差や目地により発生する衝撃応答や衝撃音の放射は, 都市空間の環境騒音として社会的な問題になっている. これまでにも, 物体と平板の衝突により発生する衝撃固体音の発生機構や音響放射に関する研究は数多く報告されているが, 比較的遠距離で計測した結果が多く, 球体と平板の衝突する場合の非定常な衝突音の発生機構の詳細な検討が必要であると思われる. 本研究では, 球体の衝突を受ける平板から発生する衝撃音の発生機構を実験により明らかにし, 衝撃音の周波数特性に与える球体や平板の幾何寸法と材料特性値などの影響について検討を行っている. これより, 衝撃パルス音のピーク値は, 球種や平板の幾何特牲に依存する. また, 平板から発生する残留衝撃音と平板の振動特性との間に相関が見られることを明らかにした.
  • 海田 辰将, 藤井 堅, 中村 秀治
    2004 年2004 巻766 号 p. 59-71
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 腐食した圧縮フランジの簡易強度評価法を示す. 強度解析での腐食表面は, 空間的自己相関モデルを適用し, 平均板厚tavg, 板厚の標準偏差σtおよび平均偏心量eavgの統計量を変化させて作成する. まず, 実際の腐食鋼板の座屈試験結果との比較から, 本解析手法が実際の腐食フランジの強度評価に適用できることを示す. 次に, 種々の凹凸状況を有する腐食表面を用いてパラメトリックに強度解析を行い, 腐食したフランジの圧縮強度の簡易評価法を提案する. ここでは, 腐食フランジの圧縮強度は, 代表板厚tR=tavg, 2σtを用いて幅厚比パラメータを求めれば, 腐食の無いフランジの座屈強度曲線から評価できること, また, 偏心の影響は平均偏心量と平均板厚の比eavg/tavgを用いて評価できることを示す.
  • 山田 真幸, 北原 道弘
    2004 年2004 巻766 号 p. 73-80
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    構造部材中に, ある長さと傾きを持って存在するクラックに超音波を送信し, クラックによる散乱波を受信する. 受信した後方散乱波の周波数スペクトルに生じる周期性をクラックによる散乱波動場の積分表現から導き, クラック長と傾きの推定式を導出する. 本論文では一つの探触子を部材表面に垂直に配置し, もう一つの探触子を任意の角度に設定できるように配置し, これらを組み合わせて使用することにより長さと傾きが同時に推定可能であることを示す. 最後に人工欠陥を有する供試体を作製して散乱振幅計測を実行し, 導出した推定式のパフォーマンスを確認する. その結果, クラックが水平に存在している場合を含め, 推定されたクラック長と傾きは実際と良く一致した.
  • 岡田 淳, 依田 照彦, Jean-Paul LEBET
    2004 年2004 巻766 号 p. 81-95
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    グループ配列したスタッドのせん断耐荷性能を解明するために, まず, 押し抜きせん断試験結果より破壊モードおよびせん断耐荷力について考察した. 次に実験供試体を対象としたFEM解析を実施し, 実験結果との比較により提案した解析手法の妥当性の確認を行い, グループ配列の破壊メカニズムについて考察した. さらに, 同じ解析手法を用いて, グループ配列に及ぼす影響が大きいと考えられる, コンクリート強度とスタッドの橋軸方向間隔に着目したパラメトリック解析を実施し, スタッドのグループ配列によるせん断耐荷力低減式の算定を試みた.
  • 松原 仁, 伊良波 繁雄, 富山 潤, 山城 建樹, 矢川 元基
    2004 年2004 巻766 号 p. 97-107
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    二次元問題の場合, 有限要素に回転自由度を導入することの有用性は, 多くの研究者らによって報告されている. しかし, 三次元立体要素へ回転自由度を導入することの有用性の検討は少ない, そこで, 本研究では Cook らの方法と関口らの方法の二種類の回転自由度の取り扱い手法を三次元領域に拡張し, 四面体要素を定式化する. 数値解析の結果, 中間節点を持たない新しい四面体要素は, 極めて良好な精度を得ることができることを示した. また, 本要素をメッシュレス法の一種であるフリーメッシュ法の局所要素に適用することで, フリーメッシュ法の精度の問題点を解消することができることを示した.
