土木学会論文集
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1998 巻, 589 号
選択された号の論文の33件中1~33を表示しています
  • 服部 隆行, 瀬戸 一法, 坂口 賢明, 北川 隆司, 日下部 治
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 1-10
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    広島型花崗岩の力学特性を解明するために, ブロックサンプリングにより採取した不撹乱試料を用いて一次元圧縮試験および排水・非排水三軸圧縞式験を行った. また, それらを構成する鉱物毎の力学特性を把握し, 風化花崗岩が形成する骨格構造を異なる鉱物の混合体としての視点より評価した. 風化花崗岩は, 粘土化した斜長石と黒雲母, 石英および正長石から構成され, 初期の圧縮およびせん断特性は, 粘土化した斜長石と黒雲母の特性に支配され, それ以後は, 石英と正長石の力学特性に支配されることを示した. 一方, 石英と正長石の力学挙動の支配構成成分は, 粒子の形状および粒子破砕特性に大きく左右されることが判明した.
  • 松田 隆, 佐藤 清, 田中 紀和, 後藤 洋三
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 11-20
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    円筒土留の地震時挙動のうち, 地盤の液状化現象と壁体ひずみ成分を含む応答特性の関係に着目して, 大型遠心模型振動実験と動的有効応力解析を実施した. 実験対象を層厚22mの飽和地盤中にある外径20mの円筒土留として, 50Gの遠心場で実験を行った. その結果, 地盤が液状化したとき, 土留壁体の加速度応答は周辺地盤の加速度応答に追随しないこと, 壁体ひずみは軸方向成分が曲げ成分に対して卓越すること, 液状化前の壁体ひずみは地盤の加速度応答に関連し, 液状化後は過剰間隙水圧の値に関連すること, などがわかった. また, 動的有効応力解析結果から, 壁体に接する地盤中の過剰間隙水圧には大きな振動成分を有すること, 液状化層中にある壁体の円周方向の軸ひずみは下方ほど大きく, 同様に曲げひずみは上方ほど大きくなること, などがわかった.
  • 佐野 修, 石田 一成, 平野 享, 工藤 洋三
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 21-30
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    弾性波速度は異方性弾性体の弾性率を求めるための有効なパラメータの一つである. 供試体岩石の異方性弾性率測定には横波速度が必ず計測されているが, 岩盤では境界面で生じるモード変換や横波の複屈折等により, 直接到達する横波の識別が困難なことが多いと予想される. したがって縦波速度のみを用いた弾性率決定が可能であれば岩盤物性評価に異方性を考慮することが容易になると考えられる. 本研究は縦波速度で最大2%程度のばらつきを加算した数値計算モデルを作製し, 縦波速度分布から逆算により異方性弾性率を決定する方法を検討した. その結果, 直交する3平面内, 15度おきの縦波速度分布情報が得られても, 最大2%程度のばらつきが含まれる場合には満足な解を得るのは困難であるが, 誤差関数の微係数の計算に解析の各ステップで得られる横波速度情報を用いれば解が得られることが示された.
  • 足立 紀尚, 岡 二三生, 古池 章紀, 小池 真史
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 31-40
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 軟岩のひずみ軟化挙動およびダイレイタンシー特性について正しく記述することのできる構成式を誘導することを目的とし, 足立・岡のひずみ軟化型弾塑性構成式に基づき, その塑性ポテンシャル関数およびひずみ硬化則の改良を試みた. さらに, 堆積軟岩 (戸室石) の三軸試験結果との比較において, その適用性について検討した.
  • 福本 武明, 貝谷 政信
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 41-53
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 泥岩の細粒化の問題について, 多数の土質試験データの分析結果を基に, 主として粒度変化の視点から検討し, スレーキング現象や粒子破砕現象に起因する細粒化の特性を明確にしようと試みるとともに, 細粒化の分類を行い, さらに細粒化機構のモデル化を試みている.
  • 寺戸 康隆, 中川 誠司, 米田 俊一, 塩崎 功, 大西 有三, 中川 浩二
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 55-66
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    グラウチング試験後の亀裂性岩盤のはぎ取り調査結果をもとに, 亀裂およびグラウト侵入亀裂の分布および方向性を検討した結果, 次のようなことが分かった. 1) 各水平・鉛直掘削面の亀裂トレースの観察により, 立体的なグラウト侵入形態が再現された. 2) グラウト侵入亀裂の空間的分布は, 卓越する亀裂方向分布に支配される傾向を示した. 3) 方向別グラウト侵入頻度は層理面を切る高角度の亀裂グループが層理面に沿ったものより大きな頻度を示した. 4) グラウトの水セメント比は, 練り上げ時600%であったものが硬化後は水が分離し80%前後にあった.
