デザイン学研究
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55 巻, 2 号
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  • Zhou Zhen, Haruo Kimoto
    原稿種別: Article
    2008 年 55 巻 2 号 p. 1-10
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    Given the impact that nationality and locality have on the essential elements of design, it is a demanding task for Chinese designers to set up new Chinese design styles. In our opinion, the Six Principles of Chinese Writing(六書原理), which are the principles of Chinese characters' formation and application, is a set of logical methods which can be applied to graphic design. In this paper, we present our research on the new methods of mark design based on the Six Principles of Chinese writing with our own design works as examples. We analyzed the six principles seriatim as design thoughts and formative methods, and related them with modem design methods. Furthermore, we also point out that the integrated application of the six principles is a clever method for mark design. We then discuss the characteristics of these methods and investigate their application in mark design in China. Finally, we draw our conclusion that mark design based on the Six Principles of Chinese writing comprises a set of effective design methods and is one of the characteristic design methods in China which will carry forward the Chinese design.
  • 肖 穎麗, 宮崎 清, 植田 憲, 樋口 孝之, 殷 正声
    原稿種別: 本文
    2008 年 55 巻 2 号 p. 11-18
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は、中国における実効的な意匠制度を構築していくために、現行制度の運用実態と制度が抱える課題について調査・考察を行ったものである。本研究は今日の中国における主導的産業集積地といえる北京ならびに上海地域の企業を対象としたアンケート調査を実施し、意匠制度の利用状況と意匠の保護意識について解析し、現行の意匠制度における改善点を抽出した。中国においては、総じて知的財産に対する認識が浅く、意匠保護を実効性あるものにするには、先進諸国と協調しながら多発する模倣問題を解決する法制度を確立し、総合的な啓蒙活動を行うことが重要であると知見を得た。(1)中国では、特許法、意匠法、実用新案法は、日本のような独立した法体系として整備されておらず、専利法(特許法)として三法令がひとつの法令となっている。このことに、制度運用を困難にしている大きな要因がある。(2)中国と日本も比較においては、法体系以外にも、意匠制度を取り扱う機関や手続きなど、具体的な運営手段に大きな違いがある。(3)中国では、外国では公知であっても、中国内出版社への公開発表がなされていない限り、意匠特許登録が無効とはされている。このことが、中国の国内と国外において各種の紛争を起こす要因となっている。
  • 森 亮太, 山岡 俊樹
    原稿種別: 本文
    2008 年 55 巻 2 号 p. 19-28
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,高齢ユーザと製品間のインタラクションにおける彼らの認知特性に関して重要な知見を提供することである。本研究では,ユーザと製品のインタラクションとの類似性をもつアルゴゲームを用いて,それらの課題におけるヒューマンエラーを把握し,分類した。高齢者83名と若年者21名を比較した結果,高齢者は若年者に比べ,ある一定以上の認知的負荷をうけると,誤ったメンタルモデルを形成することを明らかにした。また,高齢者のメンタルモデルについて,それらの形成能力に問題があるというよりも,その転移能力の低下に問題があること,ユーザのパフォーマンスには職種が強く関連していること及び適切な情報量を示唆した。結論として,高齢者ユーザは若年者ユーザに比べ,認知的負荷の配慮として,より寛容性の高いデザインの工夫が必要といえる。
  • 平野 聖, 石村 眞一
    原稿種別: 本文
    2008 年 55 巻 2 号 p. 29-38
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    明治時代に先進国からもたらされた扇風機は,大正時代には欧米の企業との技術提携が進み,我が国主要企業による大量生産が開始された。米国では天井扇に加えフロア扇の需要も多かったが,我が国では相変わらず卓上扇の独壇場であった。関東大震災により,直接裸火を使用しない電気製品の安全性が注目されるようになり,震災の復興期に数多く建てられた和洋折衷の文化住宅では,電化が大きなテーマとなった。企業間競争の激化による価格の下落と,新中間層の急増や大正デモクラシーの影響から女性の社会進出も果たされるようになると,大衆の購買力が向上し.家電ブームが起こった。人々のあこがれの対象であった扇風機は,その牽引役を果たした。扇風機の基本的形態の四要素,「黒色,四枚羽根,密なガード,首振機能」は踏襲されたが,エトラ扇の発明により,三枚羽根のものも加わった。この時代には,ガードが独立してデザインされるようになり,他社との差別化やモデルチェンジを明示する役割を担った。
  • Mitsunori KUBO, Fumio TERAUCHI, Hiroyuki AOKI
    原稿種別: Article
    2008 年 55 巻 2 号 p. 39-44
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    Decorated beams in Japanese temples and shrines were investigated to identify relationships between the structural properties and the decorative patterns carved on the beams. The karakusa patterns that had been carved traditionally by professional carvers on kouryo, or decorated beams, were investigated to elucidate the relationships between the patterns and the stress distributions under normal gravity conditions of the decorated beams. A professional carver of the karakusa patterns was also interviewed to find out if a carver might be subconsciously influenced by the stress distributions when carving. The tangential directions of the carved patterns tended to be coincident with the directions of the contours of the stress distribution in the beams, and the karakusa patterns might be indirectly-but strongly-affected by the stress distributions, which cannot be sensed visually by the carvers.
