土木学会論文集
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2000 巻, 653 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 羽藤 英二, 吉井 稔雄
    2000 年2000 巻653 号 p. 2
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
  • これまでの知見とこれからの展望
    桑原 雅夫, 赤松 隆
    2000 年2000 巻653 号 p. 3-16
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本稿では, 動的な交通流ネットワーク解析について, これまでの研究成果をまとめるとともに, これからの研究を展望する. まず, 動的な解析で満たさなければならない制約条件, Physical Queue の延伸を記述する Kinematic Wave 理論について概説する. 次に, DUO (動的利用者最適配分), DUE (動的利用者均衡配分), DSO (動的システム最適配分) という3種類の経路配分理論を紹介するとともに, 出発時刻選択における動的均衡モデル, 経路選択と出発時刻の同時選択モデルを解説する. さらに, 交通管理に関する話題として交通容量と旅行時間のパラドックス, ランプ流入制御について最新の研究成果を報告する. 最後に, これからのネットワーク解析における展望をまとめる.
  • 倉内 文孝, 飯田 恭敬
    2000 年2000 巻653 号 p. 17-27
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年情報通信技術の発達により, 情報提供が盛んに行われている. しかし, 適切な情報提供方法のあり方, 言い換えれば, 情報提供戦略については, 十分な議論が行われていないのが現状である. 本研究は, 情報提供を交通管理手法のひとつと位置づけ, 適切な情報提供戦略を検討する上で重要となる, 情報提供下での交通行動について考察を加えるものである. 特に, 情報精度に着目し, ドライバーが繰り返し情報を受け取る上でどのように情報に対する信頼度を変化させているかの解明を試みた. そのために, 駐車情報を対象とした, 駐車場選択繰り返し実験を設計し, 情報提供下の行動データを収集した. 得られたデータを用いてロジット型の離散選択モデルを構築し, パラメータ推定結果より, ドライバーの情報信頼度の更新過程について考察を加えた.
  • 堀口 良太, 桑原 雅夫
    2000 年2000 巻653 号 p. 29-38
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, ノンストップ自動料金収受 (ETC) 料金ゲートが従来の一般ゲートとともに設置された際の, 料金所全体での容量に関する理論的解法を提案する. すなわち料金ゲートの構成, 運用形態とともに, 料金所手前の道路形状および渋滞の延伸状況を考慮して, ETCの混入率に応じた料金所の容量を求めるものである. この理論的解法より, 一般ゲートとETC混用ゲートでの運用の場合, 料金所全体の容量改善割合は混用ゲートの数によらずETC混入率にのみ依存すること, また一般ゲートとETC専用ゲートでの運用の場合, 一般ゲートからの渋滞が本線にまで延伸すると, 本線がブロックされることによる見かけの容量低下を評価することができる. 本稿ではさらに, いくつかのケーススタディを通して, ETC整備のあり方について考察を加える.
  • 吉井 稔雄, 桑原 雅夫
    2000 年2000 巻653 号 p. 39-48
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, リアルタイムの交通情報提供が交通状況に与える影響について, 考察を加えるとともに, その評価方法を提案し, 実際の道路ネットワークと交通量を用いた試算を行うものである. 簡単なネットワークを用いた考察を加え, 需要が変動すると, 場合によっては情報の提供が逆効果になるということを確認した. 都市内の道路ネットワークを対象として, 情報提供効果を試算する方法を提案し, 実ネットワークと実交通量を用いた試算を行った. その結果, ODパターンに変化がある場合には情報提供効果が認められるが, 平常時に関しては, 渋滞の立ち上がり時に効果が得られるものの, その他の時間帯については効果がほとんど期待できない等の知見を得た.
  • 羽藤 英二, 朝倉 康夫, 柏谷 増男
    2000 年2000 巻653 号 p. 51-61
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では複数の交通情報リソース下におけるドライバーの経路選択行動の変化に着目した動的な経路変更モデルを提案する. 過去の経路選択の意思決定に対する状態依存効果を, 行動そのものが時間的に完全に独立である行動的均衡状態を明示的に取り扱うことで考慮する. 複数の交通情報リソース下における能動的な情報アクセス行動モデルを動的経路選択モデルに組み込むことで, 情報に対する反応の異質性を表現する. コンピュータネットワークを利用したトラベルシミュレータを用いて収集した逐次的な経路変更データを用いてモデルの内面的妥当性について検証を行う. これにより, 従来のモデルよりも内面的妥当性が向上することが確認された.
  • 安藤 昭, 赤谷 隆一
    2000 年2000 巻653 号 p. 63-75
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    景観工学研究が多様化する中, 都市の景観設計にはいくつかの手法があるが, 現在必ずしも都市景観全体をまとめる明快な論理によって貫かれた総合的手法が確立されているわけではない.