  • 近久 博志, 中原 博隆, 松元 和伸, 櫻井 春輔
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 67-77
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本文は, 開発してきた有限要素法による熱伝導解析に非線形最適化手法を組み入れた逆解析手法を用いて, 簡易な現場計測によって得られた地盤内の温度変化から凍結地盤の熱特性を評価し, 凍結工法における逆解析手法の適用性について論及するものである. このために, 厳密解を基にして, 開発した逆解析システムの妥当性について検証した後に, 凍結立坑工事の現場計測によって得られた凍土成長過程にある地盤内の温度変化から, 本逆解析手法を用いて地盤の熱特性値や熱境界特性値を同定し, 別途実施した室内試験によって得られた地盤の熱特性と比較することによって, 本逆解析手法の現場計測による実地盤の熱特性の評価への適用性について検討する.
  • 川崎 了, 西 好一, 岡本 敏郎
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 79-90
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大都市周辺の軟岩を含む大深度堆積地盤の力学的特性を深度方向に系統的に把握する目的で, 東京近郊の2地点において深度500~600mまでの大深度地盤調査・試験を実施した. この内, 本研究では採取された不撹乱試料による室内試験結果に基づき, 得られた大深度堆積地盤の力学的特性について述べた. また, 地質学的な地殻変動履歴を考慮することにより, 大深度堆積地盤の圧密・強度特性の深度分布を表現できる近似式を誘導し, その適用性について検討した.
  • 地山支保力の定量化へのアプローチ
    木山 英郎, 藤村 尚, 西村 強, 池添 保雄
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 91-98
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    トンネルにおけるライニングの挙動は, 地盤とライニングの連成問題であり, ライニングの剛性と地盤の剛性および初期応力状態の三者の相対的な大小関係によって様々に変化する. 本論文では, まず, ライニングと地盤の境界面の粗さを考慮した最も単純で基本となる2次元弾性厳密解を誘導し, さらにライニング時には既に完了している初期地盤変位を考慮する弾性解へと展開した.
    ライニングの応力, 変形における地盤との連成関係を示す解析結果を例示するとともに, それをより一般的な形で表現するため, 著者らが提案するライニング支保剛性, 地山支保剛性および総支保剛性でライニング支保特性で定量化して論じた.
  • 松井 幹雄, 西村 和夫, 今田 徹
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 99-108
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    個別要素法は底面摩擦模型実験での崩壊過程を正確に模擬できる可能性を持つ数値解析手法である. 本実験において模型要素に作用する底面摩擦力はこの実験固有の重要なファクターである. 本論文は円柱形の模型要素に作用する底面摩擦力を個別要素法解析に組み込むための幾つかの定式化を示し, 非常に単純な斜面問題に対する実験結果と数値計算結果とを定量的に比較することによって, 妥当な定式化を明らかにするものである. また, 要素間の摩擦係数が単純な斜面問題を通じて決定できることを示す.
  • 米山 秀樹, 田口 善文, 笹尾 春夫, 指田 健次
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 109-120
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    プレライニングは, 切羽の安定性確保や地表面沈下の抑止を目的として, トンネル掘削に先立ち切羽前方地山に施される先受け工の一種である. 本論文では, プレライニングの先受け・支保機構を解明するために実施した模型実験の結果について述べる. 3次元の模型実験では, 切羽掘削時の周辺地山の土圧や地表面の変位を計測した. その結果、切羽の安定化や地表面沈下の抑止といった先受け効果は, 切羽掘削時の鉛直応力の解放をプレライニングが抑制することにより得られることがわかった. また, プレライニングの支保効果は, プレライニング部材自体の剛性ではなく, トンネル周辺地山とプレライニングの相互作用によって向上する地山リングの剛性 (複合剛性) により評価すべきであることを示した.
  • 宮田 喜壽, 木暮 敬二, 落合 英俊
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 121-129
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高含水比の粘性土を用いて盛土する場合, 水平排水層を適当な間隔で配置しながら盛土する工法は有効である. しかし, その設計計算法は十分には確立されていない. 本論文では, 水平排水層を平面的に配置する場合を対象とした排水効果の解析法を示し, その妥当性を現揚データを用いて検証する. そして, 数値計算によって種々の因子が排水効果に及ぼす影響を明らかにする. さらに, 誘導した解析解の数学的特性より, 水平排水層に要求される排水機能の評価式を示し, その有効性を複数の現場データより検証する.
