デザイン学研究
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51 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • Toshio MITSUHASHI, Milena Metalkova-MARKOVA
    原稿種別: Article
    2004 年 51 巻 4 号 p. 1-8
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    Our attempt is to develop Eco-museums as local community building measures to revive local culture and the symbiosis between people and nature, aiming at community exchange and relations in a wider scale, based on the reuse of local regional resources. The aim of the present research, focused on Tango region of Kyoto prefecture, is to investigate the potential values of the cultural, lifestyle and natural resources of this region through the database and further, to study and build the basic concept of 'an Eco- museum as a Local Community Building', where local nature, culture and people can be approached as a living museum or stage. As a result of our research on the regional farming, forestry, craftworks, local food customs, traditional entertaining arts, water resources, flora and fauna, landscape, etc. we discovered the precious value and joy to observe the close-to-nature self-sufficient lifestyle and we clarified a future direction to develop eco-museums as local community building to create a ' guests-attracting and pride-breeding region'.
  • 常見 美紀子
    原稿種別: 本文
    2004 年 51 巻 4 号 p. 9-18
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    「構成」はバウハウスに留学した水谷武彦がドイツ語の「Gestaltung」を翻訳した言葉である。構成教育は、戦前は普通教育の中に普及していたが、デザイン教育のための基礎および専門教育としては、戦後に発展をとげた。桑沢デザイン研究所では、当初から構成を基盤とするデザイン教育を行っていたことが教育課程などから明らかになった。とりわけ初期には、勝見勝と高橋正人が、研究所のデザイン教育に貢献していた。勝見はハーバート・リードとミューズ教育という幅広い造形概念の上に、バウハウスを起源とするデザイン理論を展開した。高橋は、デザイン教育における「基礎」として、美学・心理学・構成理論という純粋研究、人間工学・コミュニケーション理論のような基礎工学的研究、設計製作・印刷・写真などのような実際技術とこれに伴う技術理論という三領域を挙げ、「構成理論」は「構成の原理」という純粋研究を対象とすることを明確にした。「構成の原理」には、「造形の要素(造形言語)」と「造形の秩序(造形文法)」があり、造形の要素は形、色、材料、テクスチェア、光、運動が、造形の秩序にはリズムやコンポジションなどが含まれる。高橋は構成をデザインの基礎および専門教育と位置づけ、構成の原理の研究と教育を通じて、構成をより広くより高次元、すなわち構成学へと導いた。
  • 楊 弦叡, 堀田 明裕
    原稿種別: 本文
    2004 年 51 巻 4 号 p. 19-28
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本調査は鉄道駅に設置された視聴覚サインの表示方法と対応関係の検討を目的とする。首都圏にある一日乗客数5,000人以上の駅で視聴覚サインを収集し,位置,誘導,通報,案内,規制五つの機能によって分類し,視聴覚サインを比較した。その結果,以下のことが明らかになった。(1)位置機能に対して視覚サインが多数に設置されていたが,聴覚サインでの対応は少なかった。(2)視覚サインの指向性と聴覚サインの音源誘導の特性によってサインは逆の方向を示すことがあり,視聴覚の特性による誘導概念の違いが見られた。(3)視聴覚サインの併用は,視覚と聴覚ニつの感覚で情報を確認する事ができ,より確実,円滑な移動性が得られる。(4)案内サインは文字と音声が中心であり,空間の案内では,触地図で対応する例もみられた。(5)定点に設置された視覚サインは利用者の位置や視力によって制限を受ける。これに対して,一時的に発生する聴覚サインは時間的な制限を受ける。
