元来,デザイナにとって曲線を美しく描くことは必要不可欠なスキルである.しかし,美しい曲線が描けたとしても,それを図面化する際に,ツールやCADシステムの使い勝手により結果的に意図した印象とは異なる曲線になることが多い.そこで本稿は,デザイナの曲線創成におけるリファレンスとするため,"デザイナが考える美しい曲線とはなにか","それをどのように創成してどのように使うのか"に関する著者らの一連の研究を分かりやすく解説する.具体的には,第一に,曲線の各部名称を図解し,従来の曲線創成方法とその問題点について概説する.第二に,筆者の提案する曲線の性質の定量化方法を説明し,それを用いて自然造形物などにおける多くの曲線を分析した結果について言及する.また,その結果に基づいて,曲線の視覚言語を創成する.さらに,本分析方法の空間曲線への拡張についても言及する.第三に,創成した視覚言語を実際の製品デザイン開発に適用した例を示し,それらを用いたデザイン方法論の可能性を考察する.
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