  • 加藤 久人, 佐藤 知明, 牧浦 信一, 西村 宣男
    2004 年2004 巻766 号 p. 109-127
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    従来, 深い渓谷を渡る手段として施工性, 経済性に優れたPC箱桁橋が採用されてきた. この改良型として, 工費節減, 省力化, 工期短縮への要求に答えるべく, 波形鋼板ウェブPC箱桁橋の建設が盛んになってきた. 波形鋼板ウェブPC桁の面内曲げ問題において著者らは連続桁の中間支点の上下床版に床版に単独に作用するモーメントによって無視できない直応力が付加されることを指摘した. 波形鋼板ウェブPC箱桁のねじり問題についても, ずれ荷重によるそり応力の分布が面内問題の直応力の分布と相似となる. 本論文では, ずれ荷重作用時に隔壁位置の上下床版に床版単独に作用するモーメントによって通常のそり応力とは別の直応力力対加されることを指摘し, マトリックス変位法によりこれら応力を解析し, 実設計において考慮されるべき留意点を明らかにする.
  • 丸山 喜久, 山崎 文雄
    2004 年2004 巻766 号 p. 129-140
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高速道路走行車両の横風安定性を定量的に評価することを目的に, 車両モデルを用いた数値解析とドライビングシミュレータを用いた走行模擬実験を行った. 運転者の反応と車両の運動の相互作用を考慮できる人間-自動車系操舵モデルを用いると, 走行模擬実験の結果が比較的精度良く再現されることが分かった. これより, 車両に依存するパラメータが適切に設定できれば, 実車走行試験やドライビングシミュレータによる走行実験を多数行わずとも, 従来まであまり定量的に評価されていなかった強風時の車両の走行安定性について, 系統立てた評価が可能になるものと期待される.
  • 林 正, 渡辺 力, 齋藤 道生
    2004 年2004 巻766 号 p. 141-150
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    有限要素法による無限領域問題の解析では, 多くの要素分割が必要になるので無限要素を用いることが多い. 本研究では, 少ない要素数で高精度の値が得られるハイアラーキ無限要素を開発する. 本要素では写像関数に半無限関数を用いたハイアラーキ写像を使用するので, 任意形状の曲線無限要素に適用できる. また, 写像関数に特異性を導入することにより, 無限領域における応力集中問題に対して収束性のよい特異無限要素を提案する. 数値計算により, 本解法の精度と有効性を検証する.
  • 古川 智, 三浦 房紀, 佐々木 康
    2004 年2004 巻766 号 p. 151-164
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震以後, 国や自治体は災害発生直後の初動期に被害の全容を把握するために, リアルタイム地震被害推定システムを導入してきた. しかし, これまで実際にシステムが地震時に活用された事例は少なく, システムの推定精度を検証した例は少ない. 広島市は, 平成13年芸予地震において, 広島市地震情報ネットワークシステムを自治体レベルでははじめて活用する機会を得た. 本研究では, このシステムの稼動状況から, 被害推定にとって最も重要となる地震動の推定精度を検証した. その結果, 1) 表層地盤の増幅度を算定するために用いる工学的基盤における入力地震動, 2) システム観測地点の配置, 3) 表層地盤構造のモデル化のばらつき, が地震動推定精度に影響を与えたことを明らかにした.
  • 丸山 收, 星谷 勝
    2004 年2004 巻766 号 p. 165-174
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究はモンテカルロシミュレーションに分散低減法を併用して, 動的非線形構造系の初期通過確率を算定することを目的としている. ここでは限界状態をもとに設定された閾値の初期通過問題を評価する際に, 構造系の確率過程入力項に, 重要サンプリング関数項を加法形に付加することで破壊領域に達するサンプル実現過程を高頻度に得る手法を示している. 重要サンプリング関数を付加することで確率測度が変化する影響は, ギルサノフの定理により評価され, 解析対象構造系の初期通過確率が求められる. また, 重要サンプリング関数を与えるために動的非線形構造系の終端状態制御問題をオンラインで解くことを提案している.