  • 中山 義久, 西田 一彦, 西形 達明, 井上 啓司
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 131-140
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋭敏な粘性土に対して振動三軸試験機を用いて繰返し載荷履歴を与え, 変形抵抗の低下を供試体内で消費されたエネルギー (累積減衰エネルギー) で整理した. 変形係数の減少はそのエネルギーと一義的な関係にあることが明らかとなった. 次に繰返し載荷後の強度回復過程を以下の2ケースに分けて検討した. ケースI: 繰返し載荷によって発生した過剰間隙水圧を再圧密により消散させる場合. ケースII: 繰返し載荷によって発生した過剰間隙水圧を保持し, 再圧密させないで放置した場合. その結果, 再圧密させない場合 (ケースII) の回復予測式を累積減衰エネルギーを用いて予測する方法を提案した. また再圧密 (ケースI) による回復メカニズムを明確にするため圧密による強度回復成分を分離し, 再圧密による回復過程の定式化も試みた.
  • 森 伸一郎, 沼田 淳紀
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 141-154
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    東京都新宿区四谷の江戸城四谷御門外の一連の遺跡調査において, 江戸城外堀の盛土周辺の洪積層である東京層砂層が液状化したことが確認された. この地点の東京層砂層の液状化特性を検討した. まず, 周辺地盤の既往の標準貫入試験結果とN値に基づく推定液状化強度の統計分析を行った. 次に, スウェーデン式サウンディング試験に基づいて東京層砂層の原位置液状化強度を推定した. さらに, 液状化地点の不攪乱試料を用いて液状化試験を行い, この推定の妥当性を検討した. この結果, 東京層砂層の上部付近には液状化強度の低い部分が, それ以深の東京層砂層と比較して相対的に多く存在していることがわかった.
  • スタナミック試験での事例
    加藤 一志, 日下部 治, 松本 樹典
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 155-166
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    杭の性能確認試験としての急速載荷試験の適用性の検討を目的として, 実大杭によるスタナミック試験を実施し, 静的載荷試験の結果と比較した. これに加え, 試験条件の異なる10例の実大杭の載荷試験結果を収集し, 載荷特性と試験結果に含まれる動的効果の大きさを明らかにした. さらに, 試験条件と試験結果の関係を整理し, 動的効果の影響因子には, 杭体の貫入速度, 載荷荷重と降伏荷重の大小関係, 杭の施工法, 杭の剛性, 土質条件, 地下水の有無等があることが解った. 急速載荷試験の結果から動的効果を差し引くためには, これらの動的効果の影響因子を考慮した解析が必要であることを示した.
  • 足立 格一郎, 大上 忠明
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 167-177
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高温環境・高温履歴が粘性土の諸特性に影響を与えることが最近の諸研究で判明している. 本研究では, 粘性土に与えた高温履歴がその応力~ひずみ関係, 特に降伏曲面に与える影響を実験的に調査し, さらに降伏曲面の形状及び大きさについて検討を行った. その結果, 高温履歴は粘性土の降伏曲面を拡大する効果のあること, 及び高温履歴試料は不撹乱試料に近い挙動を示すことが示された. また, 試験結果より応力比と塑性ひずみ増分比の関係を検証し, 降伏関数を用いて応力~ひずみ関係式を誘導し, その適用性を検討した.
  • 陳 渠, 石田 毅, 佐々木 俊二, 松永 烈, 水田 義明
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 179-194
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    粒子の大きさが異なる4種類の花崗岩を用いて, 花崗岩の岩目に直交する方向に水圧破砕孔を削孔し, 水圧破砕実験を行った. 供試体は一辺20cmの立方体とし, 水平2方向にそれぞれ12MPa, 6MPaの拘束圧を作用させた. 鉱物粒子が大きな花崗岩では, 岩目と平行な水平面に沿って亀裂が発生したのに対し, 鉱物粒子が小さい花崗岩では, 最大拘束圧方向の鉛直面に沿って亀裂が発生した. さらに, Acoustic Emission のメカニズム解は, 鉱物粒子の大きな花崗岩では, 亀裂がせん断破壊により生じたことを示すのに対し, 鉱物粒子の小さな花崗岩では引張破壊が発生したことを示した. このことから, 花崗岩の鉱物粒径が水圧破砕の破壊機構に大きな影響を及ぼすことがわかった.