  • 田浦 俊春, 飛田 州亮
    原稿種別: 本文
    2004 年 51 巻 4 号 p. 29-34
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    設計は,抽象的に設計対象物が記述される空間から,より具体的に記述される空間への写像プロセスととらえることができる。従来,そのメカニズムを理解するために多くの研究がなされてきているが,その大部分は,既知の空間における設計解の生成メカニズムに関するものである。しかしながら,設計者が設計においてまず行わなければならないのは,設計解を生成するための空間を形成することである。本研究の目的は,設計空間の形成される根拠を解明することにある。本論文では,設計空間の静的な構造と設計過程との関連性を分析することに主たる観点をおき,具体的には,写像元の設計空間と写像先の設計空間の間における距離の保存の程度が,設計解探索の効率に関係のあることを明らかにする。そして,設計空間は,この距離の保存則が成立するように形成されるとよい,という仮説を提案する。この仮説を用いて,工学設計における機能分解のプロセスを対象に,機構設計のための部品探索シミュレーションを行い,本仮説の妥当性について検証する。
  • 田浦 俊春, 中山 嘉人
    原稿種別: 本文
    2004 年 51 巻 4 号 p. 35-44
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究では,抽象的な形状特徴(形状イメージ)を計算機で取り扱うための方法論を構築することを目的とし,形状生成のための評価関数を用いて抽象的な形状特徴を表現する方法を提案する。一般的な最適化問題では,評価関数は予め与えられるのに対し,本方法においては,取り扱いたい形状に相当する(その形状が,その評価関数の最適解として生成可能な)評価関数を求めることを行い,ここに本方法の最大の特色がある。本方法は,評価関数を獲得する第1ステップと,獲得した評価関数を合成し新たな形状を生成する第2ステップから構成されており,デザイナがシステムと対話しながら抽象的形状特徴を獲得し合成できるようになっている。本方法は遺伝的プログラミングと遺伝的アルゴリズムを用いている。本システムを用いて複数の抽象的形状特徴を合成する実験を行い,本方法の有効性を確認した。
  • 阿部 眞理, 増山 英太郎
    原稿種別: 本文
    2004 年 51 巻 4 号 p. 45-54
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本稿では、スギ圧縮材のもつ感覚特性について、国内外産の針葉樹材と広葉樹材17種の試験片と比較しながら、触覚のみによる感触実験と視覚と触覚をあわせた感覚実験を行ない、その特性を明らかにした。実験は木工、家具製造・販売に対する経験者と未経験者それぞれに対して実施し、SD法により各材種の平均プロフィルを明らかにし、因子分析によってバリマックス回転後の因子負荷量を抽出した。この結果、触覚においては、職業経験者と未経験者ともに「落ち着き感因子」と「なじみ感因子」が共通となり、視覚・触覚の感覚実験においては「落ち着き感因子」、「なじみ感因子」、「鮮度感因子」が共通の因子となった。また、17種類の材種との比較において、スギ圧縮材の位置付けを行なうため、各因子間における布置図を作成した。その結果、いずれにおいてもスギ圧縮材はカリン、チーク、ローズウッドといった硬質の広葉樹材と並んで布置し、圧縮前のスギとはその感覚特性を異にした。スギは圧縮成形加工を施すことにより、物理的な特性のみならず、視覚、触覚の感覚特性においても硬質な広葉樹材に匹敵する性質となることが判明した。
  • 小松 亜紀子
    原稿種別: 本文
    2004 年 51 巻 4 号 p. 55-64
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究では,携帯電話を題材とし,形態的要素の類型化によって得た異なる6つの製品スタイルについて,大学生を被験者とする選択と評価のアンケート調査を行った。分析の結果,因子分析により独立的要因である「訴求力(時代感覚,美的価値や高級感などの心理的に訴える力と関連)」「自分らしさ(自分の個性,性別や年齢と製品スタイルの適合)」,相互依存的要因である「相互依存性(周囲における製品スタイルの普及状況)」「普遍性(製品スタイルの定着や懐古と関連)」の4つの社会心理的な評価要因を抽出した。さらに,この評価要因を説明変数,製品スタイルの満足度を目的変数とする回帰分析により,「自分らしさ」と「訴求力」で有意な寄与が認められた。この結果から,製品スタイルに関する嗜好変化には,「自分らしさ」という社会的な理由だけでなく,「訴求力」という知覚的な理由が関与していると考えられ,従来の社会的な理由を中心とする流行や消費者の選択行動の説明に一考を迫るデータを得た。
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