前回の原著「デザイン学研究,No.51, 1985」において,それぞれ4種類のSx, Jx, Cxの各項目と,それらを結ぶ情報の性質と流れのパターンを示した。今回は,これら次元の異なる項目間の情報結合を計るのに,どういう形式とルール(方法を含む)が有効に働くかについて,創造的翻訳(CR)の概念を中心とした考察を示す。IDにおけるCR概念は,言語,形象,実存,数量という表現形式によって,Sx, Jx, Cx項目内で,近接の2項目を結合する為に,創造的な翻訳をすることを意味する。具体的には,Sx項目(理,念,現,実)を,Jx項目の形式(デザインコンセプト,造形イメージ,機構・製造技術,マーケティングデータ)に創造的翻訳をする。更に次の段階で,Cx項目の形式(企画,方針,造形,運営)に創造的翻訳をすることである。今回は,各項目間の結合が,いずれもCR概念によって一応の説明ができるという帰結に至った。
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