橋梁は,「隔絶された2つの地点を結びつける」という象徴的な意味合いを有していることから,地域を代表する風景を生み出している。しかし現状は,道路の内部景観の観点からの走行空間に関する配慮が希薄であり,運転者の視点から見ると,路線に不釣合いな橋が多く存在している。そこで本研究は,運転者の視点から橋梁を眺める行為に対し,視点位置の違いによる印象の変化を解明することを目的とした。研究対象は,多島海地域における下路形式の橋梁とし,道路内部景観における橋梁景観把握モデルの要素を視点,視点場,視対象,対象場の4つに大きく類型化した。また,橋梁には眺められる対象と眺める場所の2つの役割があり,本研究ではこの両者を論じた。そして,それぞれの要素の橋梁景観特性への関わりを明らかにするとともに,異なる橋梁形式において,良好な橋梁景観を形成するための仕組みを解明できた。その結果を踏まえ,橋梁へ続く道路の景観整備計画のための道路景観評価尺度を構築することを試みた。
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