  • 田中 洋行, 田中 政典, 土田 孝
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 195-204
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地盤の設計では土を砂あるいは粘土に分類し, 前者には有効応力, 後者には全応力法による解析が行われることが多い. しかし, 実際の地盤では, 砂分を多量に含む中間土と呼ばれる土が存在し, その強度定数の設定をどのようにするかが問題となっている. 本研究では, 宮城県石巻沖の中間土を対象として, 乱さない試料を用いた室内試験, およひ電気式静的コーン貫入試験 (CPT) とダイラトメーター試験 (DMT) を用いた原位置試験を行った. 中間土に対する従来の強度評価法は一軸圧縮試験である. サクション試験から中間土はサンプリング時の応力解放の影響を大きく受けるため, 供試体内部の残留有効応力が著しく小さくなることがわかった. このため, 拘束圧のない一軸圧縮試験では膨張による強度低下が生じ, 強度が小さく評価される. したがって, 中間土の強度を求めるためには, 原位置の拘束圧で圧密する再圧縮法が有効であることがわかった.
  • 石川 達也, 大西 有三
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 205-217
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    有道床軌道における道床部の塑性変形挙動をより詳細に検討するには, 粗粒材としての材料特性を考慮し, 道床部を粒状集合体と考えたミクロ的考察が有効である. 本論文は, このための基礎的な検討として道床バラストの大型三軸試験結果を不連続変形法 (DDA) により解析し, 粗粒材の繰返し変形挙動に対する不連続体解析手法の適用方法について検討を行った. その結果, DDAの適用方法に関して新しい知見を得るとともに, 解析結果に基づき道床バラストの変形挙動を粒子配列の構造変化の点から考察し, 道床バラストの塑性変形挙動の本質が道床砕石粒子間の相対的な位置関係の変化にあることを明らかにした.
  • 秦樹 一郎, 深川 良一, 室 達朗, 田中 洋行
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 219-229
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    等圧分布載荷型のプレッシャーメータ試験にはプレボーリング法とセルフボーリング法の2種類がある. セルフボーリング法は地盤の撹乱や応力解放を最小限に抑えることのできる有効な原位置試験の1つである. このセルフボーリング法とプレボーリング法について比較検討し, さらに他の種々の原位置試験および室内土質試験結果との比較を行い, 正規圧密粘性土地盤におけるセルフボーリングプレッシャーメータ試験結果の評価について検討している.
  • 三田地 利之, 工藤 豊, 遠藤 大輔
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 231-237
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    粘性土地盤の非排水強度の決定方法としては問題が多いとの指摘を受けながらも, 一軸圧縮試験が実務で頻繁に用いられている状況に鑑み, 試験直前の残留有効応力を知ることによって, qu値を補正する方法として著者らがすでに提案している手法の適用範囲を確認するとともに, 補正されたqu/2値と, 原位置試験から得られた“強度指標”の地盤の深さ方向の変化傾向とを比較することによって, 提案法の妥当性を検討したものである.
  • 杉原 弘造, 亀村 勝美, 二宮 康郎
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 239-251
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    強度が約5MPaの堆積軟岩中の地表下約140mに水平坑道を発破工法により掘削し, 地質観察, 各種力学調査, 水理試験, 数値解析を行い, 坑道周囲の力学的, 水理学的性状の変化した岩盤領域の広がりと物性および, その計測と解析の手法を研究した. その結果, 既存の計測解析技術により坑道壁面から約1mの範囲に発破の衝撃により発生したと推定される, 健岩部と比較して弾性波速度と変形係数が低下し, 透水係数が上昇した岩盤領域が計測された. また, 岩盤の変形挙動を正確に解析するためには, 切羽の進行, 岩盤の応力条件, 掘削の影響を受けた岩盤領域をモデルに考慮することが必要であることが分かった. 一方, 弾性波トモグラフィー結果を評価する上での留意点, 水理試験機器の開発必要性が明らかとなった.
