デザイン学研究
Online ISSN : 2186-5221
Print ISSN : 0910-8173
ISSN-L : 0910-8173
54 巻, 6 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 孫 大雄, 宮崎 清, 樋口 孝之
    原稿種別: 本文
    2008 年 54 巻 6 号 p. 1-10
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    本稿では、1920-1930年代における小池新二(1901-1981年)のデザイン振興活動を考究した。小池は、学生時代に美学美術史を学ぶ一方で旅と登山に親しみ、実践の活動を通して自然と文明に対する思索を行う視座を感得した。大学卒業後、建築美学を探求するなかで欧州で展開されていた近代造形活動の考えに心服し、1930年代には多くの建築情報の出版活動への関与を行い、合理性・工学的審美性など客観的な科学を基盤とした近代建築運動を精力的に紹介した。また、「海外文化中央局」を設立運営し、建築・工芸についての世界的な活動の動向を中心に、幅広く人類文化の全領域にわたる膨大な情報の収集.研究を行った。1936年の「日本工作文化連盟」設立にあたっては中心的な役割を果たし、「工作」という概念を用い、生活の様式をつくりあげるものとしての造形運動の啓蒙・指導をめざした。それらの活動を通して、生活のあらゆる場面に造形美を創成しようとする「汎美計画」の思想を構築し、提唱した。
  • Ming-Shih Chen
    原稿種別: Article
    2008 年 54 巻 6 号 p. 11-18
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    This is a study about Graphical User Interface(GUI) and Multi-Model Interface(MMI) interfaces. We try to find out if the factor of age or the design of interfaces would affect the microwave oven interface manipulation by investigating the elder and younger users. We also try to find out the differences between the elder and younger users about satisfaction and comprehension abilities when manipulating the interface. Through the investigation we know that younger users have less problems manipulating both single-formed interface (vision interface) and complex-formed interface (vision, touch, sound etc.). The elderly have obvious differences manipulating between single-formed interface and complex-formed interface. They would have problems with text reading, function identification, and comprehension. The display of interface forms would affect the elderly with physical degeneration. It does more benefit and safety to the elderly when manipulating products if the interfaces are displayed appropriately according to different functions and essentiality.
  • 蘇 文宰, 日比野 治雄
    原稿種別: 本文
    2008 年 54 巻 6 号 p. 19-28
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    ブランド拡張を行う企業は、自社のブランド・アイデンティティに対する新旧ブランド間の機能的な役割を明確化し、それらの個別的な役割に適合したブランド戦略を確立する必要がある。企業において、個別ブランドのアイデンティティはブランド戦略により確立され、デザインはブランド・アイデンティティの確立上、重要な要素になっている。現在、新聞社は、インターネットという新媒体へのブランド拡張を行い、印刷新聞と電子新聞の間には明確なブランド・デザイン戦略が必要とされる。そこで本研究では、印刷新聞と電子新聞に対するブランド・デザイン戦略を提案することを目的とする。それは.印刷新聞と電子新聞に対する「読者の認識調査」と「デザイン・エレメントのイメージ調査」により行った。研究の結果、現在、印刷新聞と電子新聞間のブランド戦略は「保証されたブランドの適用戦略」が最も適合した形であり、それは個別ブランド間の連係性ある連想イメージを必要とすることが示唆された。しかし、印刷新聞と電子新聞に対するデザイン現況は、媒体間のイメージ差が非常に大きく現われた。
  • 森 亮太, 山岡 俊樹
    原稿種別: 本文
    2008 年 54 巻 6 号 p. 29-38
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,高齢者ユーザのライフスタイル要因に基づいて彼らの製品利用に関する特徴を把握することである。292名の高齢者を対象にアンケート調査を実施した。因子分析の結果,彼らの製品を伴うライフスタイルは「興味」「充実」「自信」といった3つの要因で構成されていた。その変数を用いて,データはクラスタ解析された。これらの結果から,高齢者ユーザには,(1)ポジティブ,(2)ネガティブ,(3)不安,(4)閉塞の4つのタイプが存在することが確認された。ポジティブ群とは,電化製品に興味があり積極的な態度の姿勢の見られる群である。対照的に,ネガティブ群とは,電化製品に興味がなく消極的な態度の姿勢が見られる群である。不安群とは,上記の両群の中間に位置する群である。閉塞群とは,不安群に比べ,電化製品に対して関心があるものの,他群に比べ不満や閉塞感を多く抱える群である。本研究は,高齢者のためのデザインの際の手がかりとなるであろう。
  • Hye Jin RYU, Sonya S. KWAK, Myung Suk KIM
    原稿種別: Article
    2008 年 54 巻 6 号 p. 39-48
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    The objective of this thesis is to suggest a design guideline for a teaching assistant robot by clarifying what images satisfy the role of a teaching assistant robot, and by finding out what elements of body feature epitomize such images. Images of teaching assistant robots were established from a literature review and factor analysis. And eight elements of body feature were extracted from human form. Robotic external form samples varied according to the elements of body feature, which was modeled three-dimensionally. Children, who are the main users of teaching assistant robots, evaluated the 3D robot samples projected onto a wall in real size. The evaluation criteria were the role images of teaching assistant robots, demographic features about age and gender, preference, and appropriateness. The results of evaluation were analyzed by analysis of variance, and analysis of correlation. Finally, a design guideline for a teaching assistant robot was suggested based on the results of the experiment about the correlation between elements of body feature and role images.