  • 齊藤 正人
    2004 年2004 巻766 号 p. 175-189
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    強震時, 杭基礎は慣性力のみならず, 地盤の強制変形により大きく損傷を受けることが既往の研究により明らかにされている. そのため, こうした地盤変形を考慮した杭基礎の耐震照査が, 近年の耐震設計において実施される場合が多い. こうした地盤変形を受ける杭基礎を照査し, その結果, 杭に要求される変形性能を満足しない場合, 杭径をどのように変化させれば杭の損傷を抑制することができるのだろうか. 本研究では, 地盤変形のみを考慮した弾性波動論に基づく一様弾性地盤中の単杭の理論解により, 杭先端と杭頭における曲げひずみを極大化させる杭径 (不適径) が存在すること, そしてその特性について明らかにした. また, 耐震照査で頻繁に利用される応答変位法とこれらの関係の整合性について検証した.
  • 張 至鎬, 濱田 政則
    2004 年2004 巻766 号 p. 191-201
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    遠心載荷場における液状化地盤の流動実験により模型杭に作用する流動外力の基本的な特性を明らかにした. 過剰間隙水圧比が1.0に達した液状化状態では地盤の流動速度に起因した外力が卓越すること, また過剰間隙水圧比が1.0に達していない液状化に至る過程では地盤変位に起因した外力が卓越することが示された. さらに, 液状化層上部に非液状化層がある場合には, 非液状化層からの外力が杭の変形に支配的な影響を持つこと, および非液状化層からの外力は地盤変位に起因していることを明らかにした. これらの実験結果は, 液状化地盤の流動の影響を考慮した基礎杭の耐震設計法の確立に有用な知見を与えるものである.
  • 小国 健二, 堀 宗朗, 阪口 秀
    2004 年2004 巻766 号 p. 203-217
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    破壊現象の簡便な数値解析手法, FEM-βを提案する. FEM-βは, いたるところ不連続かつ重なりのない形状関数と, 双対図形によるひずみ場・応力場の離散化を用いて, 連続体の数理モデルである境界値問題を数値的に解く手法であり, 特殊な変位場を用いた有限要素法 (FEM) と位置づけられる.
    FEM-βは通常のFEM (一様ひずみ三角形要素) と同等の精度・局所性 (疎行列) を保ちつつ, 破壊を簡便に表現する仕組みをもつパーティクル・フィジックス・モデルを与える. この意味で, FEM-βをFEMの観点から個別要素法 (DEM) を定式化しなおしたものとみなし, 連続体との等価性を保証する相互作用バネ定数を一意に決定する仕組みを持つDEMと位置づけることもできる.
  • 小塩 達也, 山田 健太郎, 森田 俊樹, 李 相勲
    2004 年2004 巻766 号 p. 219-232
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    橋梁上に設置された付属構造物が交通振動により疲労損傷を生じるメカニズムや繰返し応力と交通量の関係などを検討するため, 高架橋上に設置された標識板門型柱, 情報板門型柱, 照明柱, F型標識柱の振動測定と応力頻度測定を行った. 対象とした高架橋では, ゴム沓化, 桁連続化による耐震補強工事が行われ, 工事の各段階での橋梁構造の変化が橋梁付属構造物の疲労耐久性にどのような影響を与えるかを調査した. 振動計測の結果, 門型柱で2.9~4.6Hz, F型柱で3.6Hz, 照明柱で1.5Hzおよび4.9Hzのモードが卓越した. 鋼支承からゴム支承化, 3径間連続化にともない, 主桁の固有振動数が3.89Hz, 3.78Hz, 3.58Hzと低下し, 主桁と付属構造物の固有振動数が近い場合に, 疲労寿命が短くなることが明らかになった.
  • 小瀧 教正, 市川 篤司, 佐々木 栄一, 三木 千壽, 保坂 鐵矢
    2004 年2004 巻766 号 p. 233-244
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    波形に加工した鋼板を橋梁の腹板に用いると, 大きなせん断座屈耐力が得られ腹板厚を薄くすることができる. それに加え, 下フランジに高強度の鋼材を用いると上部工自重を大幅に軽減することが可能になり, さらに経済性に優れた橋梁の実現が可能になる. しかし, このような, 新形式の橋梁では, 下フランジと波形形状の腹板の溶接部, 特に波形の折れ目近傍で高い集中応力が発生し, 疲労強度の面で不利な構造となる可能性がある. 本研究では, 波形に加工した鋼板を用いた新しい橋梁形式を提案し, FEM解析を用いて上記橋梁の力学特性を明らかにするとともに, 大型模型供試体を用いた静的載荷・繰り返し載荷実験により力学特性および疲労強度を明らかにした.