    本研究は, 従来の景観工学に人間の脳機能の概念を導入して, 景観論を拡張充実させ都市景観論をより確かなものとしながら, ヨーロッパの記念碑都市を例に, 脳と心と都市の関係を検討することによって, 人間の脳機能と都市の本質についての解釈につとめ, その検討を基に都市景観設計の体系化を試みようとするものである.
  • 上田 孝行, 高木 朗義, 森杉 壽芳
    2000 年2000 巻653 号 p. 77-84
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    従来から社会資本整備便益として建設プロセスで発生する事業効果の存在が知られている. しかし, いわゆるワルラス均衡が達成されている完全雇用下での事業効果に対する理解には混乱が見られ, 特に, 税収変化を費用便益分析においてどのように扱うべきかについて整理されていなかった. 本稿は簡単なワルラス的一般均衡モデルを構築し, 便益帰着構成表を用いて税収変化についてのキャンセルアウト特性を明らかにするとともに, 費用便益分析を行う際の留意点について, 実証分析上での現実的な対応方法を含め, 考察したものである.
  • 松井 寛, 藤田 素弘
    2000 年2000 巻653 号 p. 85-94
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    従来, わが国で利用されている高速道路を含む道路網を対象とした交通量配分手法として, 高速転換率併用容量制限付分割配分モデルが知られている. 本研究では, これに代わる新しい配分手法として, 高速転換率を内生化した拡張型利用者均衡配分モデルを開発し, その実用化について検討した. 配分理論の基本となる経路選択原理の証明に加え, 実用化に向けた転換率モデルやリンクコスト関数を新たに設定した. また, 高速道路を含む道路網上での効率的な経路探索手法の開発も行った. 最後に, 本モデルを名古屋圏の実規模ネットワークに適用しその実績再現性を検証したが, 高速道路, 一般道路とも比較的高い精度で推定できることがわかった.
  • 朝倉 康夫, 羽藤 英二, 大藤 武彦, 田名部 淳
    2000 年2000 巻653 号 p. 95-104
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    PHS (Personal Handy Phone System) の位置特定機能を用いると, 通信可能な都市内のあらゆる場所で個人の位置特定が可能である. 大阪地域に居住する10人の被験者を対象に, 2週間にわたってPHS調査とダイアリー調査を実施した. 位置特定誤差は, 90%タイル値で180mであった. 得られた位置特定データを時空間行動データへと変換するために, 移動距離と滞在時間の制約を設けて個々の点が移動点か滞在点かを識別する方法と, 連続した移動点から経路を推定する方法を開発した. ダイアリー調査の結果と照合したところ再現性は良好であり, 交通行動調査のために移動体通信システムの利用が技術的には可能であることが確認できた.
  • 屋井 鉄雄, 寺部 慎太郎, 関 健太郎
    2000 年2000 巻653 号 p. 105-115
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 広域交通計画の重要性が高まり, また情報公開・住民参加要求も高まっている. また, 計画主体の考えを市民に提示しつつ計画策定を進めるパブリック・インボルブメント (PI) の必要性を計画主体・市民双方が実感し始めている. しかし, 日本において公共事業に対するPIの進め方の研究はなされていない. 本研究では分析データを得るために, 比較的大規模なアンケート調査を同一被験者に2回実施した. そして広域交通計画における市民のPI手法への参加意識の特徴を把握し, アンケート調査を実施する際の留意点を確認できた. またデルファイ法を応用したアンケート調査の有効性が確認できた.
  • 黒田 勝彦, 竹林 幹雄, 武藤 雅浩, 大久保 岳史, 辻 俊昭
    2000 年2000 巻653 号 p. 117-131
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本稿では海上輸送市場の規制緩和に対応した国際定期コンテナ流動モデルの開発を行った. 本稿では外航定期コンテナ輸送市場において船社, 荷主という2種類の経済主体を想定し, それぞれに対して完全競争市場の成立を仮定し, モデル化を行った. そして, Nash 均衡成立のための均衡条件式を導出し, 均衡解の導出を可能とした. 次に, モデルの実用性を検討するために, 東アジアおよびその基幹航路を対象として数値計算を行った. その結果, アジアの主要港湾の整備が寄港便数に与える影響を把握することができた.
  • 松島 格也, 小林 潔司, 吉川 和広, 肥田野 秀晃
    2000 年2000 巻653 号 p. 133-146
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 身体障害者の活動支援施設の整備に対する健常者の支払い意思額を潜在市場評価法 (CVM) を用いて計測するための方法論を提案する. 健常者の障害者支援施設に対する支払い意思額が, 自らの現在及び将来の利用可能性に対する利己的動機, 障害者に対する慈愛心に基づく利他的動機, 義侠心に基づく父権的動機により構成されることを指摘し, それぞれの動機を識別するための支払い意思額指標を定式化する. さらに, 適用例を通じて提案した方法論の有用性について考察する.
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