  • 対馬 雅己, 三田地 利之
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 253-261
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    原位置の応力状態から室内試験に至るまでの作業過程を三軸試験機内でシミュレートするような試験を行い, 一連の作業過程で受ける試料の応力解放や機械的な乱れが強度に及ぼす影響を調べ, さらにサクションの測定値に基づく残留有効応力と一軸圧縮強度から原位置の強度を推定する実用的な方法を検討した. その結果, 有効応力表示によるせん断抵抗角は試料の乱れによる影響をほとんど受けないこと, 乱れの程度が異なる複数の供試体についての一軸圧縮強度と土被り圧が既知であれば, 簡便推定法を適用することによって原位置の強度が推定できることが分った.
  • 河邑 眞, 岡林 宏二郎
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 263-273
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    補強土擁壁の安定性を検討するには, 壁変位, 補強材の張力, 壁面土圧, 補強材と土との間の摩擦力などの関係を把握する必要がある. 本論文では, 補強土擁壁の壁変位により裏込め地盤のひずみレベルが変化することに着目して, 遠心力模型実験を行い安定時と破壊時に分けてこれらの関係を実測した. その結果, 裏込め地盤が非破壊状態である安定時には壁面土圧や補強材張力は設計値より小さく, 壁変位が大きくなり裏込め地盤が塑性状態になると現行の設計値によく一致することが明らかとなった. すなわち, 補強土擁壁の変形の関数としての壁面土圧と補強材張力の関係を明確にした.
  • 辻 清, 湯 恰新, Tom Lunne
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 275-285
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    九州の有明粘土およびノルウェーの Drammen 粘土について, 三笠式一面せん断試験機とNGI型単純せん断試験機による一連の比較実験を行った. 実験は, 不撹乱試料をその有効土被り圧で再圧縮した後せん断に供するものと人工的に作成した過圧密粘土について実施した. その結果, 下記のような結論が得られた. 1) 一面せん断試験は単純せん断試験よりも高い剛性とせん断強度を与える, 2) この違いは主としてせん断機構と載荷速度の違いによるものと考えられ二つの要因に対する補正係数を導いた, 3) この係数を一面せん断強度に乗じた補正一面せん断強度は, 単純せん断強度と良い一致を示した, 4) しかし人工的に作成した過圧密粘土の試験結果についてはこの補正は適用できない.
  • 村上 幸利
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 287-294
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    典型的な軟岩の一つである泥岩が盛土材として用いられる場合, 乾燥・湿潤の繰り返しや地下水位の変動等によって材質の劣化が生じて, 表面沈下や膨潤の発生など盛土体の安定性に係わる問題が起こりやすい. 本研究では, 締固めた泥岩塊材料の力学的性質や浸透機構を考慮に入れながら, 水浸に伴って発生する圧縮変形について理論の構築と解析ならびに室内実験を行った. その結果, 限定された条件のもとではあるが, 水浸沈下ならびに含水量の経時的変化に対して, 構築した理論の妥当性を検証するとともに, 水浸沈下特性に関する幾つかの知見を得た.
  • 星川 拓哉, 檜尾 正也, 中井 照夫
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 295-304
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    一般に砂や粘土などの地盤材料は弾塑性的な挙動を示す材料である. これまでの研究で, 土の塑性的挙動については空間滑動面の概念に基づく修正応力tijを用いることによって, 3次元応力下の砂および粘土の変形・強度特性を妥当に説明できることを示している. 本研究では, 弾性状態にある砂・粘土の応力~ひずみ関係においてもtijを用いた定式化を試みた. そして, 三軸せん断試験機を用いた砂の種々の応力経路下の載荷・除荷試験結果を用いて, 提案弾性式の妥当性を検討した. その結果, 従来の弾性式 (Hooke 則を用いた非線形弾性式) の応力成分をtijに変えるだけで, 平均主応力一定条件下の体積変化を含む土の弾性挙動を妥当に表現できることを示した.
  • 黄 聖春, 三田地 利之, 澁谷 啓, 舘市 弘達
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 305-319
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    粘性土の圧密およびせん断過程での広範囲のひずみ領域に対応でき, かつ微小ひずみの測定が可能なシステムおよび弾性波速度測定システムを組み込んだ高性能デジタルサーボモータ式多機能三軸試験装置を開発した. 再構成試料を用いて実験装置の性能の検証を行うとともに, 2種類の乱さない粘性土を用いて異方 (Ko) 圧密・膨潤した供試体に, 微小ひずみ領域での繰り返し載荷を行ったのち, 一連の単調載荷非排水三軸圧縮・伸張試験を実施し, 圧密・せん断の全過程において供試体の弾性波速度を測定している. 実験の結果から, 新しく開発した微小ひずみ測定システムの有用性を確認するとともに, 乱さない粘土の非排水強度決定法としての SHANSEP 法の適用の問題点を明らかにしている.
