土木学会論文集
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2004 巻, 753 号
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  • 堺 孝司, 熊谷 守晃, 吉田 行, 渡辺 宏, 下林 清一
    2004 年2004 巻753 号 p. 1-11
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    次世代の長期耐久性コンクリート用セメントの開発を目指して, 粒度や鉱物組成を改質したビーライト系セメント用いたコンクリートの強度発現に関する基本的特性とそのメカニズムについて広範な検討を行った. その結果, 強度発現特性はセメントの粒度と水セメント比により著しく異なること, これらの特性は, C3SおよびC2Sの水和反応の経時変化, その結果としての細孔容積と生成Ca(OH)2の量と形態に影響されること, 低水セメント比ではC2Sの水和反応は4年間に亘って進行すること, などが明らかになった.
  • 須藤 俊吉, 芳賀 和子, 広永 道彦, 田中 知, 長崎 晋也
    2004 年2004 巻753 号 p. 13-22
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    筆者らはセメント系材料の長期的な変質を予測するために溶脱現象を評価する研究を実施してきた. 別報においてセメントの主要鉱物であるエーライトの硬化体を用いた浸漬試験により, Caの溶脱に及ぼす硬化体の空隙率の影響を評価した. Caの溶脱は固相から細孔溶液へのCaの溶解と, 細孔溶液中の濃度勾配によるとする従来の考え方に基づき溶脱現象をモデル化し, 空隙率により拡散係数が異なる解析モデルを構築した. モデルにおける拡散係数には出発試料及びCa(OH)2の溶脱による空隙の増加を反映させた. 計算結果を試験結果と比較して, 構築したモデルが妥当であると判断され, Caの拡散係数が空隙率の累乗と相関が高い結果を得た.
  • 大野 俊夫, 渡部 貴裕, 万木 正弘
    2004 年2004 巻753 号 p. 23-38
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    水工用アスファルト混合物の低温ひび割れ抵抗性を評価する研究の一環として, リング状の拘束体の外周にアスファルト混合物を打設, 転圧した供試体を低温環境下に曝してひび割れを発生させ, アスファルト混合物の材料・配合条件, 拘束条件, 温度履歴条件などがひび割れ発生温度に及ぼす影響を把握するとともに, ひび割れ発生時にアスファルト混合物に作用しているひずみや応力, 粘弾性体から弾性体に移行する転移点温度について検討を行った. また, アコースティックエミッションの測定によりアスファルト混合物に微細ひび割れの発生が開始される温度を把握し, 転移点温度や貫通ひび割れ発生温度との関係, 微細ひび割れの発生メカニズムなどを示した.
  • 久田 真, 伊藤 慎也, 酒井 宗義
    2004 年2004 巻753 号 p. 39-50
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, コンクリート構造物の耐久性に関わるセメント硬化体中の各種イオンの拡散性状と, これに伴う硬化体の物性の変化について検討を行ったものである. 同一の種類ではあるものの異なる電解質から供給されるイオンとして, 塩化物イオン (Cl-), 硫酸イオン (SO42-) および硝酸イオン (NO3-) を含む各種の電解質を選定し, これらの各イオンのセメント硬化体中での拡散性状を比較した. また, 選定した各電解質は, 一般にコンクリートを化学的に侵食させるものであるため, イオンの拡散に伴うセメント硬化体の変質状況についても検討を加えた. これらの検討を通じて, 同一のイオンかつ同一の濃度勾配であっても, イオンの拡散性状は電解質の種類によって異なること, 各電解質の作用によってセメント水和物の種類により劣化の程度が異なることなどが明らかとなった.
  • 高橋 順, 清水 祥夫, 宮本 文穂
    2004 年2004 巻753 号 p. 51-64
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリート床版の耐久性保持の目的で舗装構造に防水材の適用を図る場合, 防水に関わる材料単体の機能といった観点からだけでなく, 適用する対象構造の中で防水材が受ける負荷を考慮した力学的要求特性の観点からの検討も必要となる. 特に舗装構造としての評価に際しては, 防水材とコンクリート床版の付着特性も重要な性能とし評価されなければならない. 本研究では、力学性能の評価に際しては重量車両の急制動時を想定し, 防水材での発生応力をFEM解析により求める手法を検討した. この結果を実験により求まる防水材の付着強度と結びつけて舗装構造を考慮した防水材の力学特性の評価をする手法を検討し, また実測値をもとにした評価例を取り上げることでその有用性を明らかにした.
  • 仁平 達也, 井原 啓知, 関 博
    2004 年2004 巻753 号 p. 65-79
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    従来, 鉄筋コンクリート構造物は耐久性に優れていると言われてきたが, 近年塩害, アルカリ骨材反応, 中性化などの単独要因および複数要因による劣化が報告されている. 本研究では, 大気環境下にある実構造物すべてに起こりうる中性化に着目した. 実環境により近づけるために, 中性化と乾湿繰返しを同時進行させて中性化が進行する際における埋設鉄筋の腐食進行の経時変化を調べた. 特に中性化の進行に伴う自然電位の変化に着目し, 中性化残りと自然電位の関係式を導いた. 得られた関係式を利用し, 経時変化を考慮した中性化による鉄筋腐食食の解析モデルを構築して, 実験値と比較しその妥当性を検証した. また, 中性化および乾湿繰返し作用を同時に受けるコンクリート中の鉄筋腐食量推定式を提示した.