  • 東 恒人, 島田 恭宏, 島田 英之, 佐々木 武
    原稿種別: 本文
    2008 年 55 巻 2 号 p. 45-54
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本論文では,デザイン分野での研究を志す初心者を対象とし,断面線と側面線を用いて,三次元メッシュを生成する方法を提案している.この方法の特徴は,次の通りである.(1)ウォルシュ変換とフーリエ変換を利用することにより,メッシュの形状的な特徴をスペクトルの観点から定量的に分析することが可能である.(2)ウォルシュ変換を用いて得られる構成要素から,高交番数成分を削除した後,残った成分に対してウォルシュ逆変換を適用することにより,滑らかな形状のメッシュを角張った形状のメッシュに変形することが可能である.(3)断面線と側面線に対して,互いに異なる変換手法を適用することにより,滑らかな形状を角張った形状に変形させるとともに,角張った形状を滑らかな形状に変形させることが可能である.
  • 文 皓琳
    原稿種別: 本文
    2008 年 55 巻 2 号 p. 55-64
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は,ユニバーサルデザインの観点から「障害者」の言葉に対するイメージに関して,日本における「障害者」という用語が使われた歴史的背景を調査し,文献調査とインターネット検索を通じて日本と韓国で障害者に対する表記の例を調査した。次に,アンケート調査を通して,日本人と韓国人にとって「障害者」の字に対するイメージを分析した。その結果,日本では「害」の字に対する悪いイメージがあることにより,障害者に対する表記が多様であった。韓国の場合は,障害者を「障碍人」で表記し,「障害者」の言葉に対する抵抗感が強く,その表記は日本のようには多くなかった。また,「障害者」の字に対する悪いイメージ及び抵抗感は日本人と韓国人に認識の差があることが分かった。日本人の47%の人が「障害者」の字に悪いイメージがあると答えたが,「障害」と「障碍」を使う韓国人の場合は92%であった。「害」の語句に対する意識は,両国においては大きな差がみられることが理解できる。
  • Sonya S. KWAK, Jinyung JUNG, Eunmee SHIN, Myung Suk KIM
    原稿種別: Article
    2008 年 55 巻 2 号 p. 65-74
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    As childcare has become a serious social concern in Korea, the development of a childcare robot is of great interest. In particular, with the increase of dual-income families, designing childcare robots for respective dual and single income households is needed. This paper presents an ethnographic study of dual and single income families with a child to develop design guidelines for childcare robots for those respective groups. We use in-depth interviews, home tours and a one-week journal written by mothers to gather the requirements during interaction between mother and child, and user and product. A total of 6 primary requirements and each with their respective secondary requirements were gathered. By analyzing the frequency of the primary and secondary requirements we were able to find both similarities and differences between dual and single income households. By quantifying the importance of robot design issues based on frequency of primary requirements weighted by degree of correlation between requirements and issues, we present design guidelines for childcare robots for dual and single income families.
  • 原田 利宣
    原稿種別: 本文
    2008 年 55 巻 2 号 p. 75-82
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    元来,デザイナにとって曲線を美しく描くことは必要不可欠なスキルである.しかし,美しい曲線が描けたとしても,それを図面化する際に,ツールやCADシステムの使い勝手により結果的に意図した印象とは異なる曲線になることが多い.そこで本稿は,デザイナの曲線創成におけるリファレンスとするため,"デザイナが考える美しい曲線とはなにか","それをどのように創成してどのように使うのか"に関する著者らの一連の研究を分かりやすく解説する.具体的には,第一に,曲線の各部名称を図解し,従来の曲線創成方法とその問題点について概説する.第二に,筆者の提案する曲線の性質の定量化方法を説明し,それを用いて自然造形物などにおける多くの曲線を分析した結果について言及する.また,その結果に基づいて,曲線の視覚言語を創成する.さらに,本分析方法の空間曲線への拡張についても言及する.第三に,創成した視覚言語を実際の製品デザイン開発に適用した例を示し,それらを用いたデザイン方法論の可能性を考察する.
