土木学会論文集
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1999 巻, 634 号
選択された号の論文の29件中1~29を表示しています
  • 白村 暁, 鈴木 徳行
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 1-10
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, RCD用コンクリートに種々の石粉の混入量を変化させて用いた場合に, VC値, 圧縮強度などが如何なる変化を示すか明らかにするために行った. その結果, それぞれの石粉により異なるが混入量の場合にVC値は低下し, 強度が増大することが明らかになった. そこで, 石粉混入によるRCD用コンクリートの強度増強の要因について検討を行った. この要因は, 微粒粉を混入すると単位水量を減少させ, ワーカビリティーを改善し, 微粉末効果によってセメントの水和反応が促進され, また, 振動締固めにより流動化を助長し, 締固めが十分に行われることなどによって, 強度の増強が図られることが明らかとなった.
  • 里 隆幸, 武若 耕司, 鎌田 薩男, 桑原 幹雄
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 11-25
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    酸性雨がコンクリート構造物の耐久性に及ぼす影響を, 火山性酸性雨の影響を受ける環境での鉄筋コンクリート供試体の3ヵ年間の暴露実験により検討すると同時に, 表面被覆材によるコンクリートの保護効果についても調べた. その結果, (1) 酸性雨によってコンクリート表面が黄変すること, (2) 酸性雨はコンクリートの中性化にはあまり影響を及ぼさないが, 鉄筋の腐食を促進すること, (3) 酸性雨は表面被覆材の劣化を促進させる可能性が高いこと, (4) 適切な表面被覆材を用いれば, 酸性雨によるコンクリートの劣化を有効に抑制できること等が明らかになった.
  • 佐藤 良一, 氏家 勲, 鈴木 雅博, 北條 泰秀
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 27-41
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は等曲げモーメントが作用する使用状態での鉄筋コンクリート部材の長期変形挙動に関する鉄筋とコンクリートの付着に基づいた解析法を提案している. 本解析法は付着の基礎方程式を定式化する際に, コンクリートのクリープおよび乾燥収縮に加えて付着のクリープを取り込むとともに, 諸変数の物理的な意味づけもなされている. さらに, 鉄筋コンクリート曲げ部材の持続載荷実験を行い, 実験結果と比較し本解析法の有用性を確認するとともに, 本解析法および実験結果に基づいて, 圧縮鉄筋と引張鉄筋, コンクリートのクリープ, 乾燥収縮および付着応力の緩和が鉄筋コンクリート部材の長期変形に及ぼす影響について検討している.
  • 吉武 勇, 中村 秀明, 永井 泉治, 浜田 純夫
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 43-53
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    マスコンクリートや高強度コンクリートなど, 若材齢時にひび割れの発生が懸念されるコンクリートでは, 若材齢時の引張クリープ特性の明確化が必要不可欠である. 若材齢コンクリートの引張クリープ特性に最も大きな影響を及ぼす要因として水和反応の進行が挙げられるが, 既往の研究においては, その影響を考慮したクリープ推定式の提案はあまり見受けられない. 本研究は, 若材齢時における水和反応の進行の影響を考慮に入れた引張クリープ推定式の提案を行うとともに, その引張クリープ推定式によりマスコンクリートの温度応力緩和に及ぼす影響について検討を行った.
  • 沼田 晉一
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 55-70
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリートに用いる粗骨材の粒度の標準について, 数式的意義を考察した. 規格に示される粒度の範囲の算術平均をベースに Fuller 式から導入された Talbot 式の指数のx値を求め, これを数式化した. この結果, 日米の粒度規格の基準となる Talbot 指数は, 最密充填式の指数x=0.5よりも大きな値であった.「粒度の標準」の規定は, Talbot が提示した標準粒度よりも大粒の量が少なく小粒のものが多い分布であることが数式で説明された. 更に, 粒度の範囲の設定に関する法則性を説明することができた.