  • 白川 龍生, 川村 彰, 中辻 隆, 上浦 正樹
    2004 年2004 巻753 号 p. 81-93
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    路面性状評価において, 路面プロファイルデータ処理は重要なプロセスであるが, 近年, データを小波状の基底関数の操作により複数の周波数帯域に分割・ダウンサンプリングする離散ウェーブレット変換が注目されるようになった. しかし, この方法は基底関数の種類により出力結果が異なるため, 入力データに適した基底関数の選定が課題である. 本研究は, PLARC EVEN試験結果の一部を用いて, 代表的な基底関数の出力特性をデジタルフィルタ演算 (DF演算) 結果との振幅比によって比較し, 路面プロファイルデータ処理に適した基底関数の選定方法について考察した. その結果, 位相の線形性が考慮された基底関数は, 離散データの近似及び帯域分解後の出力特性が安定しており, DF演算と同程度の結果が期待できることがわかった.
  • 八谷 好高, 坪川 将丈, 佐々木 健一, 亀田 昭一
    2004 年2004 巻753 号 p. 95-105
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    省資源ならびに建設費縮減という観点から, 一般的な材料のみを用いて曲げ強度を現行規定のもの (通常コンクリート) より高めたコンクリート (高強度コンクリート) の空港舗装への適用性について, 試験施工を行って明らかにした. 得られた知見は以下のようにまとめられる. 1) 高強度コンクリートを用いた空港コンクリート舗装の施工は, 通常コンクリートと同様の方法により行うことが可能であるが, 養生時期・方法等に十分注意する必要がある. 2) 高強度コンクリート版の自然環境下における挙動, 荷重支持特性ならびに疲労特性は通常コンクリートと変わるものではないことから, これを用いた空港コンクリート舗装の構造設計法としては現行のものをそのまま適用可能である.
  • 近藤 真一, 梶川 康男, 深田 宰史, 前田 研一
    2004 年2004 巻753 号 p. 107-126
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, コンクリート上床版, 曲線をなすコンクリート下床版, 鋼斜材から構成される上路式のコンクリート曲弦トラス橋を対象にして, 斜材が全体系の特性に及ぼす影響に着目し, その基本的な構造特性を明らかにした. また, 実橋で実施した振動試験結果により, 構造特性を把握するために用いた構造解析手法, およびその解析モデルの妥当性を検討した. さらに, コンクリート曲弦トラス橋を道路橋に適用するために, 斜材が曲げ破壊時の挙動に及ぼす影響や, 車両走行時における振動に関する使用性について検討した.
  • 八谷 好高, 高橋 修, 松崎 和博, 坪川 将丈, 〓 培文
    2004 年2004 巻753 号 p. 127-136
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    再生アスファルトコンクリートの配合設計において重要となる, 再生用添加剤が異なる場合のアスファルトの基本的特性について, 成分が大きく異なる3種類の再生用添加剤による再生アスファルトならびに再生アスファルトコンクリートを用いて検討した. その結果, 再生用添加剤を添加して再生することにより旧アスファルトの性状は大幅に改善されること, 製造ならびに供用後の劣化・老化を考えた場合には再生アスファルトと新規アスファルトとの差は明確ではなくなるものの再生用添加剤の影響が残っていること, さらに, 再生用添加剤の違いによる再生アスファルトコンクリートの特性の違いは老化の進行により明確ではなくなることがわかった.
  • 秋山 充良, 洪 起男, 佐藤 成禎, 鈴木 将, 前田 直己, 鈴木 基行
    2004 年2004 巻753 号 p. 137-151
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリート圧縮強度45~130MPa, 横拘束筋降伏強度320~1300MPaを使用し, 横拘束筋体積比が0.32%~1.92%の正方形断面を有するRC柱の一軸圧縮実験を行った. 実験より, 高強度RC柱では, 最大強度時に横拘束筋の作用応力は降伏強度に至らず, 横拘束筋降伏強度を用いてコンファインド効果を評価した既往の応力-ひずみ関係は高強度RC柱に適用できないことが確認された, 本研究では, RC柱の最大強度時の横拘束筋作用応力の推定法を提案し, これを基にコンファインドコンクリートの応力-ひずみ関係を新たに定式化した. 実験結果との比較から, 提案モデルは, コンクリート圧縮強度130MPa, 横拘束筋降伏強度1300MPaまでの材料強度の組合せからなるRC柱の応力-ひずみ関係を再現可能であることを示した.
  • Veerachai LEELALERKIET, Je-Woon KYUNG, 大津 政康
    2004 年2004 巻753 号 p. 153-163
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    自然電位測定の際のコンクリート内部の電位分布及び電流分布を明らかにするために, 境界要素法 (BEM) を用いて数値解析を行った. 既報を参考に2次元解析と3次元解析を実施し, 各種の電極を用いて自然電位を測定する場合にける電位と電流の分布を解明した. その結果, 電位分布は, 2次元解析と3次元解析ではかなり異なることが判明した. 鉄筋への電流の流入に関しては, 2次元解析と3次元解析との差異は断面内分布では大きくなかったが, 鉄筋方向に関してはかなり異なることが明らかになった.
  • Joni Arliansyah, Teruhiko MARUYAMA, Osamu TAKAHASHI
    2004 年2004 巻753 号 p. 165-177
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    A pavement deterioration model (PDM) applying Radial Basis Function Neural Networks (RBFNN) is presented in this paper. The RBFNN architectures are designed to be used to develop PDM based on the database that has at least two point history condition data, and are also designed as sequential PDM where the future pavement condition can be predicted using only information about present MCI value and age of pavements. The pavement condition prediction results are compared with actual measured MCI value and other existing methods. The results indicate that proposed RBFNN architectures have good capability to be used to predict future performance of pavements, and its application is very flexible and less time consuming.
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