  • 本城 勇介, 工藤 暢章
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 321-333
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地盤工学や構造工学で逆解析を成功させるためには, 逆解析の目的に応じた観測データの適切な取得が必要であると考えられる. 本研究では, 逆解析における事前情報, 観測情報, 予測の過程における情報の流れを, 情報理論で広く用いられるシャノンの情報エントロピーにより記述し, これを規準として逆解析を行なうことを前提とした場合の, 観測計画の評価を行う方法の基本的な考察を行った. この方法と, 従来から実験計画法の分野で提唱されてきた観測計画の評価基準との関係についても明確化した. 提案された方法は, 比較的簡単な例題に適用され, その有用性が示された.
  • 芥川 真一, 柿原 満, 武山 真樹, 桜井 春輔
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 335-348
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 不連続性岩盤内に建設される大規模地下空洞の掘削時における情報化施工に用いるための新しい逆解析手法を開発し, これを実際の地下発電所空洞の掘削時に得られた計測データの評価に適用した. 本手法は, これまでの逆解析手法と異なり, 岩盤の不連続面に沿うすべり変位を未知数として, これを計測変位から逆算することにより, 岩盤内に生じているひずみ分布, 各ジョイントセットごとのすべり・開口変位の分布, PS工軸力の変化などを各掘削段階ごとに精度よく, 迅速に求め得ることがわかった. また, 本手法は現実に生じている非線形問題を線形問題に置き換えて逆解析アルゴリズムを構築しているため, データ処理に要する時間は極めて短くてよく, 現場での適用に適している.
  • 朱 青, 豊田 浩史, 小川 正二
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 349-357
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究ではオープンシステムとクローズドシステムでの凍上試験により, 直径6cm, 高さ2cmの粘性土供試体の冷却面の温度を一定冷却速度で低下させ, 凍上変位, 凍結速度, 凍上率および供試体内の温度勾配などの挙動を調べた. その結果, 冷却速度の違いにより, 凍結速度と温度勾配が変化し, この温度勾配が, 凍上変位, 凍上率に大きな影響を与えることが分かった. また, 冷却面を一定冷却速度で低下させた場合, 凍上率は暖端面と冷端面の温度と温度勾配及び拘束圧の関数で表されることが分かった.
  • 服部 隆行, 北川 隆司, 瀬戸 一法, 低引 洋隆, 日下部 治
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 359-368
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    著しく風化作用を受けた広島型花崗岩の地盤工学的特性を調べるために一連の原位置試験を実施し, またその一部を約2年10ヶ月間にわたりモニターし, 除荷・放置の影響を検討した. 主な結果は以下の通りである.
    (1) 調査地点の花崗岩は著しくマサ化し, 斜長石・黒雲母は変質が進み, 粘土鉱物化が著しい.
    (2) 調査期間内における地表近くの微細割れ目は, 除荷作用により僅かに開く傾向が認められた. また, 除荷後の放置期間では, 測定された強度定数はバラツキが増大傾向にあり, 明らかにその影響が認められた.
    (3) 平板載荷試験結果では局所せん断破壊形態が確認され, 載荷直下部の不攪乱試料における偏光顕微鏡観察結果には顕著な粒子破砕が観察された. また, 鉱物別の粒子破砕形態にも明確な違いが確認された.
  • 若井 明彦, 鵜飼 恵三
    1998 年 1998 巻 589 号 p. 369-374
    発行日: 1998/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    砂地盤中に立込まれた単杭の室内水平載荷実験結果を3次元弾塑性FEMにより予測することを試みた. 砂地盤は弾完全塑性体と仮定し, 降伏規準と塑性ポテンシャルを変えたいくつかのケースについて解析を行った. 解析で得られた杭頭荷重-変位関係や,地盤内の各位置の要素の応力径路に基づく検討から, 各構成則の特性が杭基礎の水平挙動に与える影響を調べた. その結果, 関連流れ則は非関連流れ則に比べて大きめな荷重値を与えること, また降伏規準に Mohr-Coulomb 式, 塑性ポテンシャルに Drucker-Prager 式を用いた混合モデルは, 両者をともに Mohr-Coulomb 式とした場合の解と, ともに Dlucker-Prager 式とした解の中間的な解を与えることなどの特徴が明らかになった.
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