    粒度を規定する試験ふるいについては, 粗骨材の最大寸法と最大粒径の関係その他から, 新たなふるい寸法を追加導入しシステム化を図ることを提案した.
  • 野澤 伸一郎, 木下 雅敬, 築嶋 大輔, 石橋 忠良
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 71-89
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリート充填鋼管柱の接合方法として, 径の大きな鋼管内に小径の鋼管を所定長さ差し込み, その間隙をコンクリートで充填し一体化する接合構造がある. 小径鋼管の外面および大径鋼管の内側にずれ止めを施した供試体について, 載荷方法, 二つの鋼管径の比をパラメータとしてその接合部の終局強度を調査する実験を実施した. その結果, 接合部の終局搬に対して繰返し載荷の影響は最大荷重に至るまでは少ないこと, 二つの鋼管径の違いが大きくなった場合には接合部の破壊性状が異なることがわかった. さらに柱下端にベースプレートを設けた供試体で実験を行なった結果, 柱にずれ止めを設けた供試体と比べ荷重低下は早く始まるものの破壊性状は同様であることが明らかになった. 実験結果から釣り合い条件を検討し, より広い条件下で接合部の終局強度を比較的精度よく算出できる修正式を提案した.
  • 寺村 悟, 岩崎 昌浩, 平野 健吉, 笹川 幸男, 中川 浩二
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 91-101
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年、トンネル用吹付けコンクリートの要求品質は, 粉塵, リバウンドの低減, 強度や靭性改善, 耐久性向上など多種多様化してきている. 既往の報告では, これらの品質特性に起因する急結剤を総合的に評価しているとは言い難く, 急結剤の選定や配合設計の基礎資料となるべき報告は少ない.
    本研究では, 各種の吹付けコンクリート用急結剤の特性を明らかとし, 急結剤の添加量や水セメント比が吹付けコンクリートの基礎的特性である急結性と圧縮強度の発現性に及ぼす影響について検討した. その結果, 吹付けコンリートの配合設計ガイドラインに必要な各種急結剤の添加量や水セメント比を選定するための基礎資料となるべき事項が得られた.
  • 峰村 修, 坂田 昇, 湯山 茂徳, 岡本 享久, 丸山 久一
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 103-112
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    アーチダムにおける二次クーリング時, およびジョイントグラウティング時の安全監視を, AE法を用いて行い, 適用性を検討した. 二次クーリング時のパラメータ解析結果により, AE活動は時間経過とともに, ほぼ直線的に増加することが示された. またモーメントテンソル解析から, コンクリートブロック中に, AE発生集中部は存在しないことが確認された. 一方グラウティング時には, 隣接するジョイント部に充水を開始した時点, およびブロッキング開始時に, 大きなAE活動が観察され, これらはセメントミルクのジョイント内への不均一な浸透過程に起因する, 局所的不安定状態で発生したものと推察された. 本計測において, 危険な兆候を示すAE活動は観察されず, ダムは安全な状態にあったと結論された.
  • 小門 武, 宮川 豊章
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 113-129
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    スランプフロー試験におけるフロー到達時間とレオロジー定数との関係を明らかにすることを目的として, 高流動モルタルを用いてスランプフロー試験と球引上げ試験とを同時に実施した. この結果, 高流動モルタルは Bingham 流体としての流動特性を示すとともに, スランプフロー値が500mm以上の場合にはフロー半径200mm到達時間と塑性粘度ηplとの間に, また, スランプフロー値が600mm以上の場合にはフロー半径250mm到達時間と塑性粘度ηplとの間に高い相関関係が認められた. したがって, 高流動コンクリートが Bingham 流体としての流動特性を示す場合には, 400mmフロー到達時間, あるいは500mmフロー到達時間によって塑性粘度が評価可能であることが示唆される.
