土木学会論文集
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2004 巻, 770 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 風土に根ざした自然水利で地震火災から地域を守るために
    大窪 健之
    2004 年2004 巻770 号 p. 1-13
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    阪神・淡路大震災の経験を踏まえ, 防災水利が満たすべき性能確保のため, 地域に根ざした断水することのない自然水利を, 非常時の「防災の水」として, また日常時は「環境の水」として再生・整備することを目指す,「環境防災水利」の実現が求められている. 本論文は, これまで各地で実施されてきた自然水利を活用した防災水利整備事例の中から, 水利種別毎に代表的整備事例の事業過程を明らかにする一方で, 我が国を代表する木造文化都市・京都市で策定された「環境防災水利」構想の理念をもとに評価項目を導出し, 各事例の整備内容の評価を行った. これらを踏まえ, あるべき「環境防災水利」の整備に向けた事業推進手法の指針について提案を行うものである.
  • 江尻 良, 西口 志浩, 小林 潔司
    2004 年2004 巻770 号 p. 15-32
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, インフラストラクチャ会計 (以下, インフラ会計と略す) の目的とその基本的な考え方について考察する. インフラ会計はアカウンタビリティの確保, 資源の効率的配分, アセットマネジメント, 経済統計整備のために重要な役割を果たす. 本研究ではインフラの資産評価の方法と会計方式, インフラ会計の構築方法について考察する. さらに, インフラ会計の適用事例として納税者会計, インフラ生産性の計測, アセットマネジメントをとりあげる. インフラ会計の構築においては, 学際的な研究分野における研究成果を積極的に取り入れるとともに, 具体的な方法論の提案と実践によるフィードバックが不可欠である. インフラ会計の構築においては, 今後に残されたテーマも多く, 本研究では最後に今後の研究課題をとりまとめる.
  • 酒井 照夫, 宮野前 俊一, 黒木 繁盛, 森田 浩二, 櫻井 孝臣, 梨本 裕
    2004 年2004 巻770 号 p. 33-42
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    都市部における離隔距離1m程度の近接トンネルでは, ほとんどの場合めがねトンネルが適用されている. しかし, その設計手法は確立されていないのが現状である. めがねトンネルはその形状から中央部に応力集中が生じる問題を有している. 重要な支持構造物であるセンターピラーには, 掘削に伴う応力再配分により大きな荷重が作用すると考えられるが, その荷重の設定法はまだ確立されていない. そのため, センターピラーの補強設計において内部発生応力が注目されることはほとんどなかった.
    本研究では, 現場計測結果とFEM解析により, 過去に提案されたセンターピラーに作用する荷重の設定法を見直し, センターピラーの補強設計法を提案する.
  • 吉塚 守, 三谷 浩二, 田中 一, 吉武 勇, 中川 浩二
    2004 年2004 巻770 号 p. 43-52
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 大断面トンネルにおける設計・施工の合理化に向けた基礎資料を得ることを目的としたものである. 特に, 大断面トンネル施工の支保パターンの選定に関連し, いくつかの支保材料・支保パターンを用いた現場実験を行い, その支保効果の観察・評価を試みた. 本稿は, 出来るだけ経済性・施工性に優れた支保パターンを選定しようとする模索過程において, 得られた計測結果および知見をとりまとめたものである. 最終的には, 高耐力ロックボルトと鋼繊維補強高強度吹付けコンクリートを併用した支保パターンとすることで, 一掘進長2.0mに延伸しても安全な施工が可能であることを示した.
  • 吉武 勇, 辻 和秀, 三村 陽一, 山口 哲矢, 浜田 純夫
    2004 年2004 巻770 号 p. 53-63
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    パイプヒーティングに用いる (鉄筋) コンクリート版など, 埋設するパイプが部材の構造特性に与える影響について, これまであまり検討されてこなかった. そこで本研究では, パイプヒーティングにおけるコンクリート版の構造設計の基礎データを資する目的から, 主に静的圧縮試験および曲げ試験といった要素実験を通じて, その耐荷性能や破壊特性について実験的な検討を試みた. その結果, 鋼製パイプはパイプヒーティングに適した材料であり, 鉄筋と一線上に配置した場合においても, 充分な曲げ耐力を確保できることが確認された. さらに, 低い荷重レベルで付着切れが生じるパイプは構造部材として捉えず, 鉄筋のみで曲げ引張荷重を負担させる構造設計法が妥当と判断された.
  • 水野 裕介, 阿部 雅人, 藤野 陽三, Sandy MERET, 阿部 允
    2004 年2004 巻770 号 p. 65-77
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 橋梁の維持管理業務において情報の共有・再利用に着目したマネジメントシステムについて検討し, プロトタイプを構築した. 情報収集を効率的に行うために現場作業に適した端末の選定しインターフェースの設計を行い, 目視検査支援システムを構築した. また, 橋梁の維持管理に関する情報を記述するためのマークアップ言語 BridgeML を策定し, 再利用可能かつネットワークを通じた交換を前提にした橋梁情報の管理手法を試みた. さらに, 蓄積される情報の中から効率的にデータの関連やパターンを発見するデータマイニング手法を用いて, 維持管理に関する有用な情報を抽出する手法を検討し, 既存橋梁の維持管理データを対象にいくつかの有用なルールが抽出されることを確認した.
  • 加藤 英夫, 岡山 義邦, 浜田 賢二, 藤井 敦, 新谷 義昭, 中川 浩二
    2004 年2004 巻770 号 p. 79-93
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ドラグサクション浚渫船の自動化は, 従来設定値に基づく一定値制御, あるいはあらかじめ定められた手順に従うシーケンス制御等が試みられてきたが, ベテラン乗組員の手動操作に比較すると制御が不十分で, 省力化は図られたが浚渫能率 (浚渫土量) は必ずしも高くなってはいないとされてきた. そこでこの問題を解決するためファジィ制御を用いた自動化システムを研究・開発した. 浚渫基本要素 (浚渫ポンプ流量, 船速等) を対象としてファジィ制御を行った結果, 積載土量を4.5%~9.7%向上させることができた. また浚渫土量向上の一環として, 泥水リサイクルシステムを装備しこれも併せてファジィ制御を行った結果, 積載土量を36.9%と大きく向上させることができた.
  • 長通 伸幸, 作田 健, 香月 智
    2004 年2004 巻770 号 p. 95-106
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 複関数分類学習ニューラルネットワークシステムを用いた構造物のモニタリングシステムを重力式ダムの漏水データ管理に応用することを試みたものである. 本研究で用いた実測データは, 30年間にわたる実漏水観測データの一部であり, 気温, 水温, 雨量, 水位などの要因関連データも同時に計測されている. その変化曲線は極めて複雑で, データ内には複数のパターンの漏水要因データとの因果関係が混在している. このため, 線形関数を前提とする重回帰分析では, データの正常と異状を分別することができない. しかし, 提案システムは, 構造物の正常さを明瞭に認識できると同時にノイズ混合による異状を認識できることを明らかにした.
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