聴覚障害者が日常生活を円滑に営む上で,最も困難な状況のひとつがテレ・コミュニケーションである。本研究では,この聴覚障害者のテレ・コミュニケーションを支援する機器の通信機能,目的別機能,入出力方法,通信手順,使用環境と機能について種々の側面から検討を行った。同時に3つの側面(通信機能と操作,使用目的と操作,使用環境と操作)から段階的にプロトタイプ(機能別モデル,目的別プロトタイプ,フィールドテスト用プロトタイプ)を製作して使用テストを実施し,問題点の把握,機器の有効性の確認,仕様の抽出を行った。これらの検討と実験をとおして,聴覚障害者テレ・コミュニケーション機器の設計においては,聴覚障害者要素,対話者要素,機器(既存通信機器も含む)要素,環境要素に関する検討の重要性が明確になった。
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