  • 土屋 智史, 小笠原 政文, 津野 和宏, 市川 衡, 前川 宏一
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 131-143
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    偏心軸力によるモーメントが作用するRC橋脚に, そのモーメントと直交方向に正負交番による水平力を加えると, 偏心軸力によるモーメントが作用する方向に, 残留変形が蓄積されていく挙動を実験にならびに三次元有限解析によって捉え, その機構について考察を行った. 偏心軸力が作用するRC橋脚の残留変位を評価する際には, 二方向の主軸を独立にチェックすることでは非弾性挙動を精度良く追跡することは難しく, 残留変形の予測には両者の連成を考慮することが必要であることを示した.
  • 山田 一夫, 原田 哲夫, 出光 隆, 副田 孝一, Myo KHIN
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 145-156
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    連続繊維補強材の定着に用いられる定着用膨張材 (定着用途に適した特殊膨張材) の耐久性に関して, 材料的な面から、鋼管スリーブ内で膨張圧を発現した状態での各種促進試験と暴露試験により検討した. 乾湿繰返し, 中性化促進, 凍結融解, 屋外暴露の各試験結果から, 作用膨張圧は標準試験と同等の値を示し, 1年材齢で80MPa以上であった. これらの促進試験による, 鋼管スリーブ端部からの脆弱化部分の進行がみられたが, 端部をエポキシ樹脂シーリングすることで防止できることが分かった. 脆弱化による有効定着長の低下はスリーブ長が200mm以上では1.0%以下となる. 作用膨張圧が長期的に設計膨張圧50MPaよりも60%以上高い値を示すことから, 有効定着長の長期的低下は定着体設計上無視でき, 定着用膨張材による定着体は長期にわたり安定であることが分かった.
  • 前川 宏一, 福浦 尚之
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 157-176
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 高精度化を追求した第1著者らによる既往のRC2方向ひび割れモデルを, 動的応答解析上の要件を念頭に置いた上で, 必要にして十分な精度と数値モデルとしての完備性と簡便性を追求し, 再構築したものである. 構成則の経路依存性の表現に必要な履歴変数は少数であるが, 本RCモデルを構成する個々の材料挙動モデルは, 既往モデルと同等の精度を有する. 再構築したRCモデルの適用性を検証するために, 一様応力場で種々の応力経路を受けるRC板要素との比較解析を, 過去に用いた実験結果のみならず, それ以後蓄積された実験結果も含めて広範囲に行った. その結果, 既往モデルと同等の精度を有していることを確かめた.
  • 福浦 尚之, 前川 宏一
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 177-195
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 2次元平面応力状態で最大4方向まで, 独立して交差するひび割れを有するRCの履歴依存型空間平均化構成モデルの構築を行ったものである. 提案するRCモデルは, 従来の2方向ひび割れ挙動に関するアクティブクラック法を拡張し, 疑似直交2方向ひび割れを対象とするRCモデルと組み合わせたものである. 多方向ひび割れ間の開口と閉合をモデルに取り込み, できる限り実際の力学現象に対応したモデル化を図った. 要素レベルの検証として, 本研究にて実施した一様応力場での3・4方向ひび割れRC要素実験との比較解析を行い, 作用応力-ひずみ関係, 作用応力の変化に伴う新規ひび割れの発生とアクティブラックの乗り移りなど, 良好に挙動を追跡できることを確かめた.
  • 上原子 晶久, 下村 匠, 丸山 久一, 西田 浩之
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 197-208
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, コンクリートに接着した連続繊維シートの剥離挙動を数値計算で予測するための構成モデルについて検討するものである. 一軸引張試験で得られた連続繊維シートのひずみ分布よりシートとコンクリート間の付着応力と相対変位との関係を導き, これを弾性 ―軟化― 剥離型モデル, および弾性 ―剥離型モデルによりモデル化した. これら2種類のモデルを用いて一軸引張試験のシミュレーションを行い, その感度と適用性について論じた.