  • 橋軸直角方向地震動に対する検討
    宇佐美 勉, 葛 漢彬, 日沖 堅治, 路 志浩, 河野 豪
    2004 年2004 巻766 号 p. 245-261
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 軸力降伏型である座屈拘束ブレース (BRB) による上路式鋼アーチ橋の耐震性向上策について検討したものである. BRBは, 鋼ブレース材をモルタル充填の鋼管などの拘束材で覆い, 圧縮時の座屈を防止した制震ダンパーである. 土木鋼構造物に適したBRBの性能に関する解析的および実験的研究は著者らによって行われ, その復元力特性も提案されている. 本論文では, それらの成果を踏まえ, 上路式鋼アーチ橋の対傾構ならび下横構にBRBを設置することにより, 大地震時に主構造に発生する変形と力 (変位, ひずみ, 支承反力等) をあるレベルまで減少させ, 耐震性能の向上を図ることができることを複合非線形動的解析 (幾何学的非線形と材料非線形を同時に考慮した動的解析) によって明らかにしている.
  • 齊藤 正人, 渡邉 啓行
    2004 年2004 巻766 号 p. 263-275
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年の杭基礎-地盤-構造物系の動的相互作用に関する研究では, これまでの地震被害を鑑み, 非線形性の著しい変形領域に至る挙動までを追跡する必要がある. この変形領域では, 基礎と地盤の境界部に過大な応力が発生し, 滑りや剥離の境界非線形性が生じる可能性がある. 本研究では, そうした境界非線形性が杭頭インピーダンスに及ぼす影響を把握するため, 境界非線形条件下における杭基礎-地盤-構造物系の理論解を3次元弾性波動論に基づき誘導し, その理論解を用いた杭頭インピーダンスの解析手法を提案した. 本手法による解析例から, 基礎と地盤間の境界非線形性は, 系の卓越振動数を中心に顕著に現れ, 完全密着条件下における杭頭インピーダンスの値に比べて, 大きく低下する傾向にあることが確認された.
  • 森下 邦宏, 井上 幸一, 川島 一彦, 阿比留 久徳, 平井 潤, 本田 誠
    2004 年2004 巻766 号 p. 277-290
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, アーチ橋トラス橋などの中, 長大橋に対する耐震検討が精力的に行われているが, 耐震補強実施例は少なく, 依然, 検討課題の一つとなっている. 著者らは上路アーチ橋に対して, 横構, 対傾構斜材に軸降伏座屈拘束型制震ブレース (ダンパーブレース) を組み込んだ耐震構造を提案し, 解析的に地震応答低減効果を明確にしてきた. しかし, ダンパーブレースの動的挙動を含めた応答低減効果の実験的検証は実施していない状況にあった. そこで, ダンパーブレースを組み込んだアーチ橋を対象とし, 端橋脚のトラス構造の縮小模型を製作して動的な地震応答実験を実施した. その結果, 繰返し荷重下におけるダンパーブレースの安定したエネルギー吸収特性および解析で予測された通りの地震応答低減効果を確認した.
  • 伊藤 義人, 金 仁泰, 貝沼 重信, 門田 佳久
    2004 年2004 巻766 号 p. 291-307
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 4種類の素地調整が異なる塗装鋼板を用いて251日間の促進腐食実験を行った. この実験では, 裸鋼板の表面に層状さびを発生させた鋼板を用いて, さびを1) 完全に除去, 2) 中程度除去, 3) 無除去の処理後, 塗装を施した3種類の供試体を用いた. また, ブラスト処理の無腐食鋼板に塗装した新規塗装の供試体も比較のため用いた. 塗装一般部, クロスカット部, および塗装と素地露出部との境界部などに生じた塗膜のふくれ面積および板厚減少量などを用いて素地調整の程度が塗装鋼板の腐食劣化特性に及ぼす影響を明らかにし, 橋梁メンテナンスのライフサイクルアナリシスの基礎データを提供した.