  • 上西園 武良, 薬袋 賢一, 岡田 明
    原稿種別: 本文
    2008 年 55 巻 2 号 p. 83-88
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    温水洗浄便座の洗浄強さ感に関して,目標とすべき範囲をいかに設計値へ変換するかについて検討した。変換に当っては,従来よりも汎用性のある手法となることを目指し,感覚強度を生じさせる物理量を仲介する方法を採用した。具体的には以下のようにして官能値(洗浄強さ感)を設計値に変換した。まず,官能値の定量化のため8名の被験者にて洗浄強さ感の比例尺度を構成した。次に,噴流の衝突力を測定し,洗浄強さ感との間に高い相関を見出し,官能値と物理量を相関付けた。さらに,61名の被験者による強さ感の使用範囲調査により大多数のヒトに適合できる範囲を推定し,物理量の範囲に変換した。最後に衝突力に関する物理モデルによって,物理量を設計値に変換した。
  • 萩原 祐志
    原稿種別: 本文
    2008 年 55 巻 2 号 p. 89-96
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    デザインの形状解空間は不明確で,今のところ決定的な解法というものはない。本研究は,この問題を解決するための1手段として,可変モデリングとGAの考え方を適用し,共通する特徴を持つ形状集団を探索・獲得するデザイン支援システムの構築とシミュレーション及び,妥当性の考察を行ったものである。構築したシステムを用いて簡易な可変モデリング形状を対象とした形状集団獲得シミュレーションを実施し,統計的な考察を加えた結果,ここでの条件下においては,システムのユーザーが経験的に探索指標に利用可能と推測した評価関数を適用することで,要求に応じた形状集団獲得をほぼ妥当に行えることが示唆された。このことを踏まえ,類似の構築方針によるシステムを再構築し,平面パーツ配置のデザイン,棚板配置のデザイン,キャラクタデザインに適用することを試み,種々のデザイン解集団獲得用システムの構築可能性を示した。また今後のデザイン支援システムの展望についても言及した。
  • 伊藤 弘樹, 岡崎 章, 恩田 浩司, 内藤 茂幸, 吉川 佳孝
    原稿種別: 本文
    2008 年 55 巻 2 号 p. 97-106
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    幼児後期の患児に対するサイコロジカルプリパレーションにおいて,看護師の慣れによる効率の違いを補うため,PCで使用するプリパレーション・ツールの研究開発を行った.看護師と感性デザインの観点から要素を検討し,コンテンツを3DCGで再現した.同様に絵本を制作しPCツールとの比較を行った.実験は手術を間近に控えた3〜6歳の患児10名を対象に保護者同伴の上,看護師が実施した.患児の動きを定量的に捉えるため.実驗には動作解析システムを使用した.実施後に患児の理解度・不安度・興味度の計測を行った.実験の結果,患児が興味を感じると看護師の方を向き,寂しさや恐怖を感じると保護者の方を向くという感情によるパターンが見られた.絵本との比較ではPCツールでの理解度がより高い値となり,不安度は下がった.しかし興味度に差はなかった.患児は集中しており,より内容を理解し心の準備ができたのはPCツールであった.患児にとって手術や処置の説明を行う際,絵本に比べより有効的なツールであることの検証を得ることができた.本研究はH17年度科学研究費補助金基盤(B)の「入院患児に対するプレパレーション・システムの構築とその効果」の研究の一部である.
  • Shyh-Huei HWANG, Meng-Ling LAY, Meng-Shan TSAI, Kiyoshi MIYAZAKI
    原稿種別: Article
    2008 年 55 巻 2 号 p. 107-116
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    A devastating earthquake struck Taiwan on September 21, 1999. In addition to recovering residences, public facilities and hearts of the general public after the quake, reconstruction of the community industry was also conducted via community building in certain communities. Practical cases of implementing community economic reconstruction by community empowerment in the reconstruction areas were studied in this research for the analysis model of community industry reconstruction. Three cases in Taomi Neighborhood, Puli Township, Dayan Village, Yuchih Township and Sheliao Neighborhood, Jhushan Township in Nantou County were studied. Investigations of the local community industry reconstruction process in the cases found that there were three important dimensions during the process of recovering community industry, which were assistance from non-profit organizations, resources provided by the government and operation of the institutions for promoting community-based businesses. Assistance from non-profit organizations can be divided into four models, including problem arrangement, promotion actions, motivating autonomy and cooperative production. Governmental resources are divided into four models of short-term local employment, subsidies for community industry reconstruction plans, execution of public works and authorization of collaborative teamwork. Operation of the institutions promoting community-based businesses consists of organizational competition, organizational integration and organizational attachment. However, reconstruction of the community industry varies under different circumstances and adjustment may be required in consideration of the community residents and organizational individual differences.
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