  • 前川 宏一, 福浦 尚之
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 209-225
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 著者らが提案し, 既にRC要素レベルでの検証を経た多方向ひび割れを有する鉄筋コンクリート構成モデルの, 部材レベルでの検証を行なったものである. 静載荷耐震壁実験との比較解析, 5層耐震壁の動的載荷実験と国際 blind ベンチマーク解析, 実構造物の縮小模型実験との比較解析, さらに, 構造物レベルで3方向以上の多方向ひび割れ状態が生じるケースについての試解析を行い, 本RCモデルが構造物の高非線形領域での挙動を求めるに必要な実用性を有していることを示した. あわせて, 使用したRCモデルの適用領域と, これが組み込まれた非線形応答解析の実用範囲を示し, なおもって技術的に不十分な点を明らかにすることで, 今後の課題を示した.
  • 圓林 栄喜, 香月 智, 石川 信隆, 太田 俊昭
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 227-241
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, PCはりおよびPRCはりをアンボンド化することによる動的じん性向上効果について実験的かつ解析的に検討したものである. すなわち, まずPCはりおよびPRCはりのアンボンド化による動的じん性向上効果を確認するため, 小型のボンドおよびアンボンドPCはりおよびPRCはりを対象として静的および高速載荷実験を行い, 荷重~変位関係, 終局変位および破壊メカニズムについて比較考察した. 次に, 断面分割法と離散化モデルを併用した簡易動的終局変形解析を行い, 実験結果と比較することにより動的じん性向上のメカニズムについて考察した. 最後に, 本解析法を実物大のPRCはりの動的終局変位の推定に応用したものである.
  • 福田 萬大, 浅枝 隆, 藤野 毅
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 243-254
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    夏季における都市のヒートアイランド現象や道路周辺の熱環境を緩和するためには, 舗装表面温度を低く保つことができる保水性舗装が有効と考えられる. しかし, 冬季には通常のアスファルト舗装と比べ保水性舗装の周辺が冷熱環境にならないか, 凍結しやすく交通安全上の問題はないかといった点を明らかにするため, 屋外の舗装サンプルを用い冬季の舗装温度や日射量, 赤外放射量などを連続して測定した. その結果, 熱放射環境の観点から保水性舗装は通常のアスファルト舗装とほぼ変わらず, 冷熱環境とはならないことが分かった. また, 夜間から早朝にかけての路面温度は, 通常の舗装が氷点以下になっても, 保水性舗装は0℃付近を長く保っているという結果も得られた.
  • 菅俣 匠, 日比野 誠, 大内 雅博, 岡村 甫
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 255-267
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    自己充填コンクリート用モルタルの相対フロー面積比と相対漏斗速度比の比を高性能AE減水剤の粒子分散効果の指標として, 練混ぜ時におけるポリカルボン酸系高性能AE減水剤の粒子分散効果を定量的に表した. 練混ぜ水を分割投入して練り混ぜると, 練混ぜ時間の延長によって高性能AE減水剤の粒子分散効果が低下した. この主要因は, セメント粒子の比表面積が水和反応によって練り混ぜるほど増加するためであることを示した. 高性能AE減水剤の吸着量を, 単位セメント重量当たりから単位表面積当たりに置き換えると, 粒子分散効果は単位表面積当たりの吸着量に比例した. 練混ぜ時においても, ポリカルボン酸系高性能AE減水剤の立体障害効果による粒子分散作用を明確に示した.
  • 鈴木 基行, 秋山 充良, 田中 慎介, 丸中 孝通
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 269-278
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究ではまず, 柱や中層ばりの剛性をパラメータにとり, RC2層ラーメン高架橋の耐震性に影響を及ぼす部材の降伏過程を時刻歴地震応答解析により検討した. 次に, RC2層ラーメン高架橋の静的非線形解析から得られる水平力-天端位置変位の関係にエネルギー一定則を適用し, 近似される非線形最大応答変位と動的解析から得られる最大応答変位との整合性を検討した. そして, 部材の降伏過程を考慮した静的非線形解析に基づく簡便で実用的なRC2層ラーメン高架橋の耐震設計法を提案した.