  • 吉田 美穗子
    原稿種別: 本文
    2008 年 54 巻 6 号 p. 49-54
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    人が美しいと感じる図形にはある一定の法則があるとの確信から、幾何学図形を数式に基づいてコンピュータを用いて描画し、「美」の要素を分析・検討した。従来、手描きでは数学的な幾何学図形の均整美を充分に表現することはできなかった。三角関数のグラフがそうで、それが不等式となると、どのようなグラフになるのか見当もつかない。しかし、コンピュータは幾何学図形を正確に描写できるばかりではなく、思いつくままに書いた複雑な数式のグラフですら、即座に視覚化して美しい形態を提示する。グラフを回転させたり、途中まで計算させて、計算過程を残像で残してみるとまた、違った趣の形となる。2次元グラフを3次元に応用すれば、それは幾何学図形の織り成す空間となる。特に、自然の形態に見る対数螺旋に注目し、美を司るデザインの要素の考察を行った。
  • 赤澤 智津子, 松崎 元, 長尾 徹
    原稿種別: 本文
    2008 年 54 巻 6 号 p. 55-62
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    本稿は、モノと人との関係性においてみられる身体的・知覚的変化を対象に道具の在り方を論ずるものである。近代以降家事に関わる家庭電化製品のあり方は、家事労働を合理化し労働負担を軽減するという方向性を持っていた。具体的には電化製品に労働負担を外部化するという考え方であり、設計においては身体的な能力を要求しない操作が要件となってきた。その一方で近代以前から使われてきた道具類は逆に、道具を使いこなせるよう身体の変化(熟練)を求めるものであった。そしてこれらの道具類は本来の目的以外の働き、例えば知覚の変化や動きの継承を付随するという側面を持っていた。人間の身体の知覚システムは環境とのかかわりによって組み替えられるという指摘があるが、道具においても使いこなしていくことで身体の運動能力・知覚能力が組み替えられるという特性を持つ。本稿では、機能を道具に外部化し操作するという一般的な道具の在り方ではなく内部化・身体化していくような在り方を示しここに豊かさへの可能性があることを示した。
  • Dongkyu LEE, Sonya S. KWAK, Myung Suk KIM
    原稿種別: Article
    2008 年 54 巻 6 号 p. 63-72
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    Studies on robotic emotions were mostly focused on facial expressions. However, in human emotion recognitions, biological signals were effectively applied in use. In this paper, we clarified the utility of biological signals as a way to express robotic emotion. We designed facial expressions and set up biological signals (heartbeat, respiration) to apply to the facial LED interface for expressing emotions. The results from two sets of experiment demonstrate that biological signals are closely connected to an arousal level and intensity of emotion. It also can be a distinctive element for emotion expression which is deficient only in facial expression.
  • Naoto SUZUKI
    原稿種別: Article
    2008 年 54 巻 6 号 p. 73-82
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    Many successful tourism projects have been implemented with strong government initiative, and the Sanshu Asuke Yashiki, a tourism facility in Asuke, Toyoda City, is one of these. Some projects have even attempted to mitigate the effects on them of drastic social changes. It is in this context that this paper was prepared. This paper presents the evaluation methodologies used in assessing the performance of tourism promotion projects, in this case Yashiki, and in designing the vision for its future direction. This paper covers the analysis of the past performance of Yashiki, the interrelationship of its problems, and alternative project scenarios, with the latter viewed from the perspectives of social acceptability, environmental soundness, and financial/economic viability. This paper advocates the application of a new evaluation methodology to promote a tourism-based regional development, with the active participation of the residents being the main stakeholder.
  • 氏家 良樹, 松岡 由幸
    原稿種別: 本文
    2008 年 54 巻 6 号 p. 83-90
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    曲線デザインにおいては,形状全体の特徴を巨視的に認知するヒトの特性から,形状要素の組合せによって発現するマクロ形状情報の適切な把握と操作が重要である.しかし,CADを用いた現行の曲線デザインにおいては,微視的な形状特徴を定量的に表現する情報の提示が主流であり,マクロ形状情報の把握と操作はデザイナの経験や直観に依存している,このような背景より,筆者らは,マクロ形状情報「複雑さ」を対象として,マクロ形状情報の定量化法構築とマクロ形状情報を操作可能な曲線形状生成法の構築に関する研究を進めてきた.本報では,マクロ形状情報「複雑さ」の認知における個人差をはじめとしたヒトの特性による影響,および大きさ・方向変化をはじめとした環境の特性による影響,の2点を検討するために行った認知実験について述べる.そして,認知実験の解析結果に基づき,「複雑さ」は個人差や大きさ変化・方向変化をはじめとする場の影響を受けにくく,曲線形状全体から算出される物理量のみで定量化される可能性があることを示す.
  • 氏家 良樹, 松岡 由幸
    原稿種別: 本文
    2008 年 54 巻 6 号 p. 91-100
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    曲線デザインにおいては,形状全体の特徴を巨視的に認知するヒトの特性から,形状要素の組合せによって発現するマクロ形状情報の適切な把握と操作が重要である.しかし,CADを用いた現行の曲線デザインにおいては,微視的な形状特徴を定量的に表現する情報の提示が主流であり,マクロ形状情報の把握と操作はデザイナの経験や直観に依存している.このような背景より,筆者らは,マクロ形状情報「複雑さ」を対象として,マクロ形状情報の定量化法構築とマクロ形状情報を操作可能な曲線形状生成法の構築に関する研究を進めてきた.本報では,マクロ形状情報「複雑さ」の定量化法として提案した曲率エントロピーおよび曲率積分の定義,事例適用による有用性の検証,両定量化法の特徴比較について述べる.そして,曲線形状における「複雑さ」の定量化では,変曲点数に留意したうえで曲率積分を活用することが有用であることを示す.
feedback
Top