  • 山口 宏樹, 藤原 亨, 山口 和範, 松本 泰尚, 堤 和彦
    2004 年2004 巻766 号 p. 309-323
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 世界最長斜張橋である多々羅大橋のケーブル振動連成特性とその減衰性能への影響について, 部分構造合成法に基づく理論モード解析, および実橋振動実験データのERA解析に基づく実験モード解析から多角的に検討したものである. 多々羅大橋クラスの長大斜張橋では主要振動モードに多数のケーブルが大きく連成し得ること, ケーブル振動連成を伴う振動モードの減衰はかなり小さくなり得ること,その理由は連成するケーブルの局所振動モード減衰が極めて小さいためであること, ケーブル振動の連成度を解析によって予測することはかなり難しいこと等, 今後の長大斜張橋建設に有用な知見を得た.
  • 原 恒雄, 吉岡 修, 神田 仁, 舟橋 秀麿, 根岸 裕, 藤野 陽三, 吉田 一博
    2004 年2004 巻766 号 p. 325-338
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 東海道新幹線の高架橋区間における列車走行に伴う地盤振動特性を把握し, それに基づく振動対策工を開発した研究成果を述べるものである. 実高架橋での測定と3次元応答シミュレーション解析から, 東海道新幹線の高架橋に特有の張出し部が振動の発生に影響を与えていることを明らかにするとともに, 高架橋張出し部の端部を連続化することにより振動低減を図れることを明らかにした. そして, この考え方に基づき, 新幹線高架橋に適用可能な振動対策工「X型端部補強工」を考案し, 新幹線のある高架橋とその沿線地盤を試験箇所として施工したところ, 特定の振動数成分の振動低減に効果があることを確認した.
  • 尾畑 守夫, 森尻 渉, 島崎 洋治
    2004 年2004 巻766 号 p. 339-350
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    転動型制振装置は, パッシブ型動吸振器の一種で, 円筒状の容器に収容されたシリンダー状のおもりの転動運動により発生する制御力を利用して, 構造物の揺れを抑制する. 本装置を高速道路高架橋上に設置された照明柱の振動抑制に適用し, その有効性について検証した. 制振対象照明柱は, 交通振動に起因した橋桁の卓越振動モードとの共振により, 面内2次固有振動モードでの揺れが発生していた. 転動型制振装置の設置により, 共振による揺れが抑制され, 照明柱基部でのひずみ測定においても疲労寿命が改善される結果となり, 本装置の制振効果が確認された.
  • 坂野 昌弘, 新井 正樹
    2004 年2004 巻766 号 p. 351-356
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    主板厚75mmと付加板厚25mmのSM570Q材で製作した面外ガセット溶接継手試験体の面外曲げ疲労実験と3次元FEM解析結果を用いた疲労亀裂進展解析を行い, 既報の結果と比較することにより疲労強度に及ぼす板厚の影響について検討した. 板厚75mmの面外ガセット継手の面外曲げ疲労強度は, 溶接止端部の大きな応力集中のため板厚25mmのおよそ1/2から1/3に低下することから, 面外ガセット継手に対しても板厚の影響を考慮する必要があることが明らかとなった. 疲労限の低下は, 引張荷重下では板厚比の1/4乗則に従うこと, また, 面外曲げ荷重下では板厚に反比例する場合があることを疲労亀裂進展解析により示した.
  • 森 猛, 公門 和樹, 小高 弘行, 成本 朝雄, 阿部 允
    2004 年2004 巻766 号 p. 357-362
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    著者らは, 疲労損傷を対象とした点検・検査の効率化を図る目的で, 応力範囲とその頻度からなる疲労損傷度をモニターするためのセンサーを開発している. この疲労損傷度モニタリングセンサーは亀裂を有する極薄ステンレス鋼板であり, 疲労損傷度は非可逆的な量であるセンサー内の亀裂の進展量として計測される. 本研究では, 亀裂進展部に切欠きを設けることによるセンサーの高感度化の評価式を示すとともに, その妥当性について疲労亀裂進展試験と応力拡大係数解析を行うことにより検討する.
  • 大津 政康, 謝 爽, 足立 一郎
    2004 年2004 巻766 号 p. 363-365
    発行日: 2004/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
feedback
Top