  • 張 金喜, 藤原 忠司, 諸戸 桂一
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 279-291
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    生コン工場の多くは, 戻りコンやスラッジの処理に苦慮している. 本研究では, 戻りコンを積載したままのアジテータ車のドラム内に, 天日乾燥スラッジを投入して攪拌し, 排出して硬化させた後, 破砕して路盤材に利用する方法を考案し, その実用性を検討した. はじめに, 実験室において, 一連の工程を具現化し, 戻りコンとスラッジの混合割合, 戻りコンの種類およびスラッジの含水率などによる路盤材の支持力特性などの相違を調べ, 条件を適切に選定すれば, 優れた性能の路盤材を製造できるとの見通しを得た. 続いて, 生コンプラントで製造した路盤材を用いて試験路盤を築造し, 支持力などを求めたところ, 実用に耐え得ると判断された. 工程が単純で, 経済的な本方法は, 既に実用化の段階に入っている.
  • 大即 信明, 平山 周一, 宮里 心一, 横関 康祐
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 293-302
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, モルタルからのCa溶出およびそれに伴う変質の長期予測を行うことである. はじめに, (1) モルタルからのCa溶出の長期予測手法を構築した. ここでは, Caを電気化学的促進試験と拡散試験を組み合わせることにより溶出させ, Ca溶出速度を基に実時間換算し, Ca溶出の長期予測を行った. 次に, (2) Ca溶出に伴うモルタルの変質の長期予測手法を構築した. ここでは, Caを電気化学的促進試験により溶出させ, モルタルの変質を実験的に評価した. この促進変質結果と (1) の実時間換算結果を照合し, Ca溶出に伴う変質の長期予測を行った. 最後に, (3) Ca溶出に伴う変質の予測結果を, 30年間供用された実構造物の調査結果を用い比較した. その結果, 30年から40年後までの, Ca溶出およびそれに伴う変質が予測された.
  • 松村 卓郎, 金津 努, 西内 達雄
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 303-314
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鉄筋の腐食速度を測定する方法として電極を埋設する交流インピーダンス法を新たに考案し, 適用性を評価し良好な結果を得た. この方法を用いて, コンクリート中の塩分濃度, かぶり, 相対湿度を要因とした14ヶ月間の室内腐食実験を行い, これらの要因が腐食速度に及ぼす影響を定量的に把握し, 実験結果を基に, 鉄筋腐食速度評価式を提案した. 実際の環境中に適用するため降雨の影響を考慮できる指標を組み込んだ腐食進行評価手法を提案し, 沖縄の海岸近くに暴露した試験体の腐食進行評価を行った. その結果, 実際の腐食量が加速度的に増大する様子を比較的良好に評価することができた.
  • 西澤 辰男, 七五三野 茂, 小松原 昭則, 小梁川 雅
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 315-324
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリート舗装版を基層とし, アスファルトを表層に持つコンポジット舗装の設計においては, コンクリート舗装版内の温度勾配の算定が非常に重要である. アスファルト表層の存在によってコンクリート版内の温度勾配が低減され, それにともなって温度応力が減少するからである. 本研究においては, このような温度勾配の低減効果を, モデル舗装における温度の実測, その実測データを用いた逆解析, さらに熱伝導解析によって検討した. これらの結果に基づいて, アスファルト表層厚と温度勾配低減効果の関係を求め, その関係を温度勾配低減係数という構造設計に適用可能な形で提示した.
  • 金好 昭彦, 宮本 文穂, 古家 武士
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 325-336
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では兵庫県南部地震で被災したRC道路高架橋を対象として, 対象高架橋を上部工, 下部工および基礎等で構成される橋梁システムとして捉え, 各部位部材の損傷程度の経時変化を状態遷移確率行列でモデル化し, 多段階に分類された損傷状態確率を求め, その結果をもとに部位部材の損傷度およびシステム全体系の機能的・社会的損傷度を評価する手法を提案する. また, 本手法を実橋に適用するとともに橋脚補強等の耐震対策を施した場合の耐震性についても検討した.
  • Fawzy Mohamed EL-BEHAIRY, 二羽 淳一郎, 田辺 忠顕
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 337-348
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 鉄筋コンクリート柱の挙動をより深く理解するための数値シミュレーションを行う. 任意の荷重を受ける構造系の解析は, 材料における物理的特性を厳密に取り入れた場合, 特に自由度数の増大を引き起こすために非常に困難を有する. そこで本研究では, 著者らが以前提案した2次元格子モデルを3次元に拡張し, 純ねじりを受けるRC柱の解析を行った. 解析結果を多くの実験結果と比較した結果, 広範囲にわたる一致が認められ, このモデルの有効性が確認された.
  • ハウケ ベルンハルト, 前川 宏一
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 349-368
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, ひび割れを有する鉄筋コンクリート要素の3次元構成モデルを提案するものである. 一方向ひび割れにおけるひび割れ以後の応力開放挙動を, 多方向に交差する任意の傾斜を有するひび割れに対して一般化を図った. 3次元RCゾーニングの考え方と連関付け, 引張破壊の異方性と鉄筋の平均降伏強度について議論した. 提案された要素モデルに対して, ねじりを受けるRC部材のせん断破壊と, 多方向加力を受ける短柱のせん断破壊解析を通じて検証を行った.
  • ハウケ ベルンハルト, 前川 宏一
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 369-386
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 構造一般を対象とする数値解析手法を, 鉄板および炭素繊維で補強されたRC柱の性能評価に応用する方法について, 検討したものである. ひび割れを考慮した3次元RC構成モデル, 炭素繊維シート, 構造用鋼材, ならびに鋼材-コンクリートの境界特性モデルを有限要素解析に組み込むことで, 補強された構造挙動を解析する方法を提案した. 軸力, 曲げ, せん断を受ける無補強および補強構造の挙動と解析結果との比較を通じて適用性と問題点を論じている. 併せて, 鋼材と繊維両者補強効果に差が現れる機構について, 3次元解析結果から検討を加えた.
  • 綾野 克紀, 阪田 憲次, Folker H. WITTMANN
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 387-401
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, コンクリートの乾燥によって生じる変形挙動を数値解析する際に必要な拡散係数, フィルム係数および収縮係数を合理的に求めるための新たな手法の提案を行ったものである. コンクリート中の水分量自身に依存する拡散係数は, 水分量のみならず湿度の関数としても求めることが可能である. 本論文で提案する手法では薄くスライスした供試体を用いて湿度分布を求めている. 従って, スライス供試体間の空気層がコンクリート中の水分移動に及ぼす影響についても考察を行い, その影響が極めて小さいことを示し本論文で提案する手法の妥当性を論じた. また, 実験結果を基に逆解析によって拡散係数および収縮係数を求めるための数学的な手法の提案も行った.
  • 八谷 好高, 殷 建軍, 高橋 修, 姫野 賢治
    1999 年 1999 巻 634 号 p. 403-411
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    空港舗装の平坦性について論じた. まず, 空港舗装の表面性状に関する航空機パイロットの主観的評価について研究し, 平坦性が乗心地に及ぼす影響が最も大きい項目の一つであることを明らかにした. 次に, 滑走路と誘導路上を走行するときの舗装縦断形状に対する航空機の応答に関する数値シミュレーションをプログラムTAXIを用いて実施した. その結果として, 航空機の応答が振幅, 波長といった舗装の表面性状だけではなく, 航空機走行速度によって変化することを示し, 最後に, 空港滑走路と誘導路の平坦性に関する規準を提案した.
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